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[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤

 忘れてませんよこのシリーズ。シベリウス「クレルヴォ交響曲」聴き比べシリーズ。ゆっくりゆっくりですが進めます。来月、シベリウスの命日の9月20日には一区切りできればいいなぁ(その後は2017年になれば今度は没後60年)

 先月、Eテレ「クラシック音楽館」で、ネーメ・ヤルヴィ指揮N響の演奏会が放送されていました。以前このシリーズで、ご長男のパーヴォ・ヤルヴィ指揮ロイヤル・ストックホルム・フィル盤を取り上げましたが、ネーメパパも「クレルヴォ交響曲」を録音しています。今回はネーメパパ(ムーミンパパみたいな…w)の演奏です。

 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
 カリタ・マッティラ(ソプラノ)、ヨルマ・ヒュンニネン(バリトン)
 ラウル・イスタヴァ男声合唱団


 1985年の録音。古めの分類に入ってきました。
 まず、この演奏のいいところは、シベリウス:交響曲全集の中に入っていること。ネーメさんは、エーテボリ響と2回シベリウス交響曲全集を出していますが、これは1回目のBISからのもの。交響曲全集の中に「クレルヴォ」も入ってるのは嬉しいなと。最近のシベ全は、純粋に交響曲だけで、「フィンランディア」も「タピオラ」も「悲しきワルツ」も「トゥオネラの白鳥」も入ってないのが多い…別に管弦楽曲集を出していればいいのだが、交響曲だけでちょっと寂しいなと思います。せめて「フィンランディア」と、最後の大き目の規模の管弦楽曲(第8交響曲と呼ばれることもある)「タピオラ」は入れてほしいです。ちなみにこの全集には、「クレルヴォ」の他に管弦楽曲は入ってません。後にグラモフォンから管弦楽曲集を出しています。

 演奏は、一言で言うと「爆演」です。この演奏を聴いてから、他の演奏を聴くと大人しく聴こえてしまいます。テンポも速い、1・2楽章は特に速いです。全体で67分。前回取り上げたヴァンスカ&ラハティ響の演奏は遅めでしたが、対照的。

 荒っぽいところはあります。でも、その荒っぽさが、クレルヴォの荒々しい面…第1楽章の序章:クレルヴォの悲劇の始まり、第2楽章「クレルヴォの青春」恵まれず苦渋を味わい続けた少年~青年時代の乱暴な面や胸に秘めた敵討ちが表現されているように聴こえます。第4楽章「クレルヴォの出征」も速め、荒々しさが出ています。
 第3楽章、冒頭の男声合唱は速めで、ピッチも高めです。あれ?と思います。でも、クレルヴォの妹のソロ、続くクレルヴォのソロはたっぷり重々しく。第5楽章も、ゆっくりめでところどころ弱音に落としたり、死に向かうクレルヴォの悲痛さを歌う男声合唱を、じわじわと聴かせてくれます。ただ「爆演」「豪快」なだけでなく、テンポを落すところは落として、迫力は維持したままじっくり聴かせるネーメさん、うまいなぁと思います。オケも気迫があっていいなと思います。


 ちなみに、現在のエーテボリ響ですが、首席指揮者が不在でした。が、2017-18年シーズンからの新首席指揮者が決まりました。フィンランドの若手・サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ(Santtu-Matias Rouvali)さん。今年で31歳。トゥルク・フィルハーモニーの首席指揮者でもあります(来年5月、来日決定してます)。以前、YLEでトゥルクフィルとのシベリウス4番を聴いたが、とてもよかった。エーテボリ響というと、このシベリウス全集だけでなく、他にもネーメさんとの録音がとても多いです。ロウヴァリさんとのこれからも楽しみです。落ち着いたら「クレルヴォ」演奏、録音してほしいなぁ。
 ネーメパパもどこかでまた「クレルヴォ」演奏しないかなぁ。

【これまでの記事】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。(動画はもう観られなくなりました)
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団

シベリウス誕生日記念、管弦楽曲特集
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ響のシベリウス管弦楽曲集(グラモフォン)
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by halca-kaukana057 | 2016-08-03 22:26 | 音楽

Proms(プロムス)2016 私選リスト その1[7月]

 夏です。夏と言えば、皆さん色々なものを思い浮かべると思いますが、私はBBC Proms(プロムス).イギリスの世界最大級の音楽祭。7月から9月にわたって2ヶ月間、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールをメイン会場に毎日コンサート。最終夜のラストナイトコンサートのお祭り騒ぎはクセになります。

 今年はついに、これを買ってしまいました。
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 プロムス公式ガイドブック。全公演リストから、特集記事、著名人が語る音楽とプロムス、鑑賞ガイド…などが書かれています。広告も多いですが、結構ずっしり。ボリュームのあるガイドブックです。別にコンサートカレンダーポスターがついてきます。

 ということで、今年は徹底的にプロムスを聴きまくるぞ!私が独断と偏見で(?)選んだ公演リストを覚え書きの意味でも記事にしようと思います。ただ、2ヶ月もある。数も多いので、7月、8月上旬、8月下旬、9月の4回に分けようと思います。後から追記も随時していきます。
 公演が終わると、リンク先で30日間オンデマンドがありますので、夏のお供にどうぞ!各ページをスクロールして、中ほど右側にある「Broadcast of this performance」のBBC Radio3から聴くほうが聴きやすいかもしれません。
日付はグリニッジ標準時です。

【7月】
Prom1(7/15):First Night of the Proms
・チャイコフスキー:幻想序曲 ロミオとジュリエット
・エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 op.85
・プロコフィエフ:カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」op.78
ソル・ガベッタ(Vc)、オリガ・ボロディナ(メゾソプラノ)、BBCナショナルウェールズ合唱団、BBCシンフォニーコーラス、サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団
 /まずはともあれファーストナイト。今年はシェイクスピア没後400年で、イギリスは特に盛り上がっています。幕開けも「ロミオとジュリエット」です。ロマンティックで、でも悲劇。
 エルガーのチェロ協奏曲では、開幕前にこんなプロモーションビデオが。
BBC Proms:Cello
 チェロのソル・ガベッタさんが演奏を始めると、チェロに映像が。チェロをスクリーンにしたプロジェクションマッピング。凄い。最初、これをファーストナイト本番で正式にお披露目なのかと思ったのですが、プロモーションだけでした。本番でも、ガベッタさんの深いチェロの音が心に響く演奏でした。
・メイキング:How 'Cello' was filmed
 プロコフィエフの「アレクサンドル・ネフスキー」は初めて聴きました。ファーストナイトが合唱が豪華でいいです。
 公演では、フランス・ニースでのテロ事件への追悼に、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」が演奏されました。リアルタイムで聴いていたのですが、突然でびっくり、ああ、そういうことか…と感じました。プロムスの2ヶ月間、何事もなく無事に皆が楽しんで終われますように…。
 オラモ&BBC響のコンビは、ラストナイトでも登場します。ファーストナイトとラストナイトがBBC響首席指揮者で一緒というのは、久しぶりな気が。何年ぶりなんだろう?

Prom3(7/17):Mozart, Haydn and Fauré
・モーツァルト:エクスルターテ・ユビラーテ K.165
・ハイドン:ミサ曲第7番 ハ長調 戦時のミサ Hob. XXII-9
・フォーレ:パヴァーヌ
      ラシーヌ賛歌(雅歌)op.11
レクイエム op.48
ルーシー・クロウ(ソプラノ)、ポーラ・ムリヒー(マリヒー)(メゾソプラノ)、ロビン・トリシュラー(テノール)、ロデリック・ウィリアムズ(バリトン)
ケンブリッジ・キングス・カレッジ聖歌隊、ステファン・クレオベリー:指揮、エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団
 /後半のフォーレの3作品を聴きました。ロデリック・ウィリアムズさんのバリトンが好きです。穏やかな気持ちで合唱、声楽を堪能できるプログラムです。

Proms Chamber Music 1(7/18): Debussy, Dutilleux and Mozart
・ドビュッシー:チェロソナタ
・デュティユー:夜はかくの如し
・モーツァルト:ピアノ協奏曲第12番 イ長調 K414
ビョルク・ルイス(Vc)、ポール・ルイス(P)、ヴェルターヴォ・カルテット
 /プロムスには室内楽もあります。デュティユーは今年生誕100年。他にも数々の作品が演奏されます。モーツァルトのピアノ協奏曲を、ピアノと弦楽四重奏で演奏するのはユニーク。でも合ってる。協奏曲もモーツァルトならこの規模で、サロンで演奏しているような感覚で聴くのもいいですね。

Prom 7(7/20): Faure, Stravinsky and Poulenc
・フォーレ:シャイロック op.57
・ストラヴィンスキー:プルチネッラ
・プーランク:スターバト・マーテル FP148
ジュリー・フックス(ソプラノ)、ジュリアン・ベーア(テノール)、BBCシンガーズ
マルク・ミンコフスキ:指揮、BBC響
 /フォーレの「シャイロック」、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」を下敷きにした劇付随音楽です。シェイクスピア作品、本当に多いです。ガイドでも徹底的に特集しています。フォーレでも知らない作品だったのですが、楽しんで聴きました。

Prom 9(7/22): Le Cercle de l’Harmonie
・モーツァルト:交響曲第39番 変ホ長調 K543
・メンデルスゾーン:演奏会用アリア「不幸な女よ」op.94
・モーツァルト:「ああ、私は予想していた」とアリア「ああ、私の目の前から消えて」 K272
・メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調「イタリア」op.90
ローザ・フェオーラ(ソプラノ)、ジェレミー・ローレル:指揮、セルクル・ドゥ・ラルモニー
 /指揮者もオケも初めて聴きます。こんな演奏家・オケに出会えるのもプロムスの楽しみ。モーツァルト39番とメンデルスゾーン「イタリア」を聴いたのですが、結構好きな音です。キリッと引きしまってる。ティンパニが固く強い音で印象的です。

Prom 13(7/24): Beethoven – Symphony No. 9
・マグヌス・リンドベルイ(リンドベリ):Two Episodes(世界初演)
・ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125「合唱付き」
ミア・パーソン(ソプラノ)、アンナ・ステファニー(メゾソプラノ)、ジョン・ダザック(テノール)、クリストファー・パーブス(バス)、ロンドン・フィルハーモニック合唱団
ウラディーミル・ユロフスキ:指揮、ロンドン・フィルハーモニック
 /プロムスでは数多くの世界初演、イギリス初演があります。BBCで委託して、プロムスで披露という作品も少なくありません。現代の作曲家にとって、プロムスで初演されるって嬉しいことだろうなぁ。そんな世界初演作品のひとつが1曲目。フィンランドの現代作曲家・マグヌス・リンドベルイの作品。リンドベルイ作品は少しずつ聴いているので、どんな作品か楽しみです。
 メインは第九。第九は日本では年末のイメージがありますが、真夏のロンドンでどう響くのか。

Prom 15(7/26): BBC Symphony Orchestra and Sir Andrew Davis
・チャイコフスキー:テンペスト op.18
・アンソニー・ペイン:Of Land, Sea and Sky(世界初演)
・ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 op.26
・ヴォーン=ウィリアムズ:未知の世界(Toward the Unknown Region)
レイ・チェン(Vn)、BBCシンフォニーコーラス
アンドリュー・ディヴィス:指揮、BBC響
 /シェイクスピア作品の「テンペスト」、イギリスの作曲家・ペインの世界初演、ブルッフのヴァイオリン協奏曲1番にヴォーン=ウィリアムズ…惹かれるプログラムです。

Prom 16(7/27): Prokofiev – Romeo and Juliet
・デュカス:ラ・ペリ
・マイケル・バークレー:ヴァイオリン協奏曲(世界初演)
・プロコフィエフ:ロメオとジュリエット op.64
ヤク・ファン・ステーン:指揮、BBCウェールズ交響楽団
 /ファーストナイトでチェイコフスキーの「ロメオとジュリエット」が演奏されましたが、今度はプロコフィエフの。同じロシアの作曲家でも時代も違う。同タイトル作品聴き比べも楽しいです。

Prom 17(7/28): Roger Norrington conducts Berlioz, Beethoven and Brahms
・ベルリオーズ:ベアトリスとベネディクト 序曲
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 op.58
・ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op.68
ロバート・レヴィン(P)
ロジャー・ノリントン:指揮、シュトゥッツガルト放送響
 /「ベアトリスとベネディクト」、シェイクスピアの「空騒ぎ」を原作に書かれたオペラから、序曲を。ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中で4番は特に好きな作品のひとつなので楽しみ。

Prom 18(7/29): Mahler – Symphony No.3
・マーラー:交響曲第3番ニ短調
サラ・コノリー(メゾソプラノ)、ロンドンシンフォニーコーラス(女声合唱)、ティフィン少年合唱団
ベルナルト・ハイティンク:指揮、ロンドン交響楽団
  /大本命の回です。ハイティンク&ロンドン響のマーラー3番。マーラー3番は長いですが、とても好きな交響曲です。


 以上、7月分のプロムス、自選リストでした。書ききれなかった公演も、後で聴いて追記すると思います(あまりにたくさんあって力尽きた)。7月だけでもこんなにたくさん。こんなコンサートが毎日、値段もそんな高くない。アリーナ立ち見なら800円程度で聴ける。ロンドンはいいなぁ。

英国ニュースダイジェスト:プロムス2016 音楽の祭典 BBC Proms 2016
 この記事も参考にどうぞ。
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by halca-kaukana057 | 2016-07-27 23:24 | 音楽

北欧の夏至の音楽 スウェーデン編

 今日は夏至。当地は朝は曇っていましたが、昼間から晴れ、珍しく爽やかな初夏の陽の光がふりそそぐ夏至でした。
 夏至と言えば、北欧の夏至祭。フィンランドのユハンヌス(Juhannus)は夏至当日ではなく、6月19日の直後の週末にお祝いするとのこと。今年は、24日(金)が前夜祭、25日(土)が夏至祭なのだそう。きっと今の時間でも明るいのでしょうね。

 ということで北欧クラシック音楽で夏至をお祝い、日本で夏至祭気分!今年はスウェーデンでやってみたいと思います。(フィンランドは何曲か候補はあるものの、間に合わず)

スウェーデン管弦楽名曲集

オッコ・カム:指揮/ヘルシンボリ交響楽団/ Naxos


 以前ペッテション=ベリエルのピアノ曲集「フーレスエーの花々」の記事で紹介したアルバムです。「フーレスエーの花々」第1巻にも「夏の歌」という夏至祭っぽい曲がありますね。

 このアルバムの最後に収められている、ヒューゴ・アルヴェーンのスウェーデン狂詩曲第1番「夏の徹夜祭(Midsummer Vigil)」op.19.
 シベリウスやニールセンと同世代のステーンハンマルと同世代のアルヴェーンもスウェーデンを代表する作曲家。夏至祭を描いた作品です。冒頭、フルートが牧歌的なメロディーを奏でるのですが…某料理番組のテーマ曲に似ているw
Hugo Alfvén: Swedish Rhapsody Nr.1, op.19 "Midsommarvaka"

 次第に楽器が増え、踊りの輪が広がっていくように音楽のスケールも増し、賑やかに。どんちゃんお祭り騒ぎな箇所や静かに牧歌的な箇所を繰り返す、とても楽しい曲です。北欧の短い夏、夜遅くても明るい、この限られた時間を楽しもうとするスウェーデンの人々の楽しい気持ちが伝わってくるよう。
 中間部、音楽は一転します。楽しげなメロディーはどこかへ。弦が静かにささやき、オーボエが静かに歌います。徐々に暮れゆく陽を惜しむような。そして日が暮れたのか、ホルンがゆったりとした歌を歌い、弦は暗い。この暗い弦とハープが美しくて、切なくて。夏至でお祭りをしていても、どこか陰りがある。この季節が儚いものであることをわかっているような…そんな北欧の明るさの中にある陰りが好きです。
 音楽は終盤、再び賑やかさを取り戻します。ただの夏至祭じゃない。夏至の徹夜祭。夜も歌い踊り明かす。最後は威勢よく終わります。ああ楽しい。

 この週末は、フィンランドもスウェーデンも、北欧諸国のあちらこちらで人々が短い夏を謳歌するのでしょうね。楽しいんだろうなぁ。

・以前の夏至の北欧音楽の記事:夏至の夜にメリカント
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by halca-kaukana057 | 2016-06-21 23:07 | 音楽

ニールセンの描いた風景

 昨日はシューマンの誕生日でしたが、今日はデンマークの作曲家・カール・ニールセン(ニルセン)の誕生日。昨年、シベリウスと同い年で生誕150年。その生誕150年が終わってしまいました。でも、昨年の今頃はそんなにニールセンを聴いていなかった。今は手持ちの交響曲全集も少し増えました。ヘルベルト・ブロムシュテット指揮サンフランシスコ響と、ミハエル・シェンヴァント指揮デンマーク国立放送響。ブロムシュテット&サンフランシスコ響は以前から評判は聴いていたので聴いてみた。管弦楽曲、オペラ「仮面舞踏会」全幕も入っていてお徳でした。シェンヴァント&デンマーク国立放送響は、ナクソスで安かったのですが、よかった!引き締まったいい演奏です。あと、パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響の演奏会で5番を取り上げてましたが、これもよかった。テレビ放送もされ、ニールセンの魅力が多くの人に伝わったようで嬉しいです。まだまだ交響曲全集は聴きたいのがあるので、ちまちまと聴いていきます。

 今日は管弦楽曲を中心に聴いています。特に好きなのが、序曲「ヘリオス」op.17。ニールセンの作品は、和音のぶつけ方やメロディーが独特です。以前も書きましたが、ショスタコーヴィチに繋がっていくよう。近現代の響きが苦手でちょっと…という方もいるかと思います。この「ヘリオス」はそんな方に是非。交響曲4・5番のような響きはそんなに出てきません。ギリシャ旅行中にエーゲ海の日の出に感動して作曲したという作品。エーゲ海の日の出から日の入りまでが音楽で描かれます。静かな弦のざわめきの中、ホルンや木管楽器などで日の出が描かれ、ゆったりとした朝の風景。日が昇るように、雄大に、徐々に盛り上がっていく様がとても美しい。そして、日の入りへ。また静かになり、夕暮れ、日の入り、宵の情景に。12分程度の作品です。とにかく美しい。

 もうひとつ、好きでおすすめなのが「フェロー諸島への幻想の旅」。フェロー諸島は、イギリス、ノルウェー、アイスランドの間の北大西洋に浮かぶ島々のこと。そのフェロー諸島へ向かう船、海や波、海鳥の鳴き声が最初は静かに、靄がかかるように、徐々にはっきりと聴こえてきます。中盤に出てくるメロディーは、フェロー諸島が起源の古い歌、後半は、フェロー諸島の民族舞曲で賑やかに。ひんやりとした空気と、海の情景のスケールが大きな作品です。

 ニールセンは交響曲を先に聴いて、独特の和音に病みつきになってしまったのですが、この2作品の情景描写もまた魅力的です。今日から生誕151年。まだまだニールセン、聴いていきたいです。

・前回の記事:生誕150年 ニールセンの交響曲を聴こう
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by halca-kaukana057 | 2016-06-09 22:50 | 音楽

シューマンとリュッケルト

 今日は6月8日、ロベルト・シューマンの誕生日。生誕206年です。初夏、(当地では)入梅前の爽やかな季節、シューマンはとても合うと思うのです。雨の日もまた合うと思う。

 今年はこのCDから。
HMV:BBC Music Magazine 2016年5月号
f0079085_2241654.jpg BBCが出版している音楽誌。前から気になっていたのですが、この5月号の付録CDがシューマンとクララの歌曲と聴いて購入。洋書です。全部英語です。

 シューマンは様々な詩人の詩に曲をつけました。ゲーテ、ハイネ、ケルナー…そしてフリードリヒ・リュッケルト。シューマンの歌曲の代表的作品、「ミルテの花」op.25の第1曲「君に捧ぐ(献呈)/Widmung」もリュッケルトの詩。「ミルテの花」では第11曲:花嫁の歌Ⅰ、第12曲:花嫁の歌Ⅱ、第25曲:東方のバラより、第26曲:終わりに、が取り上げられています。

 op.37は全曲リュッケルトの詩の作品です。詩集「愛の春」から12曲。この歌曲集の中の3曲はクララの作曲です。歌も、ソロだけではなく、ソプラノとテノールの重唱もあります。ロベルトとクララの結婚に合わせて作曲、出版は結婚の翌年になってしまいますが、2人の愛の歌と言っていい歌曲集です。

 これまで、あまり作詞者、作詞者の個性については注目してこなかったのですが、「献呈」からもわかるように、リュッケルトの詩はロマンティックです。シューマンにぴったり。特に好きなのが、第5曲「私は自分の中に吸い込んだのだ/Ich hab in mich gesogen」.春と愛の喜びを、美しいメロディーに載せています。前奏がとても印象的。歌とピアノ伴奏が追いかけっこをしているような音楽で、穏やかな雰囲気です。第9曲「バラ、海 そして太陽/Rose,Meer und Sonne」も広い広い海原を思わせるおおらかなメロディーが美しいです。重唱の第7曲「美しいのは春の祭/Schön ist das Fest des Lenzes」、第12曲「確かに太陽は輝く/So wahr die Sonne scheinet」ソプラノとテノールのハーモニーがきれい。特に第12曲は教会で聴く賛美歌のような美しさ。詩も愛を静かに、優しく、ストレートに歌っています。小さな合唱曲です。

 シューマンの歌曲は、詩の魅力を曲が引き出し、美しく響かせているところにあるのかな、と感じました。このCD、歌もきれいでいいCDです。これが雑誌の付録とは。
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by halca-kaukana057 | 2016-06-08 22:05 | 音楽

[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤

 前回の投稿からかなり間が開いてしまいました。体調がよくなく、集中して長い曲を聴く気力体力がありませんでした。回復してきたので再開します、シベリウス:クレルヴォ交響曲聴き比べシリーズ。生誕150年記念…過ぎてしまったじゃないか…いいえ。シベリウスの150年の誕生日の間、2016年12月7日までは生誕150年だと考えています!(何度も書きますw)シベリウスが12月生まれでよかったですw

 前回は150年記念の特別演奏会での演奏でしたが、今回からは一般に発売されているCDの録音にに戻ります。
 今回取り上げるのはこちら。
オスモ・ヴァンスカ指揮、ラハティ交響楽団
リッリ・パーシキヴィ(メゾソプラノ)、ライモ・ラウッカ(バリトン)
ヘルシンキ大学男声合唱団(男声合唱)


 シベリウスと言えば、ヴァンスカ&ラハティ響のコンビは外せません。勿論「クレルヴォ交響曲」も録音しています。2003年の来日公演でも演奏されました。日本で「クレルヴォ交響曲」を聴ける機会はなかなかないですね…。

 この演奏、まず、長い。平均的な演奏時間は73分程度。ベートーヴェン第九と同じぐらい、と前に書きました。しかし、ヴァンスカ&ラハティ響盤は80分あります。特に第2楽章「クレルヴォの青春」はゆっくりと。一般的な演奏は14~15分のところを、19分かけて演奏しています。溜めるところをじっくり溜め、休符もたっぷりと休符をとる。全体的にやわらかい音色。ヴァンスカ&ラハティ響お得意の「スーパーピアニッシモ」が随所でいかされていて、その緊張感にはっとします。緊張感と言っても、鋭い突き刺さるような緊張感というよりも、「静寂がものを言う」「音が鳴っているけど静寂を感じる」シベリウスの音楽を表現するような弱音、緊張感です。

 この演奏の特徴的なところがもうひとつ。第3楽章「クレルヴォとその妹」で出てくるクレルヴォの妹役がメゾソプラノであること。普通はソプラノです。まれにメゾソプラノが歌う録音が存在します。歌うのはフィンランドの名メゾソプラノ・リッリ・パーシキヴィさん。ソプラノに負けない澄んだ高音と、メゾソプラノだからこその低音が映えます。クレルヴォも過酷な運命に立ち向かうことになりますが、妹もやはり過酷な運命を背負っている。クレルヴォに出会った時に投げつける乱暴な言葉や、自身の過去、そして嘆きの歌は深いメゾソプラノの方が合うかもしれない、とも思いました。
 クレルヴォの嘆きの部分も、ハリのある深いバリトン。この歌に入る前に、長く休符をとっています。

 ヘルシンキ大学男声合唱団の合唱も、ソフトな感じです。他の録音ならもっと鋭利な歌い方をするところを、儚いようなやわらかい歌い方をしています。でも、第5楽章「クレルヴォの死」の最後は劇的に。ヘルシンキ大学男声合唱団は、このシリーズ1回目のベルグルンド指揮ボーンマス響の演奏でも歌っています。同じ(とはいえ時代もメンバーも変わった)合唱団でも、解釈により歌い方を変えているのが興味深いです。カレワラのクレルヴォの章をどう読み込んでいるかでも違いが出ているのでしょうか。面白いです。

 音、各パートの構築も緻密で、他の録音ではあまり聴こえてこなかった楽器も聴こえてきて、そうだったのかと思うところもありました。さすがは優秀録音のBISです。

 ヴァンスカさんは現在音楽監督を務めるミネソタ管でも、以前クレルヴォ交響曲を演奏していました。ミネソタ管は色々ありましたが、持ち直してきて、途中で止まっていたシベリウス交響曲全集も再開するそうです。本当によかった…一時はどうなるかと…。クレルヴォ交響曲も入るとのこと。楽しみです。

【これまでの記事】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 ベルグルンド指揮ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ指揮ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
 サラステ指揮フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。(動画はもう観られなくなりました)
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by halca-kaukana057 | 2016-05-29 22:33 | 音楽

色とりどりの島の景色 ペッテション=ベリエル:フレースエーの花々

 5月の連休恒例、3~5日に東京で開催されていた『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭』。その開催に合わせて、クラシック音楽配信サービス・ナクソス・ミュージック・ライブラリーを期間限定で無料公開するイベントが開催されていました。その時、聴いてみて気に入ったのがこの曲。

ペッテション=ベリエル:組曲「フレースエーの花々」
小川典子/BIS








ニクラス・シーヴェレフ/NAXOS


 スウェーデンの作曲家、ヴィルヘルム・ペッテション=ベリエル(Wilhelm Peterson-Berger)。1867年生まれ。フィンランドのシベリウス、デンマークのニールセン、同じスウェーデンのステーンハンマルと同年代の作曲家です。名前は聞いたことはあったけど、曲を聴いたことがなかった。5曲の交響曲や歌曲などを残していますが、有名なのがこのピアノ曲集「フレースエーの花々」なのだそうだ。

 フレースエー(Frösö)は、スウェーデン中部の山岳地イェムトランド(Jamtland)のストゥーシェン(Storsjon)湖に浮かぶ島の名前。ペッテション=ベリエルはイェムトランドに魅せられ、フレースエー島に別荘を建て住むようになった。

 「花々」とタイトルにあるけれども、それぞれのタイトルに花の名前があるのは少ない。フレースエー島の景色を彷彿させるようなものが多い。曲はどれも愛らしくて美しい小曲。フレースエーでの情景そのものが、花々のように色とりどりで愛らしいという意味なのだろうか。ウィキペディアにある通り、グリーグの「抒情小曲集」の雰囲気。シベリウスのピアノ曲のような愛らしさにも似ている。でも、ペッテション=ベリエルは全体的に明るめで朗らか、おおらかに感じました。「花々」の明るめだけれども派手とは違うやさしい色鮮やかさ。

 第1巻第2曲「夏の歌」は北欧の爽やかな夏をイメージします。心地よい風が吹いてくるよう。第3曲「ローンテニス(Lawn Tennis)」何のことだろう?と思って調べてみたら、テニスのこと。試合ではなく、ゆったりとラリーを楽しんでいるのだろうか。第2巻第3曲「森の奥深く」は薄暗い森の中を歩いているよう。中盤で曲調ががらりと変わって、愛らしい雰囲気になるのはグリーグやシベリウスとは違う点だなと思う。スウェーデンの森とフィンランドの森、隣同士だけど違うのだなと感じます。
 第3集第7曲、曲集の最後のタイトルは「何年も過ぎ」。フレースエーでの年月をいとおしむよう。感慨深い締めです。

 ピアノ曲ですが、抜粋で管弦楽編曲もあります。

スウェーデン管弦楽名曲集

オッコ・カム:指揮、ヘルシンボリ交響楽団/ Naxos


 オッコ・カムがスウェーデンのヘルシンボリ響を指揮しているスウェーデン管弦楽曲集です。
 第3巻第2曲「夏の隠れ家に入居して」、第1巻第2曲「夏の歌」、第5曲「お祝い」、第6曲「フレースエーの教会で」の4曲を収録しています。オーケストラで演奏されると、また情景が鮮やかに浮かぶようです。

 ペッテション=ベリエルの他の作品、交響曲なども聴いてみたくなりました。北欧クラシックは探せば色々な作曲家や作品が出てきて興味深いです。

第1巻


 体調もよくなってきたので、止まってしまっているシベリウス:クレルヴォ交響曲シリーズをまた再開したいです。体調がよくない時に「クレルヴォ~」は重い、ヘヴィーです…。
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by halca-kaukana057 | 2016-05-17 22:12 | 音楽

[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?

 年が明けてしまいましたが、「シベリウス生誕150年記念」シリーズで続けます。シベリウス「クレルヴォ交響曲」op.7の様々な演奏を聴こう不定期連載。前のものから間が空いてしまいました。その間に、ユニークな「クレルヴォ」を見つけました。

ARTE Concert:Tero Saarinen inszeniert Jean Sibelius' "Kullervo" in Helsinki
(言語はドイツ語かフランス語。右上にどちらかを選択するボタンがあります。ページに飛ぶと動画が再生されるので注意してください。また、重めなので、再生が始まったら一度一時停止して数分待ってから再生するとスムーズに再生されます)
※3月1日まで公開です※

フィンランド国立歌劇場:シベリウス「クレルヴォ」
ヨハンナ・ルサネン=カルタノ(ソプラノ)、ヴィレ・ルサネン(バリトン)
フィンランド国立歌劇場合唱団
ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団

テロ・サーリネン:振付
ダンサー:
Terhi Räsänen(テルヒ・ラサネン):クレルヴォの妹、Samuli Poutanen(サムリ・ポウタネン):クレルヴォ、David Scarantino(デイヴィッド・スカランチノ):キンモ
フィンランド国立バレエ、テロ・サーリネン・カンパニー


 2015年、フィンランド国立歌劇場で上演された、シベリウスの「クレルヴォ」バレエ付きです。「クレルヴォ」を聴いていると、踊りたくなるような箇所がある。バレエとは面白いかもしれない。と思って観てみました。

 一言で言うと、不思議です。そして、謎です。
 謎に思った点について先に書くことにします。シベリウスは各楽章にこう副題をつけています。
第1楽章:序章(導入部)
第2楽章:クレルヴォの青春
第3楽章:クレルヴォとその妹
第4楽章:クレルヴォの出征(戦場に赴くクレルヴォ)
第5楽章:クレルヴォの死

 リョンロットが編纂した新「カレワラ」のクレルヴォの章に基づき、その詩・物語通りの展開です。しかし、このバレエ版では、副題が異なる楽章があります。第1楽章から、「クレルヴォと彼の同志キンモ(Kullervo und sein kamerad KImmo/Kullervo et son compagnon Kimmo)」(動画のサイトがドイツ語とフランス語だけなので、両方表記しておきます。英語、フィンランド語がないのが困る)。キンモって誰?岩波文庫の「カレワラ」小泉保訳版の、下巻巻末の用語集には、「牛の名、kimmoは跳ねることの意」「恐ろしい悪霊で石の主の名」とある。クレルヴォの章には出てきません。第4楽章の前に「クレルヴォの出征(Kullervo zieht in den krieg)」とダンスだけの箇所があり、第4楽章は「キンモの狂気(Kimmos wahnsinn)」。第5楽章の前でも女性ダンサーが曲なしで踊る「das schweigen der frauen:女性の言及」というシーンが。でもフランス語だと「le silence des femmes:沈黙の女性」(ドイツ語、フランス語共にわからないので機械翻訳です、すみません)言及なのか沈黙なのか、どっちなの?
 キンモという存在と、副題も変えられている。シベリウスの交響曲「クレルヴォ」は演奏、独唱・合唱はそのままですが、副題や演出は変えている模様。
 調べてみたら、以前ちょっと紹介したサッリネンのオペラ「クレルヴォ」にクレルヴォの子ども時代の友達としてキンモが出てきます。「カレワラ」のクレルヴォの章とは、あちこち物語を変えています。もしかして、サッリネンのオペラでの物語、演出を混ぜているのだろうか…?
 これが謎の部分です。

 バレエ・ダンスは抽象的です。クレルヴォを象徴する振り付け…腕からひじへ、もう片方の手でなぞる振り付けがよく出てきます。クレルヴォの力を表現しているのでしょうか。衣装は現代的。クレルヴォ役のダンサー・ポウタネンさんの肉体美には見惚れます。クレルヴォの妹役・ラサネンさんも美しい。でも、どこか不思議です。

 第3楽章、男声合唱とソプラノ・バリトン独唱が入ってくる演出はかっこよかった!声楽陣は衣装が違います。声楽陣の衣装の方が好みです。ソプラノのルサネン=カルタノさん、バリトンのルサネンさん…実際にごきょうだいです。ソプラノのルサネン=カルタノさんは2015年Proms、フィンランド・ラハティ・シベリウス音楽祭でもソプラノソロを務めた方。クレルヴォの妹が今までのことを告白する箇所の痛切な歌い方が印象的です。その後の、バリトンソロのクレルヴォの嘆きもずしりと来る。合唱はオペラ、歌劇場の合唱団。簡単な動きや演技をしながらの「クレルヴォ」の合唱はなかなかない、これだけだと思います。第5楽章も合わせて「クレルヴォ」の男声合唱はとても好きです。

 オーケストラ演奏は、バレエに合わせているのか、バレエが演奏に合わせているのか、どちらなのだろう?ただ、踊りやすいテンポにはしてあるように感じました。第3楽章で、金管がアクセントをつけるようにフォルテになるところがあるのですが、クレルヴォと妹の危険を予感させるような音でした。バレエをしっかりと支えるような演奏です。

 バレエがなくても、「クレルヴォ」は物語がドラマティックで情景が浮かぶのですが、フィンランドを代表する振付師が振り付け、演出するとこうなるのか…。また別の「クレルヴォ」で、謎もありましたが楽しみました。

 次回からはCDでリリースされている演奏に戻ります。あと、「カレワラ」やクレルヴォの章、リョンロットが「カレワラ」をどう編纂したのか、ちゃんと勉強しないとわからないことも多いと感じました。持っている資料をもう一度読み返して、またCDも聴いていきます。

【これまでの記事】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 ベルグルンド指揮ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ指揮ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
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by halca-kaukana057 | 2016-02-21 23:13 | 音楽

もうひとつの「クレルヴォ」

 シベリウス生誕150年記念(2016年になっちゃいましたが続けます)、「クレルヴォ交響曲」を聴こうシリーズの途中ですが、今回はシベリウスから離れて、別の作曲家の「クレルヴォ」を聴こうと思います。フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」の中でもドラマティックな悲劇の英雄・クレルヴォをテーマにした作品は、シベリウス以外のフィンランドの作曲家も書いています。

 先日、BBC Radio3の北欧特集のオンデマンドを聴いて見つけたのが、レーヴィ・マデトヤ(Leevi Madetoja : 1887-1947)の交響詩「クレルヴォ」op.15.15分程度の管弦楽曲です。

Leevi Madetoja Kullervo (1913)

 指揮演奏のクレジットがないのでどこのオーケストラの演奏なのか不明。ただ、調べてみたらCDはセーゲルスタム指揮フィンランド放送響、ストゥールゴールズ指揮ヘルシンキフィルぐらいしかない模様…フィンランドでも滅多に演奏されないのか!?
 ちなみにそのBBCで配信されていたのは、Jurjen Hempel(ジュリアン・ヘンペル)指揮BBCスコティッシュ響の演奏でした。さすがシベリウス、北欧もの大好きイギリスオケ。

 重々しく曲は始まりますが、金管のファンファーレがヒロイック。前半はシベリウスよりも明るめ?な感じ。弦も雄大でヒロイック、勇ましい英雄クレルヴォを強調しているかのよう。マデトヤはシベリウスよりも少し年下。シベリウスに師事したこともありました。シベリウスとは違う方向からクレルヴォの物語を描いているよう。金管に強さを感じます。過酷な運命に次々と立ち向かうクレルヴォの姿でしょうか。
 ただ、ラスト、クレルヴォが何もかも失い、自害するのを描いたと思われる部分は一気に暗くなります。そして静かに終わる。孤独なクレルヴォの最期のように。シベリウスの、クライマックスは主題に男声合唱も入れてフォルテで劇的に終わるのと対照的です。マデトヤの終わり方は好みです。曲の展開も。

 大体同じ時代に、同じテーマを、違う作曲家が書く(シベリウス、フォーレ、ドビュッシーの「ペレアスとメリザント」とか)…他にも様々な例がありますが、「クレルヴォ」もそういう楽しみ方が出来るんだなと思うと、また聴く楽しみが増えます。作品を聴く際の視点も増えます。マデトヤのも聴けてよかった。願わくばCD,録音、演奏機会が増えて欲しいところですね…。

 「クレルヴォ」は他にも、フィンランドの現代の作曲家・アウリス・サッリネン(Aulis Sallinen)による歌劇もあるそうで。
Kullervo 2014 Savonlinna Opera Festival

 サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル2014のオペラ「クレルヴォ」ダイジェストがありました。歌詞はカレワラから取っているようですが、現代的な演出?不思議な感じ。
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by halca-kaukana057 | 2016-01-19 22:56 | 音楽

クリスマスと年越しの祈りの歌 シャルパンティエ:テ・デウム、真夜中のミサ

 クリスマスもシベリウス…クリスマスの歌曲もありますが、「クレルヴォ交響曲」の続きを聴こうかと思いましたが、さすがにクリスマスにあの悲劇はないよなぁ…と思ったので、クリスマスだからこその音楽を。

 17世紀、バロック時代に活躍したフランスの作曲家、マルカントワーヌ・シャルパンティエ(Marc-Antoine Charpentier/マルク=アントワーヌと表記することも)。以前声楽・オペラ特集で少し取り上げた作曲家です。オペラ(音楽劇)も「オルフェウスの冥府下り」(こと座の星座物語の元となったギリシア神話、オルフェウスの物語)、「アクテオン」(こいぬ座の星座物語の元、猟師アクタイオンが女神アルテミスの水浴びを見てしまい、アクタイオンは鹿に変えられてしまい…というお話)など、悲劇から喜劇まで幅広いです。
 一方、宗教曲も多く書いており、その中で有名なのが、「テ・デウム」ニ長調H.146、「真夜中のミサの曲」H.9。

 「テ・デウム」の前奏曲は、元日恒例、ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートの生中継のオープニングの曲として使われています。去年、M-A・シャルパンティエの「テ・デウム」の前奏曲だと知りました。金管楽器の軽快で華やかな音色が、まさに新年の特別なコンサートにピッタリ。選んだ人、さすがです。

 以降、8人の独唱と合唱の歌が入ります。歌詞はローマ・カトリック教会の賛美歌のひとつ。「テ・デウム」とは、「Te deum, laudamus(神よ、私たちはあなたをたたえます)」という歌い出しからつけられているのだそう。仏教徒だが、キリストへの祈りの歌詞を読んでいると、祈るという行為、感情の崇高さを思う。それが音楽になると、とても美しく、さらに崇高なものになる。M-A・シャルパンティエのニ長調の「テ・デウム」(他にもあるらしい)は明るく華やかで、やわらかくやさしい。祈りの歌ではあるけれども、身近に感じられるような音楽。伸びやかなソプラノやテノールの独唱・重唱とオルガンと木管の穏やかな、心落ち着く歌もあり、バロックの金管やティンパニの溌剌とした音楽にハリのあるバリトン・バス独唱・重唱もあり。合唱も美しい。色とりどり。J.S.バッハよりも前の時代(J.S.バッハは18世紀)。宗教音楽入門にいいかもしれないと思いました。

 「真夜中のミサの曲」は「リコーダーと弦楽器のためのクリスマスのミサ曲」と副題が付いている。リコーダーが大活躍します。やわらかくあたたかいリコーダーの音色と、「テ・デウム」よりは荘厳な雰囲気な曲調の弦楽器、オルガン、声楽独唱と合唱。クリスマスの夜、ろうそくの明かりの中で奏でられ歌われているであろう光景をイメージすると、クリスマスの夜に教会で聴いてみたいなと思いつつ…でも実際に演奏されているのだろうか?いや、どこかでは演奏されているんだろうなぁ。

 年末、1年を振り返り、思うことは沢山あります。また、平和な世界になってほしい…とも思います。様々な祈りが、この2曲の音楽には込められ、奏で歌われるのだと思います。ミサ曲など宗教音楽が数多くの作曲家によって書かれ、演奏され歌われ続けてきた理由がわかる気がしました。

 ちなみに聴いたのは、マルク・ミンコフスキ指揮、レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルの演奏。

・過去関連記事:オペラ事始 その3 序曲・前奏曲は楽しい水先案内人
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by halca-kaukana057 | 2015-12-25 22:34 | 音楽


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