多方向からの、音楽のたのしみ 「ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2012」に想う

 元日に生中継された「ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2012」。この生中継の後にも、NHK総合、BSプレミアムで再放送されていた。用事のため途中からだったり、途中までだったりしたが、再放送も観てしまった。更に、録画も何回か観ている。何回観ても飽きない。観れば観るほど、聴けば聴くほど更に楽しみが増える。ここまで楽しんだのは久しぶりだなぁと感じています。

 今年の指揮は以前も書いたとおり、マリス・ヤンソンス。バルト三国のラトビア出身。ヤンソンスといえばショスタコーヴィチの交響曲だが、私が初めてヤンソンスの指揮・演奏を聴いたのは、2006年のウィーンフィルニューイヤー。「電話のポルカ」の携帯電話ネタに爆笑し、それで覚えた(それもどうかとw)。でも、そんな一発芸(?)だけでなく、演奏もきびきび、メリハリがあって好印象。それから2度目の登場とあって、楽しみにしていた。勿論、今度はどんな一発芸をやってくれるのかも。

 今年のVPOニューイヤーの聴きどころは、まず選曲。VPOニューイヤーでは初登場の作品を第1部の最初のほうに持ってきた。VPOニューイヤーで演奏される作品は、シュトラウス親子・一族のポルカやオペラ作品内の曲といった定番レパートリー以外は、知らない曲が多い。でも、そんなことは関係なく、楽しめるのがいいところ。その今年初登場の3曲を聴いて、驚いた。「祖国行進曲」はアンコールの締めの「ラデツキー行進曲」のモチーフを、「ワルツ“市庁舎舞踏会でのダンス”」は同じくアンコールの「美しき青きドナウ」のモチーフを使っている。最初からアンコール!?初登場で、アンコールを思わせる選曲に、巧いなぁと。毎年聴いているファンはもちろんのこと、今年初めて観てみた人でも気軽に入りやすいはじまりになったところが。他にも、「シュペール・ギャロップ」は「ウィリアム・テル」序曲(ロッシーニ)、「カドリーユ“カルメン”」はその名の通りビゼーの「カルメン」のメロディーが出てくる。「カドリーユ”カルメン”」は一体何事かと驚いた。当時、流行していたこれらの作品のモチーフを使って作曲したのだそう。シュトラウスが活躍した時代と当時のウィーンでどんな音楽が流行っていたのか、想像しながら聞けて楽しい。

 聴きどころ2つ目は、ウィーン少年合唱団との共演。「トリッチ・トラッチ・ポルカ」と「鍛冶屋のポルカ」で登場。「トリッチ~」は、いつもは管弦楽のみなのに、98年にも合唱を入れたのだそう。合唱・歌が入ると、また違う。ところで、何と歌っているんだろう?
 そして、その「鍛冶屋のポルカ」とその前の「コペンハーゲン蒸気機関車のギャロップ」、「チック・タック・ポルカ」でお待ちかねの一発芸が!「鍛冶屋のポルカ」は、金床を打楽器に用いる愉快な曲ですが、その金床をヤンソンスが自ら演奏。あの…指揮は…?指揮を放棄(!?)して、楽しそうに演奏していたヤンソンスにすっかり和みました。「コペンハーゲン~」はタイトルどおり、鉄道ネタ。打楽器メンバーが鉄道員に扮し、ノリノリ。「チック・タック~」は最後に目覚まし時計が登場。携帯電話の次は目覚まし時計か!!wウィーンフィルのメンバーも「チックタック!チックタック!」とコール。楽しそうだ~。

 ヤンソンスは旧ソ連(ロシア)出身とあって、チャイコフスキー「眠りの森の美女」から「パノラマ」と「ワルツ」も登場。バレエコーナーも、優雅で、物語が見えてきて面白い。「ポルカ”燃える恋”」はクリムトの絵画が元となった。「美しき青きドナウ」では、宮殿を見学(?)に来たカップルの彼女が、見惚れてくるくると回っている間に、バレリーナになってしまって華麗に踊るという…。振付師の方は、現代的な要素も取り入れる方だそうで、バレエに疎い私にもとっつやすい、素直に「きれいだな」「素敵だな」と思えました。衣装も素敵でした。

 そして、締めくくりの「ラデツキー行進曲」。「雷鳴と電光」でもそうだったのですが、とてもきびきびとしていて、溌剌。全曲通してメリハリのきいた、楽しい演奏。ヤンソンス、ブラボーです!!

 このウィーン・フィル・ニューイヤーを観て聴いて、音楽のたのしみは沢山の異なる方向からあっていいのだと感じました。スコアや解説本を片手に”深読み”…楽曲を紐解いてみるのもいいし、異なる指揮者・オーケストラ・演奏者で聴き比べるのもいい。同じ作曲家の作品を徹底的に聴いてみたり、その作曲家と親しい・師匠にあたる作曲家の作品に何かを探そうと耳を澄ましてみたりも出来る。自分で演奏出来るなら、演奏してみるのもいい。

 この”自分で演奏出来るなら、演奏してみる”…。自分のピアノを省みずにはいられません。練習時間も減少している。他のことで忙しくて…と言い訳しそうになるけど、したくない。しちゃいけないと思う。仕事に家事に忙しい人で、もっとみっちり練習している人は沢山いるのだし。未だにソナチネの壁は高く、全然先に進めない。ハッキリ言って辛い。ならば、好きな曲だけ取り組めばいいか…いやいや、練習曲や古典の基礎となるソナチネにも取り組まなくちゃ…。私は、まず”型”を作らないと気が済まないのだなぁと、今更になって実感しています。ブルクミュラー25の頃なら、ブルク25が練習曲で、好きな曲だったから。しかもあまり長くない。”型”として最適だった。

 音楽を多方向からたのしみたい。そう思ってはいても、いつの間にか自分の”型”に入ってしまう。戻ってしまう。それが心地いいからか、やりやすいからか、”ラク”だからか。この自分の”型”(癖とも言える。その中には「怠け癖」や「言い訳癖」も含まれます。)を自覚して、時にはそれを外して、外に出てみて、新鮮な空気を取り入れる。ピアノと、音楽と、そんな感じで向き合ってみようかと思う。

 忙しい、では”義務”になる。時間を作って、”練習したくなる”ようになりたい。楽しそうに、でも巧みに演奏するウィーン・フィルのメンバーを観て、そんなことを思いました。

 来年2013年の指揮者は、昨年初登場だったウェルザー=メスト。今から楽しみです。


 …しかし、ピアノ関連の記事を読み返すと、ここ数年堂々巡りばっかりしている。ここから突破したいなぁ。
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by halca-kaukana057 | 2012-01-11 22:28 | 音楽


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