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[コミック版]風が強く吹いている 3

 三浦しをん原作の駅伝小説のコミカライズ第3巻です。

風が強く吹いている 3
原作:三浦 しをん/漫画:海野そら太/集英社・ヤングジャンプコミックス

 マネージャーに葉菜子を迎え、記録会へ出場し箱根を目指すアオタケのメンバーたち。練習とハイジの的確なアドバイスの成果が出始め、徐々にタイムは縮んでゆく。走もメンバーの頑張りに驚くが、走のライバルである榊の一言で強豪校との実力の差に焦りを感じ始める。走自身も思い通りの走りが出来ない。苛立ち、焦る走を見て、六道大の藤岡は自身の過去を語り始める…。


 陸上であれ何であれ、調子の悪い時ほど誰かのせいにしたり、周りが見えずに無駄にあがいたりしてしまう。藤岡さんの言うとおり。全てを悟ってしまったかのような藤岡さんにも、スランプや挫折、後悔することがあったんだ…。原作にはない部分で、藤岡さんの人間の"深み"を感じられた。そして、同じ状況に陥っている走。調子が悪い時、悩んでいる時、そばにいて心配してくれる仲間の存在にようやく気が付いた。この3巻で、走の表情がどんどん変わってゆく。1巻なんて固い、冷たい表情ばかりだったのに、3巻では笑顔も増える。88ページのユキの一言
「…お前 アオタケに来た頃とはまるで別人だな。あのころは狂犬のようだったのに…」
全くその通りだ。

 変わっていっているのは走だけじゃない。(本当は楽しんでいるのに)箱根に出る気なんて全くないユキ、陸上経験者だからこそ17分の壁がどんなに厚いかを実感して苦しんでいるニコチャン、走ることとは縁のない生活をしていた王子。この3人の変化にも注目。3人が走ろう、走りたいと思うようになったのも、アオタケメンバーがお互いを励まし合っているからこそ。誰かが頑張っていて、自分もその頑張りに応えたいと思う。力になりたいと願って一緒に走る。声を出す。私もユキと同じく熱血運動部(特に中学・高校の)は苦手なのだが、いいなぁこういうのと思ってしまう。

 一方、過去を話さないハイジ。ハイジの過去が気になるけど、聞けない走。ハイジが色々なことを黙っているのは、膝の心配があるからか、それとも…。まだまだ気になります。

 夏合宿で、メンバー個々人の走りの個性も見えてきました。王子にだって、走りの長所があるんです。そして予選会。走はいいとして、ハイジを取り巻く動きが…。いや、ハイジが仕掛けてます。ハイジさん強いよ…。

 あとがきは、2巻とおなじく三浦しをんさんの書き下ろしミニ番外編。ここでもハイジさんが予想外の動きに。ハイジさんって、天然入ってるの…?
 予選会の行く末は4巻。12月発売予定。
by halca-kaukana057 | 2008-10-01 22:09 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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