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アステロイド・マイナーズ 1

 「宇宙兄弟」他、宇宙SF漫画が盛り上がっていますが、ついにあの漫画家が宇宙SF分野に。そう、「まんがサイエンス」、「なつのロケット」のあさりよしとお。これは期待せざるを得ない!!


アステロイド・マイナーズ 1
あさりよしとお/徳間書店・リュウコミックス/2010

 時は21世紀終盤。人類は宇宙へ進出し、移住できる天体として小惑星を開拓しようとしていた。第1話では小惑星を開拓する一人の男を、第2話では低軌道ステーションへ向かう新米パイロットとある少女の物語、第3話では小惑星に移住した後の人類を描いています。時系列としては2→1→3となっている模様。

 3話どれも、リアリティのある宇宙SFになっています。現在の技術や研究中のものが活かされている。今の宇宙開発が進んで、100年ぐらい経ったら、本当に人類はこんな未来を迎えているのかもしれないと思えてしまう。流石あさりよしとお先生。第1話では、移住候補と挙がっている小惑星で水を採掘する。採掘するのはロボットだが、そのメンテナンスと機械を作る機械を製造するのは人間の役目。宇宙を夢見て志願した一人の男だが、現実は…。「蟹工船」が語られるタイミングと、たんぱく源として食べられるある生物のところで笑ってしまった。実際、そのたんぱく源は現在、宇宙での食事として研究中。あまり食べたいなとは思わないけど、実際どんな味なんだろう。

 第2話のでは宇宙航行の原理・技術が話の中心に。「無重力」と「無重量」の違い。現在国際宇宙ステーションがある辺りの高度で、地球の引力はどのくらい働いているのか。その答えに唖然とした。そんなもんなのか。なんとなくはわかっていたが、「まんがサイエンス2 ロケットの作り方おしえます」で、月に向かう際"重力穴"という説明をしていた。これがこの「アステロイド・マイナーズ」でも出てきます。しかも、その"重力穴"という考え方で見ると、さらに資源の面でも月を開拓するより小惑星を開拓したほうが人類の移住天体として適していると考えられる。流石です…。

 そして第3話。小惑星に移住し、小惑星で生まれ育った少年・タカシ。水も大気も食料も、全て小惑星で自給自足できるようになっているが、その実態は…。地球という星があまりにもよく出来た環境であることを、私は完全に忘れてしまっている。地球の外に出た時、それを作り出すことがいかに大変で、しかし生命が生きてゆくうえで必要不可欠であるかを実感する。こんなシビアな面もしっかりと描かれていて、ますますリアリティを感じられる。本当に流石としか言いようが無い。

 今後はタカシを中心に話が進んでいくのだろうか。2巻が出るのが待ち遠しい!!
by halca-kaukana057 | 2010-02-18 21:30 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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