ブルグミュラーと共に歩んで

 「貴婦人の乗馬」を終え、「ブルグミュラー25の練習曲」25曲全て終えることが出来ました。終わったとはいえ、終わった実感がまだ沸きません。今もピアノに向かうと、ブルグミュラーを演奏してしまいます。ブルグミュラー25を終えて、感じたこと、考えたこと、学んだこと、思い出話などを語ってみようと思います。

 ブルグ25を始めたのは、2004年春(途中ブランク1年ほど有り)。子どもの頃にやめたピアノを再開する時、大学時代の友人が演奏していたのと、NHK教育「クインテット」でも演奏されていたのを聴いて楽しそうだと思い、ブルグ25から始めました。
*その辺の詳しい過去記事:私とピアノとブルグミュラー(2006.6.10)

 この時、ブルグ25を選んで正解だったと思います。ブルグのよさといったら、なんと言ってもその曲想の豊かさ。25曲全てにタイトルが付いていて、そのイメージを膨らませやすい。曲調もバラエティに富んでいて、元気で明るい曲、のんびりした朗らかな曲、悲しげな暗い曲、ドラマティックな激しい曲…。子ども向けの練習曲集なのに短調作品が比較的多めであることも、特徴のひとつだと思う。様々な曲想と、曲の中に織り交ぜられた技巧の練習。練習曲なのに練習曲と思わせない。ブルグミュラーの良いところだと思う。

 私にとってブルグミュラー25は、イコールピアノだった。ブルグミュラーを通して、ピアノ・音楽を演奏することとは一体何なのか、考えるようになった。子どもの頃、ピアノ教室に通っていた時は間違えない演奏がいい演奏だと考えていた。大人になって再開して、ミスタッチしないことだけがいい演奏だとは思わなくなった。自分がその作品から何を感じたのか、その作品の背景にあるものは何か、その作品をどう解釈して、どう演奏したいのか…。そのために、どんな表現が求められるのか。どんな音色をピアノから引き出せばいいのか。そんなことを考えるようになった。実践する場は、ブルグミュラー。ブルグミュラーはそれを実践するのにちょうどいい曲集だった。タイトルは付いているけど、解釈の幅は広い。CDやネット上の演奏を聴くと、人それぞれ違った演奏をしている。解釈や表現を自分なりに考える面白さを教えてくれたのもブルグミュラーだった。

 ブルグミュラーを練習し続けて、楽しかったことばかりじゃない。苦しかったことも辛かったこともある。特に私の場合、独学であることをコンプレックスに感じていた。技術的な壁にぶち当たって、独学では無理なのかと思うことも何度もあった。そんな時はレッスンに通い、サークルやオフ会などで仲間を作り、「ピアノ対自分」だけではない、「ピアノ対自分対他者(師や仲間)」である人たちが羨ましく、心を閉ざしたこともあった。でも、ピアノ・音楽を演奏する・楽しむ際の形態に、万人に当てはまるベストな形態はない。それ以上に、独学でも「ピアノ対自分」でも、とにかく音楽に触れていたい、ピアノを演奏し続けたいという想いは変わらなかった。とにかくブルグミュラー25だけは全曲演奏したい。どれも個性的で、魅力的な25曲の作品たちを、全曲演奏したら見えてくるものがあるんじゃないか…。そう思い続けてきた。

 ブルグミュラー25を全曲演奏して感じたことは、音楽は自由だということ。楽譜という基準はあるけれども、それをどう解釈するかはその人次第。イメージを膨らませ、そのイメージをかたちにする演奏をひとつひとつ作り上げることの楽しさと難しさを感じている。
 そして、音楽する気持ちは誰にも止められないということ。独学だろうと、偏りやこだわりがあろうと、それはその人が選んだ道だ。誰もとがめたり、文句を言うことは出来ない。そういう意味でも、自由だ。

 ブルグミュラーは私にとって、ピアノの基本であり、親友であり、恩師である。全曲演奏し終わったが、また何度でもここに戻ってくるだろう。他の曲集や作品に取り組んだ後、ブルグを演奏してみたらまた違う発見があるかもしれない。実際、一度演奏し終わった曲をおさらいしてみて、色々な発見があった。ブルグミュラーは何度でも新鮮な気持ちにさせてくれる。

 ブルグミュラー25は終了した。でも、私のピアノ・音楽の道は終わらない。まだまだ、ここからが始まりだ。この先には広大な世界が広がっている。今、そのスタートラインに立ってどこへ進もうか迷っている。でも、どんな方向に進んでもブルグミュラーで学んだことは活きて来るはず。離れても、ずっとそばにいて欲しいなと思う。私にとっては、愛おしい存在でもあります…。

 沢山の音楽の楽しみを教えてくれてありがとう。


******

 せっかくなので、ブルグミュラーでランキングしてみる。

○好きな曲ベスト5
1.16:甘い嘆き(小さな嘆き)
2.15:バラード
3.1:素直な心
4.25:貴婦人の乗馬
5.24:つばめ
 
 一番好きなのが「甘い嘆き」。大人っぽい響きが大好きです。2位は「バラード」。暗と明、狂気と喜びが入り混じった不思議な感覚。癖になります。「素直な心」は最初弾いた時はあまり好きではなかったのだが、おさらいして好きになった。「貴婦人の乗馬」は楽しいの一言。「つばめ」も意外と好きです。
 次点では10:「やさしい花」、14:「スティリアの女(シュタイヤー舞曲)」、19:「アヴェ・マリア」、22:「舟歌」、3:「牧歌」も。ベスト10にすればよかったかな。


○苦手な(苦労した)曲ベスト5
1.11:せきれい
2.23:帰途(再会)
3.18:気がかり(心配)
4.21:天使の声
5.20:タランテラ

 なんと言っても苦労したのが「せきれい」。あのすばやいスタッカートの難しさといったら。同じ部類に入るのが「帰途」。好きな曲ではあるのですが、苦手です。この2曲を練習中、独学コンプレックスが非常に強くなり、かなり落ちこむことがありました。「心配」は息つく暇も無い。「天使の声」も好きなんですが、アルペジオの雰囲気を出すのが難しかった。「タランテラ」も好きなんだけど…速いパッセージの曲は苦手です。

 以上、ランキングでした。また時間が経てば変わるかも。

 最後に、ブルグミュラーの魅力について語っているピティナの連載「みんなのブルグミュラー」から、第9回の文章に共感したのでリンクを貼っておきます。
ピティナ:みんなのブルグミュラー:連載:第9回 鳴り響きの可能性~1/25曲×∞
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by halca-kaukana057 | 2009-06-13 22:08 | 奏でること・うたうこと


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