「優劣」はどこから来る?

 ふと目にした言葉に、射抜かれた気持ちになることはよくある。そんなこと考えてもどうしようもないのに、考えてしまうことがある。

 今日目にしたのは、”芸術の「優劣」”について。
 音楽(作品・演奏)でも、美術でも、演劇…「芸術」というものの「優劣」ってどう決めるんだろう?「芸術」を書くと高尚なものをイメージしてしまうけど、文学やサブカルチャーも含まれるだろう。
 「優劣」をどう判断、どう評価するのだろう?
 コンクールで優勝とか、大絶賛の演奏とか、その基準はなんなのだろう?

 あまり考える範囲を広げると、その風呂敷をたためなくなってしまうので、今回は音楽の演奏で考えてみる。
私は、プロだろうが、アマチュアだろうが、演奏会でお金を取っていようが無料だろうが、大規模だろうが小規模だろうが、「コンサート」と呼ばれるものだろうが「発表会」と呼ばれるものだろうが、そんなことは関係ないと思っている。どんな立場であっても、どんな場であっても、演奏することはその時限り。その作品・作曲家、聴衆のため、そしてその作品を練習し”研究”してきた自分のひとつの通過点(ゴール・答えとは限らない)として、自分自身への挑戦として、その時限りの演奏をする。自分自身、人前で演奏する機会は少ないけれども、そう私は考えている。聴衆の立場にいる時も。聴衆の立場にいる時は、「今、演奏者は何を考えてこの演奏をしているのだろうか?」と考える。

 「うまい」「へた」は、あると思う。これまで、コンサートに行って、途中で帰りたいと思うほどの演奏にめぐり合ったこともあった。ミスが多かった、響いてこない、残念だったなぁ…と思うことはあった。
 それが、「優劣」なのだろうか。いや…まだ結論じゃない。 

 今思い返すと、何が、「残念だった」のだろうか。何を「残念だ」と思ったのだろう?技巧や表現のことだろうか。それとも、個々人の「好み」だろうか。その演奏・表現・解釈が自分と相性が合わなかっただけだろうか。

 好きな作品であればあるほど、自分が演奏できなくても「理想」のようなものを持っている。あの指揮者の、あのオケの、あの演奏家の、あの演奏。「理想」…「お手本」と言えるかもしれない。それが「優劣」や「残念」かどうかを評価するポイントになる。それは、評価、批評するため…?
 いや、私は、批評するために、音楽を演奏を聴いているんじゃない。これだけははっきりと言える。

 繊細でうっとりとするような演奏もあれば、荒削りでも未知の世界につれて行ってくれるような、スリリングなドキドキする演奏もある。ミスはあるけれども、そのミスを打ち消してしまうようなインパクトの強いものをもった演奏もある。「CDで聴いたのと全然違う!」という生で聴くからこその演奏もある。聴いた後、それまでの価値観が崩れノックアウトされて、帰宅後疲労困憊で寝るしかない演奏もある。どんな演奏がいいか、その作品、場、機会、演奏者…全く変わってくる。だから、音楽は面白い。

 考えていて、私は演奏者視点と聴衆視点、どちらも持ちたいと思った。欲張りなような気がするけれど、それが私にとって、音楽(芸術)に触れる際の感性を磨くことになると思っている。

 この二者は、きっと、すれ違う、一致しない、温度差ががある。理想とするもの、目指すものが異なる。一致した時、会場はステージ上も客席も物凄い熱気に包まれるのだろう。
 演奏家が、聴衆に「ウケる」ようなものばかりをやるのはどうかと思う。聴衆も「あの作品を演奏して欲しい」「この人ならこんな演奏をしてくれるはず!」と期待する。期待に応えてくれるのは嬉しいけど、媚びているような気もする。評価を気にしすぎて自滅してほしくもない。
 聴衆も、何でもベタ褒めは出来ない。「あの人の演奏だから、間違いない」なんて妄信(盲信)は避けたい。感じたこと…ポジティヴでもネガティヴでも、どんなことでも言うことは言っていいと思う。ただ、批判だけしたくもない。そして、それが先述した「優劣」とはという問い、技巧や表現のことなのか、個々人の「好み」、その演奏・表現・解釈が自分と相性が合わなかっただけなのか…客観なのか、主観なのか。これらを混同させたままで「批評」するのは、私はしたくない。その感じたことの源を自覚しておきたいと思う。

 演奏会に行けば、配布されるプログラムにアンケート用紙が入っていることがよくある(無い場合もあるけど…できる限り、主催者はアンケート用紙を用意して欲しいと思っている。声を伝える、一番しやすい方法だから)。最近はツイッターなどで、公式アカウント宛に直接感想ツイートすることもできるし、直接じゃなくても公式・中の人は検索して見ているかもしれない。
 少し前から面白いなと思っているのが、名古屋フィルハーモニー交響楽団。公式アカウントでは、コンサートのリハの様子から詳しくツイートして、コンサートが終われば、専用ハッシュタグを作って、「感想をツイートしてください」と呼びかける。感想と言っても、「大絶賛から厳しい批評まで何でもどうぞ」と言っているのだから凄い。
名古屋フィルハーモニー交響楽団:オフィシャルページ
Twitter:名古屋フィルハーモニー交響楽団
◇感想ハッシュタグをまとめたもの一例:togetter:名フィル第411回定期演奏会(2014年3月14日(金)・15日(土))感想まとめ #名フィル411
 ↑このまとめはコンサートに行ったファン・定期会員によるもの。公式公認。ファン・定期会員とオケ公式が、いい関係にあるんだなと感じられます。これを読んでいて、名フィルを聴きに行きたくなりました。

 音楽・演奏(芸術そのほか)の「優劣」とは何だろう。「うまい」「へた」の基準は何だろう、どこから来るのだろう、何に所以するものなのだろう?この記事に書いただけじゃわからない。世界的な大指揮者、大演奏家でもわからないことかもしれない。ただ、演奏を聴いた時、演奏している時の思ったこと、考えたこと、感じたことが、何に由来しているのか。主観・客観・経験・理想…どこから来たものなのか、それは考えて端っこだけでも掴んでおきたい。そして、それを表現する言葉は磨いておきたい。アンケートなどで伝えるためにも。素敵な、好きな演奏だと思ったら、まだまだ伸びると思うことがあったら伝えたい。

 要するに、「うまい」「へた」「優劣」の単語だけ、その基準だけで終わらせることはしたくない。
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by halca-kaukana057 | 2014-03-16 22:10 | 日常/考えたこと


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