熱血ベートーヴェン

 クラシックのコンサートに足を運ぶようになって1年。そのきっかけになった日本フィルのコンサートに今年も行ってきました。今年はなんと指揮がコバケンこと小林研一郎さん。唸るほどの熱血指揮を生で視聴出来るなんて感激です。
*去年の感想:音を見て、響きを感じる

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」K.492 序曲
        :ピアノ協奏曲第20番 ニ短調K.466
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 op.92
ピアノ:仲道郁代、指揮:小林研一郎、日本フィルハーモニー交響楽団


 まずモーツァルト「フィガロの結婚」序曲。どうしてもこの曲を聴いてしまうと、「クインテット」のスコアさんの歌が脳内再生されてしまう。「♪モーツァルトのモーツァルトのモーツァルトのお話~」と。全く困った脳内再生…。
 弦はさらさらと爽やか、木管は朗らか。まさに軽快で楽しいモーツァルト。一方、次の「ピアノ協奏曲第20番」は同じモーツァルトでも全然違う。この対比が面白かった。

 その「ピアノ協奏曲第20番」。ピアノは仲道郁代さん。柔らかくて、しなやかな演奏だなぁと思ったら、だんだん激しくなる曲想に合わせてピアノも激しく力強く。聴いていて、悲劇のオペラみたいだと感じた。ピアノは主役のソプラノ歌手で、孤高の存在。第1楽章では自分の歌をひとり哀しく、寂しく歌う。他の役者(楽器)は遠巻きに見ている様子。第2楽章で他の役者もだんだん近づいてくるのだが、結局第3楽章で孤独な存在に戻ってしまう。モーツァルトの短調曲でも、胸にずしりと重く響いてくる作品だと感じる。仲道さんの演奏の美しさ、細やかさがそんな寂しさをグッと引き立ててた。以前のN響のチャイコフスキー「悲愴」交響曲の時のような哀しさ、寂しさに襲われてしまった。哀しさよりは、寂しさのほうが大きい。

 今回、かなり前の席に座ることが出来たのですが(自分で席を確認してチケットを取ったのだが、予想以上に前の席で驚いた)、仲道さんの指・手・腕の動きをじっくり見ることが出来ました。腕の筋肉の動きも少し見て取れた。ピアノ演奏は、スポーツと同じくらい筋肉の動きを意識しなければと感じました。ダイエットも兼ねて筋トレしたら、ピアノ演奏にもいい影響が出ないだろうか…。試してみようか。ピアノだけじゃなく、楽器演奏には身体と心のバランスを取ることが必要なのかなぁ。それにしても、仲道さんはとてもきれいな方でした。


 メインのベト7の前に、小林さんがベートーヴェンの交響曲について解説。その解説がとても面白かった。
 ベートーヴェンの交響曲は、第1番がド、第2番がレ、第3番がミ…というように、番号とはじまりの音が順番に上っていっている(そう言えば第5番「運命」の冒頭「ジャジャジャジャーン」も「ソソソミ♭ー」だった)。しかし、第7番だけは例外で、「ドレミファソラシ」と全ての音を使って主題が奏でられる(ここで小林さん、舞台脇に置いてあったピアノを弾きながら解説)。第3楽章は「シラソファミレド」と音階が下がってくるが、音階の7つの音を使うのは変わらない。ただ、第2楽章だけは音階を上がることも下がることもなくひとつの音を連打する。1・3・4楽章は躍動的で歓喜を表現しているけれども、第2楽章だけはベートーヴェンの胸のうちにあった苦悩が表現されている、というお話。これまで7番にあまり興味を持てていなかったのだが、この解説で興味を持てた。

 解説の後の演奏ですが、物凄く熱かった。冒頭からコバケンの唸りも飛び出すほど。これがコバケンの唸りなのね(笑)と最初はにやけてしまったのだが、だんだん自然に聞こえてくる不思議…。指揮も見ていると面白い。手・腕の振り方、しぐさ、指す方向、表情、目線。残念ながら私の席からは木管・金管パートを見ることは出来なかったのだが、小林さんの指揮で方向は確認出来た。内向的な表現が求められる部分では手を胸に当てたり、空気(音?)をつかんでふわりと風船でも浮かせるかのようなしぐさも。なるほど。これまでは2階席にいたのでよくわからなかったけど、間近で見るとまた興味深いものを見つけられる。

 第2楽章の主題を提示するのは、ヴィオラとチェロとコントラバス。去年ドヴォルザーク第9番「新世界より」でもヴィオラが主題を受け持つ部分があることをようやく見て知って嬉しくなったのだが、べト7でもヴィオラがおいしい主題を受け持ち全楽器に向けて提示することを知って嬉しくなった。ヴィオラ好きにはたまりません。

 フィナーレ第4楽章。迫力満点、本当に熱かった。ただでさえ気持ちが高揚するような曲なのに、テンション上がりっぱなし。クライマックスでは小林さんが人差し指で頂点を指さしたり、音を遠くまで!!という意味なのだろうか、客席方向へ腕をぶんと振るような指揮も。小林さんも熱かったが、コンマスさんも熱を帯びた演奏をされてました。曲が終わった瞬間、大きな拍手とブラボーがあちこちから聞こえてきた。私もとにかく拍手し続ける。前の席の私と同い年ぐらいの女性グループも、とても楽しそうな笑顔で思いっきり拍手している。演奏者も観客もこんなに熱くなったコンサートは初めて。去年とはまた違う「一体感」を感じることが出来ました。

 アンコールは「ダニー・ボーイ(ロンドンデリーの歌)」とべト7第4楽章の最後45秒ぐらい。「ダニー・ボーイ」は弦がきれい。ついさっきべト7で思いっきりテンションが上がったのに、「ダニー・ボーイ」でゆったり落ち着く(でもその後もう一度べト7でまたテンションが上がってしまったのだが)。音楽って不思議だ。

 またコンサートで貴重な体験が出来ました。そう言えば、去年はヴァイオリンを向かい合わせにした配置だったのが、今年は第1ヴァイオリンとヴィオラが向かい合わせになる配置。楽器の配置は指揮者の判断なのか。
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by halca-kaukana057 | 2008-05-24 16:17 | 音楽


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