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BBC Proms(プロムス)2017 私選リストその4 [9月]

 2ヶ月にも及ぶ大音楽祭、BBCプロムスももう終盤。9月です。早いなぁ。

【今年の私が選んだプロムリスト 過去記事】
・7月:BBC Proms(プロムス)2017 私選リストその1 [7月]
・8月 前半:BBC Proms(プロムス)2017 私選リストその2 [8月 前半]
・8月 後半:BBC Proms(プロムス)2017 私選リストその3 [8月 後半]

 今回も、各プロムのリンクはプロムス公式サイトを貼りますが、実際聴く時はBBC radio3のサイトの方が便利だと感じます。前回も書きましたが、昨年まであったプロムス公式と、radio3の放送回のリンクが今年はなくなってしまいました…。radio3の放送一覧のページを以下に貼っておきます。
BBC Radio3 : BBC Proms : Available now

 今年は高音質録音が昨年よりも増えています。radio3の各放送回にリンクがありますが、一覧もありますのでこちらもどうぞ。イヤホン、ヘッドホン(普通のヘッドホンで構いません)で、臨場感のある演奏をお楽しみください。
BBC : BBC Proms in Binaural Sound
◇詳しいことはこちら:BBC Taster : BBC Proms in Binaural Sound
 このページの「Inside Story」に高音質で配信予定のプロムの記述があります。

 では、9月の公演を見ていきましょう。

◇9/1 Prom 64: Royal Concertgebouw Orchestra and Daniele Gatti
・ヴォルフガング・リーム:In-Schrift
・ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調
/ ダニエレ・ガッティ:指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
 9月は大御所の公演がずらりと並びます。まずはガッティ&コンセルトヘボウ。リームはドイツの現代作曲家。メインはブルックナーの9番。ブルックナーはなかなかお近づきになれてない作曲家ですが、9番の迫ってくるような音、メロディーは印象的だと感じています。

◇9/2 Prom 66: Haydn and Mahler
・ハイドン:交響曲第82番 ハ長調 Hob.I:82 「熊」
・マーラー:交響曲第4番 ト長調
/ チェン・レイス(ソプラノ)、ダニエレ・ガッティ:指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
 ガッティ&コンセルトヘボウの2日目。ブルックナーの次はマーラーです。9月は大曲も多いです。その前にハイドンの交響曲第82番。「熊」と愛称がついていますが、第4楽章冒頭の前打音を伴う低音が熊使いの音楽を思わせるから…だそうです。熊使いの音楽ってどういう音楽だろう?マーラー4番は、マーラーの交響曲の中でも好きな作品です。シャンシャンシャンシャン…と迫ってくるような鈴の音と、第4楽章の天国での生活を歌うソプラノソロが印象的です。

◇9/3 Prom 67: Freiburg Baroque Orchestra and Pablo Heras-Casado
・メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟 op.26
ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
交響曲第5番 ニ長調 op.107 「宗教改革」
/ イザベル・ファウスト(Vn)、パブロ・エラス=カサド:指揮、フライブルク・バロック管弦楽団
 オール・メンデルスゾーン・プログラムです。メインの交響曲第5番は、今年のプロムスのテーマのひとつである「宗教改革」ずばりそのもの。ルターの宗教改革から300年を記念して、メンデルスゾーンが作曲した交響曲を、宗教改革から500年の今年、演奏します。お馴染みヴァイオリン協奏曲のソロはイザベル・ファウストさん。

◇9/3 Prom 68: Prokofiev, Tchaikovsky and Shostakovich
・プロコフィエフ:「十月革命」20周年記念カンタータ op.74
・チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第3番 変ホ長調
・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 op.47
/ デニス・マツーエフ(P)、マリインスキー歌劇場合唱団、ワレリー・ゲルギエフ:指揮、マリインスキー歌劇場管弦楽団
 9月3日はもうひとつ公演があります。しかも、ゲルギエフ&マリインスキー歌劇場管。勿論、オール・ロシア・プログラムです。ヘビーだ。今年のプロムスは、ロシア革命から100年ということで、ロシア革命にちなんだ作品やロシア作曲家作品が多いですが、プロコフィエフのカンタータにショスタコ5番と「革命」な作品を持ってきました。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第3番は、1楽章だけの未完の協奏曲。
 マツーエフさんのアンコールは、ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲、ピアノと管弦楽版と、リャードフ:音楽の玉手箱 Op.2。パガニーニの主題による~はラフマニノフもピアノ協奏曲を書いていて、色んな作曲家に取り上げられる主題ですね。アンコールですが、オーケストラも演奏、8分もの作品…聴いていて最初、プログラム追加したのかと思ってしまいました。

◇9/4 Proms at ... Cadogan Hall, PCM 8
・シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956
/ エリアス弦楽四重奏団、アリス・ニアリー(Vc)
 Proms Chamber Music(PCM)の8回目。シューベルトの弦楽五重奏曲です。大曲が続いているので室内楽で一息…と言いたいところですが、シューベルトの弦楽五重奏曲も大曲です(汗 シューベルトの遺作、死の2ヶ月前の作品。弦楽五重奏は作曲家で形が異なりますが、シューベルトは第2チェロを足しました。

◇9/5 Prom 70: Missy Mazzoli, Bartók and Dvořák
・ミッシー・マゾリ:Sinfonia (for Orbiting Spheres)(オーケストラ編曲版 ヨーロッパ初演)
・バルトーク:ピアノ協奏曲第2番 Sz.95 BB101
・ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 op.88
/ ジェレミー・デンク(P)、カリーナ・カネラキス:指揮、BBC交響楽団
 アメリカの女性指揮者、カリーナ・カネラキスさんがプロムス初登場、BBC響を指揮します。お写真、きれいな方ですね。1曲目のマゾリもアメリカの女性作曲家。ピアノソロのデンクさんもアメリカ人。バルトークはアメリカに亡命しましたし、ドヴォルザークはアメリカに暮らしていたことがある…アメリカにまつわるプロムです。
 BBC響はこれで通常のプロムへの出演は終わり。残すはラストナイトです。

◇9/6 Prom 71: Stravinsky, Britten, Prokofiev and Shostakovich
・ストラヴィンスキー:葬送の歌
ヴォルガの舟歌
・プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 op.19
・ブリテン:ロシアの葬送
・ショスタコーヴィチ:交響曲第11番 ト短調 op.103 「1905年」
/ アリーナ・イブラギモヴァ(Vn)、ウラディミール・ユロフスキ:指揮、ロンドンフィルハーモニー管弦楽団
 この秋に来日するユロフスキ&ロンドンフィルによるロシア(と、ロシアにまつわる)プログラムです。失われていたと思われていた、ストラヴィンスキー「葬送の歌」のスコアが2015年に発見され、その後、世界各地で演奏されてきました。プロムスでも取り上げます。イギリスでは、サロネン&フィルハーモニア管が初演しているので、今回は初演ではありません(日本初演も今年、サロネン&フィルハーモニア管の来日公演にて)。ショスタコーヴィチの11番は悲痛な作品ですが大好きです。

◇9/7 Prom 72: Vienna Philharmonic – Mahler’s Sixth Symphony
・マーラー:交響曲第6番 イ短調 「悲劇的」
/ ダニエル・ハーディング:指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 プロムス、今年はウィーンフィルの年です(ベルリンフィルと交互にやってくる)。ハーディングさんが指揮するのは、マーラーの6番。これまた大曲、痛切な作品です。マーラーの6番と言えばハンマー。どんな風に鳴らしてくるのか、楽しみです。

◇9/7 Prom 73: Sir András Schiff performs Bach’s The Well-Tempered Clavier
・J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻(Erster Teil, BWV 846〜869)
/ アンドラーシュ・シフ(P)
 7日はもうひとつ公演が。シフさんのバッハ平均律第1巻。オーケストラでも、ロイヤル・アルバート・ホールは大きいと感じるのですが、ピアノソロだと奥の席では聴こえるんだろうか…なんて思ってしまいます(協奏曲のソロ楽器、声楽ソロだって同じだ)。ですが、シフさんのピアノ、バッハ、楽しみです。

◇9/8 Prom 74: Vienna Philharmonic – Brahms, Mozart and Beethoven
・ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲(聖アントニウスのコラールによる変奏曲) op.56a
・モーツァルト:ピアノ協奏曲第14番 変ホ長調 K.449
・ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 op.92
/ エマニュエル・アックス(P)、マイケル・ティルソン・トーマス:指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ウィーンフィル2日目。ドイツものです。ブラームス「ハイドンの主題による変奏曲」は、プロムス公式HPだと「Variations on the St Anthony Chorale」と書かれていて、何の曲だ?と最初思ってしまいました。この呼び名もあるんですね。なるほど。予習も大事です、プロムス。指揮はMTT こと、マイケル・ティルソン・トーマスさん。エマニュエル・アックスさんのピアノも楽しみです。
 さぁ、通常のプロムはここまで。残るはあとひとつ。

◇9/9 Prom 75: Last Night of the Proms 2017
・ロッタ・ヴェンナコスキ:Flounce (世界初演)
・コダーイ:ブダ城のテ・デウム(ブダヴァリ・テ・デウム)
・サー・マルコム・サージェント:強い嵐の日の印象(Impression on a Windy Day) op.9
・シベリウス:フィンランディア (合唱つき) op.26
・ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と「愛の死」

・ジョン・アダムズ:Lola Montez Does the Spider Dance (ロンドン初演)
・ガーシュウィン:The Lorelei
・クルト・ヴァイル:Happy End: Surabaya Johnny
          Lady in the Dark: The Saga of Jenny

・ヘンリー・ウッド(編曲):イギリスの海の歌による幻想曲
・トマス・アーン(サージェント:編曲):ルール・ブリタニア
・エルガー:威風堂々第1番 ニ長調 「希望と栄光の国(Land of Hope and Glory)」
・パリー(エルガー:編曲):イェルサレム
・アーサー・ブリス 編曲:イギリス国歌
/ ニーナ・シュテンメ(ソプラノ)、ルーシー・クロウ(ソプラノ)、クリスティン・ライス(メゾソプラノ)、ベン・ジョンソン(テノール)、ジョン・レライア(バス)
BBCシンガーズ、BBCシンフォニーコーラス
サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団
 ラストナイトです。大音楽祭を締めくくる、お祭り騒ぎです。1曲目はフィンランドの女性作曲家、ヴェンナコスキさんの新曲。今年はフィンランド独立100年もテーマにしてきたプロムス、ラストナイトにフィンランドの作曲家の作品が2曲(指揮者もフィンランド人)。シベリウスのお馴染み「フィンランディア」は「フィンランディア賛歌」の合唱つきです。ロイヤル・アルバート・ホールにあのフィンランド語の合唱が響き渡る…想像しただけでもワクワクします。Prom13で、サー・マルコム・サージェント没後50年を特集しましたが、ラストナイトでは作曲作品が登場。この曲を指揮して、サージェント卿は大成功したのだそう。コダーイも没後50年。生誕70年で特集してきたジョン・アダムズの作品もあります。ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」の「愛の死」を歌うのは、スウェーデン出身のソプラノ、シュテンメさん。
 今年もちゃんと「イギリスの海の歌による幻想曲」はやります。いつもと違うのは、イギリス国歌(God save the Queen)がブリテン編曲ではなく、ブリス編曲です。今年はどんなラストナイトになるか、アンコール曲は何か…プロムスが終わってしまうのは寂しいけれど、楽しみです。
 第2部で、ジョン・アダムズの後に、ガーシュウィンとクルト・ヴァイルの歌が3曲追加されました。シュテンメさんが歌います。
 「イギリスの海の歌による幻想曲」は、ホーンパイプの後、去年と構成が変わっていました。ルール・ブリタニアを歌うのはもちろんシュテンメさん。指揮者はフィンランド、ソプラノ独唱はスウェーデン、北欧なルール・ブリタニアです。
 詳しいことはNHKでテレビ放送されてから…映像で観ないとわからないことがたくさんある。日本語訳も欲しい。NHKさん、今年も放送してください!!リクエスト送ります、送りましょう。

 以上、9月はほとんど全部注目公演です。ひとつだけ書いてませんが、聴きます。

 前回8月後半編でも書きましたが、9月11日からの1週間、NHKFMでプロムスから5公演の放送があります。
by halca-kaukana057 | 2017-09-02 17:07 | 音楽

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


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