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冥王星雑感 ~そう言えば野尻抱影…

 冥王星外し、惑星数8に 国際天文学連合が新定義


 にぎわっている冥王星関連のニュース。詳しいことは国立天文台のサイトでどうぞ。まず、惑星の定義がこうなった。

(1) 太陽系の惑星(注1)とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、 (c) その軌道の近くでは他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった天体である。

(2) 太陽系の dwarf planet とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し(注2)、(c) その軌道の近くで他の天体を掃き散らしていない天体であり、(d)衛星でない天体である。

(3) 太陽の周りを公転する、衛星を除く、上記以外の他のすべての天体(注3)は、Small Solar System Bodies と総称する。

注1: 惑星とは、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つである。
注2:基準ぎりぎりの所にある天体を dwarf planet とするか他の種別にするかを決めるIAUの手続きが、今後、制定されることになる。
注3:これらの天体は、小惑星、ほとんどのトランス・ネプチュニアン天体(訳注1)、彗星、他の小天体を含む


 うーん、つまり小さすぎる冥王星は惑星として認められないということ。冥王星は今後「矮惑星」と呼ばれることになる。今後、この「矮惑星」にどの天体を入れるのかが大変になりそうです。 

 ところで、「冥王星」と言う名は天文(てんぶん)学者・野尻抱影(のじり・ほうえい)によるもの。冥王星が発見されてすぐ、昭和5年10月「科学画報」誌にて「冥王星」の名を提案した。その画像がこれ(Yahoo!ニュースより)。だが、「理科年表」で「冥王星」と言う名が使われたのは昭和22年。素敵な名前なのになぁ。ちなみに中国や韓国など漢字を使う国でも「冥王星」と書くのだそうだ。

 惑星から格下げはされてしまったが、冥王星の存在には何も影響しない。「さよなら冥王星」なんて言っているメディアや科学館があるらしいが、冥王星はなくなりませんから。矮惑星になっても名前はそのまま冥王星。野尻抱影の功績が変わるわけでもなし…。

 とはいえ、科学の定義が変わる瞬間に生きているのは、何だか嬉しい。



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 あと、野尻抱影の本は私の愛読の書です。「新・星座巡礼」「星三百六十五夜」「星と伝説」等々。星と文学をこんなにきれいな言葉で表現できる人は野尻抱影と宮澤賢治ぐらいだと思う。







trackback for:「きゃべつ畑のかなた:☆ Demote Pluto ☆」
まぐさんよりトラックバックをいただきました。
by halca-kaukana057 | 2006-08-25 22:11 | 宇宙・天文

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by 遼 (はるか)
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