2011年 07月 29日
北欧に息づき続ける、ヴァイキングの暮らし
NHKBSプレミアムの北欧スペシャル、堪能してます。こんなに北欧・フィンランドに関する番組が放送されまくっているなんて信じられません。とりあえず、録画が大変なことになっています…。
たくさんの番組の中から、印象的な番組を。「ぐるっと北欧5000キロ ~スカンディナビア半島・港町巡り~」。女優の野村佑香さんが、ノルウェーのアルタから、フィンランドのトゥルクまで、船を乗り継いで港町を旅する番組です。
◇NHK 北欧スペシャル:ぐるっと北欧5000キロ ~スカンディナビア半島・港町巡り~ 前編・バイキング 美しき船を求めて
◇ぐるっと北欧5000キロ ~スカンディナビア半島・港町巡り~ 後編・バルト海 一瞬の夏のしあわせ
番組では、途中船を降りて港町を歩き、現地の人々と触れ合いながら、彼らの暮らしや文化、自然、歴史などにも触れます。スカンディナヴィア諸国(ノルウェー・デンマーク・スウェーデン)がメインなので、この3国について語る上で欠かせない存在である、ヴァイキングについての話題がとても多く、興味深かったです。
ヴァイキングと言うと、北欧の大男たちが船で世界各地を回り、略奪や侵略、そのためには惨殺もいとわない…そんなイメージを持たれがちです。実際そうではあるのですが、ヴァイキングはそれだけではない。北欧の海で獲れた魚を加工し、船で向かった先でそれらと他の地域の産物を交換し、交易していた。船も、木や船に関する深い知識と巧みな技を生かして、丈夫で速く進む船を造ることができた。ヴァイキング船の技術をそのまま受け継いでいる職人さんを訪ねるシーンがあったのですが、その職人さんが言っていた言葉が印象的でした。ヴァイキングには略奪などの誇れない歴史もある。でも、彼らは多くのことを教えてくれる、と。そのヴァイキング船の職人さんだけでなく、野村さんが乗ったノルウェーの船の船員さんたち、干しタラを作っている漁師さん、鉄を加工して船の部品を作っている職人さん、デンマークで酪農を営みチーズを作っている農家の方も、皆、ヴァイキングの時代に生まれた技術を受け継ぎ、その歴史を守りながら暮らしている。1000年も前にヴァイキングによって生み出された数多くのものが、現代の北欧・スカンディナヴィアの人々の暮らしを支えている。
私たちの暮らしの中の、当たり前だと思っていることが、実は何百年も、何千年も前からあるものがルーツだった知った時…自分と、見たことも無い歴史上の世界が繋がり、時空を越えたような気持ちになります。歴史の表舞台にあるのは、大きな史実だけ。でも、その奥には、人々が地道に暮らしてきて、それが今に繋がっている。だからこそ、今の私たちの暮らしがある。このヴァイキングを辿る旅で、ヴァイキングたちの暮らしについて、とても興味を持ちました。ヴァイキングを描いている漫画「ヴィンランド・サガ」(幸村誠:作)で、ヴァイキングの暮らしや日常も描かれ興味を持っていたのですが、ますます興味を持ちました。
北欧と言うと、デザイン大国のイメージもあります。機能と美が調和した、シンプルで使いやすい、洗練された、でも地味とは違うデザイン。そのデザインのルーツも、ヴァイキングの造った船などに由来していた…というのが面白かったです。他にも、長い冬、家の中で暮らすことが多いため、その暮らしを彩り、豊かにするためという理由もあります。ストックホルムでデザインを学んでいる学生さんの言葉や考え方が印象的でした。
メインがスカンディナヴィアなので、フィンランドはトゥルクのみ…とちょっと物足りないところもありました。でも、フィンランドで紹介されたのは、「リュイユ(Ryijy)」というフィンランドの伝統的なウールの織物。起源は、ヴァイキングの時代。スカンディナヴィアのヴァイキングは、フィンランドにもその勢力を広げていました。荷物を海水や雨から守るカバーとして使われ始め、そのうち船のカバーや寝具として使われるようになりました。現在ではタペストリーなど、インテリアとして使われています。「リュイユ」のことを、この番組で初めて知りました。この「リュイユ」に使うウールの糸は、天然色素で染められます。「リュイユ」を作っている人は、「天然の色は心の中にある色」と話していました。自然とともに生きてきた、北欧・フィンランドの人の言葉だなと感じました。
・リュイユについて詳しく:JDN スタイリッシュ フィンランド:01 リュイユにみるフィンランドデザイン
旅をした時期が6月から7月だったため、ちょうど夏至のあたりで白夜を体験したり、デンマークで夏至祭に参加したりするのも興味深かったです。深夜12時でも、昼間のように明るい。どうやって寝るんだこれは…。夏になるとテンションが上がる理由が、わかる気がします。そして日照時間が極端に短くなる冬は、家の中でのんびり暮らす。私の地域も冬は雪がひっきりなしに降るために日照時間が少なくなり、気が滅入ることもありますが…北欧の冬の暗さを想像したら、恐ろしくなりました。これは確かに、家の中にマリメッコのような鮮やかなデザインのものが必要だ…。
この番組は、明日土曜日、午後1時から前編後編一気に再放送されるので、興味のある方は是非どうぞ。パラボラアンテナがない方も、NHKオンデマンドで配信されているのでそちらでどうぞ。
たくさんの番組の中から、印象的な番組を。「ぐるっと北欧5000キロ ~スカンディナビア半島・港町巡り~」。女優の野村佑香さんが、ノルウェーのアルタから、フィンランドのトゥルクまで、船を乗り継いで港町を旅する番組です。
◇NHK 北欧スペシャル:ぐるっと北欧5000キロ ~スカンディナビア半島・港町巡り~ 前編・バイキング 美しき船を求めて
◇ぐるっと北欧5000キロ ~スカンディナビア半島・港町巡り~ 後編・バルト海 一瞬の夏のしあわせ
番組では、途中船を降りて港町を歩き、現地の人々と触れ合いながら、彼らの暮らしや文化、自然、歴史などにも触れます。スカンディナヴィア諸国(ノルウェー・デンマーク・スウェーデン)がメインなので、この3国について語る上で欠かせない存在である、ヴァイキングについての話題がとても多く、興味深かったです。
ヴァイキングと言うと、北欧の大男たちが船で世界各地を回り、略奪や侵略、そのためには惨殺もいとわない…そんなイメージを持たれがちです。実際そうではあるのですが、ヴァイキングはそれだけではない。北欧の海で獲れた魚を加工し、船で向かった先でそれらと他の地域の産物を交換し、交易していた。船も、木や船に関する深い知識と巧みな技を生かして、丈夫で速く進む船を造ることができた。ヴァイキング船の技術をそのまま受け継いでいる職人さんを訪ねるシーンがあったのですが、その職人さんが言っていた言葉が印象的でした。ヴァイキングには略奪などの誇れない歴史もある。でも、彼らは多くのことを教えてくれる、と。そのヴァイキング船の職人さんだけでなく、野村さんが乗ったノルウェーの船の船員さんたち、干しタラを作っている漁師さん、鉄を加工して船の部品を作っている職人さん、デンマークで酪農を営みチーズを作っている農家の方も、皆、ヴァイキングの時代に生まれた技術を受け継ぎ、その歴史を守りながら暮らしている。1000年も前にヴァイキングによって生み出された数多くのものが、現代の北欧・スカンディナヴィアの人々の暮らしを支えている。
私たちの暮らしの中の、当たり前だと思っていることが、実は何百年も、何千年も前からあるものがルーツだった知った時…自分と、見たことも無い歴史上の世界が繋がり、時空を越えたような気持ちになります。歴史の表舞台にあるのは、大きな史実だけ。でも、その奥には、人々が地道に暮らしてきて、それが今に繋がっている。だからこそ、今の私たちの暮らしがある。このヴァイキングを辿る旅で、ヴァイキングたちの暮らしについて、とても興味を持ちました。ヴァイキングを描いている漫画「ヴィンランド・サガ」(幸村誠:作)で、ヴァイキングの暮らしや日常も描かれ興味を持っていたのですが、ますます興味を持ちました。
北欧と言うと、デザイン大国のイメージもあります。機能と美が調和した、シンプルで使いやすい、洗練された、でも地味とは違うデザイン。そのデザインのルーツも、ヴァイキングの造った船などに由来していた…というのが面白かったです。他にも、長い冬、家の中で暮らすことが多いため、その暮らしを彩り、豊かにするためという理由もあります。ストックホルムでデザインを学んでいる学生さんの言葉や考え方が印象的でした。
メインがスカンディナヴィアなので、フィンランドはトゥルクのみ…とちょっと物足りないところもありました。でも、フィンランドで紹介されたのは、「リュイユ(Ryijy)」というフィンランドの伝統的なウールの織物。起源は、ヴァイキングの時代。スカンディナヴィアのヴァイキングは、フィンランドにもその勢力を広げていました。荷物を海水や雨から守るカバーとして使われ始め、そのうち船のカバーや寝具として使われるようになりました。現在ではタペストリーなど、インテリアとして使われています。「リュイユ」のことを、この番組で初めて知りました。この「リュイユ」に使うウールの糸は、天然色素で染められます。「リュイユ」を作っている人は、「天然の色は心の中にある色」と話していました。自然とともに生きてきた、北欧・フィンランドの人の言葉だなと感じました。
・リュイユについて詳しく:JDN スタイリッシュ フィンランド:01 リュイユにみるフィンランドデザイン
旅をした時期が6月から7月だったため、ちょうど夏至のあたりで白夜を体験したり、デンマークで夏至祭に参加したりするのも興味深かったです。深夜12時でも、昼間のように明るい。どうやって寝るんだこれは…。夏になるとテンションが上がる理由が、わかる気がします。そして日照時間が極端に短くなる冬は、家の中でのんびり暮らす。私の地域も冬は雪がひっきりなしに降るために日照時間が少なくなり、気が滅入ることもありますが…北欧の冬の暗さを想像したら、恐ろしくなりました。これは確かに、家の中にマリメッコのような鮮やかなデザインのものが必要だ…。
この番組は、明日土曜日、午後1時から前編後編一気に再放送されるので、興味のある方は是非どうぞ。パラボラアンテナがない方も、NHKオンデマンドで配信されているのでそちらでどうぞ。
by halca-kaukana057
| 2011-07-29 21:48
| フィンランド・Suomi/北欧