古代エジプトうんちく図鑑

 先日読んだ「ツタンカーメン発掘記」に関連して、古代エジプトのことをもう少し勉強してみようと思い、手に取った本。
・感想:ツタンカーメン発掘記


古代エジプトうんちく図鑑
芝崎めぐみ/バジリコ/2004

 古代エジプト文明・考古学の入門本。開いて驚いた。全て手書き(手描き)。イラストや漫画はもちろんのこと、文章も手書き。厚めの本で、これを全て手書きで書いてしまった…まずそこがすごい。

 ヘタウマ?でゆるいイラスト・漫画で、古代エジプト神話から遺跡の数々、エジプトを世界に紹介した古代から近現代までのエジプトロジストたち、著者の芝崎さんのエジプト旅行記、極めつけはファラオ140人全員集合!入門本と書きましたが、結構マニアックなところまでつっこんでいます。「はじめに」にもある通り、有名どころから読んでいくことも出来ます。参考文献も多いので、この次に読む古代エジプト関係読書ガイドにもなります。入門編からマニアックなところまで網羅しているのがすごい。

 古代エジプト…知っているようで知らないことが多過ぎる!というのが読んでの感想。
 まず、古代エジプト神話も、太陽神ラーやヌト神、トト神、オシリスにイシスにセト、ホルス、アヌビス…と名前とどんな神なのかは知っていても、物語としては知らない部分が多かった。改めて古代エジプト神話を読んでみて…とてもユーモラス。オシリス・イシス・ホルス親子とセトの戦いはキリがない。個性的で、おおらかで、ぶっ飛んでいるところもあり、面白い。矛盾していたりややこしいところもある。「何故そうなる!?」とツッコミたくなるところも多い。そこも魅力的。神々も様々。お気に入りの神様を見つけるのも楽しい。どこか、フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」を思い起こさせるところもある。

 ちなみに、本の話からずれますが、宇宙好きとしては、このところ海外の探査機は古代エジプトに関しているものが多いと感じている。昨年、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着、着陸機を彗星の核に着陸させたヨーロッパの探査機「ロゼッタ」と着陸機「フィラエ」は古代エジプトのヒエログリフ解読の鍵となった遺跡にちなんでいるし、「はやぶさ2」のライバルとなるアメリカの小惑星探査機「オシリス・レックス」が向かう小惑星の名前は「ベンヌ」。フェニックスの原型となったと言われる鳥「ベヌウ」のことで、オシリスの心臓から生まれたという説もある。宇宙開発機関では古代エジプトブームなのか?(「ロゼッタ」が打ち上げられたのは10年前のことで…)

 エジプトロジストたちのお話も、笑いながら読めます。トップバッターからしてハワード・カーターだし(カーターを語れば、同時代、関わりのあったエジプトロジストが次々と登場するので便利でもある…?)、イタリア人のベルツォーニは豪快と言うか雑と言うか…でも次々と発掘、発見を続けていくのは一体…。ベルツォーニのパトロンだったイギリス人ヘンリー・ソールトがベルツォーニを妬み、それがますます不幸を呼び寄せてゆく…という話には、人生とは…と考えてしまった。ヒエログリフを解読したシャンポリオンの努力には感服。そのシャンポリオンのところで衝撃の事実。ロゼッタ・ストーンはヒエログリフ解読にあまり役に立っていなかったと…!!?ちゃんと勉強しないとわからないことって多い…。

 歴代ファラオ解説は、有名どころから初めて聞く名前までたくさん。有名なファラオでも、結構知らないことが多い。ここで、遺跡や王墓に関して読む時に、古代エジプト神話は切っても切れないのだなと思う。時代で変化もある。ファラオそのものについても面白いし、つくった神殿、発掘や研究の歴史も興味深く語られている。様々な説があり、謎が謎を呼び、それが古代エジプトの魅力なんだろうなと思う。
 興味を持ったのが、第21王朝のネコ2世。名前が可愛い。スエズ運河よりも2500年も前に、紅海とナイル川を繋ぐ運河の工事に着手し、フェニキア人の船乗りにアフリカ大陸を1周させたそう。
 この歴代ファラオ解説はかなりディープなことも書いていて、でも親しみやすい漫画やイラスト、著者のツッコミが面白くてどんどん読んで、また読み返して…古代エジプトのファラオも深い。

 古代エジプトは、天文学とのつながりも深い。本の最後のほうに天文学に関することも書いてあります。シリウスがナイル川の氾濫する時期、農耕を始める時期を報せる星だったのは有名ですね。天の川を天のナイル川と見ていたことも。ピラミッドがオリオン座と関係があるという説も有名ですが、スフィンクスも関係あるかもしれない、と。古代エジプトの頃は、ネオンも光害もなかった。どんな星空を、古代エジプトのファラオや人々は見ていたのだろう…。

 これを読んでいると、エジプトに行きたくなります。旅行記はトラブル・事件の連続。出会った人々も、商魂たくましい人もいれば、どう反応したらいいのかわからない人も…。エジプトは結構広い。治安の問題もある。それを乗り越えての遺跡の数々には、圧倒されるんだろうなぁ。

 この本、本当に面白いです。読んでいるうちにディープな古代エジプトの魅力にハマれます。本当に全部手書きは凄い。
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by halca-kaukana057 | 2015-02-12 22:56 | 本・読書


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