シンプルから複雑へ 人形劇「シャーロックホームズ」第5話

 昨日書けなかったNHK(Eテレ)人形劇「シャーロクホームズ」感想です。第5話「赤毛クラブの冒険」

 今回は、前フリ無しにOPからスタート。何度観てもこのOPは映像も音楽もかっこいい。ああ…、OPテーマ「Scarlet Story」のフルはいつ聴けるのでしょうか…。ナノさんのアルバム、来年1月28日発売までお預けか、その前にサントラが出るか…。だからシングルカットしましょうよ。結構話題なのに。

 ワトソンが221Bに帰って来るとお客さんが。ワトソンの「ただいま」、ホームズの「おかえり、ワトソン」このやりとり、もう2人は自然にルームメイトですね。しかも、そのお客さん…今回の依頼人・ジェイベズ・ウィルソン(クーパー寮2年)に、ワトソンのことを「彼は僕の親友」と紹介するホームズ。あの友達のいなかったホームズが、同じ部屋になるとノイローゼになって3日で部屋を変えてくれと出て行ってしまい221Bにひとりで暮らしていたホームズが、ワトソンのことを「親友」と呼んだ!!これは大事件ですよワトソン君!ワトソンもちゃんと聞いていて、嬉しそう。

 さて、ウィルソンの依頼…。まず、ウィルソンは見事な赤毛の持ち主。真っ赤。何かと言われてしまうので、コンプレックスに感じている。そんなウィルソンが放課後、立ち入り禁止の学校裏の沼地で一人でぶらぶらしていたところ、声をかけられた。ダンカン・ロス(ベイカー寮4年)…彼も赤毛をしていた。そのロスに、「赤毛クラブ」に入らないか、と。燃えるような赤毛の持ち主でないと入れないクラブで、ロスは25代目の部長。全国の学校に赤毛クラブはあって、ロンドンに総本部がある。総本部では総会が開かれ、国中の赤毛が集う、と。部室という小さな物置小屋で、そんな説明を聞いたウィルソン。壁にかけられた写真は、その総会の時のもの。白黒写真で、よくわからないけれど(19世紀後半、白黒写真だからこそ出来ることだよなぁ。現代じゃ出来ない)。よくわからないまま入部したウィルソンは、ロスに持ってくるものを片っ端から赤く塗りつぶして欲しいと言われる。それが部の活動。ウィルソンは毎日部室?でビンやらボールやらを赤いペンキで塗っていたが、ロスはその間不在。塗ったものはロンドンの総本部に持っていくという。ウィルソンの塗り方を誉めるロス。総本部でも話題だと。ロスが塗ったものをどこかへ運ぶのを、そっと後をつけたウィルソン。ロスは、洞窟にこれまで塗ったもの全てを隠していた。ロンドンの総本部のはずじゃ…?わけがわからなくなり、ホームズに相談しに来た、とのこと。奇妙で不可解。赤毛クラブとは何だ?ワトソンも困惑。ホームズも奇妙な事件に興味を持った模様。「あとは僕たちに任せて」とウィルソンを送り出す…。「僕たち」、ホームズだけでは無く、ワトソンも含まれる。ホームズはワトソンを完全に相棒と認めている!!やっぱり大事件ですよワトソン君!!

 不可解なことに巻き込まれたが、ウィルソンはまだ赤毛クラブに通う、と。赤く塗るのが楽しくなってきた、と。内気で集団行動が苦手だけど、律儀でけなげ。ウィルソンもいい子だなぁ。

 ホームズ、これまでのことを考えるために、少し黙っていてくれ、と。「ピロピロ3回分」。いつもホームズが吹いているあの吹き戻し・ピロピロ笛。原作(正典)「赤毛連盟」では、パイプでタバコ3服分。大体50分。ピロピロ3回分…シュールです。いつもホームズがピロピロ笛を吹くシーンはシュールで、コミカルで、笑ってしまうのですが、今回は特にシュール。しかもその3回後に「見えた!」と。ワトソンの「もう!?」私も同じことを言いたいw

 ホームズとワトソンは推理を実証するために調査へ。まず、赤く塗ったものが隠されている洞窟へ。4話でも洞窟が出てきましたが、この学校にはいくつ洞窟があるんだ。そこには様々な赤く塗ったものがあるけれども、ひとつ、不思議なものが…ミロのビーナス像。これがあるのは美術室?

 ということで、美術室へ。絵画クラブが絵を描いている。顧問は勿論、美術の先生のノートン先生。またこの2人ですかw赤いビーナス像を見るなり、何だこれはと驚き呆れるノートン先生。一方、なかなかいいと言うホームズ。またしてもこの2人、美術観で対立。ホームズの態度・言動も気に食わない。ノートン先生はホームズを完全に目の敵にしている。ノートン先生、赤いビーナス像をワトソンに投げるように持たせた!wノートン先生、八つ当たりはいけません!w
 さて、ダンカン・ロスは絵画クラブの部員。ノートン先生曰く、「小柄で、大人しい生徒」。最近は美術室へはやってこない。ロスのイーゼルを見ると、動物のスケッチが。落ちていた鳥の羽根。

 鳥の羽根について聞こうとやって来たのは、動物に詳しい女子生徒・シャーマン(ベイカー寮3年)の飼育小屋。白鳥の羽根だとすぐに分かるシャーマン。どこで見つけたの?と興味津々。一方ホームズも、白鳥について聞く。シャーマンはホームズの質問には答えるけど、ホームズはシャーマンの質問には答えてくれない。「相変わらず人の話を聞かないね」と呆れるシャーマン。美術室でも、そしてシャーマンにも挨拶・お礼を言うのはワトソン。探偵助手は大変です。

 シャーマンは、原作では「四つの署名」に出てくる、剥製屋のおじいさん。そう、原作ではおじいさん。大事なことなので2回言いました。おじいさんが、可愛い女子生徒になっちゃったよ!!ぷるんとしたほっぺとほんわかした雰囲気が可愛い…。話し方、声も可愛い。先行放送の時から可愛い可愛いとお気に入りのキャラクターなのですが、やっぱりシャーマンは可愛い。
 4話ではラングデール・パイク、5話ではシャーマンと、他のエピソードで出てくる、しかもちょい役のキャラクターが、人形劇では準レギュラーとしてホームズに協力する。ここが面白い。シャーマンの「相変わらず~」の言葉から、ホームズはこれまで(ワトソンが転校してくる前)もシャーマンに何か尋ねることがあったのだろう。ホームズに友達はいなかったが、パイクやシャーマン、レストレードと協力してくれる生徒はいる。ホームズは信頼はされているのだろう。

 さて、いよいよ問題の学校裏の沼地へ。立ち入り禁止区域に、心配するワトソン。見つかったらまずいし、根は真面目だからか。「嫌なら帰ってもいい」とバッサリ、真実の前では何も恐れないホームズ。そこにやってきたダンカン・ロスは…。

 ロスの自白、動機はいたってシンプル。ただ、白鳥の絵を描くために、白鳥を静かに観察したいから、人が増えて白鳥が来なくなったら困る。だから、ウィルソンを沼から遠ざけたかった。そのために、ウィルソンの特徴を利用して、赤毛クラブをでっちあげた。
 ホームズも「芸術的」と賞賛するこの事件。「シャーロッQ!」でも紹介されていたこの言葉
「事件は奇妙であればあるほど、かえって本質は、わかりやすくなるものなのだよ」
(小林司/東山あかね:訳、河出文庫より)
シンプルな線画・スケッチに、色を塗り足し、絵は出来てゆく。色彩豊かで緻密で複雑な絵も、元をたどればシンプルなスケッチ。ロスも、ただ単純に沼地を、白鳥の絵を描きたかっただけ。そのために、どうしたらいいか…と考えた末がこの事件。ロス、なかなかやります。確かに「芸術的」。

 ホームズの美術観は、他の人とは随分違う、独特なものなのかもしれない。ピーナッツカバの石膏像や、ホームズ自身も「美術は苦手」と言っている(ワトソンにからかわれて答えたので、本心かどうかはわからない)けど、アドラー先生とノートン先生の描いた校長先生の絵や、赤いビーナス像についての感想といい、学校の成績としてはイマイチだけど、美術観そのものは普通の人と違うだけ。どこを見ているのかも。

 ホームズの思考もそう。鋭い洞察力は、細かく観察した事実に基づいた飛躍した想像力から生まれているものだろう。ピロピロ笛をたった3回吹くだけの数十秒の思考で、ウィルソンの証言から想像を思い切り飛躍させ、推理している。3話のアドラー先生の写真の隠し場所の予想も、そんな飛躍した想像から出てきたものだろう。他の人とは全く異なる思考回路。想像力。複雑なものを目の前にしても、その構造を一気に見抜いてしまう。観察した事実と想像力が釣り合って、ホームズの推理は成り立っているのだろう。
 ホームズは、一体どこをどう見ているのだろう。4話の「シャーロッQ!」ホームズ名言では、「どこを見るべきかがわからないから、大切なところをみな見落としている」が取り上げられました。今後も、ホームズの視点、観察力を学びたい。

 ラストで、ロスが「大人になったら、いい画家になれるといいね」のワトソンの言葉に、ホームズも同意。おや、ホームズが他者のことを気にかけている。4話ではサザーランド嬢とウィンディバンクのことには無関心だったのに。ワトソンとともに行動するようになって、ホームズも変わり始めた証拠かな?

 …本当のラスト…。ウィルソンのオチ…。律儀でけなげなウィルソンを応援したくなるので、このラストは辛いですwノベライズのラストは、ちゃんとフォローがあってよかったなぁ。
・ノベライズ(2巻):[NHK人形劇ノベライズ]少年シャーロックホームズ 赤毛クラブの謎
 ↑「親友」「僕ら」と呼ばれて、俄然がんばる熱いワトソンも応援したくなりますw

 今回も原作解説クイズ「シャーロッQ!」はあります。ピロピロ笛ホームズのアニメが可愛い。百科事典の変遷も興味深いです。原作のホームズ名言集もいいですね。

 ちなみに、3話~5話は、原作(正典)「シャーロック・ホームズの冒険」の冒頭3話を順番に取り上げているのもポイント。「ボヘミアの醜聞」→「花婿失踪事件」→「赤毛同盟」、「ホームズ」シリーズの代表作オンパレードです。
 ここで、元々掲載されていたストランド誌では、間違えて「赤毛」→「花婿」と掲載してしまった。そのため、「赤毛」に「花婿」の記述がある、奇妙な順番になってしまった。新潮文庫では、その「赤毛」→「花婿」のままになっていますが、河出文庫では本来の順番である「花婿」→「赤毛」に直して掲載しています。他の出版社のはどうなんだろう。まだ確認できてません。

 しかし、この学園には洞窟やら沼地やら、色々なものがありますね。沼地は、今後また出てきそうな予感。

 さて、これまでは先行放送でも放送したものでしたが、次回からいよいよ新作です!「生真面目な証人の冒険」。レストレード回です。予告を観ると、派手な髪の生徒2人とレストレード?ホームズに助けを求める。レストレードに何があったのか?楽しみです!
 しかし、来週はリアルタイムで観られないのが残念です。


 今週もイラスト描きました。
f0079085_231553.jpg

 5話のウィルソンとロス。ウィルソンは大分デフォルメしました。角ばった顔と、燃えるような赤い髪…髪型も炎みたい。一方、ロスは小柄。でも、ハンサムです、イケメンです。そういえば、ロスは初めての上級生(4年)ですね。レストレードはホームズたちと同じ3年です。
 いつもはモノクロなのですが、折角なので赤毛にしました。ロスは…?ワトソンメモ風にしてみました。

 以前描いたイラストは、記事下の「イラスト」タグからどうぞ。
[NHK人形劇ホームズ]真面目に描いた +寮とキャラクターの謎?
 このイラストで、2人の会話…5話からイメージしました。「ピロピロ何回分?」
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by halca-kaukana057 | 2014-11-10 23:26 | Eテレ・NHK教育テレビ


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