音を見て、響きを感じる

 先日、コンサートに行ってきました。恥ずかしながら、人生初のプロオーケストラのコンサート。今まで行きたいと思うコンサートは結構あったのですが、上京出来なかったとか、都合が合わなかったとか、チケットが高かったとか…。言い訳している場合じゃない。感想を。

 まず、プログラムと指揮者・オケは以下。

モーツァルト:セレナード第13番ト長調K.525 第1楽章<アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク>
グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 op.16 
ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調op.95<新世界より>
ピアノ:菊池洋子、指揮:本名徹次、日本フィルハーモニー交響楽団

 どれもよく知っているし、大好きな曲ばかり。初コンサートとは言え、気楽に楽しめました。でも、生の音は違う。馴染んでいるはずの曲が、全く別のものに聞こえる。モーツァルトのセレナードの冒頭からぶっ飛んでしまった。いつもは弦だけの響きが、とても繊細で深い。弦楽だけの小さな編成なのに、何故こんな音が迫って来るんだ?ヴァイオリンの高音からコントラバスの重低音まで、ピアニッシモからフォルテッシモまで、スピーカもマイクも無いのにホールいっぱいに響く響く。オーケストラの楽器って凄い。言い訳してないで、もっと前からコンサートに行ってればよかったと感じた。

 曲が終わって、ステージの脇にあるグランドピアノが中央に運ばれてきた。グリーグのピアノ協奏曲だ。待ってました。これのために、ピアノの手元が見える中央左よりの席を取ったんだ(2階席なので細かい部分までは見えなかったが、手の動きははっきりと見て取れた)。ピアノはスタインウェイ。もしかして、以前私が弾いたあのスタインウェイのフルコンかな?(その時とホールは別だが、スタインウェイが何台もあるような町ではありません、わが町は)

 グリーグのピアノ協奏曲と言えば、あの冒頭。ティンパニ「ドロドロドロドロ…」→ピアノ「ちゃん!!!チャチャチャン、チャチャチャン、ちゃちゃちゃん…」うまく行くんだろうか、ドキドキした。この曲、演奏しているところを見ながら聴いているとピアノの鍵盤の全域を使っているんだってことがよくわかる。低音から高音へ跳躍するところでも、よく音を外さないなぁ…なんて見ていたり。ピアノの響きも、ホールいっぱいに広がって、満ちてゆく感じ。第2楽章、ゆったりとしたメロディーでそう感じた。第3楽章のノルウェーの舞曲のような主題も、音が身体に響いて突き動かしてくる。CDでは味わえない感覚。演奏後は手が痛くなるまで拍手してた。ピアノの菊池さん、ロングヘアが素敵なきれいなお姉さん。今日はピアノのアンコールは無いのか、残念。グリーグの抒情小品集なんて弾いて欲しかった。

 休憩中、ステージではコントラバスさんたちが打ち合わせ中。談笑したりして楽しそう。一方、同じステージ上からコールアングレの音色が。ああそうか、ドヴォ9だからか。コールアングレのお姉さん、開演前もステージで音を調整していた。そのくらいソロって大変なんだ。コールアングレの活躍がますます楽しみになった。

 そしてドヴォ9.編成も今までで一番大きなものに。いつもはどの楽器がどの部分を弾いているのかあまり気にしていなかったけど、眼で見て取れるって凄い。楽器から楽器へ主題を受け渡してゆく様子がわかりやすい。第2ヴァイオリンやヴィオラがどんな伴奏をしているのかや、トロンボーン3人のそれぞれの動き。第4楽章でヴィオラが主題を弾いていたこと。第4楽章ラストにはテューバは参加していないこと。そして指揮者の動き。CDじゃ全然わからなかった。「百聞は一見にしかず」、全くそのとおりだ。

 この曲はとにかく管がいい。金管も、木管も。あの、コールアングレも。第2楽章のソロ部分、きれいに決めてくれました。コールアングレ、そしてオーボエの音って、どこまでも澄んでいて遠くまでよく通る。「クインテット」の「楽器の話」で、オーボエは宇宙から聞こえる風の音なんてやってたけど、生で聴くとそれがよくわかる。第3・4楽章の金管全力バズーカもたまらない。勿論、ティンパニも。この曲も手が痛くなるまで拍手拍手。本名さんも、日フィルの皆さんもとても満足そうな顔。演奏後の音楽家の表情は見ていていいなと思う。とても満足そうな、楽しそうな笑顔で。

 アンコールは弦楽合奏で「ふるさと」。「うさぎ追いしかの山~」のあれ。これまた心揺さぶる。

 ちょっと気になったことは、演奏中、観客の咳が多かった。これはマナーが悪いだけなのか、このくらいは許容範囲、我慢するものなのか(ドヴォ9では曲に集中して咳のことなんて気にしていられなくなってたけど)。ただ、観客を見ていると色々面白い。私の席のそばの、お母さんと来ていた小学生の女の子が曲に合わせて小さく指で指揮真似をしていたのは可愛かった。いい曲を聴くと身体が自然に動く、わかるわかる。親と一緒の小学生の子どもや、学校帰りの制服姿の高校生も多かった。ピアノや吹奏楽とかやってる子たちかな?そして、きっと若い頃はレコードを聞きかじっていたと思われるおじいちゃんや、私のようにお一人様の若い人も。そんな多くの人と、ひとつの時間と、ひとつの演奏を共有する。一緒に音に心身を揺さぶって、一緒に拍手する。これもCDではなかなか出来ない。こんな体験が出来るのもコンサートの醍醐味。

 生の楽器の音を聴いて、ピアノに活かせそうなものも見えた。それぞれの楽器の音・響きをイメージするとはどんなことか、響きにも種類が色々あって、それを表現するには何が必要か。少しイメージできそうだ。生の音の威力って凄い、ホント。

 ちなみに今回の楽器配置は、ステージ向かって左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンのヴァイオリンを向かい合わせにした配置。コントラバスは第1ヴァイオリンとチェロの後ろ。最近増えてきているのかな。この形。

 音はただ聴くものじゃない。音を見て、響きに触れて感じる。本当におなかいっぱいのコンサートでした。よし、またコンサート探しだ。
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by halca-kaukana057 | 2007-05-24 22:07 | 音楽


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