変化自在な舞台で、生と死を思う 劇団四季「夢から醒めた夢」

 先日、ずっと観たいと思っていたものを観てきました。劇団四季のミュージカル「夢から醒めた夢」。現在全国公演中で、私の地域でも公演がありました。「夢から醒めた夢(以下、”夢醒め”と略します)」は、何年も前に赤川次郎さんの原作を読んで、興味を持ちました。更に、作編曲を宮川彬良さんも担当している(メインは三木たかしさん)ことも、私にとって興味を引く要素。ミュージカルのCD(初版)を以前買い、それを聴いてからますます生の舞台で観てみたいと思うようになりました。

 ちなみに、先日までNASAの海底閉鎖環境訓練施設での「NEEMO訓練」を受けていた宇宙飛行士・大西卓哉さんが、宇宙飛行士候補者選抜試験の最終選抜、あの閉鎖環境試験で、「他の受験者に向けて自己PRをしなさい」という課題で、この「夢醒め」のクライマックスシーンの3役をひとりで演じる”ひとりミュージカル”を披露したことでも、私にとっては印象深い作品です。大西さんはミュージカル観劇が趣味だそうで、「夢醒め」は特に大好きな作品なんだそう。大西さんが演じたシーンの本物を観たい、という気持ちもありました。
・大西さんのひとりミュージカル、詳しくはこの本に:ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験
↑実際の映像は、NHKスペシャルで放送されたものに入ってます。DVDも出てますよ。

 前置き長すぎですねw本編行きます。
劇団四季:夢から醒めた夢

夢から醒めた夢

劇団四季 / ポニーキャニオン



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 ↑チラシと会場で販売していたパンフレット。せっかくなので買いました。

 私がミュージカルを観に行くのは…中学高校の芸術鑑賞以来?しかも、何のミュージカル(または演劇?)か思い出せない。とにかく、自分でチケットをとってミュージカルを観に行くのは初めてです。そんなミュージカル入門者の感想です。

 会場のホールは、いつもはクラシックのコンサートで来る場所。いつもなら、開場したら皆自分の席を探して、大体席に付いているはず。しかし、この日は違いました。開場した後もロビーに人が溢れている。何事かと思いきや、ロビーパフォーマンスをしている。そういえばチラシにも書いてあった。脚長ピエロ、ハンドベル演奏、タップダンス、手回しオルガン…ロビーのあちらこちらで、様々なパフォーマンスが。とても賑やかです。タップダンスを中心に観てました。踊るだけでなく、観客の子どもも巻き込んで、一緒に踊っている。とても楽しそう。ついつい魅入ってしまいました。

 あ、まだ自分の席を探していなかったことに気がついた私は、席を探すことに。探して、席に着くと、開演前のステージでもピエロたちがパフォーマンス。コミカルだけど、うまい。こちらでも、会場の子どもたちも舞台で一緒に参加してパフォーマンスを楽しめるかたちになっている。2階席から、タップダンスを披露していた兵隊さんがステージ上のピエロに向かって輪投げをするパフォーマンスを。うまい…。劇団四季はサーカス団でもあったのか、と思うぐらい。そして、また別のピエロが出てきて、舞台で踊り始め…だんだん照明が暗くなってきた。ステージがライトアップされ、夢の配達人が登場。普通なら、開演のアラームが鳴り、観劇の注意のアナウンスなどがあってから始まる。それが、無い。つまり、あのロビーから既に舞台は始まっていたの…?すごい。うまい。

 物語のあらすじなどは公式サイトでどうぞ。省略します。
 それよりも、生の舞台、生のミュージカルの迫力と躍動感に包まれて感じで楽しみました。私がいたのはステージから離れた2階の席。でも、その2階の席でさえ、役者さんたちがいるステージとの境界線がないような、ホール全体が舞台になっているような、そんなものを感じていました。物語が、演出が、踊りも歌も、音楽も、ホール全体を包み込んで、一緒にピコと物語の世界を旅している気持ちになっていました。きっと、夢の配達人の言葉から、そう思ったのかなぁ。特に第2幕冒頭の「夢の配達人(リプライズ)」で、夢には悪夢も辛い事も苦しい事もある、でもそれは人生そのものだから…というセリフが印象に残っています。舞台は、人生そのもの。ファンタジーでも、フィクションでも、夢物語でも…現実の私の人生・今に繋がる何かがある。だから、物語に引き込まれ、心を動かされるのだと。

 とにかくダンスが楽しくて、こんなに踊れたら楽しいだろうなぁ、いいなぁ、いいなぁ!と思いながら観ていました。一緒に踊りたいくらい(踊れないけどwでも、踊ることに憧れてはいます)。「遊園地のパレード」が特に!音楽も歌詞もノリノリで聴いていました。ちなみに、私の持っている初版CDには入っていないことにここで気がつきました。現在の「夢醒め」は、初演の頃のものと大分変わっているんだ。パンフレットのミュージカルナンバー一覧も、CDのと違うところがいっぱいある…。CDは現在のものも出ています。これは現在のも買うべきか。「ここは霊界空港」のカッコイイダンスもいいなぁ。そして部長・暴走族・ヤクザのコントトリオ(?w)のコミカルな演技。コミカルな演技といえば、デビルも抜かせません。まさかオネエキャラとはw

 そんな歌やダンスとともに語られる物語。不運な事故で死んでしまったマコ。マコのことを思い続けているマコのお母さん。マコも勿論、霊界空港で出会った人(死者たち)に何かをしたいと思っているピコ。死んで辛さから逃れたかったのに、死んでも辛い想いをしているメソ。毎日、何気なく生きて暮らしている自分には、雷のような衝撃でした。生と死の間で、命とは、人生とは、生きることの意味を問う。人生には喜怒哀楽があり、それらを乗り越えて生きてゆく。思いやり、誰かのために何かをするとは、どういうことか。生きることは、イコール誰かと繋がっている、自分ひとりだけで生きているわけではないということ。たとえ、死んでしまったとしても。メソとマコのお母さんのセリフや歌、2人の置かれている状況を思うと、涙が…。霊界空港でピコが出会ったこどもたちも。世界の人口は70億を超えた。でも、生まれる命だけではない。あらゆるシーンが、命とは、生と死とは、と問いかけてくる。でも、気持ちが重くならないのは、コントトリオ&デビルのコミカルさと、ピコの明るさ。そして、夢の配達人の言葉も。

 夢という舞台で、生と死の間をピコと旅する。舞台に、人生と命の終わりが描かれる。舞台は、人間の生きる(死後の世界も含めて)世界・場の縮図。鏡。この物語そのものが、舞台と客席の境界線が無いように感じさせたのかもしれません。

 ピコが霊界空港を去る=もう霊界空港の人々とは会うことはないシーンの「愛をありがとう」にも、涙腺が緩んでばかりでした。出会いと別れも、このミュージカルに詰まっています。

 観た後は様々な感情が入り混じっていました。念願のミュージカルを堪能した充実感、物語の余韻に浸り、悲しくなったり、それでも生きるんだと元気をだしたり。何度でも観たい作品です。冒頭で書いた大西さんのお気持ちがよくわかりました。もし、自分が親になったらどう観るだろう。子どもと観たら、どう感じるだろう。ずっとずっと、上演され続けて欲しい作品だなと感じました。

 これからも、様々なミュージカルを観たいと思っています。劇団四季なら、以前原作本を読んだ時にも書きましたが、「ユタと不思議な仲間たち」が観たい。CDで聴いても心躍る躍動感。生で味わいたいです。

・「ユタ」原作本感想:ユタと不思議な仲間たち
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by halca-kaukana057 | 2011-11-04 22:56 | 興味を持ったものいろいろ


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