宇宙と新幹線、2つの「はやぶさ」 「宇宙(そら)のはやぶさ×地上(りく)のはやぶさ」講演会に行ってきた

 昨日、昨年12月に全線開業した東北新幹線に新型E5系「はやぶさ」がデビューしました。はい、小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」と名前が一緒(さらに、探査機「はやぶさ」の川口先生は青森県弘前市出身)。ということで、宇宙の「はやぶさ」と新幹線の「はやぶさ」、両方の開発者…川口淳一郎プロジェクトマネージャーと、田島信一郎JR東日本運輸車両担当部長による講演会&対談イベントに行ってきました。

青森県庁ホームページ:『生みの親が語る 宇宙(そら)のはやぶさ×地上(りく)のはやぶさ』

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 会場となったホテルの入り口にあった表示。「様」付けになってる。

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 いただいたチラシの一部。「はやぶさ」と「はやぶさ」!

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 会場のステージ。


 長くなるので、折りたたみます。




 講演の前に、三村伸吾青森県知事が挨拶。お茶目な語り口調の知事さんです。挨拶で、川口先生の著書「はやぶさ、そうまでして君は」を持って登壇。探査機「はやぶさ」の地球ラストショットについて熱く語っておられました。



 講演は新幹線「はやぶさ」の田島部長から。私は鉄道にはあまり詳しくありません。田島部長は快活に、新型E5系の開発のために行った試験や、新型E5系で重視したことを説明されていました。箇条書きで講演をまとめます。

・まず、今日は仙台から「はやぶさ」に乗ってきました。
・E5系を開発するにあたって、「ファステック360」という試験車両で様々な試験を続けました。「360」とは、時速360kmを目指そうという想いからつけました。今回E5系では時速320km(2012年度末から)に留まってしまいました。これまでのE2系「はやて」は時速275kmです。
・試験では1993年に最高時速425kmを出すことも出来ました。出そうと思えば出来るのですが、連結する「こまち」などのことなど、課題がある。
・高速化するといっても、「速くなったけれども…」速くするだけではだめ。
・東日本の新幹線は5方面(東北・山形・秋田・石川・新潟)。この5方面からの新幹線が大宮で合流する。ここで混雑しないように、バランスよく。
・環境対策も重視した。騒音、トンネル微気圧波(トンネルに入った時に「ドーン!」と音がする)、振動など。
・安全性も大事。
・快適性も大事。試乗会で「揺れない」と言われ、嬉しかった。
・これらのことを実現するために、どんな新幹線、どんな技術が必要か。2005年から2007年まで「ファステック」で試験をした。
・パンタグラフを2つに減らした。これが高速化(空気抵抗を減らす)と騒音対策につながる。
・「空力ブレーキ」も作ってみた。
・騒音などを測定する装置も、新しいものを開発した。
・今回は時速320kmだが、360kmは諦めていません。
・今後、新型E6系(「こまち」の後継)も、2014年デビューを予定しています。
・E5系の特徴は先頭のノーズの長さ。15mもある。先頭車両は狭い。逆転の発想で「グランクラス」を設けた。
・ゆとり、バリアフリー、ユニバーサルを大事にした。

 以上、簡潔にまとめました。これまで新幹線にどんな技術が使われているのか、新幹線「はやぶさ」がどのように開発されたのか全く知らなかったのですが、この講演で知ることが沢山ありました。そのうち、新幹線「はやぶさ」に乗った時、このお話を思い出して新幹線での旅を楽しもうと思います。



 続いて、探査機「はやぶさ」の川口先生。内容は昨年行った弘前での講演会と被るところもあるので、今回の講演会で初めて聞いた部分を中心に、こちらも箇条書き。あと、弘前講演会と内容は同じでも、パワーポイントの文字を、子どもにも読みやすいように漢字にルビがふってあったり、平易なひらがなで書かれていました。

・今日、グランクラスに乗ってきました。
・3月31日から弘前でカプセル展示が予定されていますが、この講演会でカプセルを展示しようと応募があったのです。(しかし、実現に至らず。)
・昨年11月、カプセルに入っていた微粒子がイトカワ由来のものだと判明しました。最初はひとつひとつ取っていたけれども、専用のヘラを作って、こすりとり、電子顕微鏡で分析した。
・小惑星で何がわかるのか。地球のでき方がわかる。丸い天体は中が溶けていて、地震も起きる。でも、中が何で出来ているのかを調べるのは大変。内核までは届かない。
・そこで小惑星へ。小惑星は溶けずにそのままの状態にある。
・イトカワよりも遠くの小惑星には、C型というタイプの小惑星がある。アミノ酸や水、二酸化炭素があるといわれている。二酸化炭素は気候変化の手がかりとなる。
・そのC型小惑星を探査するのが「はやぶさ2」。
・その更に向こうのトロヤ群小惑星には、生命の起源もあるかもしれない。そこに行くためには、ソーラーセイルを使うのが効率がよい。「イカロス」で実験をした。
・「隼」の字。よく見ると、上のはらいの部分はアンテナ(ハイゲインアンテナ)、4本の横棒は4つのイオンエンジン。「隼」の字は鳥のハヤブサの姿から出来た漢字なので、似ているのは当たり前(会場笑
(ここで調べてみました。「隼」の字の上の部分「隹(ふるとり)」は、鳥に関する文字をつくる部首。鳥の姿から出来たのだそう。初めて知りました。)
・東京と九州を結んでいた寝台列車ブルートレイン「はやぶさ」が廃止になった。ブルートレインで内之浦に向かっていた。廃止になって、「はやぶさ」もこれまでかと思った。
・しかし、帰還前の5月、新幹線の名前が「はやぶさ」に。JRも捨てたもんじゃない(会場爆笑
・新幹線の中で短歌を作りました。
「彼星(かなた)より 宙に還った 碧き君 いまは地を駆け 夢の快走(回想)」
・NEC遠藤社長が教えてくれたことがあります。「小才は縁があって縁に気づかず。中才は縁に気づいて縁を生かさず。大才は袖振り合う縁をも生かす。」(柳生家の家訓)
・探査機「はやぶさ」帰還の数日後、コンビニで野菜ジュースを買った。その時、店員さんがまじまじと私を見て「砂が入っているといいですね」と。ジュースに砂が入っていたらよくないが、多くの方に関心を持ってもらえたことは、大変ありがたく思いました。
・アメリカ・フェルミ研究所のロバート・ラスバン・ウィルソン博士のエピソードを紹介。「この機械で国をまもれるのか?何の価値もないではないか」との反対派の意見に、にウィルソンは「この装置は直接的には国家防衛には何の関係もありません。しかし、わが国を守るべき価値のあるものにするという点ではおおいに関係があります」と。これが、科学技術の進歩を目指す大きな理由でもある。
・1985年8月19日、「すいせい」が打ち上げられる直前、射場の運転手さんが「だめかもしれませんね」と言った。これは、ロケットや天候のことではなく、8月12日に起こった日航機墜落事故のこと。犠牲者のひとり、坂本九さんの「見上げてごらん夜の星を」の歌詞に「はやぶさ」を重ね合わせる。「小さな星の 小さな光が 小さな幸せを運んでる」
・「はやぶさ」のイトカワへの旅は小さくささやかなものであっても、きっと未来への幸せを運んでくれるでしょう。

 以上、川口先生の講演内容でした。「はやぶさ」のミッション概要、イトカワへのタッチダウン、燃料漏れと通信途絶、「はやぶさ」を何としてでも見つけ出すためにしたこと、通信回復と復旧運用、イオンエンジンの故障とクロス運転、帰還、カプセル発見、回収…このあたりは弘前講演会と被るので、省略しました。詳細は弘前講演会のレポ記事でどうぞ。一番下にリンクを貼っておきました。

 このあと、田島部長と川口先生による対談が行われました。新幹線と探査機に共通すること、お互いのプロジェクトで大事にしてきたことについて質問しあったりしていました。ものづくり、という共通点も。また、グランクラスに乗った川口先生。非常に快適だったようで、「なくさないで」と。

 こんな感じのイベントでした。ユーモアに溢れ、笑いと拍手が会場内によく響いていました。大きなイベントではなかったですが、温かい、笑顔溢れるイベントだったと思います。とても楽しかったです。聴衆の方々も、弘前講演会と同じように、老若男女関係なく。子どもを連れたお父さん、制服姿の女子高生も。探査機・新幹線両方の「はやぶさ」が注目され、その技術や科学に関心を持ってお話を聞きたいと思っている人々が集まった。感慨深いです。

 ちなみに、今後、川口先生は2・3回青森で講演会の予定があるとのこと。しかし、「内容はほとんど同じだから来ないで」と…。


 ここからは会場内展示など。

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 まず、目を惹いたのがこのプラレール。「はやぶさ」も走ってます。が、うまく撮影できませんでした…。

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 新幹線「はやぶさ」模型。

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 解説。

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 ホール内には新幹線「はやぶさ」のポスターや、のぼりがあちらこちらに。あれ?探査機「はやぶさ」に関する展示が何もない…。寂しい。
(そういえば、共催・協力にJAXAの名前はありませんでした)

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 ホール入り口前で愛嬌を振りまいていた、青森観光マスコットキャラクタ「いくべぇ」くん。ぬいぐるみでは青ですが、印刷物では緑色をしています。青、緑=森…青森?



 ちなみに、新青森駅へも行きました!
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 展示されていた、グランクラス座席。うわぁ…一度でいいから乗ってみたい…。
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 レゴブロックで作った「はやぶさ」。うまいです。

 さぁ、ホームへ。ドキドキしながらホームへ新幹線「はやぶさ」が入ってくるのを待ちます。そして、来ました。鮮やかなエメラルドグリーンの、ピカピカの車体。ピンクのラインも鮮やかです。暫し、魅入ってしまいました。今年中に新幹線を使う予定があるので、迷わず「はやぶさ」にします!グランクラスは無理だけど…。
 車両を撮影しようと思いましたが、混雑と、私の撮影技術の無さにより、ボケボケ写真ばかり。
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 ロゴマークだけはちゃんと撮れました。


 …あれ。新幹線「はやぶさ」のことばかり書いて、探査機「はやぶさ」が少ない気がする…(ショボーン

【8.23はやぶさ講演会】 「はやぶさ」川口先生講演会レポ
 昨年8月の、弘前講演会レポ。長いです。
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by halca-kaukana057 | 2011-03-06 22:30 | 宇宙・天文


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