2006年 09月 19日
秋のフィンランド本まつり 「Finland×Fabric とっておきの布探し」
「Finland×Fabric とっておきの布探し」(ワニマガジン・ムック280、ワニマガジン社、2006)
フィンランドのファブリックといえばmarimekko。マリメッコの他にも多くのテキスタイルメーカーがある。そのフィンランドを彩ってきたファブリックを特集した本がこれ。とにかく鮮やかで、手元に置いておきたい柄ばっかり。見ているだけで楽しくなってしまう本。
マリメッコの歴史、工場の様子ははじめて見た。第二次世界大戦後、敗戦国となり莫大な賠償金を払うことになったフィンランド。希望も見えず、ぼろぼろになってしまった国を何とかしたいとアルミ・ラティアがマリメッコを設立する。マリメッコの柄があんなにも大胆で鮮やかなのは暗く寒い北欧の生活を彩るためのものだけじゃなかったんだ。
この本で面白いのが、ヘルシンキの街角やロヴァニエミの雪景色の中にマリメッコの生地を掲げてみた写真。目立つのにとげとげしい感じがしない。はっきりとした存在感を感じるのに、風景に溶け込んでいる。そんな不思議な風景も見たことがない。
マリメッコにしろ、他のファブリックにしろ、今まで私はバッグや洋服など加工されたものを見てきた。でも、この本に主に登場するのは生地そのもの。この本に登場するマリメッコ・コレクターの女性も生地でパッチワークを楽しんでいる。加工されたものを持ち歩くのも楽しいだろうけど、私はそれ以上に生地を買って、自分で好きなものを作る方がそのファブリックの柄をより楽しめるんじゃないかなと思った。よく子どものころ、母親と手芸屋さんに好きな布を買いに行ってそれでバッグやポーチを作ってもらった。もしかしたらフィンランドでは、同じようにマリメッコ等の生地で子どもが家族にバッグを作ってもらったりしているのかもしれない。自分で作るのも楽しいし、誰かに作ってもらうと嬉しい。作ったものは子どもの成長の過程を表すものにもなる。ただデザインがいいだけじゃなく、人の生活に溶け込んでいること。だからフィンランドのファブリックは世界中で愛されているのかもしれない。
そんなファブリックを買うにはどこへ行けばいいのか。ちゃんとガイドブックにもなっていて、フィンランド旅行のお供にもなる便利な本でもあります。とにかく生地が欲しいです。
by halca-kaukana057
| 2006-09-19 22:20
| 本・読書