ありがとう、マエストロ・パーヴォ・ベルグルンド

 今日は悲しいニュースを…。

読売新聞:パーボ・ベルグルンド氏=フィンランドの指揮者

YLE:Kapellimestari Paavo Berglund on kuollut
 ↑フィンランド国営放送YLE。フィンランド語です。
HS.fi:Kapellimestari Paavo Berglund on kuollut
 ↑フィンランドの主要紙「HELSINGIN SANOMAT」。フィンランド語です。
THE Washington Post:Finnish conductor Paavo Berglund, known for Sibelius recordings, dead at age 82
 ↑ワシントン・ポスト紙。英語です。

 フィンランド人指揮者・パーヴォ・ベルグルンド死去…ですって…!? 25日、82歳だったそうです。長く闘病生活を送っていたそうです。
 このニュースを見た瞬間、ただただショックでした。そして、涙が…。

 ベルグルンドといえば、やはり同じくフィンランドの偉大な作曲家・シベリウスの作品が挙げられます(勿論、シベリウス以外の作曲家の作品の演奏もあります)。ベルグルンドは1929年生まれ。シベリウスは1957年死去。同じ時代にフィンランドに生き、2人は会ったこともあるのだそう。ベルグルンドは元々はフィンランド放送交響楽団のヴァイオリン奏者だった(熱血漢で、楽曲の解釈が合わないと指揮者と論争したことも…)。その後、フィンランド放送響を始め、様々なオーケストラと共演。また、左利きで、左手に指揮棒を持つ指揮者としても知られていました。

 私にとって、ベルグルンドは、シベリウス作品に触れるきっかけであり、シベリウス作品が大好きになるきっかけでもあり、そしてクラシック音楽に親しむようになったきっかけでもある。今の私に無くてはならない指揮者・マエストロでした。

 以前も書いたとおり、クラシック音楽を聴き始めた頃、ピアノ曲や器楽ソロ、管弦楽の小品には親しんでいましたが、交響曲となると”長い、重い、難しい”というイメージが払拭できずなかなか親しめずにいました。そんな時、「シベリウスの交響曲(特に後期交響曲)がいい」というコラムを読みました(ちなみに、今だから話そう…そのコラムの筆者は、大河ドラマ「平清盛」の音楽も担当している作曲家・吉松隆さん。シベリウス6番交響曲のような作品を書きたいと作曲家を志し、シベリウスを師と仰いでいることを、この時は知りませんでした)。そして、図書館で借りてきたのが、ベルグルンド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団の交響曲全集。シベリウスの交響曲は7曲。さて、どれから聴こうかと迷い、1楽章のみで演奏時間の短い7番から聴いてみた。そして、聴いた瞬間「わあっ…」と思った。音が澄んでいる、透明。静かで、音がゆったりと揺れ動くよう。メロディーも、出てきたかと思うと消えてしまう。そして、あの神々しいトロンボーンのソロ。演奏時間約20分。聴き終わった時、私はすっかり魅了されていた。それまで私が抱いていた交響曲のイメージを、いい意味でぶち壊してくれた。7曲全部聴いて、シベリウスの音楽をもっと聴きたい、他の作曲家の交響曲ももう一度ちゃんと聴いてみたいと思うようになっていた。このベルグルンド指揮ヨーロッパ室内管のシベリウス交響曲全集は、私のクラシック音楽に親しむ道標のような存在になった。

 その後、ベルグルンド指揮フィルハーモニア管弦楽団による「フィンランディア」などの交響詩・管弦楽曲や、ヘルシンキ・フィルとの交響曲・管弦楽曲も聴いた。ヘルシンキ・フィルとの演奏は、ヨーロッパ室内管よりもあたたかい演奏だと感じた。この演奏には感動しました。

 他の指揮者によるシベリウスも色々聴いたけど、やっぱり最後に戻ってくるのはベルグルンドが指揮した演奏だった。落ち込んでいる時、ひとりになりたい時は、いつも交響曲第4番を聴いている。果ての無い暗い曲だが、聴いていると落ち着いてくる。雪が降ると、5・6・7番を聴きたくなるし、春が近づくと2番、初夏には3番を聴いている。ベルグルンドのシベリウスは、どんな時も心の支えだった。私の心にピッタリ来る音楽だった。

 今夜はベルグルンドのシベリウスを聴きまくろうと思う。

 ベルグルンド先生、ありがとうございました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 最後に、ベルグルンドの指揮動画を。
Jean Sibelius - Symphony No. 5

 1971年、日本フィルとの交響曲第5番。

Jean Sibelius' tone poem The Bard
 フィンランド放送響との「吟遊詩人」op.64.ハープが美しい、私もお気に入りの作品です。

Sibelius: Symphony No.7 - Berglund(2002Live)
 動画ではなく音源だけ(イラストは気にしない)。10年前、2002年、BBC交響楽団との交響曲第7番です。

Jorge Bolet and Paavo Berglund in Rehearsal
 シベリウスではないのですが、珍しい動画を。ベルグルンドが、ピアニスト・ホルヘ・ボレットと一緒にラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」を打ち合わせ・練習。オケはなく、ピアノだけ。ベルグルンドが指示を出しています。ベルグルンドが話しているところを観たことが無かった。何と言っているのかわからないのが悔しい…。

Beethoven - Piano Concerto n.3 Emil Gilels - Philharmonia Orchestra, dir. Paavo Berglund
 こちらも、シベリウスではないのですが。エミール・ギレリスのピアノで、ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」。オケはフィルハーモニア管。ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中で、第3番が一番好きなんです。このコンビでこの曲が聴けるとは嬉しい。1984年のものです。

【関連リンク】
The Giant Conductor: a maestro mourns
 フィンランドを代表する指揮者・サカリ・オラモによる、追悼文。オラモもフィンランド放送響のヴァイオリン奏者(コンマス)で、後にフィンランド放送響の指揮者となった。ベルグルンドと同じように。

森と湖の詩:Kiitoksia Maestro Paavo Berglund
 オスモ・ヴァンスカのお弟子さんで、シベリウス作品に精力的に取り組んでいる指揮者・新田ユリさんの公式ブログより。新田さんも、ベルグルンドに会ったことがあるのだそう。その時の思い出を語ります。


【過去関連記事】
やっぱり フィンランド人指揮者でシベリウス
 ベルグルンド指揮ヨーロッパ室内管のシベリウスについて語ってみました。
アアルト風シベリウス フィンランド人指揮者でシベリウス・ふたたび
 こちらはヘルシンキ・フィル盤。
冬から春へ…節分に聴きたいシベリウス
 ヘルシンキ・フィルとの2番。
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by halca-kaukana057 | 2012-01-27 22:42 | 音楽


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