15歳ホームズに足りないところ 人形劇「シャーロックホームズ」第11話

 人形劇本編は今年最後の放送(来週28日は年末特番)の、NHK人形劇「シャーロックホームズ」。第11話「まだらの紐の冒険」。先行放送の第6回です。原作は「まだらの紐」(「冒険」収録)と、本編に記述があるとおり「這う男」(「事件簿」収録)。

・先行放送第6回の感想含む過去記事:あと1週間,新発表続々 NHK人形劇「ホームズ」

 夜の221B。ホームズもワトソンも熟睡。そこへ、ドアを激しく叩く音が。目を覚ましたワトソンがドアを開けると、ハドソン夫人が叫びながら飛び込んできた。ドアを勢いよく開けたので、ワトソン、ドアに顔直撃してるw興奮したハドソン夫人絶叫。私、見ちゃったのよ!!まだらの紐~!!夜、ゴミ出しをしていたハドソン夫人が寮の外へ出た時、大きなヘビに遭遇した…と。
 この叫んだハドソン夫人、机の上の黒いものを放り投げていました。前回10話で、アガサが持ち歩いている黒いクマのぬいぐるみですね。
 翌朝、シャーマンにハドソン夫人が遭遇した大ヘビのことを話す。シャーマン、「沼毒蛇ですね」と即答。何とかして欲しいと言うハドソン夫人に、ミルクをあげてもなつかない、かまれたら10秒で死にます、と。そんな恐ろしいことをあっさりと…シャーマンはやはり肝が座っているのか。騒動を聞きつけてやって来たロイロット先生。ハドソン夫人はロイロット先生にも訴えるが、相手にしてもらえない。シャーマンに対しても、動物の鳴き声がうるさいと苦情が来ている、小屋を潰すぞ、と。そしてホームズのことも目の敵に。相変わらずです。ロイロット先生が行った後、うつむいたシャーマンは、ロイロット先生は最近何かと「小屋を潰すぞ」と言ってくる…。シャーマンにとって、動物たちは大切な友達。かなしいだろうなぁ。
 沼毒蛇はミルクをあげてもなつかない…原作(正典)「まだらの紐」に関係あるのですが、こんなあっさりと…w先行放送を観た時はまだ原作を読んだことがなかったので、さらっと流してしまいましたが、後で原作を読んで、そういうことか、と。人形劇、あっさり過ぎます!w

 場面は変わって、221B。教育実習生のヘレン・ストーナー先生が依頼にやって来た。か細く弱々しい声で、何かに脅えているよう。ストーナー先生は化学を専攻していて、ロイロット先生の指導を受け、教師になる勉強をしている。そのロイロット先生が、奇妙なのだ、と。夜、研究室で研究をしていたら、物音がして、廊下に出たら、ロイロット先生の部屋から怪しい動物が出てきた!よく見ると、ロイロット先生!?雄叫びをあげ、4本足で飛び跳ね走っている。その後、研究室をノックする音が。出てみるといつものロイロット先生。「もう寝なさい」と、ストーナー先生に告げ、行ってしまう…。
 「わけがわかりません!!」と叫び、脅え、怖がり、取り乱すストーナー先生。教育実習生で、ビートン校のこともよく知らない。ロイロット先生のことも。あのロイロット先生が奇妙な行動を?興味津々のホームズとワトソン。今夜、ストーナー先生の研究室で確かめることに。ベイカー寮を出て行くストーナー先生、とぼとぼとした歩き方。相当参ってますね。

 その直後、221Bにロイロット先生がやって来る。ストーナー先生がやって来ただろう、と問い詰めるが、はぐらかすホームズとワトソン。依頼人の秘密は守る。普段から目の敵のホームズにさらに怒ったロイロット先生、暖炉の火かき棒をぐいっと捻じ曲げてしまった!勿論、そんな脅しにはホームズは動じません。「僕たちを見くびってもらっては困ります」と、捻じ曲げられた火かき棒をワトソンに渡す。えっ、僕が?と戸惑いながらも、ワトソンも負けじと火かき棒をぐぐぐっと元に戻す。よくやった、ワトソン!!ロイロット先生、黙って221Bを出て行きます。221Bの2人。肉体労働は任せる、とワトソンにラグビーボールを投げて渡すホームズ。ワトソンも、ロイロット先生は異常だったね、と。ホームズ、ニヤリとして「今夜が楽しみだ…」。いい表情です。奇妙なことが大好きなホームズ。怖いという感情は無いのか…?そう言えば、今までも、ホームズが恐怖を表現したことは無かったような。
 原作では、このストーナーが依頼に来た後、ロイロットが221Bを訪れ2人を威嚇する。原作通りです。ホームズがはぐらかしたセリフまで原作通り。後で原作を読んで、「これかぁ!」と再び納得。「隙間風が~」のくだりも原作通りですが、人形劇だと10話とつながっていますね。なるほどこれはうまくつなげたな、と思ってしまった。でも、その後の火かき棒対決は変えてあります。15歳ホームズは細くて、動きは身軽いけれども腕力は無さそうですものね。ここは15歳ワトソンの出番。火かき棒を捻じ曲げるのは、実際かなりの力が無いと出来ないそうです。それを元に戻すのは、もっと困難なのだそう。大人のロイロット先生以上に腕力があるのか、15歳ワトソン…!!

 夜、ストーナー先生の研究室。実験器具、リトマス試験紙を興味深く見ているワトソンw子どものノリですw普段は実験器具は簡単に触れないですものね。ただ、221Bにはホームズの実験器具が沢山置いてあるし(でも触ったらホームズは怒るだろう)、ワトソンも医師の父の仕事場で見ているとは思うのですが…?
 そこへ、ドアをノックする音が。ロイロット先生。今夜も研究かね、とストーナー先生を気遣い、部屋から出ないように、と。その後、また物音と奇声が。脅えるストーナー先生。警戒し、身を寄せる3人の構図がいいシーンです。そして、大きな物音。廊下に出てみると、やはりロイロット先生が動物のように4本足で走り、跳び、暴れている。ホームズの指示でロイロット先生を追いかけるワトソン。でも、見失ってしまいました。だから、ワトソンは足の怪我で走るのがきついんじゃ…。スピード勝負の時はホームズが走ったほうが速そうなのに。

 ロイロット先生の部屋は、引っかき傷があちらこちらに付き、カーテンも破れ、本や家具も散らばり、ひどい有様。部屋には動物の図鑑が何冊も。ダンベルもある。そして、小さなはさみと毛、手鏡…鼻毛の手入れをした跡。ダンベルで筋肉を鍛え、身なりを整え、ストーナー先生の話では香水の匂いがきつくなった、と。ホームズの推理…ロイロット先生は、恋をしている、のだと。誰に…?ストーナー先生ではない。動物図鑑、動物の真似をしている、動物と言えば…シャーマン。シャーマンに事あるごとに「小屋を潰すぞ」ときつく当たっていたのは、愛情の裏返し…。
 ストーナー先生が「まさか、私?」と言ったのに対して「残念です」と言うホームズが面白い…いやひどいwしかも、ストーナー先生がホームズの肩に手を置いたのを、サッと払ったでしょうホームズ…ひどい!w

 「そのくらいにしてくれ」と戻ってきたロイロット先生。ホームズの推理通り、ロイロット先生はシャーマンを好きになってしまった。教師が生徒に…あるまじき恋。動物のことを話しているシャーマンはとても愛らしく、癒される。わかります…シャーマン可愛い、とっても可愛い。ただ、ホームズの推理は間違っている、と。シャーマンの気を引くために動物になりきろうとしたのでは無く、シャーマンが心から愛する動物になりきれば、シャーマンと心を通わすことができるかもしれない、と思ったから。この後のホームズとロイロット先生
「君にはわからんだろうな」
「わかりませんね」
「だろうな。だからお前は駄目なんだ」

この会話、そして駄目と言われた後、無言でうつむくホームズ…普段と違います。一方、ロイロット先生の恋心を知ったワトソンとストーナー先生は、想いはシャーマンに伝わっているの?告白なさるのですか?と質問。勿論伝えられないし、伝えてはならない。「私はそこまで恥知らずではない!」と断言するロイロット先生。でも、恋心は止められないんですよね…。

 その時、悲鳴が。この声はシャーマン!中庭で、シャーマンが沼毒蛇に襲われている。さすがのシャーマンもこれは恐ろしい様子。ここで、動物…エジプトマングースになりきったロイロット先生が応戦。シャーマンを沼毒蛇から救い出し、ロイロット先生、立ち向かいます。襲われても、蛇を殺さないで!と叫ぶシャーマン。ロイロット先生、ヘビに攻撃、噛み付き、ヘビは逃げてゆく。ワトソン、そっとロイロット先生にもう大丈夫ですよ、と伝える。シャーマンを保護しているホームズの元に駆け寄るワトソンとストーナー先生。今のは一体…マングースみたいだったけど…と不思議がるシャーマン。ホームズ「通りすがりのマングースでいいんじゃないかな」それでいいのかwシャーマン、素直に「マングースさん、ありがとう!」と。シャーマンには、マングースだと伝わりましたね、ロイロット先生。
 ホームズ、ストーナー先生には冷たい態度だったのに、シャーマンに対しては、抱きとめるなど親切。普段お世話になっているから…か?
 原作では、この動物のように4本足で人間が走る…あたりは「這う男」から。でも、ストーナーとロイロットは「まだらの紐」の登場人物。勿論、シャーマンは出てきません。「まだらの紐」と「這う男」。読み比べると面白いです。

 そして、ロイロット先生は辞表を提出。学校を去る際、動物図鑑は、シャーマンの飼育小屋に気付かれないようにそっと置いてゆく。勿論、ロイロット先生だとはわからないシャーマン。なんて切ないんだ…。同じことを思うワトソン。愛とは深いねぇ…、とも。一方ホームズは平然とピロピロ笛を吹いている。「興味なし?おやすみ!」相変わらずの221Bです。
 そして、ロイロット先生から生徒指導を引き継いだのは、モリアーティ教頭!夜の校内見回りで、沼毒蛇に遭遇しても、威嚇し返して追い払っている。…さすがモリアーティ教頭。そういえば、モリアーティ教頭が登場するのは1話以来。6話でレストレードがモリアーティ送りになったことはありましたが、話に出てきただけ。直接出てきたのはこの11話のラストで2回目。今後、モリアーティ教頭がどう動くのか、楽しみです。ドキドキです。


 先行放送では第6回、第5話「赤毛」の次でした。本放送では11話に。その間、様々なことがありました。ホームズとワトソンの友情も深まり、15歳のノリで笑い合える親友として、学園の探偵と相棒として、名コンビになってきました。ホームズも、ライバルのベインズが登場し、兄マイクロフトとの確執もあらわになった。推理で負ける経験もした。ワトソンは依頼人のメアリーに恋をし、まさかのライバル?が登場し、1話で面倒を避けるために自分から折れるようなことはもうしない、相手の思いを酌みながら立ち向かうようになった。お互い、成長してきた。先行放送で観て、録画でも何度も観たけれども、本放送6~10話を経て、11話としての「まだらの紐の冒険」はまた少し違う風に感じられました。

 ホームズが恋愛感情を推理し暴いたのは2度目。9話「愉快な四人組」後編以来です。ホームズは人間の心理としての恋愛感情には興味はあるけど、実際の恋愛には興味が無い(アドラー先生に対しては、恋愛感情とはちょっと違うものと捉えています)。だから、4話のサザーランド嬢とウィンディバンクの謎を解いた後のことも、9話で再登場した時も、2人のその後には興味なし。8・9話でワトソンが恋をしても、その親友が惚れた相手にもう一人惚れている男がいることも、平気で推理し暴露してしまう。そして今回、上記引用したホームズとロイロット先生のやり取り。ロイロット先生は、ホームズの何を駄目だと言ったのか。ロイロット先生は、シャーマンと心を通わせたくて動物になりきろうとした。それを、「わからない」と言ったホームズ。想い、心を通わすことが、ホームズには足りないのだ、と。一方、ワトソンとストーナー先生はロイロット先生の想いがシャーマンに伝わっているかどうか、ロイロット先生とシャーマンが心を通わせているのかを気にしている。教師が生徒に恋心を抱くなんて許されないことだけれども…。

 ホームズにとって、人間の感情に深く立ち入ることは推理の妨げになる。誰かの感情で推理を左右されてはならない。3話、アドラー先生に負けたのは観察不足で先走ったのもあるけれども、アドラー先生の感情に惑わされたのもあるかもしれない。6話、ベインズとの推理勝負に負けたのは、何かとネチネチついて来るベインズの態度に多少なりともイライラしていたからかもしれない。感情よりも、わかっている事実を大事にする。想いを、心を通わすことには興味が無い。それを支えているのはワトソンで、ワトソンと一緒に行動するようになって、感情表現も表情も豊かになってきたように思えたのですが…。まだホームズは自己完結の人間だった。親友とは言え、肉体労働はワトソンに任せ、ワトソンにロイロット先生を追わせたり、とひどく言えば使い走らせているところも。ワトソンはそれを苦としない、素直に受け止めるのでいいのですが…。これから、15歳ホームズはどう変わり、どう成長し、どこへ向かうのだろう。そんなことが気になりました。

 今回の「シャーロッQ!」は、「まだらの紐」からの出題。本編は"「這う男」より"と表記していますが、「シャーロッQ!」は「まだらの紐」からの出題というのが面白いです。

 先行放送の際、「まだら」回のイラストは描いたのですが、もう一度。以前のイラストで、ストーナー先生の上着を普通のジャケットで描いていた。正しくは白衣です。ということで。
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 実験中のストーナー先生。好きです、ストーナー先生。「冒険ファンブック」に、「アドラー先生に対抗する大人の女性」と書かれていて、ますますストーナー先生が好きになりました。アドラー先生も素敵なのですが、ストーナー先生も美人さんで素敵な女性です。今回は脅えてばかり、弱々しい雰囲気ですが、事件が解決したら落ち着いて、こんな穏やかな表情で実験し、実習を続けてほしいなぁと思いながら描きました。教育実習生ということは、大体21~23歳ぐらい?アドラー先生は26・7あたりだろうか。ストーナー先生も再登場するかなぁ。してほしいなぁ。そして無事に実習を終えて、いい先生になってほしいなぁ。

 来週は年末特番「シャーロックホームズ・アワード」。ホームズと謎の男・"マウントテンプル氏"が人形劇「ホームズ」の各賞を決めるとのこと。”マウントテンプル”…バレバレじゃないですかwゲストにデザインの井上文太さんが登場。音楽・主題歌についても触れるとのこと。本編とはまた違って楽しみです!
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by halca-kaukana057 | 2014-12-23 23:07 | Eテレ・NHK教育テレビ


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