人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ReLIFE 1・2

 本屋さんで何気なく見つけて、1巻を読めるようになっていたので読んでみたら面白かったので、2巻まで読んだ。その1巻を開いて驚いた…全編オールカラー…!?無料漫画アプリ「comico」で連載中の漫画で、アプリでも毎回オールカラー。今の時代、そういうことも出来るのか…。漫画誌で好きな漫画がカラー表紙になると喜んでいたのはもう昔の話というのか…!?


ReLIFE 1

夜宵草(やよいそう)/泰文堂・アース・スター コミックス/2014





ReLIFE 2

夜宵草/泰文堂・アース・スター コミックス/2014





 海崎新太(かいざき・あらた)は27歳。2浪で大学に入り、就活から逃げるために大学院に進み、卒業後就職したがとある理由で3ヶ月で退職。その後、再就職を目指すも落ち続け、コンビニでバイトをしている。更に、田舎の実家から、田舎に帰ってこないなら仕送りを凍結するとの連絡が入る。キャリアを積んでゆく友人たちにはフリーターになってしまったことは言えず、会うといつも嘘をついている。そんな帰り道で、新太は夜明了(よあけ・りょう)という男から声をかけられる。初対面なのに何故か新太のことを全て知っている夜明。夜明は「リライフ研究所」の社員で、新太が「リライフ」被験者に選ばれた、と告げる。「リライフ」とはニートを社会復帰させるための実験で、新太にその実験に協力して欲しいという。1年間、高校生になって高校生活を送る、と。研究所が開発した薬を飲めば、見た目は高校生ぐらいまで若返られる…。怪しい話だと思いつつも、新太の心の中を全て見抜いている夜明の言葉に動揺し…。翌朝、起きて鏡を見た新太は、高校生ぐらいの年齢に若返ってしまった自分の顔に驚く。酔った勢いで薬を飲んでしまっていた。そして、再びやって来た夜明に、「リライフ」実験に協力することを決意する。4月、見た目17歳・3年生の新太は編入生として高校に入り、高校生活が始まった、が…。


 「もし、人生をやり直せたら」。たまに思うことがあります。でも、いつからやり直すか。中学や高校だと勉強も大変だし、思春期の友人関係も複雑でやり直したくないなぁと思ってしまいます。大学も結構ハードだった。でも、それは、自分の時間を遡るという意味での「やり直し」。この作品では、見た目は若返って、現在の高校でやり直す、というもの。今の高校では学ぶ内容も異なり、友人関係も携帯は必須でSNSも使いこなして…ついて行けるのか、と正直思ってしまう。学生時代いじめも経験しましたが、いじめも変化している。ネットで陰湿化していることも。やっぱりもう一度高校生になるなんて嫌だなぁ、と思ってしまった。

 でも、新太のように、実際に今の高校生と、自分も高校生の姿で接したらどうなるんだろう?読みながら思っていました。時代は変わっても、高校生の子たちが思っていること、悩むことはそんなに変わらないのかもしれない。

 見た目17歳(あくまで見た目だけ。中身は27歳のまま。体育は辛いし、怪我の治りも普通の17歳に比べると遅い!)の新太は、登校初日から様々なクラスメイトに出会う。成績優秀だが所謂「コミュ障」で人付き合いが苦手、友達をつくりたいと思っている日代千鶴(ひしろ・ちづる)。新太の隣の席で、バレー部員で勉強も部活も頑張る努力家だが、どちらも一番にはなれないことにコンプレックスを抱いている狩生玲奈(かりう・れな)。新太の前の席で、イケメンで見た目は軽いノリだが成績優秀、でも鈍感な大神和臣(おおが・かずおみ)。新太の斜め前の席で、同じく編入生の小野屋杏(おのや・あん)。そして、夜明も新太の担当として新太の行動を記録・報告と研修のために、同じく薬を飲んで高校生になっていた。

 登校初日から、何かと騒動を起こしてしまう新太。学業も散々で、追試続き。物語はシリアスな部分もありますが、大体はコメディタッチで描かれているので笑いながら読めます。そんなコメディの部分が続いているところへ、新太の過去や登場人物たちが抱えているものが出てくると、余計にシリアスに感じてしまう。仕事を3ヶ月で辞めてしまい、「大人」「社会人」になりきれない、前に進みたくても進めない辛さを抱えている新太。一方、新太が出会ったクラスメイトたちも様々なものを抱えている。友達をつくりたいのにできない千鶴。努力しているのに、勉強も運動・部活も叶わない相手がいて、近づきたい人にも想いが届かない…それを心の中に溜め込んでいる玲奈。1年の頃からこの高校に通っているはずなのに友達がおらず(仕事上他者と深く関わらないようにしている)、何かを隠しているような夜明。人それぞれ、様々な抱えているものがあって、毎日もがいているのだな、と…。それぞれのキャラクタの抱えているものが、自分も経験があるので共感し、過去の苦しかったことを思い出して読んでいました。

 本来は存在しない17歳の新太。「リライフ」実験後、新太に関わった人々からは新太の記憶が消されてしまう。もし新太が本当は17歳ではないことがバレてしまった場合は、「リライフ」実験もそこで中止。「リライフ」実験の間の新太の記憶も消されてしまう。どうせ記憶に残らないのだから、無難に、目立たなく…と思っていた新太だが、いつの間にかクラスメイトたちや夜明のことを気にかけるようになる。自身の心の変化に葛藤する新太。大人の視点でクラスメイトたちを見て、他人事と思えなくなっている。

 そして、彼らが「抱えているもの」を敏感に察し、配慮しようとする新太。本当は10歳もの年齢差があるのに、すぐに高校生たちに溶け込んだ。本当に羨ましいぐらいにコミュニケーション能力は高いのに、何故新太は社会からドロップアウトしてしまったのだろうかと思う。いや、コミュニケーション能力が高い、周りのことをよく見ていて、人の心の動きに敏感で、優しくて、困っていたら何とかしたいとすぐ行動するからこそ、「大人」社会に馴染めなかったのか…。配慮をして「何とかしよう」とする新太に対して、夜明がこう話すシーンが印象的です。
石をどけたキレイな道を歩かせてあげることが 果たして本当に本人のためになるのかどうか
転んでも許してもらえる若いうちに その痛みや起き上がり方を学んでおくのも大切かな…
って思いますがね(2巻、139ページより)

あがいて下さい 精一杯
小さな物事にも大きな反応をして
思春期の学生たちと一緒に 頭じゃなくて心をいっぱい動かして
(2巻、142ページより)


 それにしても、努力しても報われない玲奈の心の奥底が…。どんどんネガティヴなものを心の中に溜め込んでいる。自分もよくあるので、わかる…と思いながら読んでいました。そんな玲奈の溜め込んでいたものがついに…。3巻はこの3月末に発売。と言っても、アプリ「comico」で最新話まで読んでしまいましたがw

 無料の携帯アプリで連載中の漫画を実際の書籍に、単行本として発売する。携帯でも読めますが、じっくり読むならやはり本だなと思ってしまうアナログ人間です。オールカラーなのは嬉しいのですが、背景の色で台詞がつぶれたり、台詞が細々していて読みにくいところがあるのは残念なところ。台詞も元々多い。言葉での心理描写が多いのはいいのですが、「絵で語る」漫画のよさを活かしたらもっと面白くなると思います(もしかすると小説向きなのだろうか?)。元々アプリでは縦スクロールで読むようになっているので、本にするとコマ割の印象も変わります。いい方向に変わっているところもあり、コマ割りもやはり細々しているところもあり…。この漫画も"実験"しているようで、新太たちと共に"成長"してゆくのを見守りたいです。

 ちなみに、来年、アニメ化も決まっているそうです。凄い勢いです。元々オールカラーなのでアニメになっても違和感は少ないだろうなぁ。
by halca-kaukana057 | 2015-03-09 23:05 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31