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ヴィンランド・サガ 11

 この作品は単行本の出るペースがゆっくりなので、焦らずじっくりと読めます。


ヴィンランド・サガ 11
幸村誠/講談社・アフタヌーンKC/2012


 1018年、イングランド国王となったクヌートは、故郷のデンマークに一時帰国した。クヌートの兄・ハラルドは、父・スヴェンの死後デンマーク王となっていたが、病に倒れ臥せっていた。病のハラルドを見舞う、弟・クヌート。ハラルドは病床で、デンマークを譲ると言う。クヌートは、早く元気になって欲しいと言うが、そこでクヌートが見たものは…。
 一方、トルフィンはケティルの牧場で、エイナルとひたすら農地を開墾していた。森の最後の一本の木を倒し、喜ぶ2人。この土地での種まきが終われば、トルフィンとエイナルは自由の身になれる。自由を目の前にして、トルフィンは…。一方、ケティル農場の近隣では、不穏な事件が起こっていた。
 ケティルは、ハラルドのお見舞いに、息子のオルマルと王宮へ向かう。しかし、ハラルドは既に死去していた。困ったケティルは、次のデンマーク国王とよい関係を築いておこうと、クヌートの従士をしているオルマルの兄・トールギルに頼んで取り次いでもらおうとする…。


 表紙はクヌートです。11巻はクヌートがメイン。あの美少年が随分と変わってしまいました…。外見だけでなく、中身も。アシェラッドの最期の策略・芝居で父・スヴェンの死後、イングランド王となった。かつては父のことはよく思っていなかったが、随分と変わってしまいました。いや、王となった結果、変わるべくして変わったのだろう。イングランドとデンマークを支配し続ける王であり続けるため、”楽土”を築くために。王となれば、政治・国を治めることからは逃れなれない。しかも、イングランドという他民族の国を支配しているのだから、イングランド人の反逆などにも敏感にならなくてはならない。戦力を維持するために出した案…厳しい内容です。
 そのクヌートが、父・スヴェンと語るシーン…。国王は、孤独、か…。
 あと、クヌートの目指す”楽土”って、何なのだろう?アシェラッドたちと一緒に行動していた時のものと、同じなのか、変わってしまったのか…?

 一方、10巻で”本当の戦士”とは何か、悟り始めたトルフィン。真面目に農地を開墾し、最後の一本を倒した時の笑顔。トルフィンの笑顔は、アイスランドでの幼き頃、亡き父・トールズたちと平和に暮らしていた時以来ではないだろうか。ああ、トルフィンって、こんな風に笑うんだった、と安心しました。食事のシーンでも、エイナルやアルネイズさんたちと和やか、賑やかに。これから自由の身になったら、トルフィンはこんな暮らしをして欲しい。そう思っていたのに…。
 クヌートの”楽土”の話も出ましたが、トルフィンも”理想の世の中”について語るシーンが。これは、クヌートのものと重なるのか、それとも対極のものなのか。

 クヌートに謁見したケティルとオルマル。クヌートの従士をしているトールギル。この3人がクヌートに会ったことで、穏やかだったケティル農場での物語が一気に加速し始めました。さらに、トルフィンを探し続けるレイフ・エリクソンさんも再登場。今度こそ再会できそう!でも、トルフィンとクヌートも再会してしまうのか。再会したら、どうなってしまうのだろう。12巻が待ち遠しい展開です。


 最後のオマケ4コマ。シリアス展開の息抜きですw「プラネテス」からですが、幸村先生のオマケ4コマが好きですw

・前巻10巻:ヴィンランド・サガ 10
by halca-kaukana057 | 2012-02-09 23:25 | 本・読書

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