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時の旅人

 先日読んだ、上橋菜穂子さんのエッセイ「物語ること、生きること」の中で上橋さんが子どもの頃に読んだ作品として紹介されていた本です。気になったので読みました。
物語ること、生きること


時の旅人
アリソン・アトリー:著/松野正子:訳/岩波書店・岩波少年文庫

 ロンドンに住む夢見がちな少女・ペネロピーは体が弱く病気がち。療養のため、ペネロピーは母方の親族が暮らしている田舎のサッカーズ農場へやってきた。サッカーズ農場には母方の先祖が代々暮らしており、現在は大おばのティッシーおばさんと、バーナバスおじさんが暮らしていた。ティッシーおばさん・バーナバスおじさんにあたたかく迎えられたペネロピーは、自然豊かな農場での暮らしを好きになる。そして、ティッシーおばさんの家系が代々暮らしてきた屋敷が、かつて16世紀にはアンソニー・バビントンという領主の屋敷だったことを知る。そのアンソニーは、幽閉されていたスコットランド女王であるメアリー・スチュアートを逃がそうとして、メアリーの従妹であるエリザベス1世によって処刑されてしまう。
 その話に興味を持ったペネロピーは、ちょっとした偶然から、16世紀のバビントン屋敷に迷い込んでしまう。そこで、屋敷に仕えていたティッシーおばさんの祖先であるシスリーおばさんの姪として、ペネロピーはバビントン屋敷で働くことになる。アンソニーやアンソニーの奥方、アンソニーの弟のフランシスたちと心を通わせながら、ペネロピーはアンソニーとメアリーに起こる悲劇への過程を見つめる…。


 岩波少年文庫としては厚めで、内容も現在(20世紀初めごろ)と16世紀を行き来し、イギリスの歴史が絡んでくる読み応えたっぷりの本でした。

 あらすじの通り、タイムトラベルものなのですが、何か決まったことをすれば過去へ行ける、というものではない。今と過去が重なっていて、片方の時代の声や音楽、人々の影などが聞こえたり見えたりする。最初は普段とは異なる屋敷のドアを開けると過去に入りこんでいたペネロピーも、だんだん何もしなくてもいつの間にか過去にいた、というように現在と過去を行き来するのが面白い。

 旅行で歴史的建造物・史跡や、私の住んでいる町にある歴史を知ることのできる場所を訪れると、その当時ここはどんな場所で、どんな人々が暮らしていたのだろうか、と想いをめぐらすことがある。歴史上の人物が暮らしていた場所となれば、その人物や家族、周囲の人々は普段はどんな暮らしをしていたのだろうか。歴史に残る大きな出来事が起こった場所ならそのことも想うが、同じようにその出来事が起こるまでの過程や、起こった後のこと。21世紀の現在に至るまで、この場所はその歴史をどう伝えてきたのだろうか…そんなことを想う。なので、歴史を感じられる場所は大好きです。

 この物語の舞台となるサッカーズ農場・バビントン屋敷は、普段はティッシーおばさんたちが暮らしている屋敷・農場。しかし、500年前にはイギリスの王位継承をめぐる出来事があった場所でもある。その場所に、過去もあり、現在もある。ペネロピーは過去へ行くことが出来るが、好きなように、ペネロピーの意志で行けるわけではない。過去に行きたくても、行けないのだ。そして、アンソニーやメアリーに起こることを知っている。アンソニーがどうなってしまうか、知っているけれども変えることはできない。時間はどんどん過ぎ行き、事件へと向かってゆく。それでも、ペネロピーはこの時代が好きになり、アンソニーやバビントンの奥方様、フランシスたちと信頼関係を築いてゆく。特にフランシスとはとても親しくなる。物語が進むに連れて、その時間の流れが切なく、つらい。

 この物語はイギリスの歴史だけでなく、イギリスのキリスト教(メアリーやバビントン一族はカトリック)、20世紀初めごろと16世紀のイギリス文化・芸術・民俗も絡んでくる。理解しきれていないところも多いまま読んでしまったのだが、それでも面白かった。何より、サッカーズ農場の自然の美しさ。さまざまなハーブが生い茂り、そのハーブを使って料理をする。川で魚を釣り、農場の牛の乳やそれで作るバター。自然豊かな暮らしの描写に惹かれた。身体が弱く病気がちだったペネロピーも、そんな自然の中で、更に16世紀の世界で元気を取り戻してゆく。こんなところで暮らせたらなぁ…と思ってしまった。

 過去はただ過ぎていってしまったわけではない。今現在でも、場所がその過去を記憶している。また、イングランド民謡「グリーンスリーブス(Greensleeves)」が過去と現在を繋ぐ鍵となっていて、作中でも何度も歌われる。ロンドンで流行っている歌とフランシスが歌うシーンがあるのだが、調べてみたら、実際16世紀ごろに生まれた民謡だった。その歌詞を読むとまた切なくなる…。これまで何気なく聴いてきたが、これからはこの物語無しには聴けそうにない。



 最後に、ペネロピーがフランシスに語った言葉が印象に残っているので、引用します。
「私は未来の者、未来に生きている者なの」と、私はもう一度いいました。「そして、未来は私たちのまわりにあるの。ただ、あなたには見えない。私は過去の者でもあるの。過去にも生きているのよ。だって、こうしてあなたと過去を共にしているのだから。未来も過去も、両方ともが”今”なのよ。」
(177ページ)

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by halca-kaukana057 | 2014-02-27 21:47 | 本・読書

春の陽気の夕空ISS

 昨日に引き続き、国際宇宙ステーション(ISS)の可視パスを観られました。
・昨日:ようやく観れた 今年初のISS
 今日は昨日よりも条件のよいパス。しかも、今日は快晴。一日中ぽかぽか陽気で、春の訪れを感じました。ISSを待つ間も、昨日はまだ空気の冷たさを感じたのですが、今日は寒さを感じませんでした。

 昨日よりも明るい光の点がすーっと飛んできます。ISSだ、若田さん~!(今日も手を振る
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 今日は画像もちゃんと撮れてます。まだ空が明るい時間帯なので、星はあまり見えず。2月も終盤、随分と陽が長くなったなぁと感じます。少し前までは、この時間帯はもう真っ暗だったのに。雪雲で陽が見えないのもありますが。
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 オリオン座の下を通過!…と思ったら屋根に隠れてしまった。残念。もう少し上の方を通過すれば、オリオン座との共演を楽しめたのに。同じ可視パスでも、観る場所・地点によって空のどの辺りを通過するかは異なってきます。勿論、その時によって、通過コースは様々。背景の星空との共演も様々。だから、ISS可視パス観望は面白い。病み付きになります。一番観やすい人工衛星だし、日本人宇宙飛行士が滞在しているとなればさらに親近感が沸きます。

 悔しいので冬の大三角撮影した。
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 18時台でも南東の高い位置にいて観やすい。夜になると西に傾き、東の空からは春の星座たちが見える時期になりました。もうそんな季節なのか。早いなぁ。
 春の星座は、昨年秋~冬にアイソン彗星・ラブジョイ彗星を観ようとした時、目印になっていました。思い出すなぁ…アイソン彗星…何もかも皆懐かしい…(何
【アイソン彗星&ラブジョイ彗星観測奮闘顛末】
若田さんのISSを見よう +2つの彗星はどこだ!?
見えてる?わかる?ここにある? ラブジョイ彗星&アイソン彗星を観たい!第2夜
アイソンの消えた空に
今度こそラブジョイ彗星を観たい! 第3夜+星空を見渡せば


 さて、明後日28日は、H2Aロケット23号機の打ち上げです!
JAXA:H-IIAロケット23号機による全球降水観測計画主衛星(GPM主衛星)の打上げ時刻及び打上げ時間帯について
 打ち上げ時刻は、午前3時37分。…起きる自信がありません。目が覚めたら、スマートフォンで生中継を観ようと思います(寒くて布団から出られないw)。起きれなかったら、朝チェックします。
 種子島は曇りの予報。ロケット打ち上げ日和になりますように。または、今回打ち上げるGPM主衛星は、雨雲を観測する人工衛星。「雨雲を、味方にせよ。」のキャッチコピーの通り、雨雲にも負けない力強い打ち上げになりますように。
 ちなみに、衛星の愛称は打ち上げ後に発表するらしいです。何になるのかな?

JAXA:GPM-DPR スペシャルサイト
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by halca-kaukana057 | 2014-02-26 21:40 | 宇宙・天文

ようやく観れた 今年初のISS

 昨年大晦日に、2013年の夕日と国際宇宙ステーション・ISSを見送り、その後ずっとISSを観られずにいました。雪が、雪雲が、吹雪が…。あの「ぜんぶ雪のせいだ。」と言いたくなる…言ってもいいですねこれは。
・大晦日の記事:暮れゆく2013年のISS

 今週はこちらも雪はひと休み。これはISSを観られるチャンスかもしれない。今日の可視パスは、仰角はそんなに高くない。撮影は厳しいけど、肉眼で観るなら余裕です。久々にISSを待つ…ああこの感覚だよこの感覚。

 そして、時間の19時、西の空に光の点が。ISSだ。肉眼でははっきり見えます。お久しぶりISS!そして、若田光一宇宙飛行士のいるISSだ。若田さーん!!小さく手を振りながら観ていました。しばらく観られずにいましたが、ISSは今日も地球の周りをまわっていました。

 期待しないが、一応カメラは向けていました。
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 予想通りうっすらです。うっすら過ぎるので矢印を入れておきました。上の方の星は、多分くじら座。

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 2枚目もうっすらです。わからんw多分エリダヌス座の辺りを通過中。

 明日はもっといい条件の可視パスがあります。明日も観たい、もっといい条件で観たい!
◇各地の可視パス情報はここで確認を:JAXA:「きぼう」を見よう


 さて、若田さんのISSコマンダー(船長)就任の日にちも決まりました。いよいよです。
JAXA:若田光一宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)第39次コマンダー就任予定について
 現在、ISSの船長はロシアのオレッグ・コトフ宇宙飛行士。コトフさんら3人の宇宙飛行士が地球へ帰還する前に、若田さんに船長のバトンを渡します。
 3月9日、17時50分頃から、ISS船内で執り行われる「Change of Command Ceremony(指揮権委譲式)」をもって、若田さんが第39次ISSコマンダーになります。その模様はNASA TVやJAXAでも生中継されます。詳しくは、上記JAXAのサイトで確認ください。
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by halca-kaukana057 | 2014-02-25 22:43 | 宇宙・天文

オリンピックを思い出しつつ、ロシアバレエの響き

 ソチオリンピックも終わりました。競技は、好きなカーリングやノルディックスキーをよく観ていた気がする。
 カーリング男子決勝(カナダ対イギリス)を録画で観たが、カナダチームのスーパーショットの連続に絶叫しながら観ていた。イギリスチームのストーンだけを、ハウス(あの円)から一気に4個もはじき出し、自分のストーンはハウスの中心に残す。カナダのスキップのショット成功率が95%とは何事ですか…!?日本は代表が女子だけなので、男子の試合はなかなか観る機会が無いが男子の試合は迫力があってまた面白い。女子も、日本代表も健闘しました。女子もカナダが強かった…。
 ノルディックスキー、特にジャンプは、日本チームが「復活」したのが嬉しかった。その起爆となったのが、ずっと代表だったベテラン・葛西選手というのも。ベテランが若い選手たちを導いて、若い選手たちも続いて支えているのがとてもよかった。一方で、ジャンプ大国・フィンランドはまだ元気が無い。あのヤンネ・アホネン選手がまだ現役だったのは嬉しかった。団体の2回目、130m越えの大ジャンプを決めてくれたことも。現在36歳のアホネン選手も葛西選手のようにならないだろうか。次のオリンピックではフィンランドも「復活」して、日本対フィンランドのジャンプ対決が観たい。そう感じました。
 スノーボードや、フリースタイルスキーは自由な雰囲気で、若い選手がのびのびとしていてよかったなぁ。ハーフパイプの選手紹介のPVがかっこよくて、「魅せる」、盛り上げるのがうまいなと感じました。

 ロシアでの大会ということで、開・閉会式の音楽や演出も注目していました。が、開会式は旅行中で観られず。話によれば、ロシア宇宙開発の歴史も、音楽・芸術の歴史も堪能できるものだったそうで…残念。閉会式は録画で何とか部分だけ観られました。さすがはロシアと思わせるきらびやかで豪華な音楽にバレエに演出。これは東京五輪どうするよ?こんな素晴らしいショーを魅せられて、後の大会が大変だ…なんて思ってしまいました。勿論、かつての長野五輪は覚えていますし、閉会式の「WAになっておどろう」は私の中では一番楽しい閉会式と記憶しています。まさにお祭りだった。

 ソチオリンピックとロシア音楽の話をしようと思っているのに、オリンピックだけで終わりそうだ…w

仮面舞踏会 ~ロシア・バレエ音楽集

パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランス放送フィルハーモニー管弦楽団/ EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)


 そんなオリンピックの余韻に浸れる一枚を。ロシアのバレエ音楽のオムニバスCD。指揮はパーヴォ・ヤルヴィ。華麗な音を出してます。うまいなぁ。チャイコフスキーにプロコフィエフ、ハチャトゥリアン、ショスタコーヴィチ…。超有名曲から、開・閉会式で流れた曲もありますし、よくフィギュアスケートで取り上げられる曲も。
 19世紀から20世紀まで、現代21世紀でも、ロシアにはバレエ芸術とその音楽が息づいているのだな、と感じます。優雅なグラン・バレエから、近現代まで。幅が広く、層が厚い。聴きながら、あのショーを思い出します。

 スポーツ競技でも、開・閉会式のショーでも魅せるソチオリンピック、面白い大会でした。このCDで余韻に浸っていようと思います。
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by halca-kaukana057 | 2014-02-24 22:44 | 音楽

【お知らせ】今後しばらくの間のtwitterについて

 twitterのことなので、そっちに書けばいいようなものなのですが、こちらに書いておきます。(140字制限もありますし)

 ツイッターのプロフィールを書き換えました。お読みください。
 「セーフホールドモード」とあります。宇宙機がトラブルなどで危機にある際、宇宙機の安全を最優先とした状態のことを言います。通信などの必要最小限の機器のみを作動させています。「はやぶさ」や「あかつき」などでよく知られるようになりました。

しばらくの間、twitterには最低限のツイートしかしません。このブログやはてなブックマークとの連携、今聴いている音楽、ラジオなどのメモ。その程度です。TLはほとんど見ません。見てもすぐ閉じてしまう状態です。

 少し前から、タイムラインを見てはその流れにのまれ、何だか自分の居場所が無い、居心地の悪さを感じていました。このこととか、事あるごとに何かに沸くタイムラインを見ては流され、のまれ、精神が磨り減る思いでした。色々な意見が飛び交い、様々な「今」が飛び交う。それはそれでとても面白い場のなのですが、自分自身がそのタイムラインの流れ・波に乗るための船のバランスが不安定な状態では、ただうねりに翻弄され、船酔いを起こすばかりです。

 更に旅行に行って、少しの間離れていたら、流れに乗れなくなってしまいました。飛び交うネタすら面白がることもできない。
 普段会話を楽しんでいる方々のツイートを読んでも、何かを話そうという気持ちになれません。楽しそうに会話しているのを見ては、羨ましいと思いつつ、仲間に入る事も出来ず。取り残されるだけ。
 完全マイペースに割り切ることも出来ませんでした。
 今は、誰のどんなツイートに過剰反応してしまうかわかりません。今はタイムラインもあまり見られません。気分が悪くなって、すぐに閉じます。
 
 もうアカウントも消してしまおうか。一時は本気で考えました。今のところは、様子をみることにしました。今のところ、です。

 ブログに関しては、大体通常通りですが、コメント、トラックバックは再び閉じさせていただきます。
 ブログの更新をtwitterに送ります。が、それにリプライがあっても、返信は遅れます。

 「今」を誰かと共有できるのは楽しい。でも、楽しくないと思うこともある。
 しばらくの間は、自分の目の前にあるものだけ、自分だけの「今」を味わおうと思います。
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by halca-kaukana057 | 2014-02-24 22:07 | information

虹の岬の喫茶店

 「津軽百年食堂」「青森ドロップキッカーズ」「ライアの祈り」の「青森三部作」の森沢明夫さんの小説です。「青森三部作」以外も読んでみたいと思っていました。


虹の岬の喫茶店
森沢明夫/幻冬舎/2013(単行本は2011)

 病気で妻を亡くした克彦は、4歳の愛娘・希美と妻のいない日々のさみしさをかみ締めていた。ゴールデンウィークの連休中、2人は家の窓から見事な虹を見る。希美の虹についての素朴な疑問から、克彦は車で「虹さがしの冒険」に出かける。海沿いの道を走っていると、小さな立て看板が目に付いた。「岬カフェ」…本当にこんなところに喫茶店などあるのだろうかと疑いながら進むと、小さな岬に小さな喫茶店があった。中に入ると、初老の店主の女性・悦子が迎えてくれた。注文と一緒に「何かお好きな音楽のジャンルはありますか?」と…。

 各章は季節と、曲名が副題になっています(最終章を除く)。物語は、「青森三部作」と同じように、人間の心の弱さと強さ、しなやかさ、あたたかさに触れられます。「岬カフェ」の店主・悦子と、悦子の甥の浩司、やって来るお客さんたち。悦子の美味しいコーヒーと、岬の美しい風景、音楽、悦子の人柄に心を開いてゆく。美味しいコーヒーと音楽でホッと一息つき、自然体でいられる。音楽にこめられたものもまたいい。森沢さんの物語だなぁと感じました。

 章ごとに主人公・語り手が変わっていくのですが、最初は偶然やってきた客だったのが、徐々に悦子に近い存在になってゆく。悦子の内面に迫るように。悦子が何故こんな辺鄙なところでカフェを営んでいるのか。悦子はどんな客もあたたかく迎え、美味しいコーヒーとその人にぴったりの音楽でもてなすのだが、その理由。それがどんどん明らかになってゆく。
 物語全体はあたたかいのだが、第4章と最終章・第6章の雰囲気がちょっと異なっている。コーヒーは美味しいけれども、苦い。その苦さがぐっと感じられる。第4章だけでも苦味があるのだが、その第4章でのことを振り返る第6章もまた苦い。苦いけれども、奥深いというのだろうなぁ…。いや、それにしては切ない。「苦い」も「苦しい」も同じ漢字を書くが、まさに、苦くて、苦しい。苦しいけれども、その選択をした悦子の心の奥がまた苦しい。

 物語全体も、最初から最後までは数年経っている。時は過ぎ、カフェを訪れた客はそれぞれの道へ進んでいったことが物語から読み取れる。しかし、悦子は変わらず、岬カフェでコーヒーを淹れている。その変化してゆくものと、変化しないものの対比は、コーヒーの奥深さ、コクなんだろうか。物語で出てくる音楽も、往年の名曲ばかり(残念ながらクラシックは出てこない)。時が経っても色褪せないもの。第2章で出てくる健は就職活動中の大学生なのに、少し古めの曲。私も聴いたことがある曲もあるし、ない曲もある。そんな時間の流れの違いも、この喫茶店では味わえる。その味は甘いだけじゃないけれど。いいなぁ。

 ちなみに、この「岬カフェ」は、実在する喫茶店がモデルなんだそう。そうなんだ!いいなぁ。
 さらに、映画化も決定。
映画『ふしぎな岬の物語』公式サイト
東映:ふしぎな岬の物語
 あらすじを読むと、物語は原作とは変えてくるみたいです。

 …その前に、「津軽百年食堂」の映画、まだ観てませんでした…。
 あと、オリンピックでカーリングに興味を持った方は、カーリング小説「青森ドロップキッカーズ」を是非どうぞ。ルールやシートの作り方など、カーリングにもっと魅了されます。

【過去記事:森沢明夫・青森三部作】
・1作目:津軽百年食堂
・2作目:青森ドロップキッカーズ
・3作目:ライアの祈り
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by halca-kaukana057 | 2014-02-21 22:14 | 本・読書

クリアーキャンディ2本目・スカイツリーver.

 先日行ったスカイツリーのお土産、セーラー万年筆・クリアーキャンディスカイツリー限定バージョンを使ってみました。

・スカイツリーに行ったレポ:2つの表情のスカイツリー

セーラー万年筆:東京スカイツリー(R) x セーラー THE SKYTREE SHOP限定商品 : キャンディ万年筆

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 通常のクリアーキャンディのニブには、Sailorのロゴが入っているのですが、スカイツリーver.はイカリマーク。こっちの方がカッコイイ。

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 書いてまず一言。字が下手だ…。
 ゴールドなので、セピアのインクが合うかなと思って入れてみた。インクフローはよく、さらさら書けます。MF(中細字)ですが、細字ぐらいの細さに感じます(ちなみに箱には「中字」と書いてあり、でもニブにはMFとあり…なんだこりゃ?と思いました)。はらい方で多少変わりはあります。5ヶ月前から使っているクリアーキャンディと比較してみました。まだ5ヶ月でも、使い心地が結構変わるものなんだなぁ。スカイツリークリアーキャンディもどんどん使っていこうと思います。

 スカイツリーに行ったら、是非どうぞ。黒のインクカートリッジ2本入りなので、すぐ使えます。展望台にのぼらなくても、1階のスカイツリーショップにもありますよ。
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by halca-kaukana057 | 2014-02-16 22:20 | 興味を持ったものいろいろ

はじめからその話をすればよかった

 これまで何作品か読んできた宮下奈都さんのエッセイです。初めてのエッセイ本なんだそう。


はじめからその話をすればよかった
宮下奈都/実業之日本社/2013

 これまで、宮下さんが新聞や雑誌などに寄稿したエッセイ、他の作家さんの作品の解説などを収録したものです。こういう形でエッセイをまとめて読めるように単行本にしてくれるのはとても嬉しい。宮下さんの出身地である福井の地元紙や、過去の雑誌への寄稿など、その時を過ぎれば読めないもの、地域限定のものに、こんな文章を寄せていたんだと思いながら読みました。

 これまで、私は宮下さんを独身女性だと思っていた。しかし、宮下さんは3人のお子さんのお母さん。小説を書き始めたのは、3人目のお子さんがお腹にいた時。その妊娠している時、無性に小説が書きたくなって書き、見事デビューできたのだそうだ。それを「ホルモンのせい」と書いているのが面白い。
 妊娠していなくても、無性に何かをしたくなる時がある。ただ寝ていたい、ひたすら旅をしたい、音楽を聴く…それも特定の作曲家だけや特定の曲の聴き比べ、とにかく料理をしたい、運動したい、歌いたい・演奏したい、読書したい、そして、文章を書きたい。私も無性に文章が書きたくて、思うことを思うまま、ノートやワードで書いている(表には出さない)。

 エッセイの内容は、日常のことも多い。宮下さんはこんな暮らしをしていて、こんな本や物語、音楽が好きなんだ。そしてその中に、これまで読んだ宮下さんの作品に繋がるものがあって「これは!」と思う。ああ、この作品はこんなところから生まれたんだ。宮下さんご自身が自作を解説するものもある。といっても、まだ宮下さんの作品は数作しか読んでいない。これから読むのが楽しみになった。

 エッセイだけでなく、掌編小説もある。「オムライス」が凄くいいなと思った。何だかわからないけど、何かと出会い、それが自分をつくっていく。私にとっての「オムライス」は何だろう?そんなことを考えた。「あしたの風」は、宮下さんもこんな作品を書くのか…詳しいあらすじは書きませんが、宮下さんの視点で今の社会、この国の行き先を考えるとこうなるのか…としばらく考え込んでしまった。

 宮下さんにとって、書くことが生きること、生きることが書くことなのだと感じた。宮下奈都、素敵な作家さんに出会えた、これからの作品を読むのも楽しみだと感じました。

 ちなみに、漫画「宇宙兄弟」のムックに寄稿した文章もあり、お子さんたちは「宇宙兄弟」が大好きなのだそう。様々なタイプの宇宙飛行士になりたいと言っているのを読んで、宇宙好きとして嬉しくなりました。

 宮下さんの作品は、これも読んだのだが、感想がまとまらず書けてない…

田舎の紳士服店のモデルの妻 (文春文庫)

宮下 奈都 / 文藝春秋


 このエッセイを読むと、この作品の背景が広がった気がする。もう一度読んでみる。
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by halca-kaukana057 | 2014-02-14 22:50 | 本・読書

雪降る街、ムーミンたちとお茶をしよう

 旅の思い出の続きです。1日目、スカイツリーにのぼるつもりも大雪でのぼれず。ソラマチでお買い物などしていました。そして私も友人たちも行きたかったところへ。「ムーミンハウスカフェ」。ソラマチの1階にある、「ムーミン」のカフェです。

◇公式サイト:ムーミンカフェ

 ムーミングッズなどの販売もしていますが、カフェは1時間以上待ちでした。人気あるんだなぁ。

 ようやく中へ。
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 内装。ムーミンのキャラクターのぬいぐるみがあちらこちらにありました。可愛い。そして、2枚目、フィンランド国旗も。おおう、テンション上がる。

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 メニューの一部。ムーミンのふるさと、フィンランドはコーヒー消費量世界一のコーヒー大国。そんなフィンランドでコーヒーを飲む時の豆知識も書いてありました。フィンランド語で。おおう!ムーミンのキャラクターだけかと思ったら、結構フィンランド色強い。メニューには、このブログでも書いたフィンランドのホットワイン「Glögi(グロギ、グロッギ)」もありました。しかも、アルコール入りとアルコール無し両方。更に更に、以前一度だけ入手して飲んだ、フィンランドの白スグリのスパークリングワイン「ELYSÉE No,1」(エリゼ)もありました。凄い。たまらん。飲みたいと思いましたが、アルコールは昼間なのでやめました。

 頼んだのがこれ。
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 ミルクたっぷりのラテ。ムーミンのキャラクターを描いてくれます。ムーミン、ミィ、スナフキン、ニョロニョロから選べます。飲むのにかき混ぜるのがもったいなかったです…。
 他にも、ムーミンの形のパンケーキなどもあります。
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 スプーンやフォークにもムーミンのキャラクターが。ムーミンママとスノークのおじょうさん(アニメではフローレン)

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 荷物を入れるバスケットに、「Kiitos!」(フィンランド語で「ありがとう」の意)と!見逃しませんでした!こちらこそKiitosです!

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 お土産は、フィンランドから輸入したポストカード、ムーミンのスプーン。飲み物を注文するともらえるコースター。スニフでした。

 現在も販売中の「MOOMIN'S SOUP サーモンミルクスープ」は、このムーミンカフェの監修。店内でも販売していました。

 外は雪。「ムーミン谷の冬」で、冬眠の途中で目がさめてしまったムーミンを思い出します。雪の日にムーミンカフェでフィンランド気分もいいものです。

 …これでN響のシベリウスにも行けたら完璧だったのに…(まだ言っている

【過去関連記事】
・「ELYSÉE No,1」(エリゼ)について:Hyvää joulua! Suomalainen joulu
フィンランドのホットワイン「Glögi」を作ってみた
↑ムーミンカフェのレシピとは異なります

ムーミン・フィンランドサーモンミルクスープを食べてみた
 全国のコンビニ、スーパーで販売中です。
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by halca-kaukana057 | 2014-02-14 21:20 | 旅・お出かけ

2つの表情のスカイツリー

 大雪の中の東京旅行その2です。
・その1:大雪の東京へ

 今回、行く予定でいたスカイツリー。しかし、この大雪。350m展望台へはのぼることが出来ませんでした。残念。
 それでも、雪の中のスカイツリーは、なかなか珍しい、見事でした。
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 タワーの足元。この構造が、スカイツリーを支えているのか。
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 タワーのてっぺんが見えません…。
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 ビルから見た東京の街。真っ白。
 のぼれないので、ソラマチでお土産をみたり、ムーミンカフェに行ったり。ムーミンカフェについては別記事で書きます。雪の中のムーミンカフェ…ムーミンのふるさと・フィンランドらしくていいじゃないか。
(今回の旅は、フィンランド成分が多め?意図したわけではなかったのですが)

 念のため確認に行ったら、翌日に振り替えられるとのこと。よかった。ということで翌日、再びスカイツリーへ。この日は晴れました。
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 おお!これがスカイツリー!!トラス構造が美しい。こんな高いものを、よく造ったなぁ。技術に惚れ惚れします。

 では、350m展望台へのぼります。エレベーターを降りて、目に入ってきた景色に思わず歓声を挙げてしまいました。
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 眼下の街がまだ白い。見える建物探しをしたり、ぼーっと眺めたり、写真を撮ったり。混雑していて、帰りの時間も限られていたので駆け足だったのが残念。ゆっくりとこの景色を見ていたかったなぁ。関東平野、東京湾…この高さから見える景色がこれなんだ、と。富士山は山頂は雲で見えませんでしたが、山は確認できました。340mからはまた違う感じに見えました。

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 帰り際、月が出ていました。青空と月とスカイツリー。いい光景です。
 駆け足になってしまったので、今度はもっとゆっくり来たいです。

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 ちなみに、お土産にこれを購入。セーラー万年筆クリアーキャンディの、スカイツリー限定モデルです。これがお目当てでしたw
セーラー万年筆:東京スカイツリー(R) x セーラー THE SKYTREE SHOP限定商品 : キャンディ万年筆
 カラーバリエーションが多く迷ったのですが、トラスゴールドにしました。
 使ってみた感想はまた今度。使うのが楽しみです。
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by halca-kaukana057 | 2014-02-11 22:38 | 旅・お出かけ


好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)

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