熱血ベートーヴェン リターンズ!

 ここ数年、プロのフルオーケストラのコンサートに行く機会がありませんでした。近場でコンサートが開かれなかった。アマチュアの小編成オーケストラや、室内楽のコンサートは結構あったのですが…。ようやく、プロのフルオケのコンサートに行く機会があり、行ってきました。しかも、オーケストラは日本フィル。指揮は”炎のコバケン”こと小林研一郎さん。そう、あの熱血ベートーヴェン第7番のコンビです。コバケン&日フィル、再び!!

・前回のコバケン&日フィル:熱血ベートーヴェン

【曲目】
・グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 op.16
・ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 op.67 「運命」

ピアノ:小林亜矢乃
小林研一郎指揮日本フィルハーモニー交響楽団

 今回のコンサートでは、協奏曲前に序曲や交響詩などの演奏がありませんでした。いきなりグリーグのピアノ協奏曲からです。なので、コンマスさんはピアノで「A(ラ)」の音を出してチューニング。このチューニングの音を聴くと、いよいよ始まるのだ…とワクワクします。何年ぶりだろう、このワクワク感。

 ピアノの小林亜矢乃さんは、コバケンの長女。なんと父娘共演です。可愛らしいお嬢さんでした。さて、グリーグのピアノ協奏曲を生で聴くのは2回目。冒頭のティンパニから、ピアノが決然と和音を奏でる。第1楽章のこの緊迫した雰囲気が好きです。緊迫しているのだけれども、木管や弦、内省的なピアノの深い音色に穏やかな暖かさも感じます。草原でそよ風に吹かれているような感じでした。ピアノも、いい意味で「協奏曲っぽくない」。突出せず、オーケストラと協同でひとつの音楽を奏でているような感じでした。そんな風に演奏に惹き込まれていたら、カデンツァでやられました。内に込めた感情・情熱をじわりじわりと外へ出し、打って変わって情熱的な演奏に。これは驚きました。もしかしたら、最初のあたりは緊張していたのかな?そのまま第2楽章へ。のどかな歌の途中に、また見え隠れする内に秘めた情熱。第3楽章はあの舞曲のような不思議なリズムの中で、ピアノも伸びやかに飛び跳ねる。オケ全部とピアノソロが全力のフィナーレでは、満天の星空の下にいるような感覚になりました。とにかく煌びやか。これはCDでは味わえない。オーケストラの生の演奏だからこそ感じられること。空気を伝わって響き渡る音に、心も震えていました。

 演奏終了後、拍手の中で、亜矢乃さんはコンマスさん達楽団員に何度もお辞儀をして握手。そして、父・研一郎さんと抱き合う一幕も。親子愛だ…微笑ましい一幕でした。若い演奏家に、もっともっと伸びていって欲しい。そう感じた演奏でした。


 休憩の後、メインのベト5「運命」。休憩時間に舞台端に片付けられていたピアノが、舞台中央に。小林さんがひとりで登場。ベートーヴェンについての解説タイムです。以前も演奏前にベト7の解説があったのですが、今回は楽団員はまだ出てきておらず、ピアノもしっかり用意。更にマイクも用意。準備万端です。
 ベートーヴェンが難聴に悩まされながらも、この「交響曲第5番」を書いたこと。ベートーヴェンとゲーテにまつわるエピソード。会うまではお互いを尊敬しあっていたのに、ゲーテとベートーヴェンの出会いは、最悪なものだった。そして、絶交にまで至ってしまう。ベートーヴェンの死後、メンデルスゾーンがゲーテの前で、交響曲第5番をピアノで演奏した。最悪の出会いで、絶交にまで至ってしまったベートーヴェンとゲーテの関係を、少しでも良くしようと思ったのだが…。結局、ゲーテはベートーヴェンに対しての考えを変えることは無かった…。かなしい話だなぁ。そんな話を、ピアノ演奏も交えながら解説。なるほどなー、と聞いていました。

 解説の後、いよいよ演奏へ。第1楽章、「ジャジャジャジャーン!」で始まる超有名曲。今回、超有名曲、定番中の定番曲だからこそ、生でオケで聴こうと思っていました。その考えは、大正解でした。第1楽章、主題の「ジャジャジャジャーン」が様々に形を変えて奏でられる。ソナチネを練習しているためか、楽曲の構造(ソナタ形式)も読み取れた。この第1楽章はベートーヴェンの「苦悩」を表現しているといわれますが、今回の演奏では、「苦悩」しているのだけれども、内に向かうような苦悩に感じられました。
 第2・3楽章は、私の大好きなヴィオラが活躍します。第2楽章では、のんびりとしたメロディーが奏でられますが、ここでヴィオラがいい味を出してます。チェロと一緒なのがちょっと残念でもありましたが…。第3楽章で、コンバス&チェロの奏でたメロディーをヴィオラが引き継ぎ、その後ヴァイオリンも一緒に奏でるあたりもヴィオラの音色がいい味出してた。ベートーヴェンやブラームス、ドヴォルザークでは、ヴィオラに美味しいメロディーが用意されていて、嬉しくなります。
 第3楽章から途切れずに第4楽章、フィナーレは凄い勢いでした。でも、全楽章を通して、弱音とパワーのバランスが絶妙。迫力はあるけれども、力で圧倒する迫力とは違う。包み込み、導いてくれるような音色、演奏でした。以前も、生で7番交響曲を聴いて印象が変わりましたが、今回も生で聴いて、5番交響曲の魅力に更に浸れました。

 ところで、この第5交響曲「運命」。トロンボーンのパートがあるのですが、出てくるのは第4楽章になってから。1~3楽章の間は、じっと待っているトロンボーンさん3人。第4楽章では待ってましたとばかりに演奏。演奏後、3人で握手したり、肩をたたきあったり、互いの健闘を称えあっていました。仲が良く微笑ましいwトロンボーンの音色も素晴らしかったよ!そして、フルート首席さんがとにかく、きれいな音色で聴き惚れました。うまいなぁ。ホルンさん4人もGJでした。アマオケでシベリウス「フィンランディア」を聞いた時、ホルンはなんて難しい楽器なんだと思いましたが、うまかった。ホルンの”職人”という感じでした。

 演奏後は拍手とブラボーの大喝采。待ってましたアンコール!
【アンコール】
・アイルランド民謡:ダニーボーイ(ロンドンデリーの歌):弦楽合奏
・ブラームス:ハンガリー舞曲第1番

 「ダニーボーイ」も「ハンガリー舞曲」もおなじみの作品。「ダニーボーイ」は「クインテット」(NHK教育・今日から「Eテレ」)版で聴き慣れていますが、弦楽合奏版もいい。心に訴えかけてくる演奏でした。「ハンガリー舞曲第1番」はバレエのような踊りをイメージした演奏でした。

 演奏後、楽団員と起立して、一礼。楽団員退場…の一方で、再びピアノが舞台中央に運ばれてくる。何がはじまるのですか…?残ったコバケンと、ヴァイオリンさん(コンマスさんのはず。2階の後ろの席だったので、よくわからず)。なんと、これから2人でもう1曲アンコールをしてくださるとのこと!大サービスです!

【アンコールその2】
・ヴィットーリオ・モンティ:チャールダーシュ(ヴァイオリンとピアノのデュオ)

 ピアノの伴奏から始まり、暗い重い音色を奏でるヴァイオリン。しかし、後半以降、非常に速いパッセージが。その技巧に魅了されました。オーケストラを聴きに来たのに、まさか器楽曲まで聴けるなんて。お得すぎます。ヴァイオリンって、あんな小さな楽器なのに、大きなホールでも全体へ音を響かせることが出来る…。凄い。演奏後、ブラボーまで飛び出すアンコールでした。

 2階の後ろの席だったため、コバケン名物の唸りは聴けませんでしたが、オケ全体と指揮を見渡せる位置だったので、どこでどの楽器が演奏しているのか、目で観て、耳と体全体で響きを受け止めることが出来ました。生のフルオケを堪能した演奏会でした。

 演奏会って、いいものですね。(しみじみ
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by halca-kaukana057 | 2011-06-01 23:23 | 音楽


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