ヴィンランド・サガ 15

 今年読んだ本は今年のうちに感想を書く…漫画2冊目。「ヴィンランド・サガ」15巻です。


ヴィンランド・サガ 15
幸村誠/講談社・アフタヌーンKC/2014

 アイスランドに16年ぶりに帰って来たトルフィン。父・トールズの死から、その間のことを、母・ヘルガや姉・ユルヴァたち家族に語る。そして、戦争や奴隷制から逃げてきた人々が暮らせる国を、レイフがかつて語ってくれた"ヴィンランド"に築く、という志も。しかし、問題はトルフィンやエイナルたちは一文無しであること。国をつくるのには金が要る。どうするか…。トルフィンの生家の村から少し離れたところの農場主・ハーフダンなら貸してくれるかもしれない…が、トルフィンは幼い頃ハーフダンと会っていた。亡き父トールズとも面識がある。悪党として有名なハーフダンだが、トルフィンは会いに行くことにする。
 そのハーフダンの息子・シグルドは、結婚を控えていた。花嫁はグリーンランドの、レイフの親戚でもあるグズリーズ。しかし、グズリーズはこの結婚に気が向かなかった…。


 表紙のおさげの女の子…この子がグズリーズです。15巻はこのグズリーズが実質的なヒロインです。勿論トルフィンのヴィンランド行きの話も進みます。

 16年ぶりのアイスランド。登場人物たちは皆成長し、老い、時間の流れを感じさせる。ユルヴァの本格的な再登場が嬉しい。前巻14巻のユルヴァの登場はとてもインパクトがありました。お母さんになっても変わってないwユルヴァちゃん最強wと思ってしまいましたが、15巻では大人の女性として、家族を持つ母親としてのユルヴァの一面が。トルフィンを散髪するシーンの姉弟の会話は、お互い成長してはいますが、"姉弟(きょうだい)"なんだな、と感じます。そして、16年間、アイスランドを離れている間に起こったことを語り、"ヴィンランド"を目指すと告げる。16年も経っていたのか…。その間に起こったこと、トルフィンが経験したこと。本編では詳しく語ると紙面が足りなくなるので割愛されますが、これまでトルフィンが経験したことを回想しながら読むと、その話を聞いている家族たちの気持ちになれます。

 "ヴィンランド"を目指し、国をつくると決めたものの、現実問題が…資金。お金はいつの時代も大きな問題ですね。その資金を借りるために、目星をつけたのが、あのハーフダン。1巻で、奴隷を酷使し、逃げた奴隷を探してトールズ、トルフィンの家にやってきた、あの男です。金と暴力で全て解決しようとした、あの悪党。トールズはひるみませんでしたが。1巻を引っ張り出して読み返しました。絵柄も1巻と15巻では随分と変わったなぁ。何かと因縁をつけてくる。そのハーフダンも、16年後、年齢を重ねていました。相変わらず大農場を経営していますが、以前の奴隷の扱いと、今(15巻)での金を貸して返せなくなった農民への扱いは、ちょっと違います。ハーフダンにも変化が。そして、息子・ジグルドが結婚を控えている。ジグルドはかつての若い頃のハーフダン…というよりは、以前トルフィンとエイナルが奴隷として働いていたデンマークのケティル農場の次男坊・ノルマルを思い出します。強がりなワル。そのジグルドを言い諭す父・ハーフダン。ハーフダン、変わりました…。でも、"ヴィンランド"行きの資金を借りるのは、一筋縄ではいきません。

 1巻を読み返していて、ハーフダンの農場から逃げてきた奴隷を埋葬するシーンで、トルフィンがトールズに「ここからも逃げたい人は…どこに行くの?」(1巻、193ページ)と尋ねていた。トルフィンは、小さな頃から「逃げ場所」を意識してきたのか。

 15巻のヒロイン・グズリーズ。小さい頃からレイフの話を聞いて、船乗りになりたいと思ってきた。でも、女は船乗りになれない。結婚し、子どもを産み育て、家庭を守る。そんなこの時代の(いや、今でも変わっていない)典型的な女性の生き方に馴染めない。性格も男勝りで、思い切りがいい。親戚関係であるレイフには女は船乗りになれない!と反対されても言い返す。子どもの頃のグズリーズが、レイフからグリーンランドの外の世界について話を聞くシーンが印象的です。「世界」は広いのに…、"狭い"家庭におさまらなければならないこれからの自分。
あーあ
「世界は広い」なんて知らなきゃよかった
(158ページ)

 ふてくされるグズリーズのこの言葉、気持ち、わかります。世界は広いのに、可能性は無限に広がっているはずなのに、自分は狭いところから抜け出せない。できることだって少ない。何やっているんだろう…よく思います。「繋がれたアジサシ」がこの15巻の副題ですが、まさに「繋がれた」状態。

 ちなみに、ユルヴァもトールズ譲りの男勝りで力の強い女性ですが、今はその強さは家庭を守ることに使っている。母・ヘルガさん譲りですね。

 そのグズリーズと、ジグルドが結婚する意味。ハーフダンとレイフが親戚関係になるようにして、ハーフダンは何を考えているのか。ジグルドとグズリーズの結婚式の後、2人だけになった時に語られます。船乗りになることを諦め、「それぞれに与えられた役割を果たす」ことをやろう、と決心しますが…ラストシーン、言葉を失いました。何が起こったかわからなかった。グズリーズ…一体…!?

 一方、トルフィンたちは新たな冒険へ。"ヴィンランド"へ行くための資金稼ぎの大冒険です。命懸けではありますが、レイフのおじさん、冒険家の血が騒いでますねwトルフィンもエイナルもやる気十分。"ヴィンランド"へは大きな回り道に見えますが、どうなるのだろう。この大冒険、私も楽しみです。レイフさんは若くないので、どうかご無事で!

・14巻:ヴィンランド・サガ 14
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by halca-kaukana057 | 2014-12-12 22:33 | 本・読書


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