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シューマンのもうひとつの「ライン」

 今日はロベルト・シューマンの誕生日。1810年生まれ、生誕205年です。

 シューマンの生誕記念に色々と聴いています。シューマン作品の中で特に好きなのが、交響曲第3番変ホ長調op.97「ライン」。第1楽章の冒頭は「N響アワー」のオープニングにもなり、聴くとN響アワーを思い出します。
 デュッセルドルフにやって来たシューマン。ケルン大聖堂を訪れたことが、作曲のきっかけとなったと言われています。「ライン」の副題はシューマン自身によるものではありませんが、爽やかで、時に勢いよく時にゆったりとした曲調はライン川を思わせます。そして第4楽章の荘厳な雰囲気はケルン大聖堂。生き生きとして明るく、とても好きです。

 聴いていたら、もうひとつ、「ライン」とある曲を見つけました。歌曲集「詩人の恋」op.48の第6曲「ラインの聖なる流れに(Im Rhein, im heiligen Strome)」。詩はハイネのものより。ライン川を歌っていると思いきや、ケルン大聖堂を歌っています。「詩人の恋」の前半は、愛する人への想いをロマンティックに歌っていて、本当にシューマンらしい。甘い夢見るような曲が詩を盛り上げます。が、第6曲「ラインの聖なる流れに」はそれまでと雰囲気が変わります。重くどっしりと暗い。荘厳。ケルン大聖堂の中の光、そして聖母像が愛する人にそっくりだ、と。交響曲第3番「ライン」も、ケルン大聖堂と枢機卿就任式をイメージした第4楽章は荘厳な雰囲気。似ています。どちらかと言うと、「詩人の恋」の「ラインの聖なる流れに」の方が暗く重い気はします(声域にもよる?)。そして、第7曲「恨みはしない」からは、失恋が歌われます。第6曲が転換期となっているように思えます。
 シューマンにとって、ライン川は、ケルン大聖堂と結びついているのかも。
 ちなみに、聴いたのは、フィッシャー=ディースカウ(バリトン)と、ペーター・シュライアー(テノール)。ディースカウだとよりどっしりと感じられます。

 ちなみに、この詩にはリストも曲をつけています。ただ、「ラインの美しき流れに(Im Rhein,im schönen Strome)」とタイトルは異なり、曲も優しく華麗です。同じ詩でも、曲調が全く異なる。シューマンの方が暗い雰囲気になっているのが面白いです。
by halca-kaukana057 | 2015-06-08 23:58 | 音楽

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by 遼 (はるか)
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