2012年 02月 16日
私の小さなたからもの
石井好子さんの著書は初めて読みます。石井さんと言えば、「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」が代表作。「暮しの手帖」を読むようになり、「暮しの手帖」から生まれた本としていつも広告が載っているので、気になっています。が、タイトルに惹かれて、先にこちらを読みました。
私の小さなたからもの
石井好子/河出書房新社/2011
パリでシャンソン歌手としてデビューし、その後世界中で公演活動を行ってきた石井さんが、日々の公演や暮らしの中で出会った「たからもの」について語ります。もの、食べ物、街、風景、季節、歌、お店…。各章はとても短いのですが、その短い文章の中に、お気に入りの気持ちが詰まっています。
日々、暮らしてゆく中で、お気に入りのもの、好きなものが出来るのは嬉しい。石井さんの場合、まずアメリカに留学し、その後パリで暮らし、シャンソン歌手として日本中、世界中を巡る。行動範囲がとても広い。その中で、様々なお気に入り、たからものと出会う。この本に書かれている石井さんの”たからもの”は、私には馴染みがないものも多い。まず、海外に行ったこともないし、華やかなドレスやアクセサリーにも縁が無い。パリの人々の暮らしも、日本の生活習慣・文化とは異なる点も多く、わからない、と思うものもある(お風呂にあまり入らない、というのは特に!やっぱりお風呂でしょう、と思う私は日本人だなぁ…)。でも、石井さんの語る文章を読んでいると、それらの”たからもの”を慈しむ姿、様子が想像出来る。好きなもの、そのものは異なる。でも、何かを大事にする、愛する、慈しむ気持ちは、変わらないのだなぁと思う。
この本を読んでいて、思い浮かべたのが、ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」の「My Favorite Things(私のお気に入り)」。ご存知、主人公マリアが、好きなもの、お気に入りのものを挙げ、それらを思い出せば辛いときでも元気が出る、という歌(「そうだ、京都行こう」のCM曲と言った方がピンと来るかも)。好きなもの、お気に入りのものは、楽しさや喜びをもたらしてくれる。今は手元にないものでも、思い出せばありありと蘇ってくる。石井さんのこの本に、この歌がぴったりだと思った。
「誕生日の地球儀」の章は、「私も同感!」と思った。地球儀もそうだし、地図も夢を見させてくれる。そして、「”何時か”では遅すぎる」の章にドキリとした。ちょっと引用します。
自分から行動して、生きることの素晴らしさを味わうという姿勢。生きているだけで素晴らしい、と思うけれども、更に素晴らしくするのは自分なんだ、と。受け身の姿勢でいることの多い私にとって、衝撃的な文章だった。衝撃的だけど、ショックではない。うんうん、と心から頷く。
私自身、このブログを、好きなもの、興味を持ったことについて、思ったままに書く場だと思ってきたが、最近それを忘れているな、とこの本を読んで感じています。好きなものについて、じっくりと語る。文章(絵も付けられたら尚良い)にして、辛い時、自分を見失いそうな時に開くようにしたらいいかも、と辛い気持ちの中で考えました。
装丁もきれいで、凝っています。この本そのものが”たからもの”だと感じます。今度は「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」も読んでみようかな。
私の小さなたからもの
石井好子/河出書房新社/2011
パリでシャンソン歌手としてデビューし、その後世界中で公演活動を行ってきた石井さんが、日々の公演や暮らしの中で出会った「たからもの」について語ります。もの、食べ物、街、風景、季節、歌、お店…。各章はとても短いのですが、その短い文章の中に、お気に入りの気持ちが詰まっています。
日々、暮らしてゆく中で、お気に入りのもの、好きなものが出来るのは嬉しい。石井さんの場合、まずアメリカに留学し、その後パリで暮らし、シャンソン歌手として日本中、世界中を巡る。行動範囲がとても広い。その中で、様々なお気に入り、たからものと出会う。この本に書かれている石井さんの”たからもの”は、私には馴染みがないものも多い。まず、海外に行ったこともないし、華やかなドレスやアクセサリーにも縁が無い。パリの人々の暮らしも、日本の生活習慣・文化とは異なる点も多く、わからない、と思うものもある(お風呂にあまり入らない、というのは特に!やっぱりお風呂でしょう、と思う私は日本人だなぁ…)。でも、石井さんの語る文章を読んでいると、それらの”たからもの”を慈しむ姿、様子が想像出来る。好きなもの、そのものは異なる。でも、何かを大事にする、愛する、慈しむ気持ちは、変わらないのだなぁと思う。
この本を読んでいて、思い浮かべたのが、ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」の「My Favorite Things(私のお気に入り)」。ご存知、主人公マリアが、好きなもの、お気に入りのものを挙げ、それらを思い出せば辛いときでも元気が出る、という歌(「そうだ、京都行こう」のCM曲と言った方がピンと来るかも)。好きなもの、お気に入りのものは、楽しさや喜びをもたらしてくれる。今は手元にないものでも、思い出せばありありと蘇ってくる。石井さんのこの本に、この歌がぴったりだと思った。
「誕生日の地球儀」の章は、「私も同感!」と思った。地球儀もそうだし、地図も夢を見させてくれる。そして、「”何時か”では遅すぎる」の章にドキリとした。ちょっと引用します。
ひまがないというのは、ひまを作らないだけの事ではないか。
(中略)
生きているという事は、何と有難く、すてきな事だろうと思うためには、自分から求めなくてはいけないと思った。
(233ページより)
自分から行動して、生きることの素晴らしさを味わうという姿勢。生きているだけで素晴らしい、と思うけれども、更に素晴らしくするのは自分なんだ、と。受け身の姿勢でいることの多い私にとって、衝撃的な文章だった。衝撃的だけど、ショックではない。うんうん、と心から頷く。
私自身、このブログを、好きなもの、興味を持ったことについて、思ったままに書く場だと思ってきたが、最近それを忘れているな、とこの本を読んで感じています。好きなものについて、じっくりと語る。文章(絵も付けられたら尚良い)にして、辛い時、自分を見失いそうな時に開くようにしたらいいかも、と辛い気持ちの中で考えました。
装丁もきれいで、凝っています。この本そのものが”たからもの”だと感じます。今度は「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」も読んでみようかな。
by halca-kaukana057
| 2012-02-16 21:44
| 本・読書