<   2013年 08月 ( 16 )   > この月の画像一覧

東山魁夷の2つの「道」 「種差 よみがえれ 浜の記憶」展 その2

 以前行ってきたこの特別展。東山魁夷の「道」が、試作から本作に展示が入れ換えられました。試作を観たら今度は本作!再び行ってきました。

青森県立美術館:三陸復興国立公園指定記念「種差 ―よみがえれ 浜の記憶」
・前回のレポ:美しき、活きている浜 「種差 よみがえれ 浜の記憶」展 その1

 ちなみに、前売券で試作と本作が両方観られる仕組みになっています。素晴らしい仕組みです。

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毎度おなじみになってしまっている青森県立美術館。あれ?シンボルマークのライトが昼間なのについている?

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やっぱりついています。昼間なのに付いているのは初めて見ました。珍しい。ということで記念に撮影。
このシンボルマークのライトは、夜はとてもきれいです。白い建物にとても映えます。夕方、日没の頃も陽のかげり具合に映えて、またきれいです。

 2度目ですが、もう一度展示をゆっくりと観ることに。種差海岸近辺の縄文遺跡から出土した土器や石器、貝塚からの出土物を観て、以前読んだ小説「ライアの祈り」(森沢明夫)を思い浮かべていました。小説の感想に書くのを忘れていたのですが、「ライアの祈り」には種差海岸も出てきます。かなり重要なシーン、重要な場所として描かれています。ライアたちのような縄文の人々が、これらの土器や石器を使って、種差でどんな暮らしをしていたのだろうと想像しつつ、小説のことも思い浮かべつつ観ていました。
・「ライアの祈り」についてはこちら感想記事で:ライアの祈り

 前回の記事で書かなかったところも。現代のアーティストによる作品。まず、リチャード・ロングの作品のスケールに圧倒されました。一番広い展示室の、壁3面をキャンバスのように使っている。「津波の断層」の大きさといったら凄い。種差海岸を襲った津波、そして復興へのメッセージが、シンプルで力強い。
 もうひとり、笹岡啓子の種差海岸の写真。ごつごつした岩肌、海岸に寄せる波、海岸の人々。種差の空気が伝わってくる写真です。

 吉田初三郎の鳥瞰図も、やっぱりどうやって描いたのだろうと思う精巧さと鮮やかさ。細かいところまで魅入ってしまいます。

 そして、東山魁夷の「道」本作。観て、試作と違う点がいくつか。まず大きさ。試作は小さめの作品だったのが、本作は大きい。また、本作は鮮やかになっています。道も、試作よりもよりはっきりと描かれている。遠くから観るとシンプルに道と緑の草原をはっきりと描かれているように見えるけれども、近くで観るとタッチがやわらかい。
 この「道」の道は、まっすぐ伸びていて、途中で曲がり道が途切れているように見える。でも、道の続きも描かれている。試作だけでなく、スケッチも多数残されていてその解説もあったのですが、何度も何度も描いて、表現したかった一本の道。曲がっている先は、今ここから見え難いけれども、もう少し先に行けば見えるだろう。また新しい道が見えてくるだろう。そんなことを考えながら黙って見つめていました。
 「凪」も何度観ても惹かれる作品。東山魁夷の作品を観て、穏やかな気持ちになっていました。やわらかであたたかい雰囲気。寺院や神社、教会にいるような、落ち着きと厳かさを感じました。やっぱり今回も、椅子に座ってしばらく居座ってしまいました。ちょうどいい位置に椅子(ベンチ)があるので…。同じように居座っている方も何人かいらっしゃいました。

 「道」(本作)は東京国立近代美術館で展示されていますが、その絵のモデルとなった種差海岸に関する特別展、というテーマ(枠)の中で観られたのは貴重でした。いい特別展でした。

 特別展を出て、アレコホールでいつものようにソファに座って、ゆっくりと「アレコ」背景画を鑑賞。常設展は、体調が芳しくないので今回もパスしました…。特別展は、「道」本作を何としてでも観たかったので、力尽きました…(無理するな

 以前の記事で書いた、吉田初三郎鳥瞰図展には行けなかったなぁ。残念。あと、「ライアの祈り」関連で三内丸山遺跡も…これはまた今度。

 
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by halca-kaukana057 | 2013-08-31 22:05 | 興味を持ったものいろいろ

学び続けること 「夏休み子ども科学電話相談」を聞いて

 もう8月も明日で終わり。こちらは朝夕だけでなく日中も涼しくなり、もう秋です。日中の陽射しはまだ夏の明るさですが、夏の終わり、秋の始まりを感じさせる毎日です。

 夏と言えば色々ありますが、私はこれです。
NHK:夏休み子ども科学電話相談

 毎年恒例の夏休み特別企画。子どもたちの科学に関する疑問に、専門の先生方が答えてくれる。今年で30周年だそうです。私がこの番組を聴き始めたのは…高校生になってからでした…。小学生から聞いてれば…。でも、高校生の時も、そして今大人になってからも、聞いていると本当に楽しい、勉強になります。素朴な疑問から、小学校高学年~中学生の専門的な質問、マニアックな質問。特に恐竜の質問を受け付ける回では、子どもたちの恐竜博士ぶりに「マニアックだ…」と驚いてばかり。いや、好きだから自然に覚えてしまうのだろう。私も子どもの頃、星座の本を読んで名前や形、見える時期、星座の神話を自然と覚えていました。

 受け付ける質問も、近年では「心と体」、「いのちの不思議」、「放射線衛生学」といった以前は無かった分野も質問を受け付けたり、ダイオウイカで注目されている「深海」の質問も。「心と体」「いのちの不思議」は聞いていてなるほどなぁと思った質問ばかりで面白かったです。

 天文宇宙の質問では、ベテルギウスの超新星爆発に関する質問が何回かあって、皆気になっているだなぁと感じました。気になります。

 子どもたちの質問そのものも面白いのですが、わかりやすく丁寧に答える先生方のお話も面白い。専門的なことを、どう説明するのか。もし、自分が同じように質問されたらどう答えるか…そんなことも考えながら聞いていました。マニアックな質問に対して、マニアックに答える先生の楽しそうな声も印象的でしたw

 好きなこと、興味があることは、自然と学んで覚えてしまう。学んでも「なぜ」と思うことを忘れない。難しいことでもひるまずにどんどん学ぶ。そんな子どもたちが学んでいる姿(声)に、止まっている私自身の「学び」を再開したいとも感じました。先生方と子どもたちに励まされたような。

 放送のある日が休みでも、午前中用事でなかなか聞けないことも多かったのですが、今年も楽しかったです。また来年も、楽しみにしています。
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by halca-kaukana057 | 2013-08-30 22:46 | 興味を持ったものいろいろ

イプシロン、仕切り直してもう一度

 今日は日本の新型ロケット「イプシロン」の打ち上げの日。テレビで盛り上がる内之浦の様子を観て、いいなーと思いつつ、ネットで生中継を観ていました。テレビでも生中継をしていた局もあり、そちらも一緒に(ネット中継だとタイムラグが出てしまうので)

 カウントダウンもあっという間。3,2,1,0…あれ、ロケットに何も起こらない。動かない、点火もしてない。あれ?どうなってるの?twitterでも、タイムラインには何があった?と。

JAXA:イプシロンロケット試験機による惑星分光観測衛星(SPRINT-A)の打上げ中止について

宇宙作家クラブ:ニュース掲示板
ただいま村:イプシロンロケットの打上げ状況に関する記者会見
 打ち上げ中止の記者会見の詳しい内容があります。
 カウントダウンはゼロまで続いていましたが、19秒前に姿勢制御のセンサーが異常の値を出し、そこでストップしていた。詳しい原因解明はこれから。試験機・初物の打ち上げということで、安全第一で、準備が整ったらまた仕切り直して打ち上げて欲しいです。しかし、その日の午後のうちに大体の目処がついている…これは凄いことだと思います。

 イプシロンには、ロケットの状態を自己診断する人工知能「ROSE」が搭載されており、今回の中止は「ROSE」によるものではなかったのですが、twitterで「ROSE」が凄いと話題になっていたのには私も凄いと思いました。私も擬人化ローズさんを想像してしまいましたよ!w(描いてはいませんw描くとすれば、ローズさんとイプシロンは別々に描くのかなぁ…?)

 ということで、原因究明、再打ち上げ日設定まで、こちらを読みつつ待ちたいと思います。
JAXA:ISAS:イプシロンロケットが拓く新しい世界
 イプシロンロケットについての、詳しい連載コラムです。
JAXA:ISAS:小さな衛星の大きな挑戦 惑星分光観測衛星の世界
 こちらは「SPRINT-A」について。打ち上げ後に発表される愛称も気になります。
 「イプシロン」の名前も、日本の固体燃料ロケットの名前の伝統に従って、ギリシア文字の「ε」から取っています。これまでのロケットの常識を変える、「改革・革命」の「Evolusion」のEではあるのですが、他にもあるとのこと。これも打ち上げ成功後に発表。気になります。

 あと、上記宇宙作家クラブのBBSに、性能計算書のパロディラベルが。ISASの固体燃料ロケットの伝統の「遊び心」です。ユーモアの中にも、復活と伝統への熱い想いが込められているラベル。観て、思わずじーんとしてしまいました。
◇「性能計算書」とは何ぞや:ISASニュース:2007年1月号(No,310):特集 性能計算書とM(ミュー)の衛星(こども)たち
 詳しい歴史が書かれています。リンク先のPDFを読んでね。

 最後に、今日応援のつもりで描いたイプシロンのイラスト。
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by halca-kaukana057 | 2013-08-27 22:20 | 宇宙・天文

秋の気配とイリジウムフレア

 しばらくの間、夜は曇っている、雨が降っている…そんな日が続いて星見できませんでした。いるか座の新星も観たいのですが、空はなかなかいい条件になりません…。

アストロアーツ:板垣さん、いるか座に6等級の明るい新星を発見
 新天体ハンターとして有名な板垣公一さんがまたやってくれました!
アストロアーツ:いるか座新星はいるかな? 双眼鏡で見てみよう
 このいるか座の新星、増光と減光を繰り返している。双眼鏡で観測可能な明るめの天体。観測してみようキャンペーンもやってます。

 今日、ようやく晴れました。久々です。そして、いい条件のイリジウムフレアが。
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 薄雲がかかっていて、本来の明るさで観られなかったのですが、それでも一気に増光する様は圧巻です。おお、明るい明るい!とその輝きに心躍りました。
 フレアの下に、ペガスス座のペガススの四辺形があります(四辺形の星のひとつは写っていません)。夜も更けてくると、秋の星座たちが見える時期になりました。朝夕は寒いぐらいに涼しく、昼間も気温は30度以下。それでも、空の青さと快晴の太陽の陽射しの強さにはまだ夏の名残を感じます。星空も、気候も、秋へ向かっています。日も短くなってきました。夕暮れが早くなっているのにも、秋の訪れを感じます。

 そんな中で観たイリジウムフレアでした。

 さて、明日はイプシロンロケットの打ち上げです。M-Vロケットの後を継ぐ固体燃料ロケット。糸川英夫博士のペンシルロケットからの伝統を引き継ぎつつも、ロケット打ち上げのこれまでのイメージを変える画期的な技術で、ロケットの新しい時代を築き上げるロケットとなりますように。明日の打ち上げが楽しみです。
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by halca-kaukana057 | 2013-08-26 23:07 | 宇宙・天文

クラシック音楽自由自在

 このブログでは「クインテット」のスコアさん役としておなじみの斎藤晴彦さん。エッセイを見つけたので読みました。

クラシック音楽自由自在
斎藤 晴彦 / 晶文社/1991

 クラシック音楽好きの斎藤さんが、聴いた音楽のこと、出演舞台のこと、音楽にまつわる思い出などを語ります。

 以前は私も、聴いたクラシック音楽作品のことをよく書いていた。書くのが楽しかった。聴いた感想、聴いていて思ったこと、イメージしたこと、思い出、作曲家や演奏者のエピソードなどなど。でも、聴けば聴くほど書けなくなってきた…ように感じている。「聴き比べ」をするほど沢山の演奏を聴いているわけでもないし、そんな音楽評論家のようなことは語れない。音楽理論にも詳しくないし、ピアノも触っていないし…。でも、CDやラジオ、テレビで聴いた作品・演奏は沢山あるし、印象に残っている、好きな演奏は沢山ある。さて、どれから書いたら、どう書いたらいいものやら…と思っているうちに、随分経っていた…こんなことばかりです。

 舞台のお仕事が忙しい中、合間や舞台の準備をしながら音楽を聴いている斎藤さん。その姿勢や、斎藤さんが思うことを読むと、まさにタイトルの「自由自在」なんだと思う。出来ればコンサートで聴くように、黙って、何もせずに音楽だけに向き合うように聴くのが一番なのかもしれない。でも、何かしながらとか、何かの合間などの時間に聴くからこそ、感じること、思うこともあると思う。

 そして、その思うことも「自由自在」。クラシック音楽を聴いて、何を思うか。それも自由なんだ。人それぞれのエピソードがあっていいし、人それぞれのイメージや思い出があっていい。ひとつの音楽でも、人の数だけその響きは異なる…凄く面白いなと思う。同じ曲でも、演奏者・指揮者・オーケストラによっても異なってくるから、また面白い。

 何気ない日常の中に、音楽があって、ちょっと思ったことがある。読んでいると、それでいいのかなと思うのです。

 「クインテット」では、五重奏団の長老的立場のチェリストのスコアさん。楽曲の豆知識を講釈したり、かと思うとそれでジョークを言ってコケさせたり、シニカルな態度をとったり。まさにスコアさんは斎藤晴彦さんなんだとも思いながら読んでいた。スコアさんが語っているような本に読めました…(1991年の本なので、2003年にスタートした「クインテット」よりも10年以上前になりますが)。
 あと、役者・舞台俳優としての斎藤さんの一面にも触れられる。斎藤さんの舞台を観たいと思いました。
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by halca-kaukana057 | 2013-08-19 22:42 | 本・読書

光害と睡魔と…ペルセウス座流星群2013 観測結果編 +その流れ星の日に…

 さて、伝統的七夕も終わり、ペルセウス座流星群の極大も過ぎました。天気を心配しつつ観測しました。
伝統的七夕 星見三昧の夜

 観測を始めたのは12日の22時。しかし、ご近所の家々の窓の明かりが明るく、さらに街灯も明るい。空は晴れていて、星はよく見える(3等星ぐらいまで、4等星は何とか見えたかな?)けど、空が明るい。視界に光が入ってくる。遮ってみたけど、きつい…。そんな思いで、空を見上げていると、流れ星が。散在流星だったり、ペルセウス座流星群の流れ星だったり。途中、ひと休みしてツイッターを覗いたり、音楽を聴いたり(「宇宙戦艦ヤマト2199」のサントラでしたw)。

 時間が経つにつれて、窓の明かりも減ってきた。粘り強く観測を続けるも、なかなか流れない。家の窓から見ているのが悪いのだろうな…。地面に寝転がって、全天を眺めるように観測できればベストなのですが、近隣にそんな寝そべられる場所が無い。
 そんな中、はくちょう座のあたりに、ひときわ明るい流れ星が!流星痕のある、火球と呼んでもいいレベル。思わず「おおおー!!」と声をあげてしまいました。凄かった。

 1時間で5個ほど見えたのですが、あまりの空の明るさに失望し、更に眠たくもなってきた。ここは、空が暗くなる深夜に出直そう…と目覚ましを夜中の1時にセットして寝たのですが…

 目が覚めたら4時過ぎでした orz

 月明かりも無く、しかも晴れたのに…。残念無念。疲れていたんだな…。しかも、熟睡してスッキリというわけでもなく、中途半端、不完全燃焼…。
 好条件に何やってるんだ自分…悔いの残る結果となってしまいました。

 でも、あの火球レベルの流れ星は凄かったなぁ。

 1個でも流れ星を観た、雨・曇りで観られなかった…という方も、国立天文台のサイトで報告できます。今日までです。是非報告を。
国立天文台:夏の夜、流れ星を数えよう


*****

 そんなペルセウス座流星群の日に…。
アストロアーツ:【訃報】旧五島プラネタリウム館長 村山定男氏
 渋谷にあった「五島プラネタリウム」の元館長の、村山定男さんが亡くなりました。89歳。
 このニュースを聞いて、真っ先にこの本のことを思いました。

ヴィジュアル版 星座への招待

村山 定男 / 河出書房新社


 以前紹介したことのある本です。今はもっと写真のきれいなオールカラーの星座本も出ていますが、この本の文体・語りの雰囲気・味は真似できないと思っています。何度も読み返した、大好きな本です。読んでいると、まさにプラネタリウムでの生解説を聞いているような気持ちになります。星が大好きなおじさんが、優しく、でも熱を持って星空の魅力を語ってくれる。
 五島プラネタリウム、行きたかったなぁ…。
 ご冥福をお祈り申し上げます。

天文・星座関連オススメ書まとめ
虹の天象儀
 瀬名秀明さんのSF小説。後藤プラネタリウムが舞台で、村山さんは主人公のモデルになっています。
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by halca-kaukana057 | 2013-08-14 22:30 | 宇宙・天文

願望か、高望みか

 ちょっと思ったことを。

 私はこのとおり、「~したい」「~に行きたい」など、願望を多く持ちます。望み、とも言えます。

 でも、なかなか実現できないことばかりで、時に嫌になります。実現できない自分に、置かれている現状に。
 それらの望みは、高望みなのか、とその時思います。

 でも、同じ望み、観望を、実現している人も多い。そんなハードルの高いことじゃない。例えば、「宇宙飛行をしたい」は私にはとんでもない高望みです。宇宙飛行士になるなんて、学歴や語学力、身体面、精神面、協調性…全てに置いて無理。「宇宙旅行」もありますが、億単位の大金なんてありません。第一、打ち上げ時の加重力に耐えられるかわからない(絶叫マシーンは大の苦手)

 でも、そんな「高望み」じゃないことなのに、実現できないことが多い。
 誰かにとっては、ハードルの低い「望み」、私にとってはハードルが高かった「高望み」。

 そう思うと、悔しいです。
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by halca-kaukana057 | 2013-08-13 23:12 | 日常/考えたこと

ライアの祈り

 「津軽百年食堂」「青森ドロップキッカーズ」と、森沢明夫さんによる青森が舞台の小説シリーズの第3作、完結編です。



ライアの祈り
森沢明夫/小学館/2012

 弘前で百年続く老舗の大衆食堂「大森食堂」の長女で、今は八戸のメガネ店に店長として勤めている桃子。35歳、離婚歴あり。従業員の桜に誘われ、合コンに参加することに。参加者は20代、桃子は”人数合わせ要員”として行ったつもりだった。しかし、そこには同じく20代ではない男性がいた。佐久間五朗・通称「クマゴロウ」さん。40代の彼は、八戸の縄文遺跡を発掘している考古学者で、大人しく温厚な一方、縄文の話になると楽しそうに話していた。桃子は五朗の縄文時代の話に徐々に聞きいっていく。その合コンの日に観た、縄文時代と思われる夢のことを思い出しながら…。


 ”青森3部作”の完結編は、「津軽百年食堂」では主人公・陽平の姉、「青森ドロップキッカーズ」ではメガネ店の仕事をしながら、カーリングのリンクの製氷を学び、カーリングもやっていた、あの桃子さんが主人公です。桃子さんが主人公と聞いておおう!と反応してしまいました。今までは主人公たちを支え、笑わせ、和ませる陽気な名わき役。でも、30代にして離婚歴あり。それを自虐ネタで語り笑い話にしてしまう。今作でも、姉御的存在ではあるのですが、これまで語られなかった桃子さんの一面が語られます。自虐ネタにしないと、耐えられなかったんだ、と…。

 そんな桃子さんが出会った、縄文が専門の考古学者・クマゴロウさん。大人しく、照れ屋で、温厚温和。控えめだけれども、縄文のことになるとその魅力について熱っぽく楽しく、初心者にもわかりやすく話す。クマゴロウさんの縄文のお話の部分を読んでいて、私も一緒に惹かれてしまった。

 青森の縄文遺跡と言えば、三内丸山遺跡。青森県立美術館の隣にあるので、美術館に行くと行くことも少なくありません。現代の技術でも建てるのが大変な大型掘立柱。これを縄文の人々はどうやって建てたのだろう?大きな竪穴住居も、中の広さに驚きます。そして、土器や石器、クリを栽培した跡…。今の三内丸山から海は離れていますが、当時は温暖な気候で、海が近くにあったという。そんなこのムラで、人々がどんな暮らしをしていたのか…遺跡を歩きながら、いつも思います。青森には三内丸山だけでなく、八戸の是川遺跡や長七谷地貝塚など縄文時代の遺跡が数多くあります。三内丸山しか行ったことが無かったので、今度は他の遺跡にも行ってみたいな。三内丸山もまた行きたい。見方が変わるかも。この物語では八戸が舞台なので、八戸の縄文遺跡が主に登場します。でも、三内丸山も関係してきます。

 今作のテーマは、「祈りと信じること」、そして「幸せとは何か」だと読みました。物語は桃子さんとクマゴロウさんを中心にした現代も語られるのですが、桃子さんが夢で見たという縄文の話も同時に語られます。足が速く男たちに混じって狩りをする男勝りな少女・ライア。父は天才的なシャーマンだったが、ライアが幼い時に死去。父の才能を受け継いだのか、森などの自然の”息吹”を感じるのも得意だった。しかし、狩りで巨大なイノシシに遭遇し、大怪我を負ってしまう。走ることはおろか、歩くことも不自由になってしまったライア。そんなライアを見守る、族長やきょうだい同然に一緒に暮らしてきた少年・マウルや親友の少女・サラ。これからは狩りは出来ないが、ライアには新しい”使命”が与えられる。そこから、ライアの”祈り”の日々が始まる。ただ、ライアは足の他にも、あるものを失う不安があった…。

 縄文のライアの「祈り」と、現代の桃子さんの「祈り」。何か辛いことがあったり、自分の力だけではどうしようもないことが合った時、普段何気ない時でも、私は「祈る」。でも、「祈る」だけじゃ何も変わらない、行動しなきゃ変わらない…とも思う。実際そうだと感じてきた。でも、「信じる」ことも出来る。シャーマンは自分のことを「祈る」ことは出来ない、他者のことだけを「祈る」ことが出来る。だから、自分のことは「信じる」。行動して、変えることが出来ると「信じる」。その違いに、ああ、と胸にすとんと落ちるものを感じました。

 そして、「幸せとは何か」。これまで、陽気でバツイチの過去も笑って話せる桃子さんの心の奥底にある、ある不安・苦しみ。その過去は誰にも、家族にも話せずにいた。ところが、クマゴロウさんや桜ちゃんと「幸せ」について話してから、その過去にも向き合い始める。「幸せ」と「不幸」は、紙一重のようなもの。クマゴロウさんが言うように、何かが起こって、それを幸か不幸かと決めるのは、人間。その人次第。離婚をして、辛い思いをした桃子さんも、その時は不幸だったけれども、後でそうでもないと思えるかもしれない。よくある話なのですが、この「幸せとは何か」についても、胸にすとんと落ちました。

 読んでいて、とても「幸せ」な、希望を持てる、あたたかい気持ちになれました。クマゴロウさんの人柄のような。桃子さんも、桜ちゃんも、優しい。桃子さんが実家でお母さんと話すシーンも。
 私も、辛いことや先が見えないことばかり、過去にもしこりを持ち未だに赦せないけれども…いつか、何もかも全部丸ごと受け止められるようになるだろうか。なりたい。桃子さんやクマゴロウさん、ライアやマウル、サラたちのように。幸せを、「幸せだ」と、祈って、信じて。

 ちなみに、この前書いたこの記事は、この「ライアの祈り」を読んでのものでした。
「感動する」物語と自分

 あと、この本ですが、お腹がすいている時に読むのは危険です。八戸の美味しいものが次々と…wお酒が好きな方は、美味しいお酒も次々と…w とりあえず、「サンダー・バー」のダイキリが飲みたいです。

 私は2作目の「ドロップ~」から読んでしまいましたが、読むなら1作目の「津軽~」から読むことをオススメします。この「ライア~」だけでも読めないことは無いですが、物語のつながりの面白さが増します。
・第1作:津軽百年食堂
 そういえば、映画版をまだ観てなかった…。
・第2作:青森ドロップキッカーズ

 青森3部作はこれで完結ですが、「津軽~」の美月や正宗、「ドロップ~」の宏海や雄大、柚香・陽香姉妹のその後も読みたかったなぁ。
 あと、ひとつ注文があるとすると、方言の雰囲気があまり感じられなかったのが残念。青森に行くと、ばりばりの津軽弁・南部弁を話す若い人は多くは無いですが、それなりに方言を使ったり、イントネーションは訛っている人は多い。”訛っている感覚・雰囲気”が欲しかったなぁ…標準語のイントネーションで読めてしまった。訛りも、今じゃ大河ドラマも朝の連ドラも訛っている、方言全開だし…。
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by halca-kaukana057 | 2013-08-13 23:01 | 本・読書

伝統的七夕 星見三昧の夜

 明日13日は旧暦の七夕(伝統的七夕)です。現在のカレンダーの7月7日よりも、伝統的七夕の方が星が観やすい。そして、今年はちょうど天文イベントが重なっています。

 まず、「スピカ食」。…すみません、もう終わりました。
 月が、おとめ座の一等星・スピカの前を通過、スピカが月に隠れて見えなくなります。
アストロアーツ:2013年8月12日 スピカ食
 星が月やその他の惑星に隠される(掩蔽・えんぺい)ことは、時々ありますが、スピカのような明るい星・一等星は珍しい。観測したかった…。
 時間を忘れていたのもですが、北東北・北海道ではスピカは月の上にあり、隠されません。上記リンク先の北限界線を参照ください。隠されなくても、どのくらい月とスピカが近づいているかは観たかったのですが。残念。双眼鏡で、月だけを観望しました。クレーターを久々にじっくりと観ました。

☆★☆★☆

 次、今夜のメインイベント! ペルセウス座流星群の極大日。

アストロアーツ:【特集】2013年 ペルセウス座流星群
国立天文台:夏の夜、流れ星を数えよう

 毎年恒例、ペルセウス座流星群の季節がやってまいりました!1月の「しぶんぎ座流星群」、12月の「ふたご座流星群」とともに「三大流星群」と呼ばれています。ペルセウス座流星群は、流星の速さが速く、明るく、流れた後に「流星痕」というすじが残るのが特徴。大きめの明るい流星・火球も見られることが多いです。
 しかもちょうど夏休み期間中なので、夜更かしして観測しても大丈夫(無理はしないでくださいね)。流れ星をたくさん見つけましょう!

 しかも、今年は、月が無いので好条件。暗い空で晴れれば、ばっちり観られるでしょう。とはいえ、住宅地で街灯が多い…ネオンが近くて、空が明るい…日本の夜は明るくなってしまいましたね…。
 とりあえず、近くに街灯などがある場合は、ダンボールの板などで視界から光源を遮ってみてください。これだけでも少しは変わるかと思います。

 そして、時間を決めて、何時から何時まで、ペルセウス座・カシオペヤ座の方向からいくつ見えた、という風に数えてみましょう。ペルセウス座流星群の流星か、その他の散在流星かどうかの見分け方は、上記国立天文台のサイトにあります。読んでみてね。
 数えたら、その国立天文台のサイトで報告しましょう。

 さて、こちらは、現在晴れています。ただ、日付が変わるあたりから曇りの予報。どの程度の曇りなのか…。そして流れ星はどのくらい観られるのか。楽しみです(お天気は心配です。)

 …晴れればいいのですが、曇ってる、雨降ってる…。
 そんな時は、ネット中継。便利な時代になりました。
国立天文台・岡山天体物理観測所:ペルセウス座流星群のインターネット中継をします。
 ここから、Ustreamへのリンクへ進んでください。
 まだあります
Ustream:せんだい宇宙館:ペルセウス座流星群2013
ペルセウス座流星群 perseid meteor shower 2013 in Toyama
Ustream:星の子館の天文生中継
 兵庫県姫路市より

ニコニコ生放送:スピカ食&ペルセウス座流星群を見よう!

 あと、明日の夜も、月と土星が接近して見えます。
アストロアーツ:2013年8月13日 月と土星が接近

 では、電気は消して、星見を楽しみましょう。

【追記・修正】
 冒頭で、今年の伝統的七夕は今日(12日)と書きましたが、間違えました。13日です。頭の中で日付感覚がおかしくなったらしい…。訂正します。
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by halca-kaukana057 | 2013-08-12 21:55 | 宇宙・天文

このISSのそばに、きっと「こうのとり」も

 毎日国際宇宙ステーション・ISS&「こうのとり」(HTV)可視パス観望・観察日記と化しているこのブログw昨日は曇りのためお休み。今日は朝から土砂降りの大雨。朝、夏の朝とは思えない暗さ(冬の朝のような暗さ)で、更に雨もザーザー降っている。大きな被害の出ている地域も。最近の「今まで経験したことのないような大雨」には驚かされますし、怖いです。被害を受けた地域が、一日も早く復旧しますように。

 昼間は大雨だったのですが、夕方になって晴れ間が見えてきました。これはISS&「こうのとり」が観られるかもしれない。「こうのとり」は今夜ISSに到着、ロボットアームに把持され、ISSに結合します。

*以前も書いた覚えはあるのですが、「こうのとり」では「ドッキング」という言葉は使いません。
ウィキペディア:ドッキング
NASAでは、宇宙機同士が速度を有したまま、そのエネルギーを利用してドッキング機構にハードに結合することをドッキングと呼び、
速度を0にしてロボットアームで把持した後、ゆっくりと結合させる方式のことをバーシング (Berthing) と呼んで両者を使い分けている。

 「ドッキング」は、スペースシャトルやソユーズ宇宙船、ESAの輸送船・ATVが用いています。一方、「結合」・「バーシング」は、「こうのとり」や、スペースX社の輸送船「ドラゴン」宇宙船が採用しています。似ているけど、結構違います。

 話をISSと「こうのとり」の可視パスに戻して、今夜ISSに結合してしまうので、ISSと「こうのとり」が分かれて飛行しているところを観られるのはロボットアームに把持される前しかない。把持前のパスは、19時台。まだ明るい時間ですが、仰角は高めなので、ISSなら明るく見えるはず。問題は「こうのとり」…まずは見る!

 19時台、やっぱりまだ空が明るい。更に、雲も多め。これは見えるかな、晴れ間はあるから見えるはず。そう思いつつ、時間が来ても見えない。雲の中か?空の明るさに負けたか?心配していると、空に光る点が。見えました、ISSです。

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 矢印の上に、うっすらと見える白い線がISSの軌跡です。目視ではもう少し明るく見えました。この時間帯の撮影は難しい。
 「こうのとり」は見えませんでした。でも、このISSのそばに、きっといるはずです。(心眼でご覧くださいw

 先ほど20時過ぎ、「こうのとり」はISSのロボットアームに把持されました。22時から、ISSへ結合の作業が始まります。把持も結合も、予定を前倒ししての、順調な模様。「こうのとり」は初号機から安定して打ち上げ・飛行・運用されていて、凄いなと思います。この安定を保っている運用チームの方々の陰ながらの努力に、拍手と応援を送りたいです。

 「こうのとり」のISSへの結合生中継や、「こうのとり」の情報は以下JAXAのサイトで。
 結合の中継は22時から。
ファン!ファン!JAXA!:宇宙ステーション補給機「こうのとり」4号機特設サイト
 応援メッセージも募集中、ツイッターでは、「#こうのとり応援」のハッシュタグをつけてね。
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by halca-kaukana057 | 2013-08-09 21:49 | 宇宙・天文


好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)

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