宇宙兄弟 12

 週刊誌漫画の単行本化ペースは本当に速いですね。「宇宙兄弟」12巻です。


宇宙兄弟 12
小山 宙哉/講談社・モーニングKC/2010

 月面基地に滞在中の日々人のもとに、交代クルー達がやってきた。吾妻を含む3人の宇宙飛行士。吾妻が六太の提案を受け入れたことにより、月面で遭難したが助かった日々人とダミアン。日々人は静かに、吾妻に頭を下げた。そして、日々人たちの地球帰還の日が近づいてくる。
 一方、六太たちアスキャンたちは、キャンサットコンペの当日を迎えた。創意工夫でローバーを作り上げたが、当日、コンペ会場の砂漠にまさかの雨が降る。路面は最悪のコンディション。そのコンディションでもローバーが走れるようにするために、六太たちE班はローバーの改造に取り掛かる。使える道具は無いか探していた六太は、探しながらあることを考えていた…。


 キャンサットコンペもいよいよ当日。ピコさんの指導も受けて後はローバーをロケットに載せて飛ばすだけ…と思ったらまたしてもトラブル発生。悪条件な路面を何とか切り抜けるために、最後の最後まで改良を続けるE班のメンバー達。そして、その慌しい中でムッタが考えていたこと…キャンサットコンペの過程でやっていることは、宇宙飛行の裏方にいる技術者や運用チームのしていることと同じなのだと。ムッタたち5人が宇宙飛行士候補者としてJAXAに入った時、宇宙飛行士を支える存在がいることを知ってほしいと那須田理事長や紫さんに言われた。それを、今キャンサットコンペで体験している。

 有人宇宙飛行の表舞台に立つ宇宙飛行士は本当に華々しい。でも、その裏では、地道で過酷な訓練を積んでいる。また、その宇宙飛行士を宇宙へ旅立たせるために、多くの技術者や管制官、指導教官たちが尽力している。この12巻では、キャンサットコンペだけでなく、日々人の帰還でも「宇宙開発の裏方」の存在に光を当てるシーンが沢山あります。裏方たちは宇宙飛行士の無事の飛行のために、宇宙飛行士たちはその裏方たちを信じて飛ぶ。人の絆・信頼関係がないと宇宙開発はできない。有人飛行に限らず、無人機の飛行でも同じ。キャンサットコンペを経て、その絆・信頼関係・想いに気づいたムッタたち。これまでの訓練や、日々人の月面での事故で、宇宙は非常に厳しい環境で、宇宙へ行く・宇宙で仕事をするのは本当に困難なことだと感じていましたが、だからこそ、多くの人の力・絆で乗り越えてゆく。宇宙は厳しい。それでも、宇宙へ行きたい。宇宙へ行ってやること、やりたいこと、すべきことがある。そんな「強さ」を感じました。E班のメンバーと、ピコさんが本当にカッコよく見えます。
 「ネクタイを締めるのは、仕事が無事に終わった後に緩めるためだ」なんて、カッコ過ぎますよ、ピコさん!

 巻の後半は、天文学会とムッタたちに会うためにアメリカへやってきたシャロンさんが中心。116話で、シャロンさんが月面に巨大な電波望遠鏡を造るなんて無理だとの発言に対して言った言葉にワクワクする。
我々天文学者には 遥か遠くまで行く力はありませんが
”遥か遠くを見る力”なら 我々に勝る者はいません
(142~143ページ)

もっと遠くを見たい、知りたい。その想いが、天文学を進歩させてきたのだと思う。
 そんな中、シャロンさんに異変が。その異変に、何かを感じたせりかさん。ショックを受けるムッタ。でも、過酷な訓練は続く。しかも、宇宙飛行士に必須のT-38練習機での訓練が。一方、異変を知っても、前向きでいるシャロンさん…。シャロンさんは、何があっても、ただ自分の実現したいこと…月面の大型電波望遠鏡で、小惑星「シャロン」の姿を観たい、更に遠くの宇宙を観ることへ突き進んでいる。帰還した日々人が夢の中で、シャロンさんにかけられた言葉と重ね合わせると、辛い、けれども南波兄弟には前を向いていて欲しいと思う。

 ショックな内容で終わりました…13巻はいつですか…待ちきれません…。

 ちなみに、シャロンさんからの電話に、ドギマギするせりかさんが可愛かったwただのファンになってるw

*****

 話は変わって、この12巻と一緒に、「宇宙兄弟」のムックも発売されました。

We are 宇宙兄弟 Vol.1 (講談社 Mook)

講談社



 野口聡一宇宙飛行士が、ISS長期滞在中に撮影した地球の写真集、毛利衛さん、カムイロケットの植松努さんインタビュー、向井万起男さんによるコラム、宇宙豆知識、他の漫画家さんからの宇宙っぽい漫画色々、「宇宙兄弟」第1話完全収録などなど。「宇宙兄弟」ガイド本としても、宇宙関連雑誌としても楽しめます。興味深かったのが、本谷有希子さんの宇宙飛行士訓練体験コラム。「宇宙がくたびれている」との言葉に、唸ってしまいました。宇宙=近未来ではないんだ、今は。これからは、これまでの「宇宙」のイメージを取り払って、近未来的な夢やロマンだけで溢れた世界ではなく、現実としての「宇宙」観が必要なんだと感じました。向井万起男さんのコラムの最後のページでは思わず笑ってしまいましたw那須田理事長なのか、向井万起男さんなのか、区別が付かなくなってきたw(オイ
 vol.1ということは、今後も出るのか。インタビューの幅が広がるといいなぁ。他の漫画家さんからの漫画の続きも気になります。

・関連過去記事:宇宙兄弟 11
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by halca-kaukana057 | 2011-01-13 23:59 | 本・読書


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