クラシック音楽の、入り口に立つ人たちへ

 このブログで、ほんの少しだけだが何度か「のだめカンタービレ」に対する私の見方について書いてきた。(過去記事「注目の漫画2選」の最後らへんと、「速く、軽く、美しく…『せきれい』」の最後らへんを参照ください) のだめのコンクールのあたりになったので9話は観てみた(10話はまだ録画したのを観てない)。このドラマ化にはあまりいい感触を持っていないけど、殺気迫るショパンエチュード10-4や子供の頃のレッスンのトラウマのあたりには見入ってしまう。


 何故私がこのドラマ化にあまり賛成できないのか、あちこちのサイト・ブログを読んで考えてみた。いちクラシックファンとして、スルー出来ないと感じたからだ(はい、私はスルー力不足です)。

 まず、以前の私の考えを参考サイトと共に挙げてみます。以前「氷山の下に隠れているもの」で言及した「ゆっくり弾こう:何を聴きにいくんだろう」(現在はブログ名変更)の、コメント欄で私は以下のようなことを書いた。
のだめドラマ化のおかげで随分クラシックも日の目に当たるようになって来ましたが、私は一過的なブームで去るならこれまでのままでいいと考えています。クラシックは癒し系、クラシックは感動する、クラシックは上品、知的、セレブっぽい…と決まりきったイメージだけが先行しているような気がしてならないのです。憤りを感じますし、残念でもあります。(2006/11/23のコメントより)

てまりさんのコメント「ピアノを聴きに行った気分になりたいだけ」の部分、微妙ですよね。興味無しよりは興味を持った方がいいけれど、聴いた気分だけ味わって後はさっぱり。何となく「感動した!」、とか言われるとがっかりしてしまうし。複雑です。そういう話を聞くと、興味を持ったならもっとじっくり聴いてみようよ!と言いたくなるのですが、それはファン・マニア・オタクのどうしようもない独り言なのかもしれませんね。私もクラシックに関してはまだまだ知らないことばかりなので、これは自分にも言い聞かせたいことなんですねどね…。(2006/11/25のコメントより)


 それから、朝日新聞より「『のだめ』に沸く音楽業界 ドラマ化で人気に拍車」の記事に対して、私ははてなブックマークのコメント欄に以下のように書いた。
色々な効果はあるだろうけど、私は不安を感じるし、いい効果ばかりじゃないと思っている。熱はいつか冷めるだろうし、「聴いたつもり」の人がその中にどのくらいいるか…。人の事は言えない。もっと真剣に聴こう


 私の考えは以上だ。クラシックに興味を持っている人が増えていることは嬉しいことだし、私も歓迎したい。私自身も友人知人に「クラシック聴くんですよ」と言うと「はぁ?クラシック?難しくないですか?」と顔をしかめられていたのに、今では「『のだめ』でしょ?おもしろいよね」と態度が一変し、驚くやら嬉しいやら(それでも皆がこういう調子ではなく、やっぱり「え?クラシック…?」と言う人もいるけれども)。だから、全面的に賛成できないわけじゃない。

 でも、私が不安に思うのはドラマだけ観て「聴いたつもり」になっている人のこと。批判したいわけじゃない。批評家になんかなりたくない。批判するんじゃなくて、尋ねてみたいのだ。「じゃ、もっと聴いてみない?クラシック」と。そんな私の言葉をうまく表現しているブログさんを見つけたので紹介します。

「Rakastava:♠ 『のだめ』第10話 @ 「クラシック音楽」という世界。」
こういうことを言うと嫌われるかもしれないけれど、クラシックの奥深さはコメディの非ではない。たとえば、「ペトルーシュカからの3楽章」ポリーニDG盤を買ってみたら、そこにはウェーベルン、プロコフィエフ、ブーレーズといった遥かに難解で遥かに斬新で遥かに強烈な作品群が並んでいて、それでもクラシックという金鉱の入り口で拾った原石のかけらくらいでしかない。そして、クラシックのほとんどの曲は1回聴いて分かるほど簡単ではない・・・。まわりでも「のだめ」を見て「クラシック知ってる」雰囲気になってる人が多いのだけど(あー、ブラームスの交響曲ね、とか)、クラシックの世界のとんでもなさというのは、想像を絶するものなので、私としてはそこを分かって欲しいと思う次第です。


 そう、いくら「のだめ」を多くの人が観ても、そのブームをマスコミが取り上げても、それは入り口に立ったに過ぎない。せっかく入り口に来たんだから、もっと先に進んでみようよ、いろんな曲を聴いてみようよ!と声を張り上げたいのです。

 私も、数年前まではクラシックに興味はあっても堅物そうで難しそうで、近寄れない存在だった。私も、初めは「のだめ」(漫画)で「この曲聴いてみようかな」と思ってCDに手を伸ばした人間です。その時はブラームスの1番をいい曲と思うことが出来なかったし、シューベルトのピアノソナタ16番も魅力的には感じなかった。あれから1年以上経った今では、上記の2曲は好きな曲になってしまったし、漫画・ドラマに出てきた曲以外にも好きな曲は山のようにある。そしてこれからも、聴いたことがある曲もない曲も聴いてみたいと思い、図書館やCD店に足を伸ばす。今聴いても分からない曲は何年かかってでもいいからじっくり聴いてみようと思っている。もしピアノ曲で私にも弾けそうなレベルであれば弾いてみたい。その方が聴く何倍も味わえるから。

 私はまだクラシックファンとしてひよっこの存在。そんな私がこんなことを書くのは、凄く生意気でもの知らずな人間だと思う。でも、もしクラシック音楽の世界の入り口に立っていて、その先の様子をそっと伺っている人を見かけたなら、手をとって「一緒に聴こうよ」と言いたい。生涯飽きることなく付き合うことの出来る音楽が、ごろごろしているのだから。私が出来るのはこのブログで好きな曲を紹介することや、友人知人のクラシック音楽に対する「堅苦しい・難しい・とっつきにくい」概念を少しでも和らげるような情報を流すことぐらいしか出来ない。でも、それが何かを変えるなら、それだけでも行動したい。はたから見たらどうしようもないオタクだけど、オタクだって自認しているからいいや、と開き直ってみたり。


 長くなってしまったけど、言いたいことは以上。ブーム・流行は嫌いだけど、それを『使う』ことだって出来るんだなと感じた。
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by halca-kaukana057 | 2006-12-19 23:27 | 日常/考えたこと


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