これからの宇宙開発のために、広報をどうしよう?

 「はやぶさ」の帰還などで一気に注目されている宇宙開発ですが、残念なことに逆風は吹き続けています。

朝日新聞:仕分け「廃止」判定の「JAXAi」年内にも閉鎖へ
時事ドットコム:宇宙広報施設、年末にも閉鎖
NHKニュース:JAXAi“文科省も廃止”

 以前、事業仕分けで「廃止」判定となってしまった、JAXAの広報施設「JAXA i(ジャクサ・アイ)」。事業仕分けで廃止=廃止決定ではないので、廃止判定後や「はやぶさ」帰還などでの来館者増加で廃止判定が覆されないかなと思っていたのですが、文科省からも廃止判定、来年度の予算停止を食らい、本当に廃止が決まってしまいました。以前の記事で、地方巡業など他の広報の形も考えてみたのですが、やはり東京駅から歩いて5分、丸の内という最高の立地条件で、ふらりと無料で宇宙開発の最先端を知ることが出来る施設がなくなってしまうのは残念でなりません。上記記事では、他の博物館と連携して…とありましたが、博物館・科学館に例えば常時「JAXAi」に展示してあるLE-7A(H2A/H2Bロケットのメインエンジン)の試験で使われた実物などがあるのは、当たり前だと感じます。来館者も、そういうものが観たくて博物館・科学館へ足を運ぶ。一方、「JAXAi」は東京駅前の総合ビルという最先端科学・宇宙開発とは全く縁の無いような場所に、それらについて触れ、知ることが出来る施設がある。意外性という面からも、惹き付けられる。常設展示の他に、期間限定で変わる展示もあるし、関係者がJAXAのプロジェクトについて講演する「マンスリートーク」もある。ロケット打ち上げ生中継もある。ちょっと狭いけど、立派な広報施設。JAXAの広報施設が減ることが、残念です。


 宇宙開発の広報について、もうひとつ考える記事を読みました。

時事ドットコム:2度目の長期滞在に意欲=「十分仕事できた」と自信-帰国の野口さんインタビュー
 ISS長期滞在を終えて、現在帰国中の野口聡一宇宙飛行士。そのインタビューなのですが、この一言が気になりました。
滞在中、日本実験棟「きぼう」での科学実験の傍ら、子どもたちを対象にしたイベントなど広報活動にも精力的に参加。小惑星探査機「はやぶさ」の活躍などとともに、日本人の宇宙への関心を呼び起こしたが、「イベントばかり報じられると『何をしに行ったんだ』と批判される。実験の紹介ばかりでも分かりにくく、難しい」と注目を浴びるがゆえのジレンマも明かした。

 「イベントばかり報じられると『何をしに行ったんだ』と批判される。実験の紹介ばかりでも分かりにくく、難しい」…本当にそう思います。野口さんご自身もそう感じていたんだ…。野口さんのISS滞在中や、4月の山崎直子宇宙飛行士のフライトの際、「宇宙へ何をしに行っているんだ」という内容のブログ記事を時折目にしました。交信イベントやミッションの合間の食事風景など、ミッションとは直接関係の無い内容での批判がほとんどでした。メディアでは、本来のミッションよりもそのような内容が多く報道されます。その方がわかりやすいし、話題にしやすく、親しみを覚えるから。しかし、それでは宇宙・ISSという特殊な環境へ行って(しかも膨大なお金をかけて)何をしているのか、何のためにISSを作って、宇宙飛行士を日本も送り込んでいるのか伝わらない。ただ宇宙で生活するだけか。そうではない。内容によっては自己の身体も実験台にして、数多くの科学実験を行っている。しかし、その科学実験の詳しい内容・結果はJAXAのホームページにも掲載されてはいるが、私もよくわからないものもある。野口さんはtwitterも活用してISSでの暮らしぶり、ミッションのことなどを頻繁にツイートし私たちが知る機会を増やして、宇宙を身近に感じさせてくれましたが、それでも伝えにくいこともある。本当に難しいです。


 注目されてはいるとはいえ、一時的なブームや、感動的なドラマだけが宇宙開発ではない。より遠くを目指すために。遠くの宇宙を観て、知るために。身近だけれどもまだまだわからないことが多い地球のことを、詳しく調べるために。私たちの生活に役立てるために。科学や工学の可能性を増やすために…地味で淡々としていて、パッと見よくわからない内容でも、それが今後の科学を牽引し、私たちの生活に身近になる存在となるかも知れない。だからこそ、難しい内容でも丁寧に広報して、多くの人に知ってもらう必要があると思います。ただ、現実問題では、研究・開発のための予算も年々減らされ、広報の予算も減らされている。…減らして失うものも多いと思う。では、その予算をどこから持ってくるのか。これもまた難しい問題です…。NASAなどに比べたら"すずめの涙"、カツカツの予算で、これだけの内容の研究・開発・運用が出来ていること自体凄いと思いますが…。

 日本の宇宙開発は、今がまさに大切な時期に来ていると思います。今後更に発展させ活かすか、一時的な熱狂で終わって縮小してしまうか。熱狂だけで突き進んでしまうのも、その熱が冷めた時が怖い。宇宙開発を何のためにしているのか、何を目指しているのか。それらを伝え、ブームとは違う興味関心・応援・支持・理解…などを得るには、やはり広報が重要になってくると思います。広報にとっても、今がまさに大切な時期に来ていると感じています。

 …ただ、以前書いたように、JAXA公式だけでなく、科学の道を歩んでいる人、関係者ではないけど理系の人、一般の人による草の根的な応援・解説も"広報"に入ると思います。私も何が出来るだろう…考えています。


【過去関連記事】
「JAXA i」廃止で考える、これからの広報のかたち
 「JAXAi」事業仕分けで廃止の時に考えたこと。地方巡業もやってはほしいんだ。ボトムアップのように。

快晴の七夕に願うこと
 七夕に、「はやぶさ」帰還お祝いイベント「宇宙酒場」を観て、日本の宇宙開発・宇宙科学研究がもっと進歩できますように。そのためにも、多くの人がサイエンスとしての宇宙に興味を持って、外野の人が働きかけるアウトリーチ活動で、中からも外からも支え合って盛り上がっていきますように、と願いました。
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by halca-kaukana057 | 2010-07-24 22:31 | 宇宙・天文


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