自分の眼で確かめ、観察しなさい 人形劇「シャーロックホームズ」第3話

 日曜恒例(と言ってもまだ3回目)の、三谷幸喜脚本人形劇「シャーロックホームズ」第3話「困った校長先生の冒険」感想いきます。

 冒頭は221B。歌うハドソン夫人。大きな紙に何かを書いているワトソン。訝しげな眼で観ているホームズ。「最初の冒険」のホームズの推理エピソードを、壁新聞に書いている。
 原作(正典)では、ワトソンがホームズの推理について本に書いて出版する。それが、私たちの読んでいる「ホームズ」の物語の数々…という内容を、学園もの・15歳の学生ということで、壁新聞に。しかも、ワトソンを誘ったその壁新聞編集委員の名前がストランド。「ホームズ」シリーズが連載されていた「ストランド誌」からですね。しかも、差し障りがあるので、ハドソン夫人は仮名で「ターナー夫人」…この3話の元になった「ボヘミアの醜聞」で、何故かハドソン夫人のことが「ターナー夫人」と表記されていた(シャーロキアンたちを悩ます謎のひとつです)ことに由来しています。もう最初から正典ネタがてんこ盛り。
 そして、貼り出される壁新聞。生徒たちが集まって、ワトソンが書いたホームズの物語を読んでいる。あのドレッバーも。それを遠くから見ているワトソン。「僕の作家デビュー作となった…」とワトソンのナレーションにあります。これは、つまり…。嬉しそうで、ちょっと恥ずかしそうなワトソンが可愛い。

 ここから本題。夜、221Bにやってきた男…今回の依頼人、オルムシュタイン校長先生。その依頼が…先行放送でも「何だよそれ…」と笑い、ひたすらツッコむしかなかったが、本放送で観ても同じだった。まだ青少年、15歳の生徒に、不倫の相談を持ちかける校長先生って何だよ!!?w放課後は校長室で遊んでた…目隠し鬼とか…これいいのか?放送していいのか?ワトソンの「奥さんがいるのに!!?」(全部で4回言いましたw)、「最低の校長先生だね」普段は心優しいワトソンもこの言葉(素直な、率直な感想ではある。ワトソンらしいと言えばワトソンらしい)。本当にどうしようもない…。
「大人になればわかる。人間はたまに、そういう間違いをおかすものなんだ」
"最低の校長先生"だけど、この言葉に共感してしまう。様々な間違いをして、人間は大人になるのだよなぁ…何だか切ない。ホームズが受けた依頼、それは、その相手…保健室の先生のアイリーン・アドラー先生と一緒に撮った写真を、アドラー先生から奪い返すこと。

 そのアドラー先生を観察するために、ホームズは仮病を使って保健室へ。後で、保健室であったことを話すホームズの表情がとても満足そうw完全ドヤァ状態wホームズの顔色を診ようとアドラー先生が顔を近づけ、頬を赤らめるホームズ…人形劇はここまで表情豊かに表現できるのだなぁ、と感心して観ていました。ホームズが顔を赤らめたのは、照明によるもの。CGなどではありません。そこが凄い。美人で優しいアドラー先生と2人きりでいられたなんて…羨ましいと思うワトソン。一方、アドラー先生は美人でいい香りがしたけど、ただそれだけ、と平静を貫き通すホームズ。さて…、ホームズは本当に興味が無いのか、無い振りをしているのか。

 そんな保健室に、来客が。美術のゴドフリー・ノートン先生。ハンサム、美男子としか言いようが無い。校長先生の絵を描きあっている。どちらが似ているか、ホームズに審査してもらう、と…。ちょっと待って、あの”ピーナッツカバ”石膏像のホームズに!wホームズが選んだのは、大胆な色遣いの絵…アドラー先生作。ノートン先生のよく出来たデッサンに対しては、「デッサン力はあるけど、ただそれだけ」と…。”ピーナッツカバ”の作者に、美術の先生の絵がバッサリと…wでも、私もアドラー先生の絵の方が好き。ユーモラスな校長先生を、カラフルに、思い切って表現してる。

 そして、写真は保健室にあるはず、と、ホームズが考えた作戦を決行することに。ホームズが想像した作戦の段取り、写真が見つかるシーンが壮大。一体どんなものを想像しているんだ、ホームズw

 ツッコミはここまで。ホームズとアドラー先生の心理戦の始まりです。火事を”演出・演技”するワトソン。その非常事態にアドラー先生の目線が反応する。写真はここだ…!!と思ったら…。
 アドラー先生が本当にカッコイイ。賢くて、肝が据わっている、駆け引きのうまい、強い女性。ホームズに対してのこの言葉が印象的です。
「いつも自分が一番賢いと思わないこと」
ホームズは、「最初の冒険」でも見事に2つの事件を解決し、この物語で語られる前、つまりワトソンが転校してくる前も、多くの生徒たちの相談にのり、事件や謎を解決してきた。1話で、221Bに生徒たちが行列を作って、ホームズの相談を待っているように。そこにワトソンがやってきて、一緒に事件や謎を解決する相棒・親友が出来た。しかも、壁新聞にその推理を物語にして書き、発表している。ホームズも、自分自身の推理力には自信を持っていたのだろう。しかし…アドラー先生の前で、歯車が狂い始める。

 1・2話では、よく観察することを徹底的に大事にしてきたホームズ。観察力、洞察力の丁寧さ、鋭さが、ホームズの推理を支えている。しかし、この3話では、ホームズがおかしい。いつものホームズらしくない。アドラー先生との心理戦で、写真を見つけ奪い返すことだけに必死で、よく見てよく観察しようとしていない。アドラー先生の目線の動きは見逃さなかったのに、写真を前に気持ちが先走ってしまっている。
「嘘だと思うなら、自分の眼で確かめなさい」
「見るだけではダメ。観察しなきゃ」
アドラー先生にこう言われてしまうホームズ。案の定、写真はオルムシュタイン校長とのものではなかった…。冒頭の、オルムシュタイン校長の言葉を思い出します。「間違いをおかすものなんだ」。ホームズだって間違える。失敗する。

 3話、初期の段階で、この「ボヘミアの醜聞」を元にした物語を持ってきたのがいい。モリアーティ教頭とはまた異なる、ホームズを惑わす存在が学校内にいること。アドラー先生と直接対決をして、ホームズは勝てなかった。ホームズも未熟な部分があるということ。それが、15歳の少年がこれから成長してゆくことを暗示している。アドラー先生の前で引き下がろうとしない、負けず嫌いなホームズ。その一方で、事件が解決すると、アドラー先生に対して敬意を抱き、特別な存在とみなすようになる。
 今後もアドラー先生はちょこちょこ登場するみたいです(「冒険ファンブック」より)。ホームズを更に惑わしつつも、言い諭す存在になってほしい。アドラー先生も、ホームズと同じく目の動きが印象的なキャラクタです。目線が鋭い、でも麗しい。それでいて聡明で強い。「魔性の女」と表現されていましたが、好きだなぁ、アドラー先生。

 先行放送の時は、「ホームズ」シリーズって推理もの、ミステリのはずだけど、こんな話も推理ものなの?と思っていました。その後原作(正典)を読み、3話は学園を舞台にアレンジはしても、原作にかなり近づけてあることが判明。「ボヘミアの醜聞」がおさめられている「シャーロック・ホームズの冒険」はじめ、「ホームズ」シリーズにはこんな誰かにとって重要なものを探して見つけ出したりする、殺人事件のない話も結構多いことを知る。あまり読まないジャンルだったので、推理もの、ミステリ=殺人事件と思っていましたが、そうじゃないんだな。

 しかし、いつの間にかワトソンがビートン校に馴染んでいる。冒頭の壁新聞編集委員のストランドと意気投合したり、先生たちのこともよく知っている。心優しく、誰とでも仲良くなれそうな性格だからかな。ラグビーで、集団行動、人と協力することも養われていそう。人形劇ノベライズでは詳しく書かれていますが、人形劇本編では転校からどのくらい経った設定なんだろう?
 あと、保健室でのシーンでひとつ。アドラー先生の絵を選んだホームズに抱きつくアドラー先生。抱きつきながらノートン先生とも話をするのですが、その間、ホームズの表情が、動きが止まっているwうん、ドキドキするよな、わかるよ、わかりますよ。あんな美人さんに抱きつかれたら、さすがのホームズだって、ねぇw


 さて、今回も描いてしまいましたよイラストを。
f0079085_22512420.jpg

 勿論アドラー先生。表情といい、髪型といい、描くのが難しいキャラクタです。鋭さと優しさ、美しさを同時に表現した…かった。鋭さだけが強くなってしまった。もう少し優しい感じにもしたかったのだが…。
 端っこに男子たちを。ワトソンは「奥さんがいるのに!!?」のシーンでw「火事だー!」でもよかったのですが。描けないだろうと思っていたオルムシュタイン校長を、描いてみたら意外と描けた。ノートン先生は無理でした。何回練習しても似ない!アドラー先生とノートン先生の2ショットを描きたいんです。

 来週はイラストは難しそうだな…先行放送で観ているのですが…どちらも描けそうなキャラクタじゃない。思い切りデフォルメしないと描けそうも無い…。
 そういえば、最近サブキャラばかりで、真面目にホームズとワトソンを描いてない?線画は出来ているんです。まだ色を塗れてません。いつになるか…。
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by halca-kaukana057 | 2014-10-26 23:07 | Eテレ・NHK教育テレビ


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