音楽で語る・振り返る「平清盛」

 そういえば、かなり前に書くと言っていたはずなんだが…最終回終わってしまったよ。

 今年、初めてNHK大河ドラマを1年通して観ました。「坂の上の雲」もかなり熱心に観てましたが、あれは大河ドラマじゃない…。今年の大河「平清盛」。これまでちらりと観るか、ほとんど観ていなかった大河ドラマを1年、50話全部観るきっかけになったのが、音楽でした。

NHK大河ドラマ《平清盛》サウンドトラック

吉松隆 / 日本コロムビア


NHK大河ドラマ《平清盛》オリジナル・サウンドトラック 其の二

吉松隆 / 日本コロムビア



 音楽は、作曲家の吉松隆先生。そう聞いて、それは凄い、ここで観ようという気になりました。しかし、1年間も続く、50話もある物語。しかも日本史。日本史はあまり得意では無い。普通のテレビドラマもここ数年はろくに観ていない。そんな私が1年続けて観られるのだろうか…。
 でも、テーマ曲・劇判に”左手のピアニスト”としても著名な舘野泉さんも参加されると聞いて、これはやはり観たい。そして1話…テーマ曲・劇判に聞き入りました。ドラマも、最初は「時代劇らしくないなぁ…?」と思いつつも、青臭い清盛(高平太)が徐々に成長してゆく様や、父・忠盛や白河院、盛国や家貞をはじめとする平氏一門、ライバルで親友の義朝、義清(のちの西行)、最初はちょっと頼りなさげな学問大好き青年だったのが徐々に権力者へとなってゆく信西、義朝の父為義、朝廷の人々…挙げるときりがない個性的で活き活きしている脇役の方々の物語を観ているうちに、ドラマそのものにもハマってしまい、毎週観るのが楽しみになってしまっていました。あれ、そういえばこのドラマを観るきっかけってなんだったっけ…と本来の目的を忘れてしまうほどw

 テーマ曲は、清盛の生涯を2分30秒にまとめた、と吉松先生がブログに書いていた通り、劇的なテーマ曲。舘野さんの静かな、美しいピアノで始まり、オーケストラが唸る、吠える。最初の頃は、エネルギーをもてあましている高平太・若き日の清盛のように力強くたくましく、荒々しさの中にも平氏一門へのやさしさも感じていました。しかし、清盛が太政大臣となり、どんどん国の頂へ上り、栄華の裏で頼朝たち源氏が動き出すあたりでは、最初のピアノもはかなく寂しげで、荒々しさもむなしさを伴うように聴こえた。同じ曲、同じ演奏なのに違って聴こえる。不思議だなぁと思いつつ、頼朝挙兵後、清盛が武士の心を取り戻した終盤ではまた力強く、荒々しく。不思議です。

 BGMも、サントラを聴いていると様々なシーンを思い出す。頼朝のナレーションや、各登場人物の台詞や表情が浮かぶ。勇ましい曲も、きれいな曲も。
 ちなみに、テーマ曲の中に主題・モチーフがいくつか入っていて、その変奏曲のような形で劇判も作曲されています。
◇詳しくは吉松先生の記事で:月刊クラシック音楽探偵事務所:大河ドラマ「平清盛」音楽制作メモ
◇音楽制作の裏話も:月刊クラシック音楽探偵事務所:大河ドラマ「平清盛」音楽全仕事
 これを読んでいると、大河ドラマの音楽をつくるって、本当に大変なんだなぁ…。

 「遊びをせんとや生まれけむ」のメロディー、歌も印象的。劇中では後白河院が歌っていたのが印象的です(後白河院は「遊びをせんとや~」を含む今様の数々を「梁塵秘抄」にまとめました)。しかし、このデモを「初音ミク」で作ったという…wさすがですwサントラ2には、そのミクのデモバージョンも収録。NHKのサブカル番組「MAG・ネット」でも紹介されたほど(ミクのフィギュアを持って笑顔の吉松先生wPCの壁紙も「はちゅねミク」…凄いw)。

 そして、吉松先生が既に作曲・編曲していた作品も登場。まずはなんと言っても「タルカス」。エマーソン・レイク&パーマー(ELP)のプログレの名曲。この「清盛」を観るまで曲のことも知らなかったし、吉松先生がオーケストラ編曲していたことも知らなかった。
◇2010年のことでした:月刊クラシック音楽探偵事務所:夏休み総力特集「ロックmeetsクラシック」
 番組で聴いて、「これは!」と思った。現代のプログレが、平安時代に合う?合ってる。…凄い。平安時代も、一般的な雅な部分と、武士や民衆の「生きること」がむき出しの部分の2つの面がある。その面を知ったのもこのドラマだったし、「タルカス」はそこにぴったりだった。オーケストラ編曲版と原曲を聴いて、どちらも好きになったし、オープニングで今日は「タルカス」が出てくるのかチェックするのが楽しみだった。最初は「噴火」の部分だけだったのが、「マンティコア」、そして「アクアタルカス」。「アクアタルカス」って、ちょっと…!と思ったが、最終回を観て、これまで考えていた意味とは違う意味で聴こえた。「アクアタルカス」は、最後に再び「噴火」のモチーフに戻る。滅亡が終わりではない、と。

 もう1曲、「5月の夢の歌」(「4つの小さな夢の歌」より第1曲)。元々はギターとハーモニカのための作品で、その後ピアノソロ、更に舘野泉さんも演奏できるように3手連弾版も。以前、館野さんのCDで聴いてすぐに気に入り、コンサートで生で聴いて、ますます大好きになった。それが、ドラマの感動的なシーンで流れる。ここぞというところで。第1話、幼い清盛(平太)と忠盛、鱸丸(後の盛国)が小船に乗って会話しているシーン。その穏やかな雰囲気と、忠盛が話した台詞にこの曲…ノックアウトされたシーンでした。その後も、サントラ2の「絆」とタイトルがついたアンサンブル版も登場。これも良かった。最終回、遺言のシーンで最後の登場…涙を誘いました…。

 この他にも、「アイノラ抒情曲集」や左手のための「カッチーニのアヴェ・マリア」、「サイバーバード協奏曲」など、吉松作品が次々と。たまりませんでした。

 このドラマを1年観て…日本史が面白くなった。歴史が躍動的に見えてきた。歴史もののドラマや映画はこんなところがいいな。あと、古典文学を読みたくなった。これが一番大きい。「平家物語」も、「梁塵秘抄」も。「保元物語」「平治物語」もあるし、「新古今和歌集」や西行の歌の数々も。清盛の妻・時子が愛読していた「源氏物語」も、いきなり全部は厳しいので入門編から少しずつ。高校の古典の教科書・参考書を引っ張り出してきてしまっていました。

 最終回を観て、1年観てきて面白かったな、と思っています。音楽もドラマも、登場人物たちも。最終回の再放送と総集編がまだ残っている。もう一度1話から観直したい。

 サントラですが、コンプリートBOXも出ましたよ…

平清盛×吉松隆:音楽全仕事 NHK大河ドラマ《平清盛》オリジナル・サウンドトラック

吉松隆 / 日本コロムビア


 サントラ2には収め切れなかったドラマ終盤の音楽や、デモ版などが全て収められているとのこと。「タルカス」もサントラには入らなかった「マンティコア」「アクアタルカス」も入ってる。「5月の夢の歌」も、館野さんのアルバムの演奏はテンポ速めなのですが、番組で使われたのはゆっくりめ。このゆっくりめなのもいいんだよなぁ…欲しい。
[PR]
by halca-kaukana057 | 2012-12-24 23:55 | 音楽


好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)

プロフィールを見る

S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

お知らせ・別サイト

管理人HN:(はるか)
 熱しやすく冷めにくい、何が好きになるかわからない好奇心のかたまり。このブログでは好きなものを、好き放題に語ってます。

プロフィール
*2014.9.5:更新
はてなプロフィール:遼(halca-kaukana)



web拍手を送る






日々のログ:今、ここ、想うこと
または:Twilog

はてなブックマーク
Mielenkiintoinen!

気になること、関心のある記事や参考にしたサイトなどのブックマーク集。コメント多め。

◆ピアノ録音置きブログ:Satellite HALCA

☆「はやぶさ2」、小惑星リュウグウ目指して順調に飛行中!☆
管理人・遼も小惑星探査機「はやぶさ2」を応援しています。



あかつき特設サイト
JAXA:金星探査機「あかつき」特設サイト

☆祝!「あかつき」は金星の衛星になりました☆
金星軌道上で観測準備中!

最新の記事

BBC Proms(プロムス..
at 2017-07-14 23:08
青い海の宇宙港 春夏篇 秋冬篇
at 2017-07-10 22:58
夏のペンギン切手&特印
at 2017-07-05 21:07
四人の交差点
at 2017-07-01 22:43
マッティは今日も憂鬱 フィン..
at 2017-06-23 22:49
イリジウムフレアを見たくて
at 2017-06-20 22:21
6月はばらの季節
at 2017-06-12 22:49
Im ~イム~ 6・7
at 2017-06-12 22:43
カリグラフィニブが楽しい
at 2017-06-10 22:49
お久しぶりISS
at 2017-06-06 22:23

カテゴリ

はじめにお読みください
プロフィール
本・読書
宇宙・天文
音楽
奏でること・うたうこと
Eテレ・NHK教育テレビ
フィンランド・Suomi/北欧
イラスト・落描き
日常/考えたこと
興味を持ったものいろいろ
旅・お出かけ
information

タグ

以前の記事

2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
more...

検索