2008年 06月 28日
音楽のたのしみ 1 音楽とはなんだろう
このところ、音楽理論や楽典に興味がある。ドイツ・ハルモニア・ムンディのCD50枚ボックスやその他バロック・古典派のクラシック音楽を聴いたり、「プレ・インベンション」でバロックのピアノ曲を演奏したりしているうちに、どんな秘密があるのか探りたくなった。簡単に独学できるものではないが、少しずつ紐解いてみたい。そんな想いで手に取ったのがこの本。図書館で見つけた。
音楽のたのしみ(1) 音楽とは何だろう
ロラン=マニュエル/吉田秀和:訳/白水社・白水Uブックス/2008
この本は、1950年代、フランスで放送された同名のラジオ番組がもとになっている。作曲家で音楽評論家のロラン=マニュエル氏と、若手ピアニストのナディア・タグリーヌ嬢が、毎回各分野の専門家をゲストに迎え、音楽について語り合う。音楽とは、楽器とは、リズムや調性、形式など。どの話もとにかく深い。ついて行くのがやっと。
その位、私にとっては難しい内容なのに挫折せずに読めたのはナディア嬢の存在がある。ロラン氏とゲストは、放っておくと専門用語を使いまくり、どんどん難しい話をしてしまう。しかし、ナディア嬢はわからない言葉があれば、恥じることなくすぐに質問する。なぜ?どうして?と常に考え、時にするどい指摘をする。「著者まえがき」に、ロラン氏はナディア嬢のことを「いつも目ざめている好奇心の針」(3ページ)と書いていたが、まさにそう呼ぶのにぴったりなぐらい、ナディア嬢の好奇心の針の鋭さ、アンテナの高さには驚かされる。私もナディア嬢のようにありたい。知らないことばかりでも卑屈にならず、知らないものは知らないと言って謙虚に学びたい。そして、人とじっくり話し、ウィットに富んだ会話が出来るように。
この本を読んで、ナディア嬢とともに学んだことはたくさんある。第12話の調性。第17話のソナタとシンフォニー。ソナタの転調の決まりがようやくわかった。楽典の参考書のように、ささっと書いてあるわけじゃない。目的のページを開く時、どこだったっけ…?と迷うことも多いが、ロラン氏とナディア嬢とゲストたちの会話が、知りたかったことに引き込んでくれる。参考書ではなく読み物として。しかもその会話が容赦ない。
ただ、難しい内容ばかりでもない。「音楽のたのしみ」とタイトルにあるように、音楽の楽しさにも重点を置いている章もある。第29話「新旧論争」、第30話「新旧論争《調子はずれ》」にあるように、形式や時代にばかり眼(耳?)を向けて、新しい音楽を理解しようとしない。教養が、音楽を純粋に聴くことを邪魔することもある。「開かれた耳」をもって、あまたある音楽に臨みたい。最後のロラン氏の言葉が印象的だ。
また、第7話・オーケストラの回のゲスト、指揮者のマニュエル・ロゼンタル氏の言葉も。
ただ、私にとって困った点がこの本にはある。フランスのラジオ番組がもとになっているため、フランス音楽の話が中心になっている。フランスものが苦手なので、聞いたことがなくわからない話も多い。これはこの機会にフランスものを聴けということなんだろうか…。どこまで聴けるかわからないけど、ラヴェル、ドビュッシーあたりからもう一度挑戦してみようか…?ちなみに、第9話・ピアノの回のゲストは、あのフランシス・プーランク!(この本では「プランク」と表記)フランスものでもプーランクはいいなと思った。じゃ、プーランクをもう少し掘り下げれるところから始めてみようかしら。
(以前の記事:フランス音楽は苦手…だけどプーランク)
この「音楽のたのしみ」は全4巻。もう少し、ナディア嬢と一緒に音楽のたのしみと秘密探しをしてみよう。
音楽のたのしみ(1) 音楽とは何だろう
ロラン=マニュエル/吉田秀和:訳/白水社・白水Uブックス/2008
この本は、1950年代、フランスで放送された同名のラジオ番組がもとになっている。作曲家で音楽評論家のロラン=マニュエル氏と、若手ピアニストのナディア・タグリーヌ嬢が、毎回各分野の専門家をゲストに迎え、音楽について語り合う。音楽とは、楽器とは、リズムや調性、形式など。どの話もとにかく深い。ついて行くのがやっと。
その位、私にとっては難しい内容なのに挫折せずに読めたのはナディア嬢の存在がある。ロラン氏とゲストは、放っておくと専門用語を使いまくり、どんどん難しい話をしてしまう。しかし、ナディア嬢はわからない言葉があれば、恥じることなくすぐに質問する。なぜ?どうして?と常に考え、時にするどい指摘をする。「著者まえがき」に、ロラン氏はナディア嬢のことを「いつも目ざめている好奇心の針」(3ページ)と書いていたが、まさにそう呼ぶのにぴったりなぐらい、ナディア嬢の好奇心の針の鋭さ、アンテナの高さには驚かされる。私もナディア嬢のようにありたい。知らないことばかりでも卑屈にならず、知らないものは知らないと言って謙虚に学びたい。そして、人とじっくり話し、ウィットに富んだ会話が出来るように。
この本を読んで、ナディア嬢とともに学んだことはたくさんある。第12話の調性。第17話のソナタとシンフォニー。ソナタの転調の決まりがようやくわかった。楽典の参考書のように、ささっと書いてあるわけじゃない。目的のページを開く時、どこだったっけ…?と迷うことも多いが、ロラン氏とナディア嬢とゲストたちの会話が、知りたかったことに引き込んでくれる。参考書ではなく読み物として。しかもその会話が容赦ない。
ただ、難しい内容ばかりでもない。「音楽のたのしみ」とタイトルにあるように、音楽の楽しさにも重点を置いている章もある。第29話「新旧論争」、第30話「新旧論争《調子はずれ》」にあるように、形式や時代にばかり眼(耳?)を向けて、新しい音楽を理解しようとしない。教養が、音楽を純粋に聴くことを邪魔することもある。「開かれた耳」をもって、あまたある音楽に臨みたい。最後のロラン氏の言葉が印象的だ。
ナディア、偉大な精神たちは、俗人よりも、彼らのたのしみのすき好みについてやかましく言わない。それはかれらが、なんでもないものから何かをつくり出すことができるからです。それに、実はこのなんでもないものこそ、われわれが、音楽のたのしみが生れ、花咲くのを見る時、その中核になるのです。
(420ページ)
また、第7話・オーケストラの回のゲスト、指揮者のマニュエル・ロゼンタル氏の言葉も。
要するに、われわれの務めは音楽につかえるにある。わたしが、なんとかという指揮者をききにいくというのではなくて、何かの作品をききにいくというようになってもらいたいと思うのも、そのためです。音楽では、決して音楽以外のものをきいてはいけない。
(107ページ)
ただ、私にとって困った点がこの本にはある。フランスのラジオ番組がもとになっているため、フランス音楽の話が中心になっている。フランスものが苦手なので、聞いたことがなくわからない話も多い。これはこの機会にフランスものを聴けということなんだろうか…。どこまで聴けるかわからないけど、ラヴェル、ドビュッシーあたりからもう一度挑戦してみようか…?ちなみに、第9話・ピアノの回のゲストは、あのフランシス・プーランク!(この本では「プランク」と表記)フランスものでもプーランクはいいなと思った。じゃ、プーランクをもう少し掘り下げれるところから始めてみようかしら。
(以前の記事:フランス音楽は苦手…だけどプーランク)
この「音楽のたのしみ」は全4巻。もう少し、ナディア嬢と一緒に音楽のたのしみと秘密探しをしてみよう。
by halca-kaukana057
| 2008-06-28 21:58
| 本・読書