<   2013年 07月 ( 17 )   > この月の画像一覧

梅雨空の晴れ間に輝く一筋 イリジウムフレア再び

 梅雨で曇り雨の日が続き、そろそろ星分欠乏しそうです…。星空を拝みたい…。今日は少し晴れてくれました。夏の大三角形がはっきりと見えていました。
 と思ったら、イリジウムフレアのとても条件のよいパスが。これは観たい。前回は空振りに終わってしまったので、今日はバッチリ観たい。スマートフォンをお供に、カメラをセットして、空を観ます。
・前回:イリジウムフレアは繊細で奥が深い

 予報どおりの時刻に、予報どおりの方角に見えました。予報での明るさはマイナス7等級程度。かなり明るい。小さな光の点が、一気に増光するのには凄いとしか言いようがありませんでした。凄い。

 画像も撮れました!
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 画像左から右へ飛んでいきました。フレアがはっきりと。狙って、こんなにはっきりと撮影できたのは初めてです。嬉しい。フレアの上の明るい白い星は、はくちょう座のデネブ。はくちょうの翼の部分も写っています。画像左、小さなひし形に並ぶ4つの星。いるか座です。とても可愛らしい、特に好きな星座です。撮影できると嬉しくなります。

 イリジウムフレア、ハマります。
 
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by halca-kaukana057 | 2013-07-29 23:38 | 宇宙・天文

ムジカ 1

 今日7月29日は、ロベルト・シューマンの御命日。1856年、46歳でした。ということで、シューマンにちなんだ記事を。シューマンが主人公の、音楽史漫画です。


ムジカ 1
かかし 朝浩/幻冬舎・バーズコミックス/2013

 1830年、ドイツ連邦、ザクセン王国ライプツィヒ。印刷が盛んになり、ライプツィヒは印刷工場が多い街だった。そんなとあるひとつの印刷工場の息子・ロベルト・シューマン。20歳。ベートーヴェンの音楽に感銘を受け、音楽家を志し、著名なピアニストのヴィークのもとでピアノを学ぶことに。意気揚々とヴィーク家にやってきたシューマン。そこで出会ったのは、ヴィークの娘、クララ。11歳。天才的な演奏に魅了されるシューマンだが、ヴィークのクララに対する指導はとても厳しいものだった。楽譜の通り正確に、完璧に暗譜で、厳しい指導のもと練習を続けるクララの姿。シューマンはクララの完璧な演奏に、自分の目指す「音楽」とは何かと向き合い始める…。

 まず、タイトルの「ムジカ」ですが、ドイツ語の「musiker」、「音楽家」の意味です。「ムジカ」と聞くと「musica」=「音楽」とイメージしてしまいますが、こちらはイタリア語。ドイツ語だと「musik」ですね。

 シューマンが主役、シューマンが主役ですよ!(大事なことなので2回書きましたw)とても嬉しいです。20歳、純朴で涙もろい、感激屋さん。演奏を聴いた時の感想の言葉も、比喩をふんだんに使う。素晴らしいと思う演奏を聴き、感動するとすぐ涙が出てきてしまう。好青年に描かれています。
 一方のクララ。金髪のロングヘア。感情をあまり表に出さない(出せない)、クールな美少女です。ピアノは、父・ヴィークのスパルタ英才教育に耐えストイックに完璧を目指す。クララのストイックさには、ただ驚くばかりです。

 シューマンの音楽に対する情熱や想い…喜びや感動が、ヴィーク親子を、更にポトツカ伯爵夫人やメンデルスゾーンをも巻き込み、変えてゆく。ピアノ演奏はあまり巧くないけれども、音楽の捉え方や音楽と言葉をどう組み合わせるか。後の作曲家・音楽評論家としてのシューマンの片鱗も見えてきます。メンデルスゾーンとの出会い、そしてクララをめぐる対決(!?)も面白かった。クールなお金持ちの反面、闘志むき出しのメンデルスゾーンの2面性がまたいいなと。シューマンから離れられなくなってきたクララも可愛いです。

 1巻では、作曲はまだ出てきません。2巻以降が楽しみです。ショパンやブラームスも登場するんだろうな。
一方で、今後シューマンには数々の苦難が待ち受けているわけですが、どう描くのだろう。そこにも注目しています。現在は、明るい性格なのですが、どう変化してしまうのか…。勿論、作曲家として、そして音楽評論家としての活躍も楽しみにしています。

 おまけの「ダヴィッド同盟 豆知識集」では、”ダヴィッド同盟”のフロレスタンやオイゼビウスが、本編で紹介できなかった史実やエピソードについての解説も。シューマンが主人公だと、こんなこともやりやすいですね。本編でもこの2人がどう登場してくるか。シューマンが意外と、漫画にしやすい人物なのかもしれない。

 史実と、フィクションの部分。合わせて楽しんで読みたい作品です。そして、読むとシューマン作品が聴きたくなります。シューマンが書いた「音楽と音楽家」(吉田秀和:訳)ほか、シューマン関連本も読みたくなります。他の歴史もの漫画や歴史小説、はては大河ドラマまで観ると歴史の教科書や関連本を読みたくなるように。この「ムジカ」では、更にシューマンの作曲作品や著作も読みたくなる。これまで様々な音楽漫画がありましたが、音楽史漫画はそんなに多くなかったと思う。しかもシューマンが主人公。音楽漫画、歴史もの漫画の両面で、新たな風を巻き起こす作品になればいいなと思います。

音楽と音楽家 (岩波文庫 青 502-1)

シューマン/吉田秀和:訳 / 岩波書店


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by halca-kaukana057 | 2013-07-29 23:25 | 本・読書

遅咲きのばら

 庭に植えているバラの花のうち、ピンク色のバラがなかなかつぼみを持たず、心配していました。他のバラは既に咲いたのに。他の家の庭や公園のバラも、咲いているのに。何か病気にでもなってしまったのだろうか。

 でも、ようやくつぼみを持ち、きれいな花が咲きました。
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 遅咲きのバラ。桜も早咲き・遅咲きがありますが、このバラも今年は遅咲きのようです。他より遅れても、花を咲かせるバラを見て、けなげさ、そして強さも感じました。
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by halca-kaukana057 | 2013-07-26 22:30 | 日常/考えたこと

果しなき流れの果に

 2011年7月26日、ちょうど2年前。SF作家の小松左京氏が亡くなりました。小松先生の作品をそれまで読んだことが無かったので、読みたいと思っていたのですが、代表作「日本沈没」は震災後には重過ぎて読めず。それからしばらく経って、この本を手に取りました。ようやく小松作品を読みました…(遅い


果しなき流れの果に
小松左京/角川春樹事務所・ハルキ文庫/1997(単行本は早川書房、1966年)

 理論物理学の研究所で助手をしている野々村と、教授の大泉のもとに、大泉教授の友人の番匠谷(ばんしょうや)教授がやって来る。番匠谷教授が持ってきた”珍しいもの”を野々村にも見てもらうために。番匠谷教授が出したのは、少し変わった形をしている砂時計。しかし、よく見ると、砂は落ち続けているのに、上の砂溜めの砂は減らず、下の砂溜めの砂も増えない、永遠に砂の落ち続ける砂時計だった。しかも、番匠谷教授はこの砂時計を、中生代・白亜紀の地層から発掘したというのだ。砂時計の謎を探るべく、出土した現場へ向かう。その途中、野々村は不思議な青年に話しかけられる。「”クロニアム”はどうしました?」と。その青年は、発掘現場の古墳にも現れる。古墳の中を調べてみると、これも不思議な構造をしていた。それから、野々村たちは奇妙で不可解な出来事に次々と巻き込まれ続ける。大泉教授も番匠谷教授も、砂時計のことを知っている人々も、そして野々村も…。


 このあらすじの部分まで読んで、さてこの後どうなるのだろう?砂時計と、野々村たちの行方の謎を解く物語が始まるのだろう…と思いきや、物語は予想もしない方向に。第3章からの展開に「なんだこれは!」と驚くばかりでした。読んでも、しばらくは事態と展開がつかめず、よくわからないまま、でもどうなるのか楽しみで、どんどん読んでしまいました。

 宇宙を舞台に、壮大な時間と、時間の中で生きる人々のたたかい。宇宙の中では、人間の寿命なんてちっぽけなもの。でも、もしその宇宙の中で生き続けることの出来る”別次元の命”を手に入れたら?更に、今私たちがいる時間軸とは別の時間軸・次元をも行き来できるなら?一体この人は何とたたかっているのだろう、誰が敵で、誰が味方なのだろう?もう壮大過ぎて頭がパンクしそうですが、でも面白い。

 時空を飛びまわる壮大な舞台で、野々村の恋人である佐世子の存在に、ほっとします。佐世子は「今、ここ」にいる。最初の地点であり、還るべき地点であることを教えてくれる。佐世子の登場するラストが、切なくかなしくも、しあわせだと感じました。

 ページを開く度に頭がパンクしそうな状態が続いているので、何度でも読みたいです。

 ところで、この作品が書かれたのは、1965年(翌年単行本化)。そんな昔にこんな凄いSFがあったのか!とまた驚きました。まだ人類が月に立っていない時代。いや、ジュール・ヴェルヌやH・G・ウェルズ、アーサー・C・クラークやアイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインラインは更に前の時代ですが…いや、まだ現実の科学・技術がSFに追いついていない時代だからこそ、自由に想像して書けるのかもしれない。でも、リアリティもある…。やっぱり凄いです。

 「日本沈没」はこの「果しなき~」の後の作品。「日本沈没」も、読める精神状態になったら読みます。
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by halca-kaukana057 | 2013-07-26 22:18 | 本・読書

美しき、活きている浜 「種差 よみがえれ 浜の記憶」展 その1

 先日行ってきました。
青森県立美術館:三陸復興国立公園指定記念「種差 ―よみがえれ 浜の記憶」

 青森県八戸市の種差海岸。今年、「三陸復興国立公園」に指定されました。これまで、多くの芸術家たちを惹き付けてきた種差海岸。東日本大震災では、津波の被害を受けてもいます。その種差海岸の歴史と、種差海岸に惹かれた芸術家たちの作品を通して、種差の魅力に迫る、ローカルな特別展です。

 今回、私がこの特別展に行こうと思ったのは、あの東山魁夷の「道」が展示されるから。北欧を描いたことがきっかけで、東山魁夷作品に惹かれてきたのですが、その作品の実物を観たことはありませんでした。昨年宮城県立美術館で「東山魁夷」展が開催されたのですが、行けず。いつかどこかで、と思っていたら、これまで何度も訪れている青森県立美術館で観られる。しかも、代表作の「道」。この「道」は、種差海岸にある道から生まれた作品。しかも、試作と本作の両方を展示する…観るしかない!

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 チラシは2種類あります。

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 いつもの真っ白な建物。何度観ても青森県美の建築は美しい。この日は、爽やかに晴れた空に映えていました。

 展示は、古代から始まります。種差海岸の遺跡・貝塚から出土した土器や骨。古代の人々も、種差の海の恵と共に生きてきました。江戸時代に描かれた八戸・種差の浜の絵にも活気があります。昭和に使われていた木造の「カッコ」と呼ばれる小舟も。漁が盛んだったことが伺えます。

 そして、種差に魅せられた2人の芸術家へ。まずは、鳥瞰図絵師として活躍し、アトリエを種差に建てた、吉田初三郎。初めて知りました。その鳥瞰図の数々が展示されています。
 観て、驚きました。なんて鮮やかで精巧なんだ、と。八戸の鳥瞰図では、八戸を中心に、十和田や山を越えた弘前や青森、さらにお隣岩手・久慈に遠くには北海道や東京も描かれています。以前、「Art and Air」展でももっと昔の鳥瞰図が展示されていましたが、吉田初三郎はどうやってこの鳥瞰図を描いたのだろう?観ながら疑問に思っていました。身近なところは細かく、でも遠くまで描いている。飛行機はあった時代だけど、やっぱり想像力なのだろうか。
 他の地域の鳥瞰図も多数展示されています。温泉街の観光用の鳥瞰図も多数。これを片手に、当時の人々は旅を楽しんだのだろうか。印象に残ったのは、関東大震災の鳥瞰図。火事で燃えている関東が描かれています。もし、吉田初三郎が東日本大震災を観たら、何か描いただろうか。アトリエを構えるほど愛した種差の浜にも津波が押し寄せた。どう観て、何を感じただろうか…。

 もうひとり、種差に魅せられた芸術家・東山魁夷。来ました。「道」(試作)。実物を目の前にして、感無量。涙も出そうになりました。この「道」を描いた時の魁夷の状況、エピソードもあわせて観ると、この絵に何を込めたかったのか、想像してしまいます。
 「道」だけでなく、魁夷は種差を舞台にした作品を多数描いています。穏やかな淡い色の波辺で馬の親子が佇んでいる「凪」など、その色の透明感や空気感に魅せられました。画像ではわからない、タッチや色合い、息遣い。しばらく魁夷作品のコーナーに居座っていました。動けない。
 ちなみに、「道」は、7月28日まで試作が、7月30日からは本作が展示されます。「夕汀」「静日」も7月28日まで。どうぞお早めに!
 「道」は、前売券を買うと試作・本作の両方を観られる仕組みになっています。ということで、もう一度、今度は本作を見に行きます。

 最後に現代。大震災の津波の被害を受けた種差海岸。それでも、浜は復興へ向かい、その風景は現代の芸術家たちをも惹き付けています。
 笹岡啓子の種差の写真の数々は、浜の力強さや荒々しさも写し出している。吉田初三郎の鳥瞰図とはまた違う鮮やかさ。惹かれました。

 種差海岸にはまだ行ったことがありません。でも、東山魁夷の「道」の舞台になったところがどんな場所なのか見たいし、復興に向かう浜の姿も観たい。是非行きたいです。

 ちなみに、吉田初三郎の鳥瞰図はここでも。
青森県立郷土館
 企画展「吉田初三郎鳥瞰図展~大正・昭和に描かれた観光パノラマ絵図~」これも今度観に行かなくては。
 7月24日(水)~9月1日(日)。

 あと、次は常設展も観ます。今回は特別展だけ。

 ミュージアムショップは、予想通り…東山魁夷グッズが沢山…。叫びそうになりましたw画集が欲しいよ…。
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 吉田初三郎の鳥瞰図ポストカードは迷わず買いました。いいなぁこれ。

 「道」本作のその2に続く。いつになるかは未定です。でも絶対行きます。
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by halca-kaukana057 | 2013-07-23 22:28 | 興味を持ったものいろいろ

イリジウムフレアは繊細で奥が深い

 七夕の日にイリジウムフレアを観て、画像も撮れたという記事を書きました。
七夕の夜、星空を観よう

 それから、晴れた夜、予報でいい条件の日にはイリジウムフレアの観測と撮影に挑戦しています。しかし、予報どおりの方角を観ているはずなのに何も見られなかったことが何度かありました。イリジウムフレアは、観測地点が少しずれると、見え方も変わる。繊細です。

 今日は2回、挑戦しました。

 まず1回目。マイナス4等級。明るめです。夜空の何もないところに、突然明るい光がぶわっ!と現れる。イリジウムフレアだとわかっていても驚きますし、わかっていなかったら未確認飛行物体か何かかと思うに違いない…。観たのですが、画像は撮れませんでした。カメラが微妙に違う方向を向いていました。ほんの少しだったのに…残念。

 2回目。マイナス7等級。とても明るいです。今度は画像も撮るぞと意気込んで待ちます。
 予報どおりの時刻・方角に来たのですが、明るさはマイナス7等級には程遠い。マイナス1~2等級ぐらいです。あれれ?月明かりのせいか?私が見ていた方角よりも違う方角で極大の明るさを逃がしたか?予報外れた?(イリジウムフレアはISSのようなほぼ正確な予報とは限りません)
 奥が深いぞイリジウムフレア…。

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 画面左下、薄い線がイリジウム衛星の軌跡です。てんびん座のあたりを通過中でした。画像中央の明るい星は土星。おとめ座の足元にいます。

 陸域観測衛星「だいち」(ALOS)もなかなか観るのが難しい衛星ですが、イリジウムフレアも簡単にはいきません。でも、今後も観ます。他にも色々な衛星を観れたらいいな。
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by halca-kaukana057 | 2013-07-19 22:47 | 宇宙・天文

ルチアさん

 気になっていた本です。児童文学、ですが、読んでみると…

ルチアさん
高楼 方子:作/出久根 育:絵/フレーベル館/2003

 「たそがれ屋敷」と呼ばれる家に、奥さまと2人の娘、2人のお手伝いさんが暮らしていた。屋敷は鬱蒼と茂った木で暗く、奥さまも痩せてうつむき憂鬱そうに見える。旦那様は外国航路の船乗りで、滅多に家には帰ってこなかった。2人の娘は上の子がスゥ、下の子がルゥルゥ。そんな「たそがれ屋敷」に、もうひとりお手伝いさんがやってきた。名前はルチアさん。スゥとルゥルゥは、ルチアさんを見て、ルチアさんが水色に光っているように見えるのが不思議だった。それは、お父様が海の向こうから帰ってきた時にお土産にくれた、きらきら輝く水色の玉の「宝石」に良く似ていた。そして、ルチアさんは特別おしゃべりと言うわけでは無いのに、周囲の雰囲気が明るくなるようで、またルチアさん自身も、事件に巻き込まれても動じず朗らかに仕事を続けた。そんなルチアさんの秘密を探ろうと、スゥとルゥルゥはこっそり夜道を帰るルチアさんの後を追う。隣町の、ルチアさんの家と思われる家の前で、ルチアさんの娘のボビーと出会い、ルチアさんが何故水色の「宝石」のように光っているのか尋ねるが…

 不思議なお手伝いさん・ルチアさん。
 鍵となるのが、スゥとルゥルゥの「宝物」の水色の玉。その「宝物」と、ルチアさんの秘密と、ルチアさんのおじさんが大切にしていたあるものの関係。それを知ったボビーは、これまで何とも思わなかった母・ルチアさんや、その他関係のありそうなことについて考え始める…。

 ここまであらすじばかり書いてしまった。ルチアさんが本当に不思議で、私も惹かれていった。私なら「今日こんなことがあった、最悪だ…」と何日も愚痴を言いそうなことにも、穏やかに動じない。その一方で、「今日こんなラッキーなことがあった。すごい、嬉しい!!」と満面の笑みで喜びそうなことでも、やっぱりいつも通り。いつも朗らかで、噂(多分ゴシップネタも好きかもしれない)お手伝いさんのエルダさんとヤンガさんも、ルチアさんがやってきてから変わりだす。憂鬱そうな奥さまも。心の中にある、憧れやきらきらした思いを打ち明けたくなる。


 「心の中にしまったなにかしら輝くような思い」。その一方で、日々の暮らしの細々としたこと。水色の「宝石」、ルチアさん自身が表しているもの…「どこか遠くのきらきらしたところ」を思い、満たされながら、「ここ」にいるけど、同時に「どこか」にもいる。

 私は、よく「こんな毎日から抜け出したい」と思っている。日々の暮らしや仕事の細々としたことに悩み、苦痛に思い、そんな毎日が続いてゆくことも苦痛に思う。退屈に思え、嫌なことも多い毎日にも、小さな幸せはある、見つけようと思えば見つけられる…同感、そう思うこともあるけど、その「幸せ」で心が満たされる時間は短い。またすぐ現実に引き戻され、ため息をつく。だから、こんな毎日を抜け出したい、と思う。そして、ここじゃない遠くには、憧れるものや強い幸せを感じるものがある。憧れのフィンランドに行ってみたい、シベリウスの家”アイノラ”に行きたいとか、星がきれいに見えるところで思う存分星見・天体観測したいとか、大好きな演奏家のコンサートに行きまくりたいとか、読みたい本を思う存分読みふけりたいとか…。お金に困らない暮らしがしたい。もっとやりがいのある仕事がしたい。行動力と体力が欲しい。抱えている体調不良が治り消えれば、どこへだって行けるのに…。いつも何かに縛られている気がして、自由になれない。その縛っているものがなくなればいいのに…。こんな風に、「どこか」に憧れる、が、手は届かず、「ここ」には不満ばかり持っている。

 だから、「どこか遠くのきらきらしたところ」が心を満たし、「ここ」で毎日勤勉に働き暮らしながらも、同時に「どこか」にもいる。「どこか」と「ここ」がひとつになる。そんな幸せがあるのなら…そうなりたいと思った。そうなるにはどうしたらいいだろう?でも、それが本当に幸せなのだろうか?読みながら考えていました。

 「どこか」と「ここ」がひとつになる。それはとても難しいことだ。毎日の「ここ」での暮らし・仕事が精一杯、「ここ」が全ての人。「どこか」を捜し求める人。どちらの暮らしがいい・悪いとは言えない。「どこか」と「ここ」がひとつになる暮らしも。理想と思うけれど、完全によいとも言えない。ネガティヴなことをネガティヴと思えないのもどうなのだろう…と。
 私はどちらでもない。「どこか」を捜し求めたくても、「ここ」に”縛られている”と感じている。これもまた、自分は悪い・辛いと思うけれども、そうとは限らないかもしれない。”縛られている”という意識が消えれば、心は楽になれるんじゃないか。

 とても不思議で、深く、心の奥底に後からじんじんと響いてくる物語。高楼方子(たかどの・ほうこ)さんの作品は初めて読んだのですが、他の作品も読みたくなりました。絵の出久根育さんは、梨木香歩さんの絵本「ペンキや」の絵も描かれた方。表紙にちょっと不気味なものを感じたのですが、中のイラストはきれいで幻想的です。

ペンキや

ペンキや

梨木 香歩:作/出久根 育:絵/理論社/2002


 この本ももう一度読みたい。この「ルチアさん」と共通する部分もある。
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by halca-kaukana057 | 2013-07-17 22:54 | 本・読書

【大事なお知らせ】「はやぶさ2」名前・メッセージキャンペーン、募集期間延長!

 今日が締め切りの、小惑星探査機「はやぶさ2」に名前・メッセージを載せられるキャンペーン。
・過去記事:【大切なお知らせ】「はやぶさ2」メッセージキャンペーン、締め切り迫る!

JAXA:月・惑星探査プログラムグループ(JSPEC):星の王子さまに会いにいきませんか ミリオンキャンペーン2


 締め切りが延長されました!

 新しい締め切りは、8月9日 午後5時 です。

 送りそびれた方、送ろうか迷っていたうちに今日になってしまった方。大丈夫です。間に合います。ゆっくりと(でも、後回しにして締め切りをお忘れの無いように!)考えて、是非ともご応募ください。
 上記webサイトからすぐに応募できます。応募コースをもう一度確認。

○小惑星に投下するターゲットマーカー(タッチダウンする時の目印)
  :名前を載せることが出来ます。一度に5人まで一緒に応募できるので、家族や恋人、友達の名前も一緒に送れます。(これから生まれる、故人でも可能です。ペットなど動物でも可能です。)
   学校や職場など、5人以上の場合は、ダウンロードしたリストフォーマットに記入して、郵送します。

○小惑星のサンプルを入れて地球に帰還するカプセル
名前とメッセージを載せることができます。
  名前のみでも可能です。メッセージは、日本語なら30字以内。
 :5人以上の場合は、ターゲットマーカーと同じく。
 :寄せ書きやイラストも募集しています。所定の用紙をダウンロードして、記入、郵送します。

*応募した後に表示される「登録ID番号」は、大切に保管しておいてください。もし無くした場合は、事務局に連絡するといいそうです。


 締め切りの前日に思いついたのですが、メッセージに、短歌や俳句、川柳を載せるのもいいと思います。全角なら30文字以内までなので、30文字に収まるようにすればOKです。(こんな時、漢字のある日本語は便利です)
 メッセージは小惑星のサンプルを収めたカプセルと共に、地球に帰還します。2020年の予定。7年ぐらい後、何をしているかな…。そんな未来への思いを込めて、一首、一句ひねるのも面白いと思います。
 勿論普通のメッセージでも歓迎ですし、名前だけでも歓迎です。

 以上、お知らせでした。

 ちなみに、今月26日(金)・27日(土)の2日間、相模原市にあるJAXA・宇宙科学研究所(ISAS)にて、相模原キャンパス特別公開が開催されます。普段でも相模原キャンパスは展示室を見学できますが、この毎年恒例の特別公開では普段入れないところや普段公開してないものを展示。各プロジェクトの研究者の先生方・学生さんが、プロジェクトの解説や質問に答えてくれます。特別公開でしかもらえないパンフレットも。
 「はやぶさ2」も、8月22日に打ち上げ予定のイプシロンロケットも、他の科学衛星、将来のプロジェクトも、様々な展示や講演などのイベントもあります。お近くの方、行ってみたい方は是非どうぞ!
JAXA:ISAS:相模原キャンパス特別公開2013

 ちなみに、私はまだ特別公開には行ったことがありません。予定が合わず、そして真夏・猛暑の関東に行くのは…体力が持ちそうになく…。行く時は、熱中症対策万全でお願いします。

・以前、通常の見学に行った時のレポ:緑の中に、宇宙科学の最前線  JAXA・宇宙科学研究所 相模原キャンパスに行ってきた
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by halca-kaukana057 | 2013-07-16 22:39 | 宇宙・天文

鳥と雲と薬草袋

 梨木香歩さんの最新刊です。


鳥と雲と薬草袋
梨木香歩/新潮社/2013

 西日本新聞に、2011年11月から12年2月まで連載されたエッセイです。鹿児島出身の梨木さんにとって縁があったり、これまで旅した土地の名前に関するエッセイです。

 土地の名前がテーマですが、梨木さんの観点・視点から書かれていて、それが瑞々しく清々しい。本のタイトルに惹かれ、でも何の本だろう?とページをめくると、「タイトルのこと」と冒頭にありました。土地の名前をテーマにしたい、でももっとふさわしい書き手がいるのではないかと思いつつも、梨木さんはこう書いています。
薬草袋にごちゃごちゃ入っているメモのように、いつか行った土地の名まえ、それにまつわる物語も、鳥や雲の話に合わせて、書いていけたらと思っている。一つのテーマに合わせて、というより、その方が伸びやかで、結局はぜんたいにいいような気がするのだ。
(11ページより)

 「薬草袋」は、梨木さんが旅の鞄に入れておいている、アドリア海の小さな島で貰ったハーブのブーケが入った袋のこと。旅の最中の色々なメモも入っている。「鳥」と「雲」は、梨木さんの机の前の窓から見える木立にやってくる鳥たちと空のこと。「鳥」は、梨木さんの以前のエッセイ「渡りの足跡」でも、渡り鳥について詳しく書かれています。梨木さんの身の回りから、旅先までが繋がっているように感じさせるタイトルだなと感じました。中身も、まさにそう感じました。

 土地の名前は不思議だ、と思う。自然の特徴からつけられたもの、歴史の中の出来事に由来するもの、そこを通る人々の感情が表れているもの…。あてられた漢字が独特な読みが難しい地名は、何故こんな地名になったのだろう?と調べたくなる。音の響きが印象的な地名も。そして、その地名が生まれた背景から、昔からそこに住んでいた・旅で通っていた人々の暮らしや思いが伺えて、地名が歴史と文化を語り伝えてきたように感じる。

 それぞれの地名の一篇は短く、でも味わい深い内容です。1000年以上も前から続いている地名から、市町村合併で生まれた新しい地名、それによって消えてしまった地名まで。新しい地名も、違和感を覚えつつもじきに慣れるのだろうか、と保留している。梨木さんのやわらかい姿勢。古くから続いてきた名前を残して欲しかったけど、新しいものも全くダメとは言えない…というような。

 西日本中心のため、東日本で暮らしてきた私は、この本で出てくる土地の名前の多くを知らないし、行ったこともない。でも、読んでいると、こんな土地なのかなと想像できるし、行ったような気持ちになれる。日本には、素敵な土地の名前が、名前の通りの素敵な土地が沢山あるのだな、と。知らない、行ったことがないからこそ、余計そう感じた。

 「岬」の言葉の意味と、九州で「岬」の代わりに使われる「鼻」の意味の対比が興味深かった。道の果て・終わりか、道の始まりか。島国だからこそ、そんな意味合いの違いが生まれるのだなと思った。

 本の装丁、イラストもシンプルできれい。一気に読んでしまいましたが、「あとがき」にあるように、「連載時と同じように一日一篇、と読んでくだされば、五十日間は持つ」…2回目はそうやって読みたいです。
 そして、同じく「あとがき」から、旅をしたことのある土地の名がふとした時に「薬効」となる…。旅をした土地の名前が、新聞やニュース、テレビ、小説などに出てくると釘付けになってしまうし、その土地で印象深い出来事があればそれを思い出すたびにまた行きたいなと思う。行ったことのない土地でも、こんな風に書かれていたら、「薬効」を持つのかもしれない。

 旅に出たら、その土地の名前を調べてみよう。自分の今いる場所・身の回りと、旅先が繋がるかもしれない。

・過去関連記事:渡りの足跡

渡りの足跡 (新潮文庫)

梨木 香歩 / 新潮社


 単行本に加筆した文庫版も出ています。
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by halca-kaukana057 | 2013-07-15 22:05 | 本・読書

「届いてない」ことと、届けたい気持ち

 「ほぼ日刊イトイ新聞」(ほぼ日)の「今日のダーリン」を読んで思ったことを。

ほぼ日刊イトイ新聞
 以前も書きましたが、「今日のダーリン」はアーカイブ・ログがなく、明日になると消えてしまうので引用します。糸井重里さんが、以前は大きな声が出たのに、出なくなっていることが最近気になっている、というお話です。前半部分は省略します。

しかし、ここ1年、2年くらいの間に、
「声が出てないなぁ」と思うことが多くなりました。
最近では、声のボリュームについては、いつも不満です。
相手のところに、到達してない感覚があるのです。

王貞治さんが、選手としての現役を引退するときに、
「ホームランだと思った打球が、届かなくなった」
と語ったことをよく憶えています。
じぶんの声が出てないことを、
王選手のホームランに喩えるつもりはないのですが、
「届いてない」ということの無念さについては、
重なるところがあると信じています。
ひっかかりのある鉛筆で文字を書いている感じとか、
上りの坂道になると速度が落ちてしまうクルマとか、
思ったようにならないアウトプットは、
なかなかじれったいものです。
いっそ発声練習とかやろうかと思っていたくらいです。
 
たぶん、身体の使い方がなにかちがってきている。
あちこちの筋肉の衰えとかゆるみとかが、
影響しているにちがいないと思っていたのですが、
レッスンを受けるまでには至らずだったのです。
でもね、さっきまで、家で「ひとりカラオケ」を
2時間くらいやっていたんですよ。
そしたら、声、出るんですよねー、なんでだろう。
これ、毎日やってたら、届く声が出るようになるかな。
ものすごくうれしくなっちゃったのでありました。
‥‥ま、こんな年寄りの体調についての話なんて、
誰もよろこばないような気はするのですけどねー。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「届いてない」っていう感覚は、人を弱くすると思うんだ。


 その通りだなと思いました。年齢や、状況に関係なく、実際届いていなかったとわかること、「届いてない」と実感することは、とても無念ですし、悔しく、寂しく感じます。

 「届いてない」にも色々あります。
 送った郵便や荷物、メールが届かなかった。
 手紙やメールそのものは届いたけど、中身の文章に込めた気持ちが相手に届かなかった。
 手紙やメールは届いているはずなのに、返事が無い。相手からの応えが届かない。
 誰かと会話していて、その内容が届かなかった。
 街中で親しい人を見かけて、声をかけたけど届かなかった。
 仕事や日常生活で、誰かにお願いしたことがあったけど届かなかった。
 目標や夢に届かなかった。
 高いところにあるものを取ろうとして、手が届かなかった。
 欲しいものがあるけど、様々な理由で手が届かなかった。

 書こうと思えば、まだまだ出てきます。

 もの、行動、気持ち。手が、声が、言葉が、気持ちが、届かない。
 「今日のダーリン」の最後、
「届いてない」っていう感覚は、人を弱くすると思うんだ。

 全く同感です。「届いてない」とわかると、ガックリと来る。落ち込む。ため息が出る。「それだけの力が自分には無いんだな」と自信をなくしてしまう。「届いてない」が続くと、何もかも嫌になってきます。

 糸井さんは、ひとりカラオケをして、声は出る、とわかった。
 でも、声は出ても、その声は誰かに届くのか、わからない。糸井さんが書いているように、練習を続ければ届くようになるかもしれない。届ける練習は確かに必要だと思う。
 気持ちを届けるために、伝わりやすい文章を書く練習をする。
 届く声と言っても、ただ大きいだけの声では、それが何なのか相手はわからず、届かないかもしれない(よくあります。聞こえる”音”と、それが”意味を持った言葉”であると理解して聞く、のは全く別物)。なので、人に伝わりやすい、届く声を出す練習をする。
 相手が引き受けやすいように、お願いする練習をする。
 目標や夢に届くように、努力する、練習する。

 私も、届けたいなら、何か練習をする必要があるかもしれない。

 その一方で、誰かに届いて欲しいけど、特定の誰かではなく、不特定の誰かでかまわない、ということもある。一番届けたいのは自分自身。自分自身にわからせたい、そんなこともある。

 「届けたい」「届いてない」単純なようで、結構複雑です。

 私も、誰かに何を届けたくて、ブログを書いている。届けたい相手は、一番は自分自身なのかもしれない。自分の今の考えはこうなんだよ、と、いつか未来の自分に。もしくは、「届いてない」苦い思いをした過去の自分に。
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by halca-kaukana057 | 2013-07-14 23:12 | 日常/考えたこと


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