音楽・舞台芸術をのこすこと

 昨日のNHK教育(Eテレ)「クラシック音楽館」は凄かった。
NHK交響楽団:第1780回 定期公演 Bプログラム(2014年4月23日/サントリーホール)
R.シュトラウス:祝典前奏曲 作品61
R.シュトラウス:紀元2600年祝典曲 作品84
R.シュトラウス:バレエ音楽「ヨセフの伝説」作品63
指揮:ネーメ・ヤルヴィ/NHK交響楽団


 先日生誕150年のお誕生日を迎えた、アニバーサリーイヤーのリヒャルト・シュトラウスだけを取り上げたプログラム。しかも、滅多に演奏されない曲ばかり。先日も記事に書いたとおり、これまで私はR.シュトラウスにはそんなに馴染みがない。ネーメ・ヤルヴィと言えば、シベリウスやグリーグをはじめとする北欧ものを真っ先に思い浮かべる。エーテボリ響とのシベリウスの交響曲・管弦楽曲集も愛聴している。と言うわけで、そんなパパヤルヴィのR.シュトラウス、しかも聴いたことがないマイナー曲とあって、観る・聴くのを楽しみにしていました。

 観て、たまげました。編成がとんでもなく大きい!!サントリーホールの舞台に、人がいっぱい。1曲目「祝典前奏曲」はパイプオルガンで派手にかっこよく始まる。ハープ4台、トロンボーン8本、チューバ2本…なんですかこれは!!更に、日本から依頼されて書いたという「紀元2600年祝典曲」では、お寺のお堂にある鐘が楽器になっている。こんな楽器になるとは思いもしなかった…。初演では、鐘(除夜の鐘でゴーンと鳴る大きい方?)が14個(!!?)も使われ、音程の合う鐘を探してくるのが大変だったそう…。今回だって、大きさは違えど音程の合う鐘を探してくるのは大変だったと思う。バレエ音楽「ヨセフの伝説」も、バレエ音楽とは思えない大編成。金管がバンバン鳴る豪華な演奏。これに、どんな踊りをつけるのだろう。どんなバレエになるんだろう。第一、こんな大編成がオケピットに入るのか?相当の大劇場じゃないと上演できないぞ?でも、観てみたいなぁ。音楽も、どんな踊りか想像つかなかったので、今年はアニバーサリーイヤーだし、どこかのバレエ団で上演してみてほしいなぁ。そんなことを思いながら聴いていました。

 あと、こんななかなか演奏されないマイナー曲を演奏したパパヤルヴィとN響とN響のスタッフの方々にも大きな拍手。N響は、時々演奏頻度の少ない曲を定期公演で演奏します。例えば、オルフ「カトゥリ・カルミナ」。歌詞が話題になった作品ですが、歌詞のネタ的意味ではなくて、その編成と演奏頻度。同じオルフの作品でも「カルミナ・ブラーナ」は有名だけど、「カトゥリ・カルミナ」の演奏は4台のピアノと打楽器というとても変わった編成。2人の独唱と合唱も、ちょっとしたオペラのようで面白かった。
 それから、私が行こうとして行けなかった(まだ言う)2月のオール・シベリウス・プログラムも、1曲目で「アンダンテ・フェスティーヴォ」。アンコールなどで演奏するオーケストラも少しずつ増えてきているみたいだが、まだそんなに知られていない、シベリウスの美しさがぎゅっと詰まった作品。後半も、普段は「トゥオネラの白鳥」ばかりが演奏される交響詩「四つの伝説」を全曲。CDでは全曲演奏のものを持っているけど、演奏会で全曲演奏するのはなかなかない。
 そんな演奏頻度の少ない曲を演奏し、しかもFMラジオの生中継でも、後日のテレビでも、全て放送できてしまうN響。N響の大きな強みです。どんどんマイナー曲を取り上げてほしいと思っています。

 演奏頻度の少ないマイナー曲。なかなか演奏が難しい大編成の作品。元々はバレエや劇のための音楽だった作品。音楽…舞台芸術をのこしてゆく、演奏・上演し続けることがいかに難しいか(音楽も舞台で演奏されるものと考えれば舞台芸術だと思う。室内楽やピアノやヴァイオリンなどの器楽曲、歌曲などの小さな編成の作品は別だろうか…?今回は別とします)。バレエ音楽、劇付随音楽も、後に作曲者が組曲にして、組曲ばかりが演奏されることも少なくありません。序曲や間奏曲だけがのこっている作品も。音楽だけでものこっていることは、貴重なのかもしれない。でも、時々珍しい原曲のCDを見つけて聴いてみたら、組曲では割愛されてしまった曲、歌や合唱に、こっちのほうが面白い!こういうバレエ・劇なんだ!と思う。先日、ハイライト版のCDを聴いてもよくわからず、生のオペラを観て「こういうお話でこういう歌だったんだ!!」とオペラの魅力を実感した「カルメン」のように。「カルメン」も組曲化されてましたね。
 逆に、組曲から入って、まずは音楽に親しむという方法もある。両方からアプローチ出来るんだよなぁ。それもひとつの方法。いいところ。
 でも、それでも、音楽と舞台芸術が融合しているのを観たいと思います。作品にもよりますが、オペラはまだいい方か?

 演奏頻度の少ない曲でも、演奏され続ければ徐々に知られ、広まり、じわじわとファンを集める曲になってゆくかもしれない。クラシック音楽にも”流行”はある。映画やドラマ、小説などで取り上げられたことがきっかけで、それまでそんなに注目されていなかった曲が一気に注目されることもある。演奏頻度が少ないからと言って、マニア向けとも限らない。逆に、何の予備知識がないからこそ、まっさらな状態で楽しめる。普段クラシックに馴染みのない人にとっては、大編成のオーケストラは迫力満点で、ロックのように聴こえ、新鮮に感じられるかもしれない(私もそう。大編成ものはそんなに聴かないので)。

 それから、現代作品。以前読んだベートーヴェンの四コマ漫画「運命と呼ばないで」で、ベートーヴェンの時代は音楽の転換期に合った。宮廷音楽家はリストラされ、音楽は貴族だけのものではなくなり、一般市民もピアノを習いはじめる。ベートーヴェンの音楽は、その時代の”現代音楽”だった。これまで、残ってきた作品はどのように演奏され続けてのこってきたのだろう。一方で、どれだけの作品が”消えて”いってしまったのだろう。今生まれている作品も、100年後にはどのくらい、残っているのだろうか。クラシックだけじゃなく、全ての音楽で。

 音楽、舞台芸術をのこす、演奏し続ける。そして私達聴衆も聴き続ける。両者がいなければ、成り立たない。のこすことが目的ではない、音楽を、舞台芸術をたのしむことが一番。でも、面白い作品なら、100年後も楽しめるようにしたい。出来るなら、音楽だけでなく、ひとつの舞台芸術作品として。そんなことを思った昨日の「クラシック音楽館」でした。

【過去関連記事】
R.シュトラウス生誕150年とばら
オペラ事始 その2 ビゼー「カルメン」(ハイライト)
オペラ事始 その4 生のオペラを観に行こう
運命と呼ばないで ベートーヴェン4コマ劇場
・2月のN響オール・シベリウスを聴きに行こうとしたが…:大雪の東京へ
[PR]
by halca-kaukana057 | 2014-06-16 22:16 | 音楽


好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)

プロフィールを見る

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

お知らせ・別サイト

管理人HN:(はるか)
 熱しやすく冷めにくい、何が好きになるかわからない好奇心のかたまり。このブログでは好きなものを、好き放題に語ってます。

プロフィール
*2014.9.5:更新
はてなプロフィール:遼(halca-kaukana)



web拍手を送る






日々のログ:今、ここ、想うこと
または:Twilog

はてなブックマーク
Mielenkiintoinen!

気になること、関心のある記事や参考にしたサイトなどのブックマーク集。コメント多め。

◆ピアノ録音置きブログ:Satellite HALCA

☆「はやぶさ2」、小惑星リュウグウ目指して順調に飛行中!☆
管理人・遼も小惑星探査機「はやぶさ2」を応援しています。



あかつき特設サイト
JAXA:金星探査機「あかつき」特設サイト

☆祝!「あかつき」は金星の衛星になりました☆
金星軌道上で観測準備中!

最新の記事

メロディ・フェア
at 2017-05-17 22:51
日本・デンマーク国交樹立15..
at 2017-05-12 22:18
流れ行く者 守り人短編集 /..
at 2017-05-09 22:51
北国の春 2017
at 2017-05-04 21:21
日本とデンマークの150年切..
at 2017-05-02 21:54
理化学研究所創立100年記念..
at 2017-04-26 22:11
「星の物語」切手 第5集 押..
at 2017-03-11 21:47
星の案内人 4 [完結]
at 2017-03-07 22:30
最後は南天 「星の物語」切手..
at 2017-03-04 22:44
2017:あけましておめでと..
at 2017-01-05 21:45

カテゴリ

はじめにお読みください
プロフィール
本・読書
宇宙・天文
音楽
奏でること・うたうこと
Eテレ・NHK教育テレビ
フィンランド・Suomi/北欧
イラスト・落描き
日常/考えたこと
興味を持ったものいろいろ
旅・お出かけ
information

タグ

以前の記事

2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
more...

検索