ホームズを観察せよ、もしくはホームズ操作術 人形劇「シャーロックホームズ」第6話

 今週も月曜になった、NHK人形劇「シャーロックホームズ」感想です。これまでは先行放送の再放送でしたが、今回から新作です!!(第11話・先行放送第6回「まだらの紐の冒険」除く。これは先行放送分)
 第6話「生真面目な証人の冒険」。元となった原作は、「ウィステリア荘」(「シャーロック・ホームズ 最後の挨拶」に収録)

 いつもの221B。レストレードが、ホームズに頭を下げ、助けてくれ!と必死にお願いしている。しかし、ホームズの態度は冷たい。前回5話、立ち入り禁止区域の沼地にホームズとワトソンが入ったのを目撃した人物が、生活委員であるレストレードに伝える。レストレードは生活委員の使命として、生活指導担当のロイロット先生に報告。おかげでホームズとワトソンは、ロイロット先生にこてんぱんに叱られてしまった。ということで、ホームズはご機嫌斜め。レストレードのことを「友達だと思っていたのに」…!?あの友達のいなかったホームズが、レストレードのことは友達だと思っていた!?ワトソンのことは「親友」と5話で言っていましたが、レストレードも「友達」と。原作(正典)でも、ホームズはスコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)のレストレード警部とは親しくしていますが、15歳では友達ということになったんですね。ホームズは、意外とひとりではない。

 怒っているホームズだが、ワトソンもご機嫌斜め。あの心優しいワトソンまで!ワトソンでも、あのロイロット先生に叱られるのは嫌だ。確かに規則は破ったけど、それはホームズと一緒に「赤毛クラブ」の謎を解き明かすため。1・2話で、消灯時間を破って食中毒事件の解決して欲しいと依頼しに来たのはレストレード。事件の謎を解くためなら、規則を破ることもためらわないホームズのことは、レストレードもよく知っているはずなのに。ワトソンもレストレードを「友達」と思っているんだろう。
 帰ってくれ、と言い放つホームズとワトソン。仕方ない…出て行こうとするレストレードに、「でも、話だけは聞いてやってもいい」…ホームズ、ツンデレですなw
 …あれ、ダンカン・ロスは怒られなかったのだろうか。これは不明。

 そのレストレードが困っていることは、奇妙な事件に巻き込まれたこと。戦略ボードゲームが趣味のレストレード。教室でひとりゲームをしていたら、アーチャー寮2年のアロイシャス・ガルシアという男子生徒が話しかけてきた。ウェリントン将軍(ワーテルローの戦いでナポレオンを破ったイギリスの軍人)を尊敬しているレストレード。ガルシアもウェリントン将軍の戦略について詳しく、話が合い、夕食後にレストレードはガルシアの部屋へ。ヘンダーソンというルームメイトとも意気投合し、盛り上がる3人だったが…。いつの間にか寝てしまったレストレード。目が覚めたらガルシアとヘンダーソンはいない。授業にも出ていない。消えてしまった…?ということで、ホームズに助けて欲しいと頼みに来たのだが…。
 話の途中で、ガルシアに自己紹介するレストレードが、「クーパー寮3年、ゴードン・レストレード」と言っていました。ホームズ、ワトソンと同じ3年であることが、本編でも明かされましたね。レストレードの名前はゴードン…原作ではファーストネームは特に表記されていないので、これは創作?いや、シャーロキアンの間では何か色々な説があるのかも(正典入門中のため、まだまだ勉強中です。まだ全60作読了してないですし…)。

 そこへ、221Bに突然入ってきた男子生徒。ノックもしない。彼は、レストレードと同じ生活委員のベインズ(制服は緑のクーパー寮。学年不明)。ホームズとワトソン、2人を褒め称える。名推理で学園の有名人であるホームズのことを尊敬している、と。やってきた理由は、レストレードをつけてきた。数学のテストに書かれたことから推理して、ホームズの部屋にいるだろう、と。その推理を誉めるホームズ。そしてガルシアとヘンダーソンがいなくなったことで、レストレードが関与している、と…。ホームズばりに推理を論じるベインズ。推理する時の歌舞伎みたいな効果音…ホームズが推理する時、目を開く時「カチッ」と音がしますが、それをマネしているのか?ベインズの推理は随分と大胆。そして、2人が消えた事件の犯人はレストレードと、モリアーティ教頭のところへ連れて行く、と…。ロイロット先生よりも怖い、モリアーティ送り…!動揺するレストレード。ホームズも「機会があったらまた会おう」…冷たい…。ああレストレード…どうか無事でいてくれ…。

 ここから、ホームズとベインズの推理対決?が始まります。ベインズの推理はただの空想だ、現場検証に行こうと、ガルシアとヘンダーソンの部屋へ向かうホームズとワトソン。そこにはベインズが!部屋の鍵を開けてくれる。ベインズはどんどん推理するけど、ホームズはあまり何も言わない。現場を立ち去るホームズ。追いかけてきたベインズは、更に中庭で背を向けて座っている生徒が何をしているか、推理しよう、と。「観察することが大事」と、今回も原点を見失わないホームズだが…、まさかのベインズの勝利。ベインズ、恐るべし…!

 221Bに戻り、怒って取り乱すホームズ。ベインズを「全く子どもらしさがない!」…ホームズ、お前が言うかwこう思ったのは私だけではない、絶対にwさらに、ピロピロ笛がない!!と叫び、物を投げ散らかし、勝手に部屋を片付けたハドソン夫人を大声で呼ぶ。ホームズは正典でも、他の映像作品でも、クールなようで怒ると手がつけられないほど感情的になる様が描かれますが、ついに人形劇でも取り乱すホームズが!しかもピロピロ笛がない、のが原因ですかw中毒ですかwピロピロ笛は、ホームズのシンボルでもあるパイプの代わり(15歳なのでタバコはダメ)。ただ吹いていただけじゃ無く、精神を安定させるためだったんですね。だから19世紀後半のイギリスにピロピロ笛(吹き戻し)なんてあったのかとw(ありませんw)
 呼ばれてすぐやってきたハドソン夫人にも笑った。2話で無実を晴らしてもらい、ホームズのことは「シャーロック」とファーストネームで呼び、ホームズとワトソンのことはとりわけ可愛がっているハドソン夫人。ピロピロ笛も机の上にきれいに並べてあった。ここで正気に戻り、少し恥ずかしそうにしているホームズがまた笑えるwワトソン…苦労するなぁ…。

 そして、ホームズは真相にたどり着く。レストレードが真面目で正直な性格であるのを利用した事件だった、と…。ホームズの推理で事件解決…と思いきや、またベインズ登場!ストーカーか!ここで、ベインズは戦略を種明かし。ベインズ、頭の切れる賢い奴。今回の事件を解決したのはホームズだけど、"解決させた"のはベインズ。ホームズを尊敬しつつも、ライバルである。尊敬していると言われても「全く嬉しくないのは何でだ?」とホームズ。そんな2人を見て、ワトソンの言葉
「陸上競技をやっていた友達が言っていた。ひとりで走るより、二人で走った方が記録が伸びるらしい。ベインズはホームズの前に現れた、初めてのライバル。ホームズにとっても、それはいいことなのかもしれないな」

 元ラガーマン、スポーツマンらしい考え方。ベインズのいいところもちゃんと認め、勿論ホームズのことはしっかり思っているワトソン。ワトソンの視点は本当にあたたかく、優しい。

 さて、ホームズのライバル?のベインズ。アドラー先生も、ホームズに勝った人物ですが、ホームズ2敗目。アドラー先生はホームズの推理を見抜いていた点で勝ちましたが、ベインズとは推理勝負をして負けた。アドラー先生とはまた異なる、ホームズに影響を及ぼす存在。ホームズのことをよく見て、観察していて、ホームズをどうしたら「本気にさせられるか」わかっている。ホームズの負けず嫌いもよく知っているのかもしれない。
 でも、ホームズの親友であり相棒はワトソン。ワトソンもホームズのことをよく見ているし、ホームズが見せようとしない感情の動きも見抜いている。ホームズにとって、ワトソンとベインズはどう違う存在なのか。

 私は、ワトソンに対しては"信頼"、ベインズに対しては"ただの賞賛"と読みました。ホームズは、ワトソンに対してはどう推理したか、何を見るべきか、話す時はちゃんと話す。でも、自己完結型なので、ワトソンを置き去りにしてどんどん先に行ってしまうことはしょっちゅう。
 一方、ベインズに対しては、ホームズはあの推理対決の時以外自分の推理を一切話していない。「わからないね」とはぐらかしている。最初はベインズを、いい推理はするけど僕ほどじゃない、と思っていた。だが、現場検証をしても、すぐに結論は出さないし、手の内は見せたくない…どこかで警戒していたのだろう。だからベインズには何も話そうとしなかった。

 正典ではベインズは「ウィステリア荘」だけに登場する、地方警察の警部。4話のラングデール・パイク、5話のシャーマンに続き、またちょい役が今後も重要な存在になっています。ワトソンが言う通り、今後も、ホームズとベインズは切磋琢磨して、ホームズはその推理を磨いてゆくのだろう。しかし、上記引用した箇所のシーンで、一番腕力があるのはワトソン、君だよ。全力を出しなさいと思ったのは私だけではないはずだw

 生活委員の役割についても明らかになってきました。学校の、生徒たちの生活態度を監視する規律委員、風紀委員のような存在ですね。正典の警部たちが生活委員になるのかな。レストレード以外のスコットランド・ヤードの警部たちは人形劇にはまだ登場していません。グレグスンやホプキンズも今後出てくるかな?
 人形劇ノベライズ1巻では、生活委員になれるのは、成績優秀で真面目な生徒…とありましたが、レストレードの数学のテストの点数が……。これはひどい。とてもひどい。いや、事件に巻き込まれて動揺して、試験に集中できなかったのかも。でも、ベインズに「頭が悪い」と言われていたレストレード…そういえば、モリアーティ送りにされて、どうなったんだろう…?ノベライズ3巻が出たら、フォローあるかも。期待。
 あと、ベインズの意外な血縁関係も。その血縁関係なら、クーパー寮じゃなくてディーラー寮に入れそうな気がするのですが…?

 今回も「シャーロッQ!」あります!そこから出したか!!「Au revoir.」訳によっては書いて無いものもあるかと思うので、結構マニアックな出題です。私は正解できました!
 これまでは、人形劇を観た後に原作(正典)を読んできましたが、今回初めて、先に原作を読んでおいて、人形劇を観ました。「ウィステリア荘」と目星もつけておいたのですが、当たりました。よかった…。原作を知っていると、あの部分がこうなったのか!と楽しめます。

 ちなみに、BSプレミアムでは土曜に、ジェレミー・ブレットがホームズを演じる名作、グラナダテレビ版「シャーロック・ホームズの冒険」を放送中ですが、今度の放送は「ウィステリア荘」の回です。原作に最も近いとシャーロキアンたちが認めるグラナダ版。原作を読むにも時間が無い、原作を読んだけどよくわからない、という方は是非。私もグラナダ版では初めて観るので、どう映像化されているか楽しみです。
NHK:シャーロック・ホームズの冒険「ウィステリア荘」ハイビジョンリマスター版
 11月22日(土)午後3時30分~午後4時25分
 都合よければ是非。都合悪くても録画などで是非(今の元ネタ、わかるかな?)。お忘れなく。

 今週もイラスト描きました。自分流ワトソンメモっぽくなってきた。
f0079085_2238256.jpg

 ベインズ描いてみた。何故か描きたくなった。太っていて、コミカルな風貌なんだけど、描きたくなった。髪は金髪ですが、毛先は紫…血縁関係のあの人と同じです。その血縁関係が、今後の物語で何か影響してくるのだろうか。じゃないとそんな設定にしないだろうし。気になる。
 一緒に、怒るホームズ、助けを請うレストレード、彼らを見守るワトソンも。レストレードが乙女っぽくなってしまったw巻き毛のせいだ、きっと。今回、前半はレストレード回で、レストレードはお気に入りキャラなので嬉しかった。真面目なレストレードの、コミカルな別の面も垣間見れて楽しい回でした。ホームズとの掛け合いがとてもコミカル。ワトソン、ナイスフォロー。戦略ボードゲーム部…赤毛クラブよりも部員いないじゃないですかwワトソンのズッコケがよかったw

 そういえば、以前から思っていたのですが、ワトソンメモのワトソンが描くイラストも、特徴をよく捉えていてうまいよなぁ。ワトソンは文章を書くのは得意ですが、絵を描くのも得意なのか。しかも元ラガーマン、スポーツマンの体育会系でもあり、文学好きな文系要素もあり、父が医師なので理系の要素もある(原作では医師)。オールラウンダーですよ、ワトソン君…。

 最後に、ベインズの推理中の音楽がかっこよかった。サントラ、そろそろリリース情報をください…。
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by halca-kaukana057 | 2014-11-17 23:10 | Eテレ・NHK教育テレビ


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