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シューマン作品のドラマ性 シューマン生誕200年に寄せて

 今日、2010年6月8日はローベルト・シューマンの200回目の誕生日。生誕200年おめでとうございます!というわけで、朝からシューマン作品を聴きまくっています。

 最近シューマン作品で惹かれているのが、「交響曲第4番 ニ短調」op.120.
シューマンの交響曲では第3番「ライン」が一番好き(親しみやすいので…)なのですが、第4番も聴き続けていくとハマります。当初、シューマンは第1交響曲「春」と第2交響曲の間にこの第4番を作曲したそうだが、第3交響曲「ライン」を書き上げた後、改訂して第4交響曲としたという。

 この作品には、シューマン作品のドラマ性が凝縮されていると感じます。ニ短調でドラマティックな展開の第1楽章、イ短調で哀愁を帯びた第2楽章、スケルツォのニ短調の第3楽章、霧の中から音楽が聞こえてくるように始まり、徐々に盛り上げていくニ短調の第4楽章。どの楽章も、基本は短調。短調好きにはたまりません。途中長調が見え隠れしたり、第4楽章は力強く華々しい終わり方もしますが、この第4番全体に漂う悲壮さ、暗さ。そしてドラマ性。夢・幻想を抱いて追い、それを音楽に込めて作品とした。そのシューマンの作品の魅力に、この4番でも惹かれます。

 シューマンの生き様は、決して幸せだったとは言えないと思う。美人で頭もよく音楽にも長けたクララと結婚し子どもに恵まれるも、精神病でライン川に飛び込み自殺未遂をはかり、精神病院でその生涯を終えたシューマン。それでも、シューマンが残した沢山の作品は、200年経っても私の心に響いている。作風だけでなく、その元となる複雑な内声。私は(ヘボい)ピアノ弾きとして「楽しき農夫」「見知らぬ国々」を練習し、また「謝肉祭」の楽譜を持ってCDで聴きつつ楽譜を追ったりしましたが、本当に複雑でびっくりする。子ども向けのはずの「楽しき農夫」でさえ。また、その「楽しき農夫」が収められている「ユーゲントアルバム」op.68にある「音楽の座右銘」は、私のピアノ練習・演奏に対する考え方、音楽とは何かを考えるきっかけになりました。この「音楽の座右銘」と「ユーゲントアルバム」を作曲し遺してくれて、本当にありがとうと伝えたいです。

 今日聴いたシューマン第4交響曲はこちら。

シューマン:交響曲全集

サカリ・オラモ:指揮/ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団/SMJ


 あのオラモがシューマン交響曲全集を出しました!オケは今年3月に一緒に来日公演をしたスウェーデンのロイヤル・ストックホルム・フィル。オラモらしいといえばいいのか…キリリと締まった、爽快で明瞭な演奏です。3番「ライン」も、冒頭の弦の明瞭さに驚きました。シベリウスでも「おお!!」と思ったけど、オラモ、やります。

シューマン:交響曲第3番&第4番

ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団/ ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル


 こちらはクーベリック。力強いところは熱く、ゆったりとしたところは優しい…。シューマンのドラマ性に魅了されつつも、どこか落ち着く演奏です。クーベリックはベルリン・フィルとの全集も持っているので、聞き比べ中。

【関連過去記事】
シューマンの言葉に学ぶ 「音楽の座右銘」より
 何度読んでも、音楽を愛し音楽と真摯に向き合おうとするシューマンの言葉が、心に響きます。
私とシューマンのこれまで
 シューマンとの出会いと、シューマンに対する想いを書き綴ってみました(^_^;
シューマンの「川の名前」
シューマン:交響曲の風景
 第3番「ライン」と、クーベリック&BPOについて。
by halca-kaukana057 | 2010-06-08 23:57 | 音楽

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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