2010年 03月 03日
優しく鮮やかな情景 アンスネス盤「子供の情景」
今年はシューマン生誕200年なので、シューマン作品をたっぷりと聴きたいと1月に書いたのだが、その次の記事が3月ってどういうことでしょう…。聴いてはいるのですが、なかなか記事にできない。難しいね。
少し前にアンスネスの新譜ムソルグスキー「展覧会の絵」を購入。一緒にシューマン「子供の情景」が収録されている。大好きな「子供の情景」を、ついにアンスネスが演奏したのか!それは聴くしかあるまい。そして、聴いてみたのですが…第1曲「知らない国々」から、ふんわりとした音と空気が伝わってきた。なんと優しく、温かい。「子供の情景」は色々な演奏者によるものを聴いてきましたが(それでも、まだ少ないと思う)、アンスネス盤は特にお気に入りです。
シューマンの妻・クララがシューマンに宛てた手紙に「時々あなたは子供のように思えます」と書いたことから、30曲ほどの小品を作曲。その中から13曲を選んで「子供の情景」op.15としたわけだが、アンスネスの「子供の情景」は、子供の頃の思い出をゆっくりと噛み締めているような演奏。子供の頃の思い出は、所々あいまいになっているが、強烈に覚えている記憶もある。そんな思い出の数々を、ゆったりと優しく繊細に、また「「鬼ごっこ」や「大事件」、「木馬の騎士」などははっきりと鮮やかに描いていて、ますます「子供の情景」という作品に惹かれてしまう。
このアンスネス盤を聴いていて、第10曲「むきになって」への見方が変わった。これまでは何となく聴いていただけだったのが、13曲のなかでもかなり好きな曲になってしまった。陰鬱なメロディーのどこが「むきになって」なのだろうか、と疑問に思ったが、自分の主張が通らず、感情を心の中に押し込んでいるのかな?と思った。さらに、「シューマン・子供の情景 op.15 演奏の手引き」(ヨゼフ・ブロッホ他著/全音)には、「不思議な曲です。標題も曖昧です」(62ページ)とある。記譜法も複雑で独特。シューマン自身は、その記譜法に関して、「我々音楽家はまず最初に何をおいても音符にこだわります。1つのまとまったもの、名曲として実際に音を出す前に、1つ1つの音の存在理由を要求するのです」(同上63ページ)と著書に書いている。この「むきになって」に関心を持ち始めたことで、シューマンが1つ1つの音に込めた何かを、私はようやく受け取れる状態になってきたらしい。
「子供の情景」にもっと親しんで、シューマンが何を描こうとしたのか、受け取れるようになりたい。
ムソルグスキーはまた今度。他の演奏や、管弦楽版もじっくり聴いてから。
少し前にアンスネスの新譜ムソルグスキー「展覧会の絵」を購入。一緒にシューマン「子供の情景」が収録されている。大好きな「子供の情景」を、ついにアンスネスが演奏したのか!それは聴くしかあるまい。そして、聴いてみたのですが…第1曲「知らない国々」から、ふんわりとした音と空気が伝わってきた。なんと優しく、温かい。「子供の情景」は色々な演奏者によるものを聴いてきましたが(それでも、まだ少ないと思う)、アンスネス盤は特にお気に入りです。
シューマンの妻・クララがシューマンに宛てた手紙に「時々あなたは子供のように思えます」と書いたことから、30曲ほどの小品を作曲。その中から13曲を選んで「子供の情景」op.15としたわけだが、アンスネスの「子供の情景」は、子供の頃の思い出をゆっくりと噛み締めているような演奏。子供の頃の思い出は、所々あいまいになっているが、強烈に覚えている記憶もある。そんな思い出の数々を、ゆったりと優しく繊細に、また「「鬼ごっこ」や「大事件」、「木馬の騎士」などははっきりと鮮やかに描いていて、ますます「子供の情景」という作品に惹かれてしまう。
このアンスネス盤を聴いていて、第10曲「むきになって」への見方が変わった。これまでは何となく聴いていただけだったのが、13曲のなかでもかなり好きな曲になってしまった。陰鬱なメロディーのどこが「むきになって」なのだろうか、と疑問に思ったが、自分の主張が通らず、感情を心の中に押し込んでいるのかな?と思った。さらに、「シューマン・子供の情景 op.15 演奏の手引き」(ヨゼフ・ブロッホ他著/全音)には、「不思議な曲です。標題も曖昧です」(62ページ)とある。記譜法も複雑で独特。シューマン自身は、その記譜法に関して、「我々音楽家はまず最初に何をおいても音符にこだわります。1つのまとまったもの、名曲として実際に音を出す前に、1つ1つの音の存在理由を要求するのです」(同上63ページ)と著書に書いている。この「むきになって」に関心を持ち始めたことで、シューマンが1つ1つの音に込めた何かを、私はようやく受け取れる状態になってきたらしい。
「子供の情景」にもっと親しんで、シューマンが何を描こうとしたのか、受け取れるようになりたい。
ムソルグスキーはまた今度。他の演奏や、管弦楽版もじっくり聴いてから。
by halca-kaukana057
| 2010-03-03 22:53
| 音楽