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[増補]スペースシャトルの落日

 いよいよ引退が近づいてきたスペースシャトル。そのスペースシャトルの真実に迫ったノンフィクションを大幅に改定して、文庫化されました。


増補 スペースシャトルの落日
松浦晋也/筑摩書房・ちくま文庫/2010

 重い内容だろうな…と読む前は思っていましたが、読み始めてからはサクサクと読めました。私自身がシャトルの仕組みや運用、そして事故と問題点について前もって情報を持っていたせいかも知れませんが、ロケット・宇宙機の仕組みについてあまり知らない人向けにもわかりやすく解説してあります。シャトルはどんな宇宙船であり、ロケットなのか。どのような経緯で開発され、運用が始まったのか。そして、運用中に出てきた問題点と、問題を更に増幅させてしまった他国の宇宙開発機関との関係やISS(国際宇宙ステーション)計画のこと。「チャレンジャー」「コロンビア」の事故の詳細と、事故後のNASAの対応。NASAだけでなく、アメリカの政治と軍事、宇宙産業との関係。そして、著者の松浦さんが考える、アメリカが、世界がシャトル無き後でどう宇宙開発を進めていったらいいかという提案。読みやすいですが、内容はぎっしりです。

 前にも書いたが、「アポロ世代」という言葉があるなら私は「シャトル世代」だと思う。シャトルの運用が始まったのと同じ時期に生まれ、そのうち「スペースシャトル」という宇宙に行く乗り物があることを知る。幼稚園児だった時「チャレンジャー号」事故が起こったが、その時の爆発映像を観て衝撃を覚え、今でもはっきりと覚えている。小学生になって日本人も宇宙に行ける時代になり、スペースシャトルは宇宙へ連れて行ってくれる宇宙船だと憧れた…。
 そんな子ども時代を送った私も、大人になり、「コロンビア号」事故を経て、シャトルの問題点について考えるようになった。安全性、コストの問題だけじゃなく、他にも沢山の問題を抱えている。そんな沢山の問題を抱えながらも、アメリカは優れた宇宙船として他国の宇宙飛行士も乗せ、ISS計画もスタートさせた。そして、シャトルの抱えている問題のために、ISSの完成はどんどん遅れてしまった…。

 私が知らずにいた問題点も多く書かれていて興味深かった。ISSのモジュールや人工衛星などの貨物(ペイロード)と人を一緒に運べることは、とても便利だと思っていた。実際そうなのだが、モノと人を一緒にしてしまうと、ロケットの安全性は人に重点を置かなければならないので、結局高上がりになってしまう。別々に運べば、モノの時はそんなに安全性を高めなくてもいいので、コストも抑えられる。なるほどと思った。

 沢山の問題を抱えていたことに気づいていたのに、NASAはそれをうやむやにしてシャトルを運用し続けた。それは、80年代なら旧ソ連との冷戦のためでもあるし、国威でもあり、シャトルを軍事目的で利用しようとしていたのもある。90年代以降は、アメリカの宇宙産業を儲けさせるためでもある。日本の公共事業に例えた話があったが、その通りだと思った。作るだけ作って関係企業を設けさせ、完成した後の活用法などは考えない。なんとも残念な話です。

 安全性に対しても、だんだんチェックが甘くなり、事故につながった。運用する組織の維持の問題もある。これはシャトルに限らず、全ての宇宙開発機関へ向けて言えることだ。これに関しては、この本でも言及しているがリチャード・ファインマン「困ります、ファインマンさん」にあるチャレンジャー号事故調査の話に詳しく書いてあるので、そちらもどうぞ。また、ファインマン氏の報告文はウェブ上に原文があちらこちらにあるようですし、「ファインマンさんベストエッセイ」に日本語訳が収録されています。

 今年シャトルは引退というが、ミッション追加という話もある。どちらにしろ、シャトルがなくなった後、アメリカも、シャトルに頼ってきた日本も、そしてISS計画に参加している国々がどう宇宙開発をしていくのか。問題はここまで大きくなってしまった。日本はISSに関しては、「きぼう」もあるのでそれを十二分に活用する必要がある。HTVはシャトルがなくなった後も、大型の荷物を運べる唯一の無人補給機。HTVはもっともっと活用され、技術や運用のノウハウを積み上げていって欲しい。また、これを大気圏で燃やさず地球に帰還できるようにしようとか、最終的には有人化しようという動きもある。その動きがもっと活発になって、シャトルから離れた、「日本の有人宇宙開発」ができればいいと思う。
 一方アメリカは、シャトルの部品を使いまわそうとしたアレスロケットを含む、「コンステレーション計画」も中止。無人探査に重点を置く方針をとる。民間宇宙開発企業は元気があるようだが、アポロ計画以後と同じように、技術や運用のノウハウの継承はされてゆくのだろうか…と心配になります。シャトルの失敗は、アポロ計画で作り上げた技術や運用のノウハウなどを継承せず、無駄にしてしまったのも原因だから。技術や体制の刷新は、必要な時は必要かもしれない。でも、次にどうしたいかのビジョンがうやむやなままで新しい方向に進んでいっても、どこかでボロが出て大きな事故につながってしまう…。

 スペースシャトルは、確かに人々を、宇宙へ近づけてくれた。日本にとっても。でも、同時に、問題点、克服しなければならないことも示してくれた。そのシャトルから離れて、今後私たちはどう宇宙へ向かうのか。シャトルはいい意味でも悪い意味でも、あまりにも大きな影響力を持っていたのだなと、引退前になってようやく実感しています。


【関連過去記事】
ご冗談でしょう・困ります、ファインマンさん
「ご冗談でしょう、ファインマンさん」「困ります、ファインマンさん」の感想。この本は何度読んでも面白いです。

恐るべき旅路 火星探査機「のぞみ」のたどった12年
 松浦さんの本と言えばこれ。何度読んでも、「のぞみ」に託されたメッセージの部分で泣いてしまいます…。
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by halca-kaukana057 | 2010-05-31 23:48 | 本・読書

リセットされた左手

 左腕のリハビリはほとんど完了しました。後はリハビリ完了宣言を主治医からいただいて、日常生活の中でさらに自然な動きに近づくように動かしていきます。そんな今の状態に、ピアノでリハビリはピッタリです。

 現在、左手はハノン1・2番と、ソナチネ7番1楽章を少しずつ。動きはいいとは言えません。指の回りも遅いし、ハノンを何回も弾き続けていると4・5の指(薬指と小指)に力が入らず、弱々しい音しか出せなくなってしまいます。それでも、不思議と指が思い通りに動かないことをストレスと感じていません。寧ろ新鮮なことと感じています。指も心も全くの初心者に戻ったような。指を動かしていくにはどうしたらいいか、色彩豊かな音色を奏でるために必要なタッチのために、指をどう動かしたらいいのか。そんなことを考えながら、自分の弾いている音を聴いてゆっくりとハノンで練習しています。

 手術はマイナスのようにも感じますが、腕の治療そのものだけでなく、他のことに関しても、今の私にとって必要であり、プラスになることなのではないかと、今感じています。不思議です。

 手術でリセットされた、私の指と心。これからも新鮮な気持ちで、ピアノに向かいたいです。ちょっと考えたのだが、もし、ピアノではない、全く演奏したことのない楽器を始めることになったら、どんな気持ちで向かうだろう。ピアノだとしても、伴奏や室内楽を始めるとしたらどうだろう?それを想定して、音色にも注目して、磨いていきたいです。

 現在練習中のソナチネ4番第1楽章。ようやく第1主題冒頭のテンポが取れるようになりました。付点に弱い、いや、音符の長さそのものに弱い私…。ひとつ克服しました。
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by halca-kaukana057 | 2010-05-30 22:21 | 奏でること・うたうこと

北国の春2010 愛らしい5月よ…!

 5月もそろそろ終わり。ソメイヨシノの季節は終わり、八重桜、そして他の花々が咲き乱れています。そんな5月の風景を。

 今回の記事タイトルは、シューマン「愛らしい五月よ…おまえはもうすぐやってくる」(「ユーゲントアルバム」op.68-13)にちなんで。シューマンがこんな美しい曲に、このタイトルを付けた気持ちがよくわかります。ドイツと日本の5月はちょっと違うと思いますが、私にとっても5月は愛おしい季節です。
YouTube:シューマン:愛しい五月よ おまえはもうすぐやってくる
 この曲を聴きながらご覧ください。

 まずは八重桜。八重桜にも色や花の形にも色々あって、面白いです。
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まだまだ続くよ!【続きを読む】
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by halca-kaukana057 | 2010-05-29 22:05 | 日常/考えたこと

2010年度クインテットコンサート新曲+1

 今年度のNHK教育「クインテット」コンサート新曲が、まだありました。今週放送されました。いきなりの放送で、びっくりしました!

◇ショパン:「24の前奏曲 作品28」より第7番
 今年はショパン生誕200年ということで、新曲にショパンです(同い年で同じく生誕200年のシューマンは…?)
 ショパンは「英雄ポロネーズ」「華麗な大円舞曲」に続きこれで3曲目です。ポロネーズ、ワルツ、そしてプレリュード。ショパンが切り拓いたピアノ作品各ジャンルの代表的作品を取り上げています。

 さて、コンサートで演奏された「24の前奏曲」第7番。某胃薬のCM曲としてお馴染みですね。「いい薬です」のアレですw流れた瞬間、「あ、胃薬…」と思ったのは私だけではあるまい!!www
 原曲は、たった17小節のとても短い曲です。しかし、クインテットではアレンジを加えて長めになってます。最初、白い部屋にアキラさんだけが出てきてピアノを弾いている。一瞬「これはコンサートではなく、アキラさんのピアノのコーナー?」と思った。しかし、スコアさんのチェロ、アリアさんのヴァイオリンと映像と楽器・旋律が増えていく。スコアさんとアリアさんの映像がアキラさんの頭の上に浮かぶような演出になっていて、これはアキラさんが編曲を考えながら原曲を演奏しているのだろうか?と感じました。そして、シャープ君のトランペット、フラットさんのクラリネットも入り、いつものスタジオに。

 曲は、原曲にはないメロディーが加えられている。これまで、「クインテット」コンサートで編曲され、演奏された曲は放送時間の都合などで短縮はされても、原曲にはないメロディーが追加されることはあまりなかった。しかし、今回は追加されている。作曲者不詳の民謡などならまだしも、作曲者がはっきりとわかっており、楽譜もしっかりと残され、プロ・アマ問わず多くの人々が演奏し続けている作品で。これはアキラさん、宮川彬良先生の挑戦と言えるかもしれない。

 「原曲」と「編曲」は対立するものであり、許されない。別物であり、その原曲のタイトルを名乗るべきではないという意見もあると思う。私はその考えは持たないが、自分でピアノを演奏する時は、できる限りなら原曲を演奏したい。管弦楽のピアノ版なら仕方ないけど、元々ピアノ曲で原曲があるのに簡単アレンジや、ジャズアレンジは自分は演奏しようとは思わない(ジャズ版なら、聴いてみようかなとは思う)。編曲は、原曲をただ室内楽用に、演奏時間を短くするためにするもの…だけではない。拍子を変えたり、無い歌詞を付けたり、その編曲・アレンジの内容によって意見を言いたくなる作品はあるが、「クインテット」での編曲は、原曲に新たな視点を与え、新たな息吹を吹き込んでくれるものだと感じる。(名目上)子ども向け番組だから、小さな子でも聴きやすいように、クラシックに親しみやすいように、との意図もあると思う。でも、それだけじゃない。私たちが同じ楽譜を前にしても、読譜、曲の解釈、演奏、表現は異なるように、アキラさんにとっては、「クインテット」にとっては、編曲がその作品に対する「解釈」であり、「表現」なんだと思う。カメラワークからも、演奏からも、そう感じました。

 私自身、この作品はあまり興味を持っていませんでした。胃薬の曲としか思ってなかった。「クインテット」アレンジでまた感じ方が変わりました。


 しかし、今年度のコンサート新曲はどれも楽しめました。「マイムマイム」は未だにあの迫力とスピード感にやられっぱなしだし、ペール・ギュント「山の王の宮殿で」は音の厚みに驚いている。「ラデツキー行進曲」は、来年の新年特番が今から楽しみでならないwCD発売も待ち遠しいです。

 あと、金曜のラストは新鮮でした。「クインテット」エンディングを放送するテレビがスタジオに置かれ、そのままエンディングへ。やっぱり、今年の「クインテット」は何かが違う…!!

・今年度新曲:2010年度春 クインテットコンサート新曲
まさか、まだ新曲があるとか…ないですよね?あったらそれはそれで嬉しいですw
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by halca-kaukana057 | 2010-05-28 22:25 | Eテレ・NHK教育テレビ

故郷を振り向き、旅立つ「あかつき」

 先日H2Aロケット17号機で打ち上げられ、無事軌道投入に成功した金星探査機「あかつき」。その「あかつき」から初めての画像が送られてきました。

金星探査機 あかつき:PLANET-Cニュース 2010年5月23日(2)「あかつき」搭載カメラ初期機能確認
JAXA 宇宙科学研究所(ISAS):「あかつき」搭載カメラのチェックで地球を撮影

sorae.jp:金星探査機「あかつき」、地球を撮影
アストロアーツ:金星探査機「あかつき」が地球を撮影
朝日新聞:振り向いて地球をパチリ 金星めざす「あかつき」が撮影
毎日新聞:金星探査機:あかつきが地球撮影 25万キロから鮮明画像
時事通信:あかつき、地球にさよなら=搭載カメラ画像を公開-宇宙機構

マイコミジャーナル:金星探査機「あかつき」、約25万km離れた宇宙から地球の撮影に成功
(とても詳しい記事です)

 毎日新聞の記事によると、
打ち上げが正確で軌道修正をせずに済んだため、撮影が可能になった。中村正人プロジェクトマネジャーは「探査機が打ち上げ直後に観測機器を動かすのは異例。金星に着くまで、山場はもうありません」と笑顔を見せた。
とのこと。H2Aロケットの打ち上げ・軌道投入も大成功でした。素晴らしい!!

 「あかつき」の任務は、金星の温度や大気の状態などを調べること。「金星の気象衛星」などと例えられ、呼ばれています。その観測に使われる5台のカメラのうち、中間赤外カメラ(LIR)、紫外線イメージャ(UVI)、1μmカメラ(IR1)の3台を立ち上げ、地球を撮影させてみました。どのカメラも正常に作動。中間赤外カメラで撮ったのは、南半球の地球。オーストラリア付近です。そう、来月「はやぶさ」のカプセルが帰還する場所…。合わせたのか、偶然なのか、感慨深いです。

 「あかつき」は金星に向かって、飛び続けます。到着するのは12月の予定。「あかつき」が地球を見るのは、これが最後。サンプルリターンミッションでは無いので帰還する必要はないとわかってはいるのですが、切なくなってしまいます。行ってらっしゃい、気をつけて!と声をかけたくなります。金星での活躍を祈って。


 一方、一緒に打ち上げられたソーラーセイル実証機「IKAROS(イカロス)」。こちらも順調に飛行中です。現在はまだ帆を開かず、準備中です。毎日twitterでツイートしていますが、今日のツイートから。
いま距離を測ってもらってるよ 大体180万kmまでキター 明日はいよいよ200万km突破する!
twitter:ikaroskun(イカロス君)

 月と地球の距離が38万km.それ以上の遠くへ行ってしまいました。もうそんな遠くまで飛んでいったのかと驚きました。IKAROSはまずは金星を目指しますが、太陽光が届くところであればさらに遠くを、太陽系じゅうを旅し続けることもできるのです。そんなIKAROSに、声をかけてあげたいです。もっと遠くへ、太陽系を、大宇宙を飛んで行け!人類はまだ行くことの出来ない大宇宙へ…。

~翼を広げて~ IKAROS(イカロス)専門チャンネル
 最新情報もここでどうぞ!
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by halca-kaukana057 | 2010-05-25 22:55 | 宇宙・天文

苦い思い出と共に

 昨夜、気が向いて、表には出さない昔の日記を読んでいました。それを読んでいて、昔の苦い思い出を思い出してしまいました。

 以前、好きなこと・興味のあることがきっかけで、苦い経験をした事がある。例えば、ピアノの練習が厳しくて辛いとか、難しい天文学の話題に勉強不足でついていけなくて辛いというのは、我慢できる。我慢すると言うより、それが今後の課題となる。さらに道を究める糧になる。

 しかし、例えば、何かを好きな者同士で意見が食い違ったり、ちょっとしたことでギクシャクした関係になってしまったりして、辛い思いをし、今もそれを引きずっている…。これは耐えられない。本当に辛い。私は、過去にそういうことを体験して、未だに心に引っかかっている。そのある好きなものに向かう時、苦い思い出・古傷も一緒に思い出してしまう。好きなものを楽しみたいのに、心の奥底には暗く重いものがずしりとあって、忘れられない。徐々に薄れてきたと思っても、何かのきっかけで突然思い出し、グサリとやられ、しばらく憂鬱な気持ちから抜け出せないこともある。苦い思い出・古傷は誰にでもある。ない人生なんてないと思う。時間が解決してくれる…とよく聞くが、私の場合はまだまだ時間が足りないのだろうか。

 苦い思い出・古傷があっても、好きなものは好きなのだ。変わらない。ただ、その"事件"が起こる前よりは、少し距離を置いている。でも、心の中にはちゃんとその置き場所があって、細くささやかでも「いいなぁ、面白いなぁ」という想いを抱き続けている。表にはあまり出さないけど、心の中にはちゃんと存在している。

 考えたのだが、その"事件"が起こった時と、今では、感じたことや、想いは同じだろうか。辛さ、苦しさ、悔しさ、罪悪感、劣等感、もどかしさ、怒り、憎しみ、悲しみ…。その時の日記を読んでいて、ちょっと今とは感じ方が違っていることに気がついた。その当時の方が、冷静に物事を、自分と相手の感情を捉えていた。ところが時間が経つにつれて、だんだんネガティヴな感情だけが増幅し、自分で自分を締め付けているのではないかと感じた。当時のことは、事細かには覚えてはいない。ショックで、正確な記憶が飛んでしまった(情けない話だ)。正確な情報が残っていない分、自分の中でネガティヴな感情だけが一人歩きしてしまっているのかもしれない。

 今から、苦い過去を清算すべく行動を起こすのは無理だ。ネガティヴな感情と共に途切れてしまった関係は、元には戻せない。私は先へ、未来へ進むしかない。好きなこと・興味のあることにずっと、何十年も、同じような情熱を注ぎ続ける事がいかに困難なことか。実際、私自身、宇宙への興味が一度薄れてしまった時期がある。でも、また興味を持って、さらに詳しく勉強したり、行動を起こした時は、本当に嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。やっぱり宇宙は面白い。興味が尽きない。何故惹かれるのかわからないけど、理由なんて要らない。好きなんだから。ピアノも同じように、ブランクがあり、また練習を再開した時の喜びは今も言葉にはできない。そして、さらにピアノに限らず「音楽」を求めるようになった。話がそれたが、この通り、好きという気持ちを保ち続け、行動し続けるのは難しい。仕事や家庭の事情、健康状態など、自分が置かれている状況でストップせざるを得ない事もある。モチベーションが下がって、遠のいてしまう事もある。そして、苦い思い出や古傷のため、好きだけど近寄りがたい…と感じ距離を取ってしまうこともある。それでも、好きならまた戻ってくる。戻って来た時、「苦い思い出」や「古傷」よりも、「面白い」「楽しい」「好き」の気持ちが上回って、古傷が薄くなればいいなと思う。また、一度距離を取ることはあっても、心の中に居場所はちゃんととっておいて、いつでも、どんなに長い時間が経っても戻ってこれるようにしたい。もし戻ってこなくても、それはそれでいい。苦い思い出はあっても、楽しい思い出もちゃんとあるのだから。

 この苦い思い出・古傷がいつか癒えるように。癒えることは、忘れてしまうことではない。苦い思い出や古傷が何かをもたらすこともあるだろう。焦らず、自分を締め付けず、この古傷と共に生きていこうと思う。

 最後に、何があっても何十年も継続して行動を続けている方々を、心から尊敬します。そんな方々も、古傷の痛みを抱えているのかもしれない。表に出さないだけで。その理由はやはり、好きだから、かもしれない。勝手な想像でした。

 以上、昨日・今日のtwitterのツイートを再構成し、考え直した、支離滅裂な独り言でした。

【関連過去記事】
誰かへつながる細い道
 アニメ「電脳コイル」最終回を観ての私的雑感。ここで書いた"痛み"の一部は、この記事での苦い思い出・古傷のことを指しています。未だに、"痛み"とはうまく付き合えないな。難しいね。
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by halca-kaukana057 | 2010-05-24 22:56 | 日常/考えたこと

試練のピアノリハビリ

 腕のリハビリはかなり進みました。もうすぐ医師からリハビリ完了と告げられると思います。リハビリのおかげで腕の動きが自由になり、かなり楽になりました。動きが制限されていることは、身体的にも精神的にも辛いです。

 一方、ピアノのリハビリは進んでいません。左手は相変わらず、ドレミファ…の音階と、ハノン1番を少しで精一杯。右手も、ひたすらハノンと、ソナチネ7・4番右手だけ。先日書いたとおり、音色に注意して、また、指の動きにも注意して練習していますが…あまり集中できず、30分ほどで終わってしまいます。

 ピアノ関係のブログを読むことや、演奏動画を観るのも辛いと、まだ感じます。ずっと愛読しているブログさんや、大好きなピアニストの演奏ならまだ大丈夫。しかし、ひたすら技を、表現を、己を鍛え突き進むピアノブロガーさんたちの文章や、心から楽しんでいる演奏動画を観るのは辛いです。

 そんな重い気持ちを引きずりながら、自分のピアノ記事を再読してみる。昨年末、来年(今年)の目標としてこんなことを書いていた。
どんな時も…他者の進度の速さや挑戦意欲の高さ、練習している作品の難易度に圧倒されて自分を見失ってしまいそうになる時も、なかなか進展がなく焦る時も。周囲がどうあろうと、自分自身がスランプに陥っていても、「こんな音を奏でたい」「この解釈が伝わるような演奏をしたい」という灯台のような目標を持っていたい。どんな状況でも、私は私の目指す音楽へ向かいたい。勿論、視野を狭めたり、考え方を偏らせないように気を付けて。これが来年の目標です。
どんな時も、自分の音楽を(2009.12.31)

 今まさに、周りの状況に圧倒され自分を見失っている。本当に見失ってしまうところだった。

 今は遠回りをしている状態。でも、「「こんな音を奏でたい」「この解釈が伝わるような演奏をしたい」という灯台のような目標」は持ち続けていたい。たとえ退屈にも思えるリハビリハノンでも、右手だけのソナチネでも。私はただ単に「ピアノが弾きたい」のではない。音楽を楽しみたい。何百年も前の天才たちが創り、今も奏で続けられている作品を楽しみたい。ただメロディーに心をゆだねるだけでもいい。できるならアナリーゼや楽曲・楽譜に秘められたその作品の魅力の決め手となるもの、作曲家がその作品を創った背景なども調べて、もっと楽しみたい。ピアノを演奏する時、楽譜を読み込んだりすることはそれの訓練・手助けになると思う。しかし、それが全てではない。音楽をもっと楽しみたい…ピアノを「弾く」ことだけが、私の音楽の全てではない。

 今は、私にとって、音楽の神様から与えられた試練の時なのかもしれない。自分を見失わず、劣等感に押しつぶされないように、自分を保つことができるようになるかどうか。周りと比較せず、自分の課題に取り組めるか。

 ピアノリハビリは、腕のリハビリよりも辛いと覚悟しています。何より、今年演奏しようと決めていたシベリウス「樅の木」が弾けそうもないことは、辛いです。腕の治療は今回の手術とリハビリで終わりではないので、今年いっぱいピアノリハビリもかかるのではないかとも覚悟しています。でも、このリハビリが何を意味するのか、何のためなのか。問いながら、自分の音色を聞いていこうと思います。

 それ以上に、今は色々な作品を聴いて、楽しもうと思います。禅問答で、厳しい修行ばかりでは身が、腕が、心が持たない。様々な音に触れ、耳を育てる。今できることのひとつだと思います。クラシックだけでなく、他のジャンルも。とにかく、色々聴いて楽しみたい。それだけなんです。

 ちなみに、明日23日は、ヴィルヘルム・ケンプの命日なのだそうです。ケンプの演奏は大好きです。偉大なピアニストを偲んで、明日はケンプの音楽に浸ろうと思います。(他にも音楽関係の予定は一応あります)
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by halca-kaukana057 | 2010-05-22 22:57 | 奏でること・うたうこと

明星に向かって 「あかつき」&「IKAROS」打ち上げ

 今朝、金星探査機「あかつき」や、小型ソーラーセイル実証機「IKAROS(イカロス)」などを載せたH2Aロケット17号機が種子島宇宙センターから打ち上げられました。

JAXA:H-IIAロケット17号機による金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の打上げ結果について
JAXA:金星探査機「あかつき」の初期運用結果について

JAXA:あかつき特設サイト
あかつき特設サイト

朝日新聞:探査機「あかつき」、金星軌道に H2A打ち上げ成功
(打ち上げ動画付き)
sorae.jp:「あかつき」を載せたH-IIAロケット17号機、打上げ成功

 18日の予定が、悪天候で直前に延期決定。今日、仕切りなおしです。NHKではローカルニュースを前倒しして、生中継してくれました。GJ!素晴らしい打ち上げでした。次々と衛星たちが分離され、「あかつき」の分離中継を観ていたら、何故か涙がこぼれました。「あかつき」は、これから漆黒の宇宙を、長い旅路に出ます。その過酷な旅と、「あかつき」にこめた技術者や研究者たちの熱意を思い、感極まってしまいました。「あかつき」の金星へ向かう半年の旅路は過酷で、孤独でもあるかもしれない。でも、私も含め、多くの人が見守っています。それに、載せた名前とメッセージのプレートもある。一緒に金星へ行きます!(名前だけだけど)

 「あかつき」が調べるのは、金星の大気や気候。地球と似た星なのに、環境は全く違う。何故こうなったのか、何故地球は生命が住める星になったのか。お隣さんの金星を調べることで、地球がわかる。惑星天文学の面白いところです。

 そして、ソーラーセイル実証機「イカロス」。これから数週間かけて、17mもの帆を開きます。成功すれば世界初の快挙。燃料無しで、太陽の光(の圧力)だけで、惑星間飛行ができるかもしれない。「IKAROS」の持つ可能性に、ワクワクが止まりません。
 で、「IKAROS」がどれだけ大きいのか、JAXA公式の「JAXAクラブ」で、実物大模型を作ってみた…。凄いです。動画は必見です。
JAXAクラブ:宇宙ヨット「イカロス」を作ろう 大きいモケイを作ってみたぞ!
(JAXAクラブは、会員になるともっと楽しめます。名前とメルアドを登録するだけです)

 先日事業仕分けで廃止判定を出されてしまった丸の内オアゾ、JAXAの広報スペース「JAXAi」には、早朝から沢山のお客さんが。打ち上げ生中継を観て、TV局の取材も入っていました。やはり、東京駅から5分、いい立地条件です。狭いけど、地価は高いけど、無くすのはやはり残念…JAXA広報の中心地として、もっと活用されて欲しいと思いますが…。

 そんなJAXAiでの生中継の様子。皆でカウントダウンをして、盛り上がってます。



 最後に、今日の金星。晴れた空に、宵の明星が凛と輝いていました。ここへ行くんだね。気をつけて、行ってらっしゃい!!
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by halca-kaukana057 | 2010-05-21 23:21 | 宇宙・天文

宇宙飛行士のお仕事

 昨日は、一時帰国中の山崎直子宇宙飛行士のTV出演が多くありました。朝は日テレ「ズームインSUPER」、TBS「はなまるマーケット」。夜はNHK「ニュースウォッチ9」。その他表敬訪問もあったので夜はお疲れのようでしたが、興味深いお話を聞けました。

 特に面白かったのが「はなまるマーケット」。主婦向けの情報番組で、どうなるんだ…と思いきや、いい意味で予想を裏切ってくれました。山崎さんのイメージとして固定しているような気がする「女性として」「母親として」の話よりも、「宇宙飛行士として」のお話が多く、宇宙好きな人もあまり興味を持っていなかった人にも、わかりやすく面白い内容だったと思います。
 ISSでの生活については、定番の地球はどう見えたか、無重量ってどんな感じ?、打ち上げはどうでした?いつ宇宙飛行士になろうと決意したのですか?などの質問の他に、ISSに持っていったものや山崎さんご自身が撮影した写真を使って説明。ISSで着る服に関しては、マジックテープがついていてペンやノートをとめることができる工夫や、無重量では体液が上半身に上ってしまうためウエストも変化してしまうのに対応してサイズを変えられる工夫をしてあることについて説明されていました。なるほど。ミッションについても、ロボットアームの操作での苦労話も。ロボットアームは細長いが、運ぶコンテナ「レオナルド」は大きく重い(無重量でも質量はある)。そのため、ちょっとでも振動を与えるとグラグラしてしまう。さらに空気がないので、なかなか振動がおさまらないところに苦労されたと話していました。これは実際にやってみないとわからないお話です。
 出演者や視聴者からの質問もよかった。「無重量では食べたものは、胃の中でどうなるの?」の質問に、胃が浮いてしまうので、脳が満腹だと判断してしまい、空腹をなかなか感じなかったと。でも、慣れてくるとお腹すいて、ご飯を食べられたと。慣れてくるというのが凄い。また、「くしゃみをしたらどうなるの?」。ISSは無重量のため、チリやホコリが浮いてくしゃみが出やすい。作用・反作用でくしゃみで飛んでいくなんてことはなかったが、大きなくしゃみなら飛んでいくかも、と。そうか…ハウスダストアレルギーの人は要注意ですね(私も含めて)。
 ゲストがお気に入りのお菓子などを紹介し、食べる「おめざ」のコーナーでは、ヤマザキの「宇宙日本食羊羹」がw山崎さんも食べましたw海外のクルーにも好評だったそう。欧米人は甘い小豆が苦手だと聞いたことがあるのですが、宇宙で味覚が変わったのかな?好評で何よりです。

 時間もたっぷり取ってくれて、じっくりとお話が聞けました。ただの主婦向け情報番組だと思っていたのに、やるな「はなまるマーケット」!そういえば、何年も前に毛利衛さんも出演されたことがあった。事実上宇宙飛行士を引退した後だったが、その時の経験が役に立った…のかもw

 NHK「ニュースウォッチ9」では、定番の話題のほかに、スペースシャトルの映像通信用アンテナである「Kuアンテナ」が故障してしまった話も。苦労話は興味深いです。実際に軌道上で使ったスケジュール表に、直筆メモも。事細かに作業の注意点が書いてあるのかな…と思いきや、景色がきれいだったとか、食べたものメモとかw生活感溢れてますw

 今回のTV出演は、宇宙飛行士の仕事に迫れるものが多かったと思います。宇宙飛行士をヒーロー・ヒロイン・英雄扱いする時代は、もう終わったと思います。日本人飛行士もどんどん宇宙に行って、ISSに長期滞在して、仕事している。ただ宇宙に行くのが目的なのではなく、宇宙で何をするのか、宇宙でどんな仕事をするのか。こういう情報がどんどん流れていって欲しいなと思います。ISSは、厳しい環境で、日常からかけ離れていて、限られた人しか行けない。でも、「仕事場」である。私たちが仕事しているのと同じように、宇宙飛行士にとってはISSでの作業が仕事なのだ。何十年かかるかわからないけど、南極観測隊ぐらいに、もう少し日常に近く、それなりに多くの人が、様々な分野の人が行けるようになって欲しいと思います。そして、各々の視点で、宇宙でどんな仕事をしてきたか、魅力的なところ、苦労したところ、さらにどんなことができると思うかなどについて話してくれればなぁ…と思います。

 そのためにも、これから日本が、友人宇宙開発をどうするのか、どう進めていくのか、はっきり決めて欲しいと思います。アメリカに振り回されっぱなしではない、日本として何がやりたいのか、何を目標にするのかを。

 そんな話も関係する「スペースシャトルの落日」(松浦晋也:著)について、近日中に書こうと思います。重い内容になりそうです…。
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by halca-kaukana057 | 2010-05-21 22:43 | 宇宙・天文

シューマン歌曲に「ラ・マルセイエーズ」?

 昨日から、NHK-FM19:30~の「ベストオブクラシック」は、シューマンイヤーを記念して1週間ずっとシューマン特集をしています。交響曲あり、歌曲あり、室内楽に協奏曲、管弦楽曲も。シューマン好きにはたまらない1週間です。

 今日は歌曲と「ピアノ五重奏曲」。大好きな「ピアノ五重奏曲」を目当てに聴いていたのですが、歌曲の部分を聴いていたら、馴染みのあるメロディーが聞こえてきた。フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」。あれ?シューマンを聴いているはすなんだけど…と自分の耳を疑ってしまいました。

 でも、間違いなく、シューマンの歌曲です。「ロマンスとバラード」op.49 第1曲「二人の擲弾兵(てきだんへい)」(原題:Die beiden Grenadiere)という作品です。シューマンも数多く曲を付けている、ハインリヒ・ハイネの詩です。ナポレオン戦争直後、ロシア軍に捕らわれた2人のフランス兵がドイツを通って祖国へ向かう途中で、皇帝がロシア軍に捕らえられたという報を聞く。その報に2人は嘆き悲しみ、死を思う。しかし、死んでも皇帝のために戦うことを約束する…という勇ましい内容。その詩に、最初は淡々と語るように、徐々に盛り上げ、「ラ・マルセイエーズ」を引用してドラマティックに締めくくる。2人の忠誠心がストレートに伝わってきます。

 「ラ・マルセイエーズ」を引用したクラシック音楽と言えばチャイコフスキーの序曲「1812年」op.49が有名ですね。あの大砲がドーン!ドーン!と鳴る作品ですwこちらはロシアの立場なので、フランスを破ったお祝いとして、「ラ・マルセイエーズ」を引用しています。「ラ・マルセイエーズ」のメロディーは、確かに印象に残ります。歌詞は日本人から見ると凄いですが…。


フィッシャー=ディースカウ版です。
ちなみに、この曲を持ってました。イエルク・デムスがピアノ伴奏のCDを図書館から借りて、PCとMDに入れていたのを忘れていました…。

Wikipedia:二人の擲弾兵
シューマン歌曲対訳集:Die beiden Grenadiere Op.49-1 二人の擲弾兵
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by halca-kaukana057 | 2010-05-18 22:35 | 音楽


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