カテゴリ:本・読書( 489 )

ふたつのスピカ 8

「ふたつのスピカ 8」(柳沼行、メディアファクトリー)


 私の大好きな漫画です。1巻が出たとき「ダ・ヴィンチ」で紹介されていて、ちょっと興味を持ったので読んでみたら、まさにツボにはまりました。一言でいうなら、「純情SFファンタジー」といったところでしょうか。NHK教育でアニメも放送されています。(まさかアニメ化されるとは思わなかった。)

 2010年、日本初の有人宇宙ロケット「獅子号」が打ち上げられるが、打ち上げ後に爆発、市街地に墜落して大惨事となる。その事故に巻き込まれ、母を亡くした少女・アスミは、ある日神社の境内でライオンの被り物をかぶった青年と出会う。彼は「獅子号」の乗組員で死亡した幽霊。「ライオンさん」と名乗り、アスミ以外には見えない。ライオンさんから宇宙の話を聞くうちに、アスミは宇宙飛行士になりたいという夢を持つ。
 中学を卒業したアスミは、宇宙飛行士の夢をかなえるために、厳しい試験を突破し東京宇宙学校に入学する。そこで出会った友達との友情、恋愛、そして宇宙への夢。訓練は厳しいが、アスミたちは助け合い、成長し、宇宙への道を歩んでいく。

 大体のあらすじはこんな感じ。この8巻では、突然の脱獄訓練や、アスミが気になっている高校生・桐生との関係、アスミの友達・ケイの恋心が中心。桐生君との関係にやきもきする幼なじみ・府中野や、宇宙飛行への推薦を受けたにもかかわらず困っている秋君も見逃せません。

 SFとはいっても、心が温まりやさしくなれるファンタジーの要素のほうが強いです。絵もほんわかしていて、本当に男性が描いたのかと思うほど。その一方で人間関係も巧妙に入り組んでいます。

 読んで損はない。本当にお勧め。ちなみに、スピカが好きなら「プラネテス」も好きなはず。もちろん私もその一人。
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by halca-kaukana057 | 2005-05-24 22:35 | 本・読書

恋火 天国の本屋

「恋火 天国の本屋シリーズ」(松久淳+田中渉、小学館)

 「天国の本屋」シリーズ第3弾。竹内結子主演で映画化もされました。リストラされたピアニスト健太は、やけ酒を飲んでいる途中でヤマキという怪しげな老人と出会う。酔っ払って気が付くと、とある本屋の2階で寝ていた。その本屋が天国にある本屋だったのだ。健太はそこでアルバイトをするようにとヤマキに言われる。しぶしぶ本屋での仕事をはじめるが、バイト初日、「椿姫」を読んでほしいというある女性に出会った。
 一方、青年団に所属する飴屋の気の強い娘、香夏子は商店街でかつて行われていた花火大会のことを耳にする。その花火大会のフィナーレには、「恋する花火」と呼ばれる伝説の花火が打ちあがっていたのだが、ある事件を境になくなってしまった。花火大会を復活させたいと願う香夏子は、「恋する花火」を作っていた職人を探し始めた。

 読んだ後、しばらく衝撃が心の中を駆け巡っていました。健太が出会った「椿姫」の女性の過去、ピアノを巡る物語、「恋する花火」の秘密、物語にぐいぐいと引き込まれていくようでした。切ない、けれども強い力のある作品です。人を思う気持ちが、人を動かすというのでしょうか。

 この物語の鍵となるのがピアノ。健太は、楽譜どおりの演奏はできても人の心を動かせないというのでリストラされました。「椿姫」の女性とピアノ・音楽の関係、香夏子とある女性ピアニストのこと、健太の思い出の中にあるあるピアニスト。そしてクライマックスの演奏。読んでいるうちに、音楽っていいなと思いました。音楽は時空を越える。人の想いとともに。クライマックスが切ないです。

 これ以上書くと完全にネタばれしてしまうので、この位にしておきます。本当にお勧め。

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by halca-kaukana057 | 2005-05-18 21:39 | 本・読書

流星ワゴン

重松清「流星ワゴン」(講談社文庫)

 私の一番好きな作家がこの人、重松清さんです。「エイジ」や「ナイフ」、「ビタミンF」などかなり読んだと思います。家族や教育の現代の問題をしっかり見据えていて、それでいてとても優しく語る文章が好きです。でも、この「流星ワゴン」はなぜか読まずにいました。今回文庫化とあって、即買いました。

 38歳の一雄はリストラされ、妻とも離婚寸前、中学生の息子は不登校。駅で「死んじゃってもいいかなぁ」と思っていたところへ、一台のワゴン車がとまった。乗っていたのはとある父子。ただし、交通事故で死んだ幽霊。その父子は一雄を大切な場所へと連れて行ってくれるという。そして着いたのは、1年前の交差点。妻の浮気現場を目撃し、追いかけなかった場所。そしてそこには病に付しているはずの一雄の父がいた。しかも一雄と同じ歳の。人生をやり直せるのか、一雄は父とワゴンとともに、時空を飛び越えた。

 重松さんには珍しいファンタジーですが、登場人物はどこにでもいそうな現代の家族。父親に反感を抱く一雄と父の会話とか、交通事故死した息子の成仏を願う父の会話とか、心に染みる。そこにあるのは過酷な現実。それでも立ち向かう姿がいい。家族とは、生きる意味とは、考えさせられます。私も今家族や生きることに悩んでいる。その気持ちを代弁してくれているような気もする。失敗してもいい。何があっても、家族の絆は消えない。ラストにぐいぐい引き込まれました。

 やっぱり重松清はいい。そう思わずにいられません。
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by halca-kaukana057 | 2005-04-22 20:00 | 本・読書

青べか物語

 山本周五郎の現代小説です。小説というよりは民俗誌といったほうがいいかもしれません。でも、小説の分類なのですが。

 根戸川の下流にあるうらぶれた漁師町、浦粕を訪れた作家志望の「私」は、ボロ船「青べか」を買わされてしまう。それでも、景色が気に入り住み着き、やがて「私」は「蒸気河岸の先生」と呼ばれるようになる。その「私」の目を通して、漁師町の日常を描いたのがこの作品。

 独特の言い回しがあって読みづらいところはありました。一番気に入ったのが「芦の中の一夜」の章。船長の昔話が切なかったです。漁師たち街人が生き生きしていて、読んでいると元気をもらえそうな感じがしました。意外なラストも面白いです。
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by halca-kaukana057 | 2005-03-12 19:41 | 本・読書

翼のある言葉


「翼のある言葉」(紀田順一郎・新潮新書)

 この本はいわば名言集です。著者が読書の途中で見つけた名言をノートに書き写し、それが本になりました。名言だけでなく、その背景や言った人の経歴も詳しく記されていて、思わず「へぇー」と言ってしまいました。

 心に残る言葉がいくつもあったのですが、その中から少し紹介したいと思います。
まず、アウシュビッツに送られた精神医学者、V・E・フランクルの『夜と霧 新版』より

 
気持ちが萎え、時に涙することもあった。だが、涙を恥じることはない。この涙は苦しむ勇気をもっていることの証だからだ。


 この言葉を読んだとき、まさに今の私自身だと思いました。

 もうひとつ、中国の小説家魯迅の『故郷』より、

 
思うに、希望とはもともとあるものだともいえぬし、ないものだともいえない。それは地上の道のようなものである。もともと地上には、道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。


 私がこの言葉に出会ったのは、中学生のころ教科書で『故郷』をやったときでした。今読み返してみて、もともとないものだから、もってなくてもいいじゃないか。希望は人が作っているものだから、いつか作れるだろうと思いました。

 悩んだとき、またこの本を手にしたいです
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by halca-kaukana057 | 2005-03-08 21:10 | 本・読書

春の数えかた

「春の数えかた」(日高敏隆、新潮文庫)

 動物行動学者の筆者が、さまざまな昆虫や鳥をテーマにしたエッセイ集。どれも興味深く、面白かった。動物のことだけでなく、気象やスリッパの話題まであり、筆者の思考の豊かさを感じることができた。しかも、文章がとてもわかりやすいんです。私は文系人間ですが、理科や数学にも興味がある。でも、わけのわからない数式や法則を出されると「文系ですから」と逃げてしまう奴。この本は難しいことは抜きに、自然の成り立ちや謎を紐解いてくれる。「自然」を「知る」ことがとても楽しくなってしまう本でした。

 
 その中でも、屋久島の話には驚きました。私は屋久島に一度でいいから行ってみたいと思っている。その屋久島は、手付かずの自然というイメージが強いけれども、それは昔から手厚く保護されてきたからだ。今、屋久島は観光地となり、それに伴って環境も荒れ始めている。私が求めている自然とは何だろうと、この本を読んで考えました。自然保護についても触れているエッセイが多いので、自然について考えることもできます。
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by halca-kaukana057 | 2005-02-16 20:12 | 本・読書

自閉症だった私へⅢ

「自閉症だったわたしへⅢ」 (ドナ・ウィリアムズ、河野万里子訳、新潮文庫)

 高機能自閉症である著者の手記第3弾。この本を読んでいると、著者の生きようとする強さに心を打たれる。第3弾では、同じく自閉症のパートナー・イアンとの生活を通して、「わたしの世界」から「世の中」、そして「わたしたち」の世界へと生活の幅が広がっていく。自分の意志とは関係なく行動してしまうことを「防衛心」と呼び、それから解放されるためにイアンと編み出した方法や、イアンとの結婚、そして関係を絶っていた著者の家族のことなど、著者の生きる様は本当に過酷だ。「わたしらしく」生きることがどんなに大切か、強く伝わってくる。

 自閉症を抱えながらも、他者と生きることを求めつづけるドナとイアンを、言葉では表せないほどすごいと思った。難しいけれども、読み応えのある本でした。
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by halca-kaukana057 | 2005-01-23 20:49 | 本・読書

天国の本屋 うつしいろのゆめ


松久淳+田中渉「天国の本屋 うつしいろのゆめ」


 「天国の本屋」シリーズ第2弾となる作品です。”三流”結婚詐欺師・イズミはフィアンセとの旅行へ行く直前にアロハシャツの変な男・ヤマキに正体をバラされ、さらにハイジャック犯につかまり…。しかし、気が付いたらヤマキにある仕事を頼まれることになった。立ち退きを求められている家主・長一郎の家でヘルパーとして働き、立ち退き許可証にサインさせてほしいという仕事だった。頑固で偏屈な長一郎の態度にイライラしつつも、イズミは大切な記憶を思い出し始める。

 前作に引き続き、ヤマキの本屋が行っている朗読が面白い。今回はそれほど多くは出てきませんが。長一郎とイズミの関係に、しんみりしてしまいました。
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by halca-kaukana057 | 2005-01-05 21:46 | 本・読書

赤ひげ診療譚

「赤ひげ診療譚」(山本周五郎、新潮文庫)

 山本周五郎の作品を読むのはこれで2回目。「さぶ」もよかったけど、「赤ひげ診療譚」もいい。

 長崎へ遊学していた医生・保本登は小石川診療所で見習い医として働くことに。診療所の「赤ひげ」と呼ばれる医師・新出去定にはじめは反発していたものの、去定の人間性や診療先の人々に感銘を受け、登は成長していく。

 登の成長を読み取ることもできるし、医療のあり方を問う作品でもあると思う。作者が大事にしていたという弱者へのまなざしを、しっかりと、一方で暖かく感じることができました。読んだ後で心がすーっとする作品です。

 今後も山本周五郎は読んでいこう。時代小説に苦手意識をもっていたのに、すんなり読める。
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by halca-kaukana057 | 2005-01-04 20:18 | 本・読書


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