ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」 後編 覚え書き

 3日の前編に引き続き、10日に後編が放送された、ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」(作曲:宮川彬良、脚本:響敏也、演出:佐久間広一郎、演奏:セントラル愛知交響楽団)。
◇番組公式:FM AICHI:ラジオミュージカル「あしたの瞳」
 ↑前編も後編も、公式サイトに丸ごとアップされてます。通して聴けます。

 (放送の都合上)前編と後編に分かれてはいけれど、元はひとつの作品(元は3時間にもわたるオペラ)。なので、前編・後編に分けて感想を書くのはおかしいような気もします。が、後編を聴いて自分の中で感想が”更新”される前に前編の感想・覚え書きを書きました。後編も放送され、全体の感想を書きたいところなのですが、まだ自分の中で考え中のことも多く、まとめきれない。あと、歌の歌詞が聴き取れず、悩んでいるところも。こんなに耳を澄ましてラジオ番組を聴いたのは初めてかもしれない(しかも何回聴いてるんだってぐらい…)

 ということで、前置きが長くなりましたが、後編の覚え書きです。全体の感想はまた後日。

・前編・覚え書き編:ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」前編 覚え書き
・前編の感想というか…概要の感想?:「見える」とは何だ? ラジオミュージカル「あしたの瞳」前編

 まず、後編の歌のリストを。放送局のオンエア曲リストに題名が載っていたものから。括弧内は役名です。
1.どう作る?(レンズの歌):安冨泰一郎(田宮常一)・コロス
2.光と歓びを作る歌:安冨泰一郎(田宮常一)・コロス
3.あんな人:楠永陽子(花井君代)
4.透明で光を通し:安冨泰一郎(田宮常一)、楠永陽子(花井君代)
5.過去を見続けるために:安冨泰一郎(田宮常一)、楠永陽子(花井君代)
6.磨き歌:コロス
7.磨き歌:コロス
8.なぜ何故なぜ:安冨泰一郎(田宮常一)、楠永陽子(花井君代)
9.磨き歌:コロス
10.Hi! Joe!:松波千津子(シンディー・フェルダー)
11.サリヴァンの歌:塚本伸彦(アンソニー・サリヴァン)、安冨泰一郎(田宮常一)
12.自転車ソング:安冨泰一郎(田宮常一)、コロス
13.二人で観る:安冨泰一郎(田宮常一)、楠永陽子
14.フィナーレ:安冨泰一郎(田宮常一)、塚本伸彦(眼球の記憶)、楠永陽子(花井君代)、松本千津子(シンディー・フェルダー)、安田旺司(坂本義三) ほか

 後編は歌が増えました。更に、ヒロイン・君代の登場で、前編と歌の雰囲気も変わっています。

・オープニング:「眼球の記憶」の語り
 後編でも鍵となる言葉を語っていたので、書き起こしておきます。
人に何かが見えているとしたら、一体何が見えているのだろうか。
人が見る記憶の積み重ねは、人生をつくり、時に進む道を左右してしまう。

 BGMは前編ラストの「もうひとつの瞳」。常一のものづくりへの情熱のテーマとも言える曲。
 前編のおさらいなのですが、ただのリプレイになってないところがいい。眼球の記憶の語り、前編のラストから続いている音楽を引き継ぎ、前編のラストでこの手でコンタクトレンズを作りたいと決意する常一の情熱がじわじわじわじわと盛り上がってゆき、そのまま後編に入れます。熱いです。


・♪「どう作る(レンズの歌)」
 暗い、切迫した短調曲。コロスも迫り来る。見たことも無い(見せてもらえなかった)、ただ「眼に入れるレンズ」という情報だけでコンタクトレンズの姿、作り方を必死に考えている常一。そのうち、ひらめいて少し長調へ。でも、まだ何か不安定さがある。
 歌の後も、歌の内容と同じことを考え込む常一。黒目を覆う…というところまでは答えは出たけど、それをどう作る?
「えーい!くどくど考えるのは性分に合わない!」考えるより実践の人。
 この常一がひとり考えているシーン、BGMが鳴っている(曲名不明)。後編は台詞部分のBGMが増えます。

・レンズを作ってみている常一。前編のシンディー登場前に流れていた、あの明るいBGMが。これはやはり働く常一のテーマか。そしてこの曲、「もうひとつの瞳」、オープニング・エンディングに流れていた曲であり、最後に出てくる「フィナーレ」である曲の変奏だった!
 徹夜でレンズを作り、朝になってお隣のおばあちゃんと話す常一。徹夜明けなのに、常一は爽やかな好青年。
♪「光と歓びを作る歌」…穏やかな歌。作るたのしみ、よろこび、心から作りたいと思っているだけ。
眼に入れるレンズを作れば
お前には ものを作り出す歓び
人々には 新しい瞳のよろこび
試行錯誤のはずなのに、たのしくて仕方ない。作る先にはよろこびがある、と。常一自身にも、世の中にも。

・君代登場。常一に恋心を抱いている。でも、常一は仕事、レンズばかり…何がたのしいの?わからない。自分のことを見て欲しい…。そう思いつつも、
あの人の瞳は、まっすぐ何かを見つめている。
あのまっすぐな瞳で、一体何を見つめているのかしら。
せめて、あの人と同じものを見れたらいいのに。

♪「あんな人」
 常一との心の距離を嘆く…遠い。走っても、遠い。(切ないなぁ…。)
 一転して長調、ここからは常一のどこに惹かれているのか。純朴な常一の姿。
 でも、あの人のどこがいい?忘れたい…揺れ動く恋心。最後の音が可愛らしいのが、恋する乙女ですね。

(※追記
 この、君代がひとり常一のことを想うシーン…常一は「見ていない」はず。勿論、君代の心の内をこの時知る由も無い。常一の視覚の記憶に無い、はず=眼球の記憶も再現できない。…あれ。あれ…あれ…!!?
 常一がどこからか見ていたなんて、この常一の性格からは想像できないし、後で君代から聞いて知ったとしても、それは常一のこの時の視覚的記憶ではない。君代の記憶から借りてきた…いやいや眼球の記憶はあくまで常一の記憶。後で出てくるけど、「それ以上でもそれ以下でもない」。…!!?)

・君代の前に常一登場。常一が欲しがっていたものを持ってきた。(前編でもそうだったが、驚き、興奮する常一のストレートな感情表現がいい。爽やか。)
♪「透明で光を通し」
 (オペラの公演前、彬良さんがラジオでオペラのことを話していて、この歌が流れました。「合成樹脂~」…合成樹脂なんて言葉がオペラの歌詞になるんかい!?と思っていた歌…という印象が強くてどうしようw)
 レンズの材料になる合成樹脂を手にした、希望が見えてきたものの、
一体いつになったら 人のレンズに生まれ変わるのか
常一もまだ不安なのか…最後の音が不安定。

・君代が持ってきた合成樹脂、アクリル板。これをどこから?→君代の父が軍の関係者から特別に分けてもらった (←君代は、結構いいところのお嬢さん?)
 これは元々、戦闘機・爆撃機の風防…”瞳”だった…。
 特攻兵たちは、このアクリル板を通して、何を見ていた?ふるさとを、自分の行く末を…。
 米兵は、日本の町をこれを通して見ていた…。
 (昨日の記事で書いた「天空の道標」を思い出します。)
♪「過去を見続けるために」
過去の記憶を消そうとするから 過ちをまた繰り返す
過去を見続けるために これでレンズを作ろう
(この歌詞がグッと来ます。)

 眼球の記憶の語り:常一がその手先の器用さを培ったのは、学徒動員で兵器の部品を作っていた時。
そんな常一が、戦争で培った技術と道具で、戦後の平和な時代、平和な世の中を見るための道具を作ろうとしている。
 人間とは面白いと笑う眼球の記憶…(眼球の記憶は、常一の見たものの記憶。でも、立ち位置は常一そのものとは少し違う位置にいるようだ。)

・♪「磨き歌」(1:前奏あり)
 リズム、音色が、”ブンチャカヤマト(「ヤマト2199」劇判「ヤマト渦中へ」の俗称)”ですね…ブンチャカいってます(何故この発想になるw)
 働く常一のテーマを短調にしたものだ、これ。
 まさに研ぎ澄まされるような、鋭さが印象的な曲。

 レンズが出来たのでつけてみよう! …止める君代。
 その君代に覚悟を語る常一。自分のこの目で確かめてみなきゃ、何もわからない。痛いとしたらどれくらい、どんな痛さなのか。(常一は理工系ですな)
 自信はある! 完全にレンズ作りを楽しんでいる。
♪「磨き歌」(2回目)同じ歌なのに、1度目よりも更に強さを増したような気がする。

・常一を心配する君代。
 君代に、このレンズを作ることで何をしたいのか語る常一。BGM:「二人で見る」(後で出てきます)
 人が見たいものを見る時に役に立つものを作りたい。自分の目で見ることが出来なかった人も見たいものが見られる。そんな新しい世界が見たい…君代さんと一緒に。(告白来た!!)
 君代:何故?理由は? …!!? この2人のやり取りが微笑ましいw
♪「なぜ何故なぜ」2人のラブソングです。ちょっと論理的、でもファンタジック。君代がリードしつつ、常一も追いつく。幸せな、ロマンティックな、きれいな音だ…。

 ↑これに対する眼球の記憶の反応がw(一番恥ずかしがっているのは眼球の記憶の気がするw)
  このシーンでいつも笑ってしまいますw
 ”恋は盲目”自分も相手も「見えていない」 …見えていないとこうなる、と。
 共に見ている、現在の老いた常一にも「しっかり見ておけよw恥ずかしくて見てられないかwww」
 この時の常一の反応は無し(というよりも、ずっと出てこない)実際の反応は?さて。

♪「磨き歌」(3回目)
 今度は出来た!君代も止めない。つけてみた…見える、痛くない!
BGM:もう一つの瞳…出来上がったよろこびの表現。
 でも、まだやることはある。様々な条件下で使ってみなくては。(やはり理工系)

 眼球の記憶の語り…その努力はすさまじい、どこまでも一途。
 シンディーからコンタクトレンズの話を聞いてから、3ヶ月足らずで作ってしまった…それマジですか、史実ですか!!?…調べてみよう…。事実だとしたら、とてつもないぞ……!!
【追記 2013.11.23】
 調べました。

人工臓器物語―コンタクトレンズから人工心臓まで (ポピュラー・サイエンス)

筏 義人 / 裳華房


 この本に書いてありました。常一のモデルである田中恭一氏が、コンタクトレンズを作ろうと取り掛かってから、3ヵ月後に角膜コンタクトレンズを作った、と。事実でした…!!!
 他にも本を探して読んだりしたのですが、日本のコンタクトレンズ開発史は紐解くととても興味深い、面白いです。(一番最初の前編・概要の感想参照)
 <追記ここまで>

・BGM:働く常一のテーマ(もう勝手に題名つけました)
♪「Hi! Joe!」シンディー再登場。相変わらずのテンションw
 コンタクトレンズの専門家の医師、サリヴァン先生を連れてきた…もう自分で作っちゃいました。
 サリヴァン先生、非常に上から目線。これがコンタクトレンズ?しかも医師でもない素人が作った?
♪「サリヴァンの歌」1950年代アメリカの雰囲気の曲。コミカル。
 ※サリヴァン先生役は、眼球の記憶役の塚本さんが2役でやってます。眼球の記憶と声の感じが全く違う。ノリは似てはいますね。オレ様の雰囲気がw
 完全に上から目線。医師として、コンタクトレンズの専門家としてのプライドなのだろう。戦争に勝った国としてのプライドも。この当時、まだGHQ統治下。

 でも常一はぶれません。間違ってない、このコンタクトレンズは譲れない!
 実力を見せてあげましょう!全く引かない。
♪「自転車ソング」…「磨き歌」と同じメロディー。だけどテンポが少しゆっくり。
 コンタクトをつけたまま、自転車に乗っても大丈夫か…大丈夫!間奏から長調へ。自転車で走る。
 爽快なまま、ラスト「瞳の上にレンズはあるよ 希望があるよ」

・これが僕のコンタクトレンズだ!! BGM:「なぜ何故なぜ」サリヴァン先生の頭の中で何故、Why!?と止まらないのでしょう…。
 でも謙虚な常一。まだ完成品じゃない。むしろこれから。お互いの道を進み、学びあいましょう、と。(どこまで好青年なんですか常一…!)
 ところで、サリヴァン先生が「こんな魚のうろこみたいなレンズ」と言ってましたが、サリヴァン先生が開発・研究していたのは「角鞏膜コンタクトレンズ」だと思われる。角膜(黒目)の部分だけでなく、強膜(白目)の部分も覆う形のコンタクトレンズ。一方、常一がつくっていたのは、角膜(黒目)だけを覆う「角膜コンタクトレンズ」。大きさが違ったのですね。
◇参考資料:ウィキペディア:コンタクトレンズ
(この物語のおかげで、コンタクトレンズの歴史・仕組みに詳しくなっている気がする…。コンタクトは勿論、眼鏡とも縁は無いのですが…)


・常一と君代。BGM:もうひとつの瞳
 これからの生涯をコンタクトレンズにかける…なら私は、この人生をあなたにかける。
君代さん、きみは本当に素敵なんだ。僕に無限の明日を見せてくれる。
今日、いまこの瞬間が明日に繋がる。明日を作るのは僕自身だ。
僕は、僕を信じてくれるきみのためにも、きみが信じてくれる僕を、僕自身を作り続けるよ
鍵となる言葉です。

♪「一緒になろう」プロポーズソングです。

・そして現代へ戻る…常一「おい、目玉幽霊」←結局「目玉幽霊」呼ばわりで終わってしまった…w
 見ることの真実とやらを、いつ見せてくれるのか?
眼球の記憶:オープニングの語りで言った言葉をもう一度。
ここで、眼球の記憶が語るバックで、コロスがアカペラコーラス。とてもきれい。賛美歌のよう。ただ、歌詞が全部わからない…聞き取れない。
 眼球の記憶が語りかけた言葉…何故常一の記憶を遡り、常一と見てきたのか。常一に見せたのか。
 つまり、常一の記憶の中に、「見ることの真実」がある…。このあたりは全体の感想で。

♪「フィナーレ」 何度聴いても気持ちがいい、声も音楽も心も広がる歌。
坂本→常一→君代とソロ。それぞれの「希望」を歌う。
これも歌詞がわからないところが多い…。わかる範囲では、歌詞は凄く好き。高揚感がすごい。
そして、このフィナーレを聴いて、「オペラを観たい!!」と強く思った。ガツンと来た。
このあたりに関しても全体の感想で。

・後編は、常一のコンタクトレンズ作りにかける情熱が、とにかくまっすぐで、一途で、ひたむきで、ぶれない。熱い!爽やかな熱さ。しかも作ることは苦労なんて全く言わない。ラジオだから表情は見えないけれど、真摯で穏やかな表情が見えるよう。
 1度目を聴いた後、しばらくその熱さにやられてました。今も何度聞いても熱いなと思う。

・元はオペラのこの作品、歌はオペラ。前編でも思ったのですが、歌っているのはプロの声楽家・オペラ歌手。なのに、一緒に歌いたくなる、口ずさんでしまう(周囲に誰もいなければ)。歌いたくなる。歌詞も可能なかぎり覚えましたw覚えてしまいましたw
 脳内リピート率も高いです。仕事している時、常一の働くテーマとか、「磨き歌」が出てくるw「もうひとつの瞳」はとても好きな曲・歌ですし、「フィナーレ」も病み付きになる。

 以上。覚え書きでした。

【続きの記事】
・いよいよ、全体感想へ:今の積み重ねの先に「見える」もの ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」全体感想


2013.11.14:君代のシーンのほか、あちこち追記
2013.11.23:コンタクトレンズの歴史について追記
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by halca-kaukana057 | 2013-11-13 23:18 | 音楽


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