2013年 03月 25日
終わらない歌
先日読んだ小説、宮下奈都「よろこびの歌」。その続編です。早速読みました。
・よろこびの歌
終わらない歌
宮下奈都/実業之日本社/2012
あの「麗しのマドンナ」を合唱してから3年後。20歳になった彼女たちはそれぞれの道を歩んでいた。再び声楽を志し、音楽大学に入学した玲。しかし、クラスのトップとクラスの上位にもなれない自分を比べ、自信を無くしていた。千夏はアルバイトをしながら、劇団に所属しミュージカルの役者を目指して奮闘していた。早希はスポーツ科学を専攻しトレーナーを目指していた。…
高校を卒業し、20歳になった玲たち。彼女たちの進んだ道は、予想通りのものもあれば意外なものもあり。性格や考え方も、変わっていないところもあれば変わったところもある。成長を読めるのが嬉しかった。
「よろこびの歌」を読んで、私は彼女たちが「諦め」の気持ちを持っていたと書いた。失敗し、挫折し、行き詰まり、様々なことを「諦め」た彼女たち。そんな彼女たちは「麗しのマドンナ」の合唱を通して、歌うこと一筋で生きてきたのを「諦め」た玲が、歌う気持ちを新たにして立ち上がる姿を見て、その歌声に魅了されていた。そして千夏や早希たちも玲の歌と歌う気持ちに動かされ、「諦め」たことに向き合い、それぞれの答えを出した。
続編の「終わらない歌」では、「諦め」を通過、もしくは乗り越えたけれども、また新たな壁にぶち当たったり、新しい何かと出会ったり、変わりゆく自分自身に出会ったり…とそれぞれの道で様々です。
玲はクールそうに見えて、情熱を秘めている。千夏は壁にぶつかってもぶつかっても、やっぱり歌が、音楽が、舞台に立つのが好きだと素直に立ち上がる。早希のまっすぐな熱意は、剛速球のよう。「よろこびの歌」でも惹かれた佳子には、今作でも惹かれてしまった。「よろこびの歌」の感想で、「それぞれの登場人物の要素が、私自身に合致する」と書いた。今作「終わらない歌」でもそうなのだが、佳子には特に自分と似ているところがあるなと思う。私もダラダラと目標も無く歩いている。ただ、佳子と自分の違いは、年齢だと思った。
「よろこびの歌」ではあまり出てこなかった登場人物も、この「終わらない歌」でメイン登場します。でも、視点はその彼女自身ではなく、会社の先輩というのがうまい。
自分のやりたいことに、「今」「この時」に、叶えたい未来のために、情熱を傾ける。「諦め」という醒めた姿勢をやめて、今に精一杯ぶつかっていく。20歳の頃は、そんな時期だなと自分の20歳の頃を思い出して読みました。千夏のように精力的に動いていた。玲のように才能や技術を持っている人と自分を比べて落ち込むこともあった。早希やひかりのように目標があっても、その目標の先で思い悩む時も合った。でも、一生懸命で、精一杯。それが20歳の頃。「若いってすばらしい」の歌ではないが、若いっていいな、20歳の頃に戻りたいなと、自分の今の年齢を思うと羨ましくなる。
いや、玲の母・御木元響のヴァイオリンのように、歳を重ねても深くなってゆければと思いなおした。
20歳だからできること。歳を重ねたからできること。れぞれ違う「できること」があると思う。
素直で明るい、輝かしいだけではない希望。希望や夢は儚い。でも、夢や希望を持たずにはいられない。玲が出したこの答えのような気持ちになった。
続編があって、よかったと思いました。
・よろこびの歌
終わらない歌
宮下奈都/実業之日本社/2012
あの「麗しのマドンナ」を合唱してから3年後。20歳になった彼女たちはそれぞれの道を歩んでいた。再び声楽を志し、音楽大学に入学した玲。しかし、クラスのトップとクラスの上位にもなれない自分を比べ、自信を無くしていた。千夏はアルバイトをしながら、劇団に所属しミュージカルの役者を目指して奮闘していた。早希はスポーツ科学を専攻しトレーナーを目指していた。…
高校を卒業し、20歳になった玲たち。彼女たちの進んだ道は、予想通りのものもあれば意外なものもあり。性格や考え方も、変わっていないところもあれば変わったところもある。成長を読めるのが嬉しかった。
「よろこびの歌」を読んで、私は彼女たちが「諦め」の気持ちを持っていたと書いた。失敗し、挫折し、行き詰まり、様々なことを「諦め」た彼女たち。そんな彼女たちは「麗しのマドンナ」の合唱を通して、歌うこと一筋で生きてきたのを「諦め」た玲が、歌う気持ちを新たにして立ち上がる姿を見て、その歌声に魅了されていた。そして千夏や早希たちも玲の歌と歌う気持ちに動かされ、「諦め」たことに向き合い、それぞれの答えを出した。
続編の「終わらない歌」では、「諦め」を通過、もしくは乗り越えたけれども、また新たな壁にぶち当たったり、新しい何かと出会ったり、変わりゆく自分自身に出会ったり…とそれぞれの道で様々です。
玲はクールそうに見えて、情熱を秘めている。千夏は壁にぶつかってもぶつかっても、やっぱり歌が、音楽が、舞台に立つのが好きだと素直に立ち上がる。早希のまっすぐな熱意は、剛速球のよう。「よろこびの歌」でも惹かれた佳子には、今作でも惹かれてしまった。「よろこびの歌」の感想で、「それぞれの登場人物の要素が、私自身に合致する」と書いた。今作「終わらない歌」でもそうなのだが、佳子には特に自分と似ているところがあるなと思う。私もダラダラと目標も無く歩いている。ただ、佳子と自分の違いは、年齢だと思った。
「よろこびの歌」ではあまり出てこなかった登場人物も、この「終わらない歌」でメイン登場します。でも、視点はその彼女自身ではなく、会社の先輩というのがうまい。
自分のやりたいことに、「今」「この時」に、叶えたい未来のために、情熱を傾ける。「諦め」という醒めた姿勢をやめて、今に精一杯ぶつかっていく。20歳の頃は、そんな時期だなと自分の20歳の頃を思い出して読みました。千夏のように精力的に動いていた。玲のように才能や技術を持っている人と自分を比べて落ち込むこともあった。早希やひかりのように目標があっても、その目標の先で思い悩む時も合った。でも、一生懸命で、精一杯。それが20歳の頃。「若いってすばらしい」の歌ではないが、若いっていいな、20歳の頃に戻りたいなと、自分の今の年齢を思うと羨ましくなる。
いや、玲の母・御木元響のヴァイオリンのように、歳を重ねても深くなってゆければと思いなおした。
20歳だからできること。歳を重ねたからできること。れぞれ違う「できること」があると思う。
素直で明るい、輝かしいだけではない希望。希望や夢は儚い。でも、夢や希望を持たずにはいられない。玲が出したこの答えのような気持ちになった。
続編があって、よかったと思いました。
by halca-kaukana057
| 2013-03-25 23:17
| 本・読書