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アステロイド・マイナーズ 2

 今年中に今年読んだ漫画の感想書ききれるかな、の記事です。今日は夏に出た漫画です…。もう年末ですよ…。


アステロイド・マイナーズ 2
あさり よしとお/徳間書店・リュウコミックス/2013

 小惑星に移住し、小惑星で生まれ育ったタカシ。小惑星内部の氷を掘って水にし、ないものは地球から運んでくるしかない。食料も土地もものも、空も自然もない…地球へ行きたいと思うタカシたちを描いた「小惑星(やま)の日」。「宇宙戦闘機」をとある国の独裁者から発注されてしまい、更にその独裁者相手に「模擬戦」を担当することになった女性社員、ルナ。世界一の「戦闘機」で派遣を握りたい独裁者と、宇宙を知らない独裁者に一泡ふかせてやろうと思うルナの「独裁者の幻想」。月の北極の地下にある氷の試掘をする男2人が、宇宙の理想・夢と現実の狭間で落胆しつつも働く「月は地獄だ」。小惑星で資源採掘を行うために派遣されてきた男が、とんでもない目に遭ってしまう「ドワーフの村」。この4作品が収められています。

 1巻の発売から随分経ちました。2巻の発売を待っていました!
 1巻の3話が、2巻の「小惑星(やま)の日」の続きに当たります。成長したタカシたちが実習生として働きながら、進路志望を出す時期になりました。1巻の2話の続きが「独裁者の幻想」。文月の勤務する会社で、とんでもない宇宙船の発注を受けることに。

 「月は地獄だ」でも、「ドワーフの村」でも、月や小惑星での限られた生活が描かれている。今、月や火星、小惑星の探査をしているけれども、後に有人探査になり、開拓することになれば…こんな生活が待っているはずだ。地球では当たり前にあったものが、他の天体ではない。食料も、地球のような豊かなものではない。でも、私たちは宇宙を、宇宙で暮らすことを夢見ている。国際宇宙ステーション(ISS)が今はその場になっている。ISSに滞在している宇宙飛行士たちは、過酷な訓練を経て、ISSで行われている実験を専門外でもこなし、日々暮らし、地上の私たち一般向けに様々な広報活動を行っている。その様を観ていると、宇宙に行って見たい、無重量(微小重力)を体験してみたい、青い地球を見てみたい…と思うけれども、様々な苦悩や暮らしで困ることはあるだろう。ISSはまだ地上400km,宇宙の波打ち際に過ぎない。もっと遠く…月や火星、小惑星では、ISSとは異なるところがたくさんあるだろう。まだまだ人類は宇宙を知らない。そんな部分を、ユーモアも交えて、リアルに表現しています。描き方によっては、宇宙なんてとんでもないところ、何故こんなところに行きたがるのか…とも思えてしまうことを、巧い塩梅で描いている。1巻よりも更に深いところまでリアリティを表現しています。

 「独裁者の幻想」は、笑えます。これを読むと、一部宇宙SFアニメ・漫画にいちいちツッコミを入れたくなるかもしれませんw宇宙での重力の法則を知らない独裁者が滑稽。でも、最後はちょっとしんみりしてしまいます。

 「ドワーフの村」はそっちの方向なのか!?wと思いつつも、最後でとても重要なことを語っています。宇宙には、地球に普通にあるものがない。地球では難なく生きられる条件が、宇宙にはない。それなのに、人類は宇宙に行こう、住もうとしている。そんなところで、重視されるのは何か…。そう思うと、地球での普通の生活が、生きることが、ちょっと違うものに見えてきます。

 3巻はいつになるかなぁ。楽しみです。
・1巻:アステロイド・マイナーズ 1
by halca-kaukana057 | 2013-12-23 21:45 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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