宇宙兄弟 11

 掲載誌が週刊誌だと単行本も出るペースが早いですね。「宇宙兄弟」11巻です。


宇宙兄弟 11
小山 宙哉/講談社・モーニングKC/2010

 宇宙に憧れていた弟・カズヤからの電話を取り逃してしまった新田。しかし、新田は引きこもるカズヤを心配し、前へ一歩でも踏み出せることを願っていた。その”兄”としての姿を見た六太は、同じように兄弟で宇宙を目指してきた”兄”として、複雑な想いを抱く。
 サバイバル訓練も最終日。六太にアクシデントが訪れるが、E班はリタイアすることなくゴールまで辿り着く。しかし、ゴールしてすぐに次の課題が待っていた。キャンサット(超小型衛星)をモデルロケットで打ち上げ、その中に収めたローバーをゴールまで自動制御で誘導し距離とタイムを競う競技会に、六太ら宇宙飛行士候補者たちをチームで出場させ、他の班や宇宙好きの学生たちと競い合う。そのパラシュートとローバーを作り、競技会に出場する。ローバー作りのために、サポート役のエンジニアが付くが、サバイバル訓練を最下位で通過したE班には、酔いどれのピコが付くことになった。やる気がなく、サポートをする気は全くないピコ。呆れたE班は何とか自力でローバーを作ろうとする…。一方ピコは酒場へ向かう。そこでピコを待っていたのは…。


 前半は10巻からの続きで、新田兄弟のお話。10巻から感じていたが、新田は思った以上に人を思いやり、人を見ているのだなと感じた。新田自身、宇宙飛行士(候補者)になることで、弟に何かを伝えたいと思っていただろうし(だから、候補者からのメッセージ動画であんな内容を話したのだと思うが)、弟と一緒に宇宙への夢を実現したい、宇宙を目指し、歩いていきたいと思っているのだろう。ムッタと日々人の南波兄弟とはちょっと違うが、宇宙を目指している・宇宙へ向かっているのは自分だけではないという想いを噛み締めている新田が、ますますかっこよく見えました。

 後半はキャンサットコンペに向けてのローバー作り。新キャラのピコさんは、酔いどれだが、NASAの下請け会社のエンジニア。ムッタとケンジはピコの話を他のエンジニアたちから聞くが、そこには驚くべき内容があった。ピコが抱えている過去。そして、それに繋がっている鬼軍曹教官・ビンスさんの過去。あの冷徹で厳格なビンスさんも、考えてみれば宇宙飛行士のひとり。宇宙を目指すきっかけ、通過点があったのです。

 ムッタと出会ったピコさん、ビンスさんは、お互いの共通の過去を思い出してゆく。ムッタは本当に不思議な存在だと思う。一見、髪はもじゃもじゃの冴えない男。宇宙を目指すも、抜けているところはあるが天才肌の弟・日々人にはかなわず、いつも失敗や後悔ばかりの自分自身に劣等感を抱いている。でも、宇宙飛行士選抜試験を受け、試験の過程でも成長してきた。日々人とは違う、宇宙を目指す個性豊かな仲間や、星加さんのような支援してくれる人々の存在。ヒューストン、NASAにいる宇宙飛行士たちや知り合いたち。そして、子どもの頃から南波兄弟を励ましてくれたシャロンさん。彼らと付き合ううちに、随分と成長してきたと思う。また、自分自身に劣等感を持つ自分を、客観的に見られるようにもなってきたのではないかと思う。失敗しても構わない。それが、「本気の失敗」なら。これまでずっと失敗しまくってきたムッタだからこそ言える言葉だと思う。それが、新田もそうだし、ピコさんとビンスさんをも動かし始めた。本当に不思議な男です、ムッタは。

 私はそんな、優等生ではない、自己への劣等感丸出しのムッタに、親近感を持っています。私の「本気の失敗」…なんだろうな、数え上げてみようか。落ち込みそうだけど…。

 ピコさんとビンスさんの高校生時代のお話は、まさにホーマー・ヒッカム・Jr「ロケットボーイズ」(映画「遠い空の向こうに(原題:OCTOBER SKY)」)です。また原作読んで、DVDも観たくなってきた。10月4日はもうすぐですね。ビンスさんは表情には出さないけれど、内に熱いものを静かに持ち続けている人なのかもしれないな。ということで、続きが気になる12巻。「モーニング」ではもうかなり話が進んでいますが…。単行本と掲載誌の差が大きく出てしまうのも、週間誌特有の悩みなのかも。

 この11巻の帯には、ソーラーセイル実証機「IKAROS」が。裏には、「ミウラ折り」も。「IKAROS」には折り紙の技術(プロジェクトチームで色々な折り方を試して、帆をどう畳むか検討したのだそう)は使われていますが、「ミウラ折り」とは別物です。読むと、「IKAROS」にも「ミウラ折り」そのものが使われているような書かれ方をしていたので、一応補足しておきます。あと、この11巻には宇宙飛行士選抜試験で出された真っ白なジグソーパズル・ホワイトパズルが付いてくる限定版もあります。本屋に限定版がなかったので、通常版を買いました。48ピース。実際はもっと細かいらしいです。宇宙飛行士の試験を体験してみたいかたはどうぞ。

 最後に、twitter「宇宙兄弟」公式アカウントで、こんな話が。
Togetter:女性は宇宙ネタを敬遠するの?→女性が敬遠する漫画
 私は宇宙ものだからこそ買い、読みました。絵柄や主人公がイケメンかどうかとコメントがありますが、私はそんなのは気にしません。面白ければ読みます。今連載されている作品に限らず、古い作品でも読みます。…ただ、最初面白くてもだんだん離れていく、読まなくなった作品もあります。物語の展開やちょっとした内容に馴染めなくなって、読まなくなる。これは宇宙ものの漫画に限らず、漫画全体で言えます。個人の好みだと思いますね。
 個人的には、もっと幅広い宇宙ものの漫画が増えて欲しいなと思っています。宇宙開発から天文まで。リアルさを求めるもの、SF、ファンタジー系、萌え系、大人もこどもも一緒に読める作品(代表はあさりよしとお「まんがサイエンス」ですね)、少年・少女・男性・青年・女性誌関係なし!「プラネテス」や「ふたつのスピカ」が出てきたあたりから、宇宙もの漫画が結構増えていると思います。いいぞもっと増えろ~!

 最後に、アンケートはがきが…
f0079085_17232749.jpg

 ビンスさんごめんなさい!ようやく書きました。

・過去記事:宇宙兄弟 10
[PR]
by halca-kaukana057 | 2010-09-29 17:26 | 本・読書


好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)

プロフィールを見る

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

お知らせ・別サイト

管理人HN:(はるか)
 熱しやすく冷めにくい、何が好きになるかわからない好奇心のかたまり。このブログでは好きなものを、好き放題に語ってます。

プロフィール
*2014.9.5:更新
はてなプロフィール:遼(halca-kaukana)



web拍手を送る






日々のログ:今、ここ、想うこと
または:Twilog

はてなブックマーク
Mielenkiintoinen!

気になること、関心のある記事や参考にしたサイトなどのブックマーク集。コメント多め。

◆ピアノ録音置きブログ:Satellite HALCA

☆「はやぶさ2」、小惑星リュウグウ目指して順調に飛行中!☆
管理人・遼も小惑星探査機「はやぶさ2」を応援しています。



あかつき特設サイト
JAXA:金星探査機「あかつき」特設サイト

☆祝!「あかつき」は金星の衛星になりました☆
金星軌道上で観測準備中!

最新の記事

「しきさい」(GCOM-C)..
at 2017-09-30 23:07
超巨大ブラックホールに迫る ..
at 2017-09-18 23:48
西洋文化に触れた驚き 「遥か..
at 2017-09-03 23:01
BBC Proms(プロムス..
at 2017-09-02 17:07
土星堪能星見 + 今日は伝統..
at 2017-08-28 21:58
BBC Proms(プロムス..
at 2017-08-18 23:48
惨敗。 ペルセウス座流星群2..
at 2017-08-14 21:43
BBC Proms(プロムス..
at 2017-07-31 22:32
BBC Proms(プロムス..
at 2017-07-14 23:08
青い海の宇宙港 春夏篇 秋冬篇
at 2017-07-10 22:58

カテゴリ

はじめにお読みください
プロフィール
本・読書
宇宙・天文
音楽
奏でること・うたうこと
Eテレ・NHK教育テレビ
フィンランド・Suomi/北欧
イラスト・落描き
日常/考えたこと
興味を持ったものいろいろ
旅・お出かけ
information

タグ

以前の記事

2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
more...

検索