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色とりどりのうた ありがとう、フィッシャー=ディースカウ

 5月18日、ドイツのバリトン歌手・ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの訃報が飛び込んできました。86歳だったそうです。またしてもクラシック界の巨匠が、逝ってしまった…。

読売新聞:おくやみ ディートリッヒ・フィッシャーディースカウさん
毎日新聞:訃報:ディースカウさん86歳=世界的なバリトン歌手

HMV:ニュース:フィッシャー=ディースカウさん死去
 詳しいプロフィールと、CDリスト。
毎日新聞:バリトン歌手・ディースカウさんを悼む:詩と音楽の緊張関係を突き詰める
 シューベルト「冬の旅」を中心にした、哀悼コラム。


 今週月曜のNHK-FM「クラシックカフェ」の後半、そして今日は追悼特番をちょうど聴けたので聴いていました。ディースカウの作品といえば、シューベルトやシューマンの歌曲。しかし、それだけではなかった。ブラームス「ドイツ・レクイエム」でデビューし、マーラーの歌曲やJ.S.バッハの宗教曲、さらにモーツァルトやヴェルディ、ワーグナーなどの歌劇・オペラもレパートリーだった。そんな普段は聴いていなかったディースカウの歌をたっぷり聴けて嬉しかったのですが、追悼特集であり…寂しいものです。

 聴いていて思うのが、ディースカウの歌声はなんて色彩豊かなんだろう、と。ディースカウの十八番であるシューベルト「冬の旅」の陰鬱さ。同じシューベルトでも、「魔王」の迫力と恐れおののく様。「ます」や「野ばら」の朗らかさ、明るさ。シューマンは、まさにシューマンが妻・クララへの愛を伝えるかのように。今日聴いたバッハや、マーラー、オペラ・歌劇の数々も、それぞれの作品の雰囲気、歌詞の内容がストレートに伝わってくる。

 私はドイツ語もイタリア語もわからない(ドイツ語は大学の時、第2外国語で学んだのだが…簡単な挨拶しかもうわからない…)。歌詞を追いつつ聴いてみても、いつの間にかどこを歌っているのかわからなくなる。それでも、発音、イントネーション、抑揚、強弱、響き、そして歌声そのものを聴いているだけでも面白い、聴き入ってしまう。

 月曜の放送では、シューベルト歌曲の代表曲「魔王」も放送していた。中学の時、音楽の時間に「魔王」を聴いた。日本語版と、ドイツ語版を聴いた覚えがある。ドイツ語版は多分ディースカウのものだったと思う(多分)。訳詩が衝撃的で、その時はそんな印象しか持っていなかった。それが先日久々に(勿論中学生以来ではない)聴いてみたら、ディースカウの表現・歌声の繊細さと鮮やかさに驚くと同時に、こんな凄い「うた」をCD・ラジオではあるけれど、聴けたのが嬉しかった。バリトンの音域の深さも魅力だ。ディースカウの歌は、「うた」だなと感じています。

 ディースカウは天国でも歌っているのだろうか、きっと歌っているだろう。歌っていてほしい。そんなことを思いながら、またシューベルトやシューマンを聴こう。ブラームスにも結構歌曲はあるし、バッハの宗教曲ももっと聴きたい。亡くなっても、ディースカウのうたは残り続ける。
 たくさんの、素晴らしいうたをありがとう。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

Fischer-Dieskau sings Gute Nacht

by halca-kaukana057 | 2012-05-25 23:00 | 音楽

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