海底二万里 (訳:村松潔)

 しばらく読んだ本の感想を書いていませんでした。なかなか時間が取れなかったり、心身の調子が悪くて読書がはかどらなかったのが理由です。あと、書く時間が無かった、書く心の余裕が無かったのも。これから少しずつ書いていきます。

 少し前、南大西洋の海底に、沈んだ幻の大陸”アトランティス大陸”の跡かもしれないものが発見された、というニュースがありました。そのニュースで紹介されるのは、ジュール・ヴェルヌ「海底二万里」。そしてNHKでは、この「海底二万里」を原案としたアニメ「ふしぎの海のナディア」も。そういえば、子どもの頃リアルタイムで「ナディア」を観ていた時、毎回のオープニングの最初に出てくる「海底二万マイル」(アニメではこちらの表記)がどんな作品なのか、ずっと気になっていました。しかし、読まぬまま時は過ぎ…。
 昨年新潮文庫で新訳が出たので、これは読まねばと買い、ニュースを見て読み始めました(その間積読…)

海底二万里(上)

ジュール・ヴェルヌ/訳:村松潔/新潮社・新潮文庫/2012


海底二万里(下)

ジュール・ヴェルヌ/訳:村松潔/新潮社・新潮文庫/2012



 時は1866年。大西洋を航海していた船が、謎の巨大な何かに遭遇、目撃していた。パリ自然史博物館教授であるピエール・アロナクスも、その謎の巨大な何かが生き物なのか何なのか、考えていた。イッカクか?アロナクス教授は使用人のコンセイユとともに、高速フリゲート艦エイブラハム・リンカーン号に乗りこむ。そして、ついにフリゲート艦はその巨大な何かと遭遇。しかし、それと衝突し、アロナクス教授とコンセイユ、そしてクジラの銛撃ちの名手であるカナダ人・ネッド・ランドは海に放り出されてしまう。死に物狂いで何かにしがみついた3人は、それが例の巨大生物であることに気づく。しかし、それは生き物ではなく、鋼鉄で出来た潜水艇だった。その潜水艇・ノーチラス号の中に入れられ、アロナクス教授はその船長・ネモと出会う…。


 これが100年以上も前に書かれた作品とは…!ジュール・ヴェルヌのSFにもっと早く出会っておくべきだった…と感じました。その後、アロナクス教授たちはノーチラス号で海底の旅へ。世界のあちらこちらでの海の、生物たちの描写が詳しく、面白い。時には潜水服を着て、海底散歩へ。博物学にやけに詳しいコンセイユの反応が楽しい。コンセイユが本当にいい使用人で、コンセイユの出番を待ち遠しく思ってしまうw

 その一方で、ネモ船長はアロナクス教授たち3人を”捕虜”とした。ノーチラス号の中は自由に歩けるが、もう二度と地上には返さない、と。憤慨するのはネッド。海洋探検が楽しいアロナクス教授も、ネモ船長とノーチラス号の別の面を垣間見て、思い悩む。ノーチラス号の乗組員たちは聞いたこともない言語で会話し、衣食住の全てを海の恵みで成り立たせている。3人が一度島に上陸し、食べ物を探し、狩りをした以外は、魚介類ばかり食べている。そして、海は興味深い生物や地形だけを見せてくれるわけではない。難破船の残骸、ノーチラス号でも通過するのに危険な地帯、そしてネモ船長とノーチラス号の目的。謎めいたネモ船長の内面・過去・やろうとしていることと、未知の海の鮮やかな姿の対比が、ネモ船長のかなしさや暗さを際立たせる。

 SFとして、科学・技術ものとして読むのも、海洋探検ものとして読むのも、アロナクス教授たちとネモ船長の対比の物語として読むのも、どう読んでも面白い。

 この新訳は、完訳であることも勿論ですが、刊行された当時のエデュアール・リユーの扉絵、アルフォンス・ド・ヌーヴィルの挿絵も全て収めています。福音館もこの挿絵を収録しています。
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by halca-kaukana057 | 2013-06-20 23:04 | 本・読書


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