難しいものを面白くするには? 「大人のピタゴラスイッチ かなりむず」

 「ピタゴラスイッチ」特別編、「大人のピタゴラスイッチ」第2夜は「かなりむず」。「ちょいむず」だった第1夜よりも、難しくなります。大丈夫かなぁ…ついて行けるかなぁ…ちょっと不安。
・第1夜:もっと深く、もっと考えるピタゴラ 「大人のピタゴラスイッチ ちょいむず」

NHK:大人のピタゴラスイッチ

 と、観る前はちょっと不安だったのですが、そんな心配は必要ありませんでした。ピタゴラですもの。

 ひとつめのテーマは「機構」。百科おじさんが愛用している呼び鈴から、話が始まります。こんな仕組みだったのか…。私も中がどうなっているか、考えてましたが外れました。
 「機構」、よく聞く言葉だけど、その意味は?「ある目的のために動く仕組み」のこと。辞書では機械での意味と、会社や団体、組織での意味に分けて書いてあります。その「動く仕組み」をつくるために、様々な要素がある。番組で出てきたのは歯車やカム、リンク。歯車にも色々なものがあるんだなぁ。そして、この「機構」は身近なところにもある。車のワイパーには驚きました。こんな動きをしていたのか!!全くの予想外。様々なものは、どうやって、どんな仕組みで動いているのか。見えないところに何が隠れているのか。

 そして出てきたピタゴラ装置。これは…まさしく「機構」ではないか!!そのものじゃないか!不思議な組み合わせで並べられたレールやねじ、本、ばね…そこをビー玉などが転がり、次々と繋がってゆく。先ほどの例にはない、身近にあるねじや定規などを本来の使い方とは違う遣い方をして、ひとつの動き「機構」を作っている。その身近なものを遣う、というのがピタゴラ装置の面白いところだなと感じました。今後、ピタゴラ装置を観る目がまた変わりました。

 見えないところに何が隠れているのか…それを更に考えさせるのが「ブラックボックス人問題」。ある形のものを、様々な方向にしてブラックボックスの中に通すと…同じ向きに出てくる。何故?中はどうなっているの?想像したけど、2つとも外れました。でも、中は、思ったよりもシンプル。ちょっとした工夫で出来ている。「機構」を形作る要素として挙げられた歯車やカム、リンクもシンプルな構成。でも、ちょっと形を変えたり、組み合わせ方を変えると複雑な動きも出来る。元はシンプル、というところに驚き。

 「機構のロトスコープ」も、身近なものの中にある「機構」を探ります。扇風機の首振りと、トランペットのピストン。扇風機の首振り…こうなってたのか!こちらも、やはり歯車やねじを組み合わせた元々はシンプルなもの。そこからできる動きがあの首振りとは、意外だなとも思う。そしてトランペット。3つのピストンの押し方、組み合わせで管の長さを変え、音程を変えます。空気の動きがどうなっていたのか、これは興味津々。面白いのは、例えばドとソ、そしてオクターブ高いドは同じ管の長さなのに、音程は異なる。これは演奏者の息の吹き込み方なんだろうな(管楽器は演奏したことが無い、触ったことが無いので…)。「機構」だけで音が変わるわけではないところも面白い。

 私は、「ピタゴラスイッチ」を1年目から観てきた。2002年スタート、来年度・今年の春も放送が続けば13年目、なかなかの長寿番組である。ピタとゴラが、身近にあるものを不思議に思い、百科おじさんとテレビのジョン、スーに教えてもらう、という番組のメインコーナーは変わらないが、他のコーナーは色々と変わっている。新しく出来たコーナー。反対に、あまり観なくなったコーナー。長寿番組は、そこのところが難しい。番組のメイン、根幹は変えずに、新しい要素も取り入れる。この新しい要素も、番組が目指すもの、何をしたいか、何を伝えたいかに沿っていなくては、番組の軸がぶれてしまう。「何がやりたいの?」「変えないほうが面白かったのに…」そう思った番組はあるし、大体観なくなったか、短い間で終わってしまった(もっと長く続けて欲しい番組も勿論たくさんありました)。「ピタゴラスイッチ」は、番組の軸がぶれることなく、身近なところにある不思議や当たり前だと思っていたことの面白さや凄さを伝え続けている。すごい!(ピタの声で再生してくださいw)

 そんな新しいコーナーのひとつが、「こんなことできません」。通常なら有り得ない動きも、動きを一つ一つ分割して写真を撮り、その写真を繋げる。すると、ひとつの動きになって、有り得ない動きが出来てしまっている。本当に面白いコーナーだw

 人間の脳は、止まっているものでも繋げて連続して見ると、動いているように見えてしまう。「仮現運動」。そんな人間の脳の情報処理能力を研究する「認知科学」を応用して、「ピタゴラスイッチ」は難しいこともわかりやすく、面白く魅せて、伝えている。そうか、認知科学だったのか…。言葉そのものは難しそう、とっつきにくいと感じる。「機構」も、「仮現運動」も、「認知科学」も、第1夜の「アルゴリズム」も。でも、用語の難しさに捕らわれず、それが何を意味するものなのか、それを応用すれば何が出来るのか、何を伝えられるのか。今年で12年でも、その探求を続け、番組として表現している。テレビ番組、しかもNHK教育の、子どもたちが観る番組だからこそ妥協しない。佐藤雅彦さんをはじめとする「ピタゴラ」の挑戦を、今後も見守りながら楽しみたいと思いました。「ピタゴラスイッチ」、やっぱりただの番組じゃない。素晴らしい番組だ!

 水滴のピタゴラ装置は、驚きました。水滴がどう動くかだけでつくられている。シンプルだけど、つくるのは大変だ。
 そして、「どっちが本物」ひとつは本物、もうひとつは絵に描いたにせもの。でも、その絵がリアル過ぎてどっちが本物かわからない。遠近法を逆手にとった目の錯覚も使っている。凄いなこれ。

 「ピタゴラスイッチ」の凄さを実感した2日間でした。これからも楽しみにして観ます。

 最後に以前読んだ佐藤雅彦さんの本を紹介します。
考えの整頓

考えの整頓

佐藤雅彦 / 暮しの手帖社


 雑誌「暮しの手帖」に連載されているものをまとめたもの。「ピタゴラ」でも出てきたテーマもあります。佐藤さんの考え方の面白さがうかがえる本です。現在も連載は続いているので、「暮しの手帖」もどうぞ。
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by halca-kaukana057 | 2013-01-05 23:02 | Eテレ・NHK教育テレビ


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