映画版「かもめ食堂」




 地元の映画館では公開されず観られない!と騒いでいた映画「かもめ食堂」。DVDが出たので即入手。やっと観ることができました。あらすじは原作の感想を参照してください。


 観て爽やかな気持ちになる。まずこれが第一印象。そして「味わいがある」。この「味」というのは出てくる料理も勿論のこと、ヘルシンキの町並みやサチエの凛とした人柄他個性的な登場人物たち、平凡で普通な空気・雰囲気等、この映画を取り巻くもの全てに「味」があると思う。原作と同じく、複雑なストーリーもドラマティックな展開もない。でも、その空気にはじんわりとした何かがある。美味しいものを味わう時、後から出てくる美味しさのような。その感じがとても爽やかで、見た後スッキリとした気持ちになりました。派手なアクションものじゃないのに、何故だろう。

 先に原作を読んだため、原作との違いが沢山出てきて驚いた。原作は映画のために書き下ろされたものなのに、それでも映像化となるとどこかしら変わってしまう。でも、また違う視点の「かもめ食堂」を読んだようで違和感が無い。映画は観たけど原作は読んでいない方、原作も読むこともお薦めいたします。と言うのは、原作では詳しく書かれていたサチエがこのような考えで作った「かもめ食堂」が出来る経緯が描かれているから。映画ではヘルシンキからいきなりスタートしてしまう。映画だけだとサチエは(ミドリもマサコもだが)、独特の雰囲気を持った謎の人物っぽく受け取られるんじゃないかと。サチエにも日本での努力の日々があり、ミドリとマサコがフィンランドを目指したもっと深い理由が語られないのは寂しい。

 もう一つ原作との違いで寂しいと感じたのはサチエがおにぎり他日本の普通の和食を大切にしている理由。原作では亡き母の味を大切にしたいという設定だったのに、映画でサチエが亡き母に触れるのは冒頭のナレーションのみ。しかもあまりよくない思い出として。この設定は気に入っていただけに残念。

 でも、映画版の最大の面白みと謎といえば、「コピ・ルアック」!!あちらこちらで「かもめ食堂」の話になるとコピ・ルアック、こぴ・るあっく…何なんだそれは!?と思っていたのが、ようやく意味が分かりました。しかし、結局「コピ・ルアック」ってどういう意味?最後の方にそのヒントとなるシーンがあったが、やはりよく分からないので調べてみた。こういうことなんだそうだ。ほー、フィンランド語かと思ったらジャワの言葉なのか。勉強になりました。


 この映画をスローライフの典型とみる人も多いだろう。また、フィンランドはゆったりとしてなんて素敵な国なんだと。(私もフィンランドのそういうところが好きなのだが。)でも、その概念でくくる前にちょっと待て。この映画にあるものは、普通の日本食と普通の日常である。それを後から「スローライフ」と誰かが作った言葉に当てはめただけで、この物語にそういう意図はないんじゃないかなぁ…と思う。原作を読むと余計にそう感じる(実際、そういわれてサチエが違和感を覚得るシーンがある)。そして、フィンランドという国良いとも限らない。他の国、アメリカならアメリカの、イギリスならイギリスの、フランスならフランスの、南米、アフリカ、中東…描こうと思えば他の国でも出来るんじゃないかと思う。たまたま、ミドリさんが目をつぶって世界地図を指差したところがフィンランドだったように、たまたまフィンランドが選ばれただけで、そのフィンランドの「国らしさ」を出したらこうなった…、と読んでみる。深読みし過ぎだ。ちなみに、前にも紹介したがフィンランド人から見た「かもめ食堂」の印象に関するコラム「かもめ食堂から見えるフィンランドの暮らし」を参考資料として挙げておきます。

 それから、この作品(原作・映画どちらとも)から読み取れる「生き方は人それぞれ選べる」というメッセージ?が好きだ。こういう生き方もある。そう思うと嬉しくなる。勿論、素敵な場所にいても暗い気持ちになることもある。それでもそれも一つの生き方だ。


 後は観て気付いたところ箇条書き。
・サチエの合気道シーン。文章で読んでもさっぱりだったが、映像で観るとかっこいい。ここは映像化の良いところ。
・人々の話している言葉は勿論フィンランド語。「かもめ食堂」で学ぶフィンランド語なんて面白いかも(便乗)。サチエさんのフィンランド語も自然だなぁ。凄い。
・アカデミア書店のカフェで「ガッチャマンの歌」を歌うサチエとミドリ。こんな人が本当にいたら嫌だ。爆笑してしまった。
・イッタラ、アラビア、マリメッコ、アルテック…デザイン好きの萌えポイントが山ほど。たまらん。
・やかんを持つ時のふきんもマリメッコ。マイヤ・イソラデザインのMaalaisruusuですな。
・トンミ君を「トンミ・ヒルトネン!」とフルネーム呼び捨てにするミドリさん。いい感じ。
・そのトンミ君のジャケットにさりげなくフィンランド国旗が。いい感じ。これと同じように、日本人が服に日の丸をつけていたら…うーん、違う。別物だ。
・マリメッコの似合うマサコさん。あんなにうまく着こなせるなんて。さすが女優。素敵。
・そのマサコさんが行った森。この森のざわめきがいいなぁ。
・この映画、音がいいね。料理を作る音、店内を歩く靴の音、かもめの鳴き声。きれいに響いてる。
・ミドリさんの肩掛けバッグ、いいなぁあれ。マリメッコ?何か違う気がする。
・初回特典のシールとヘルシンキイラストマップが可愛い。欲しい方はお早めに。


 以上。長くなってしまった…。特典映像の「猫と歩くヘルシンキ」の感想はまた後日。その時にまた感想を書き足すかもしれません。
◆書き足しました→補足的「かもめ食堂」(映画版)感想続き


<おまけ>
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 このDVD観るならコーヒーだろ!それなら、フィンランド国旗のマグカップで。映画のようにイッタラのTeemaとかアラビアのムーミンマグカップなんてあったら良いのだが…。今度は「コピ・ルアック」でもっと美味しく飲もう。

Trackback for:
「スウェーデン不定期通信でした。:かもめ食堂DVD発売」
スウェーデンに留学していた方のブログ。かもめ食堂の舞台となったKahvila Suomiレポートもあります。
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by halca-kaukana057 | 2006-09-29 21:34 | フィンランド・Suomi/北欧


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