2016年 08月 03日
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
忘れてませんよこのシリーズ。シベリウス「クレルヴォ交響曲」聴き比べシリーズ。ゆっくりゆっくりですが進めます。来月、シベリウスの命日の9月20日には一区切りできればいいなぁ(その後は2017年になれば今度は没後60年)
先月、Eテレ「クラシック音楽館」で、ネーメ・ヤルヴィ指揮N響の演奏会が放送されていました。以前このシリーズで、ご長男のパーヴォ・ヤルヴィ指揮ロイヤル・ストックホルム・フィル盤を取り上げましたが、ネーメパパも「クレルヴォ交響曲」を録音しています。今回はネーメパパ(ムーミンパパみたいな…w)の演奏です。
ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
カリタ・マッティラ(ソプラノ)、ヨルマ・ヒュンニネン(バリトン)
ラウル・イスタヴァ男声合唱団
1985年の録音。古めの分類に入ってきました。
まず、この演奏のいいところは、シベリウス:交響曲全集の中に入っていること。ネーメさんは、エーテボリ響と2回シベリウス交響曲全集を出していますが、これは1回目のBISからのもの。交響曲全集の中に「クレルヴォ」も入ってるのは嬉しいなと。最近のシベ全は、純粋に交響曲だけで、「フィンランディア」も「タピオラ」も「悲しきワルツ」も「トゥオネラの白鳥」も入ってないのが多い…別に管弦楽曲集を出していればいいのだが、交響曲だけでちょっと寂しいなと思います。せめて「フィンランディア」と、最後の大き目の規模の管弦楽曲(第8交響曲と呼ばれることもある)「タピオラ」は入れてほしいです。ちなみにこの全集には、「クレルヴォ」の他に管弦楽曲は入ってません。後にグラモフォンから管弦楽曲集を出しています。
演奏は、一言で言うと「爆演」です。この演奏を聴いてから、他の演奏を聴くと大人しく聴こえてしまいます。テンポも速い、1・2楽章は特に速いです。全体で67分。前回取り上げたヴァンスカ&ラハティ響の演奏は遅めでしたが、対照的。
荒っぽいところはあります。でも、その荒っぽさが、クレルヴォの荒々しい面…第1楽章の序章:クレルヴォの悲劇の始まり、第2楽章「クレルヴォの青春」恵まれず苦渋を味わい続けた少年~青年時代の乱暴な面や胸に秘めた敵討ちが表現されているように聴こえます。第4楽章「クレルヴォの出征」も速め、荒々しさが出ています。
第3楽章、冒頭の男声合唱は速めで、ピッチも高めです。あれ?と思います。でも、クレルヴォの妹のソロ、続くクレルヴォのソロはたっぷり重々しく。第5楽章も、ゆっくりめでところどころ弱音に落としたり、死に向かうクレルヴォの悲痛さを歌う男声合唱を、じわじわと聴かせてくれます。ただ「爆演」「豪快」なだけでなく、テンポを落すところは落として、迫力は維持したままじっくり聴かせるネーメさん、うまいなぁと思います。オケも気迫があっていいなと思います。
ちなみに、現在のエーテボリ響ですが、首席指揮者が不在でした。が、2017-18年シーズンからの新首席指揮者が決まりました。フィンランドの若手・サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ(Santtu-Matias Rouvali)さん。今年で31歳。トゥルク・フィルハーモニーの首席指揮者でもあります(来年5月、来日決定してます)。以前、YLEでトゥルクフィルとのシベリウス4番を聴いたが、とてもよかった。エーテボリ響というと、このシベリウス全集だけでなく、他にもネーメさんとの録音がとても多いです。ロウヴァリさんとのこれからも楽しみです。落ち着いたら「クレルヴォ」演奏、録音してほしいなぁ。
ネーメパパもどこかでまた「クレルヴォ」演奏しないかなぁ。
【これまでの記事】
・[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
・[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
・もうひとつの「クレルヴォ」
番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
・[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。(動画はもう観られなくなりました)
・[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
・シベリウス誕生日記念、管弦楽曲特集
ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ響のシベリウス管弦楽曲集(グラモフォン)
先月、Eテレ「クラシック音楽館」で、ネーメ・ヤルヴィ指揮N響の演奏会が放送されていました。以前このシリーズで、ご長男のパーヴォ・ヤルヴィ指揮ロイヤル・ストックホルム・フィル盤を取り上げましたが、ネーメパパも「クレルヴォ交響曲」を録音しています。今回はネーメパパ(ムーミンパパみたいな…w)の演奏です。
ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
カリタ・マッティラ(ソプラノ)、ヨルマ・ヒュンニネン(バリトン)
ラウル・イスタヴァ男声合唱団
1985年の録音。古めの分類に入ってきました。
まず、この演奏のいいところは、シベリウス:交響曲全集の中に入っていること。ネーメさんは、エーテボリ響と2回シベリウス交響曲全集を出していますが、これは1回目のBISからのもの。交響曲全集の中に「クレルヴォ」も入ってるのは嬉しいなと。最近のシベ全は、純粋に交響曲だけで、「フィンランディア」も「タピオラ」も「悲しきワルツ」も「トゥオネラの白鳥」も入ってないのが多い…別に管弦楽曲集を出していればいいのだが、交響曲だけでちょっと寂しいなと思います。せめて「フィンランディア」と、最後の大き目の規模の管弦楽曲(第8交響曲と呼ばれることもある)「タピオラ」は入れてほしいです。ちなみにこの全集には、「クレルヴォ」の他に管弦楽曲は入ってません。後にグラモフォンから管弦楽曲集を出しています。
演奏は、一言で言うと「爆演」です。この演奏を聴いてから、他の演奏を聴くと大人しく聴こえてしまいます。テンポも速い、1・2楽章は特に速いです。全体で67分。前回取り上げたヴァンスカ&ラハティ響の演奏は遅めでしたが、対照的。
荒っぽいところはあります。でも、その荒っぽさが、クレルヴォの荒々しい面…第1楽章の序章:クレルヴォの悲劇の始まり、第2楽章「クレルヴォの青春」恵まれず苦渋を味わい続けた少年~青年時代の乱暴な面や胸に秘めた敵討ちが表現されているように聴こえます。第4楽章「クレルヴォの出征」も速め、荒々しさが出ています。
第3楽章、冒頭の男声合唱は速めで、ピッチも高めです。あれ?と思います。でも、クレルヴォの妹のソロ、続くクレルヴォのソロはたっぷり重々しく。第5楽章も、ゆっくりめでところどころ弱音に落としたり、死に向かうクレルヴォの悲痛さを歌う男声合唱を、じわじわと聴かせてくれます。ただ「爆演」「豪快」なだけでなく、テンポを落すところは落として、迫力は維持したままじっくり聴かせるネーメさん、うまいなぁと思います。オケも気迫があっていいなと思います。
ちなみに、現在のエーテボリ響ですが、首席指揮者が不在でした。が、2017-18年シーズンからの新首席指揮者が決まりました。フィンランドの若手・サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ(Santtu-Matias Rouvali)さん。今年で31歳。トゥルク・フィルハーモニーの首席指揮者でもあります(来年5月、来日決定してます)。以前、YLEでトゥルクフィルとのシベリウス4番を聴いたが、とてもよかった。エーテボリ響というと、このシベリウス全集だけでなく、他にもネーメさんとの録音がとても多いです。ロウヴァリさんとのこれからも楽しみです。落ち着いたら「クレルヴォ」演奏、録音してほしいなぁ。
ネーメパパもどこかでまた「クレルヴォ」演奏しないかなぁ。
【これまでの記事】
・[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
・[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
・もうひとつの「クレルヴォ」
番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
・[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。(動画はもう観られなくなりました)
・[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
・シベリウス誕生日記念、管弦楽曲特集
ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ響のシベリウス管弦楽曲集(グラモフォン)
by halca-kaukana057
| 2016-08-03 22:26
| 音楽