BBC Proms(プロムス)2017 私選リストその1 [7月]

夏です。暑いですね。7月も中旬…いよいよ毎年恒例のあれが始まります。BBC Proms(プロムス)。世界最大級の音楽祭。今年はグリニッジ標準時 7月14日~9月9日まで。ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールを中心に、2ヶ月間毎日コンサート。いいなぁロンドン…。

 今年は早めに入手できました。プロムス公式ガイドブック。今年もボリュームあります。
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 ということで、今年も私が選んだ注目公演、気になる公演、聴きたい公演をまとめます。長いお祭りの始まりです!
 公演は、全てBBC radio3で放送。放送後30日間はオンデマンド配信されるので、夜中に起きてリアルタイムで聴けなくても大丈夫。スマートフォンからは、「BBC iPlayer Radio」のアプリがとても便利です。各アプリストアで検索、ダウンロードしてみてね。

 あと、今年はプロムスの公式サイトもリニューアル。私としては、見難いと感じています。以前は1週間の公演をざっと見渡して、個々のページに進めたのに、今年はひとつひとつ飛ばなきゃいけない。面倒…。

 さらに、Proms公式の個々の公演のページには、BBC Radio3の放送回のページへのリンクがあったのですが、今年からなくなりました。不便。以下に、Radio3の一覧ページをリンクしておきます。
BBC Radio3 : BBC Proms : Available now
 Radio3の個々のページで、「in binaural sound」での配信がある公演(プロム)があります。昨年は試験的に導入した高音質での配信が、今年は本格的に導入になりました。是非、お手持ちのイヤホン、ヘッドホンで聴いてみてください。普通のヘッドホンでも音の違いを感じられますよ。
◇高音質版をまとめているページがありました:BBC : BBC Proms in Binaural Sound
◇詳しいことはこちら:BBC Taster : BBC Proms in Binaural Sound
 このページの「Inside Story」に高音質で配信予定のプロムの記述があります。ラストナイトもあります!

 では、各公演(プロム)を見ていきましょう。

◇7/14 Prom 1: First Night of the Proms
 ・Tom Coult:St John’s Dance(世界初演)
 ・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37
 ・ジョン・アダムズ:Harmonium
 /イゴール・レヴィット(ピアノ)、BBC Proms ユース合唱団、BBCシンフォニーコーラス、エドワード・ガードナー:指揮、BBC交響楽団
 まずはファーストナイト。今年の指揮はガードナーさんです。曲目は、いつもと様子が違う気がする…。1曲目は世界初演。今年のPromsも世界初演が多数あります。メインは今年生誕70年のジョン・アダムズの作品。今年のPromsでは、ジョン・アダムズ作品を多数取り上げます。イギリスでは人気があるというのですが、私は一度も聴いたことがない…。この際だから聴いてみるか。でも、いつもよりもインパクトがないファーストナイトだなぁと…。
 イゴール・レヴィットさんのピアノは、以前BBCのオンデマンドで聴いたことがあります。ベートーヴェン3番は大好きな作品なので楽しみです。
*追記:レヴィットさんのアンコールはリスト編曲のベートーヴェン「第九」の「歓喜の歌」。「歓喜の歌」はヨーロッパではEUの歌です。

◇7/15 Prom 2: Daniel Barenboim conducts Sibelius and Elgar
 ・シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47
 ・エルガー:交響曲第1番 変イ長調 op.55
 /リサ・バティアシュヴィリ(Vn)、ダニエル・バレンボイム:指揮、シュターツカペレ・ベルリン
 2日目からバレンボイム&シュターツカペレ・ベルリンが登場。CDも出したコンビ、バティアシュヴィリさんとシベコン。今年はフィンランド独立100年もあってか、シベリウス多めです。メインはエルガーの1番。あとで書きますが、Prom4では2番もやります。エルガーの交響曲も好きなので楽しみな公演です。
*追記:バティアシュヴィリさんのアンコールはなし。オーケストラのアンコールは、シベリウス:悲しきワルツ…このコンビで「悲しきワルツ」は珍しい。そして、エルガー:威風堂々第1番…あの…それ、ラストナイトで演奏する曲じゃ…勿論合唱はありませんが、まだプロムスは始まったばかり。ラストナイトはいくら何でも気が早いぞ!w

◇7/16 Prom 3: Bernard Haitink conducts Mozart and Schumann
 ・モーツァルト:交響曲第38番 ニ長調 K504 「プラハ」
          ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K216
 ・シューマン:交響曲第2番 ハ長調 op.61
 /イザベル・ファウスト(Vn)、ベルナルト・ハイティンク:指揮、ヨーロッパ室内管弦楽団
 最初から随分飛ばしてませんか今年は…。3日目でハイティンクさんが登場。プロムスには半世紀以上も出演しています。ヨーロッパ室内管(COE)とモーツァルトとシューマン。これまた好きな曲ばかり、好きなプログラム。

◇7/16 Prom 4: Daniel Barenboim and Staatskapelle Berlin
 ・ハリソン・バートウィッスル:Deep Time(イギリス初演)
 ・エルガー:交響曲第2番 変ホ長調 op.63
 /ダニエル・バレンボイム:指揮、シュターツカペレ・ベルリン
 再びバレンボイムとシュターツカペレ・ベルリン。先述したエルガー2番です。8月になりますが、エルガーは3番もあります!(8月の公演は別記事で書きます)
*追記:アンコールは、エルガー:エニグマ変奏曲 より「ニムロッド」 その後、バレンボイムさんが長々とスピーチを。スピーチ後に演奏したのは、再び威風堂々第1番。だからラストナイトはまだですって!!w

◇7/17 Proms at … Cadogan Hall,
PCM 1: I Fagiolini and Robert Hollingworth

 ・モンテヴェルディ:
 つれないアマリッリ(Cruda Amarilli)
 星に対して彼は打ち明けた(Sfogava con le stelle)
 遠く離れて(Longe da te, cor mio)
 歌劇「オルフェオ」より Possente spirto
 黄金の髪(Chiome d'oro)
 ああフィリ、お前に口づけしたいけど(Vorrei baciarti, o Filli)
 ・ロデリック・ウィリアムズ:La ci darem la mano(世界初演)
 ・モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り より
  第4曲:主を讃えよ,しもべたちよ(Laudate pueri Dominum)
  「天は永遠の道を通って…私の美しい調べに合わせて」(Volgendo il ciel per l'immortal sentiero… Movete al mio bel suon)
 /ロバート・ホリングワース:指揮、イ・ファジョリーニ
 プロムスの室内楽公演・Proms Chamber Music(PCM)の1回目は、今年生誕450年のモンテヴェルディ特集です。その間に、ロデリック・ウィリアムズ…バリトン歌手で、2014年のプロムス ラストナイトでは「ルール・ブリタニア!」のソロを歌ったあのウィリアムズさんは作曲もしています。その作品を世界初演です。
 イ・ファジョリーニは声楽アンサンブル。合唱も楽しみです。

◇7/17 Prom 5: Sibelius, Rachmaninov and Shostakovich
 ・シベリウス:交響曲第7番 ハ長調 op.105
 ・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op.18
 ・ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ホ短調 op.93
 /ベフゾド・アブドゥライモフ(ピアノ)、トーマス・セナゴー:指揮、BBCウェールズ交響楽団
 今年はフィンランド独立100年ですが、イコール、ロシア革命100年でもあります。ロシア革命でゴタゴタしている間に、フィンランドは独立しちゃったんです。ということで、今年のプロムスはフィンランドのシベリウスも多めですが、ロシアもの、ショスタコーヴィチも多めです。1曲目にシベリウス7番、それは楽しみだ。ショスタコ10番も。
 ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番のソロは、ベフゾド・アブドゥライモフさん。ウズベキスタン出身の若手ピアニストです。初めて聞きます。プロムスの醍醐味は、今まで聴いたことのない音楽家にも出会えるところ。この回は楽しみだなぁ。


◇7/18 Prom 6: Nicola Benedetti plays Shostakovich’s Violin Concerto No. 1
 ・ショスタコーヴィチ:十月革命 op.131
ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 op.77
 ・シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 op.47
 /ニコラ・ベネデッティ(Vn)、トーマス・セナゴー:指揮、BBCウェールズ交響楽団
 セナゴーさんとBBCウェールズの2日目。引き続きショスタコーヴィチとシベリウスです。「十月革命」はまさに1917年のロシア革命(2回目)のこと。ヴァイオリンソロのベネデッティさんはスコットランドのご出身。初めて聴きます。

◇7/22 Proms at ... Stage@TheDock, Hull
 ・テレマン:組曲「ハンブルクの潮の満ち干」 ハ長調 TWV55:C3 (水上の音楽) より、序曲
 ・ディーリアス:川面の夏の夜
 ・ヘンデル:水上の音楽 第3組曲 ト長調 HWV 50
 ・メンデルスゾーン:序曲「静かな海と楽しい航海」 op.27
 ・ラモー:歌劇「ナイス」序曲
 ・グレース・ウィリアムズ:海のスケッチ より
                 第1曲:High Wind
                 第5曲:Calm Sea in Summer
 ・ヘンデル:水上の音楽 第2組曲 ニ長調 HWV 349
 /ニコラス・マクギーガン:指揮、ロイヤル・ノーザン・シンフォニア
 ロイヤル・アルバート・ホールでの演奏会でもない、PCMでもないプロムです。水や海に関係する作品を集めて演奏します。バロックから近現代まで、海に関係する曲はたくさんあります。今回、知らない曲もあります。興味を持ったのでリストに入れておきます。

◇7/24 Prom 13: Malcolm Sargent's 500th Prom
 ・ヘンリー・ウッド:編:イギリス国歌
 ・ベルリオーズ:ローマの謝肉祭 序曲
 ・シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54
 ・エルガー:コケイン序曲 op.40
 ・ウォルトン:ファサード 第1組曲
         ファサード 第2組曲 より 第5曲 Popular Song
 ・ホルスト:どこまでも馬鹿な男
 ・ディーリアス:春初めてのカッコウの声を聴いて
 ・ブリテン:青少年のための管弦楽入門
 /ベアトリーチェ・ラナ(ピアノ)、サー・アンドリュー・ディヴィス:指揮、BBC交響楽団
 プロムスを長年指揮し続けたサー・マルコム・サージェントは今年で没後50年。それを記念して、サージェント卿がプロムスの500回目の指揮のプロム、1966年のファーストナイトを再現します。とても興味深いプログラム。現在は、ラストナイトでブリテン編曲のイギリス国歌を演奏していますが、以前はファーストナイトでも演奏していたんですね。イギリスもの中心の楽しみなプロムです。
 ピアノソロは、先日N響にも登場したベアトリーチェ・ラナさん。とても素敵なベートーヴェンでした。シューマンも楽しみです。
 ◇1966年のファーストナイト:Prom 01 - First Night of the Proms 1966 - Malcolm Sargent's 500th Promenade Concert

◇7/25 Prom 14: Holst – The Planets
 ・ヴォーン=ウィリアムズ:交響曲田9番 ホ短調
 ・ホルスト:惑星
 /バーミンガム市交響楽団ユース合唱団(女声合唱)、ジョン・ウィルソン:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団
 毎年演奏されるホルストの「惑星」。今年はBBCスコティッシュ交響楽団が演奏します。ヴォーン=ウィリアムズの最後の交響曲9番も。聴いたことがないのでこれは楽しみ。

◇7/29 Prom 19: Relaxed Prom
 /グラント・ルウェリン:指揮、BBCウェールズ交響楽団
 このプロムは、小さな子どもも大人も、自閉症や発達障害を抱える人たち、視覚や聴覚に問題を持つ人たちも楽しめるプロム。歌っても踊ってもOK。いいなこういうの。
 曲目は、リムスキー・コルサコフやロッシーニ、ヨハン・シュトラウス二世、イギリスの人気テレビ番組「ドクター・フー」のテーマなど。
 こういうコンサートは、音だけで聴くよりも映像を観たり、実際にコンサートに行ってみるともっと楽しめるんだろうなぁ。

◇7/29 Prom 20: Stephen Hough plays Brahms
 ・ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 op.15
 ・デイビット・ソウワー:グレイテスト・ハピネス・プリンシパル(The Greatest Happiness Principle)
 ・ハイドン:交響曲第99番 変ホ長調 Hob.I:99
 /スティーヴン・ハフ(ピアノ)、マーク・ウィッグルスワース:指揮、BBCフィルハーモニック
 お気に入りのピアニスト、スティーヴン・ハフさんの登場です。今年はブラームスの1番協奏曲。

◇7/31 Proms at ... Cadogan Hall,
PCM 3: From the Kalevala to Kaustinen: Finnish Folk and Baroque Music

 /アヌ・コムシ(ソプラノ)、クレータ=マリア・ケンタラ(ヴァイオリン)、アンドリュー・ローレンス・キング(ハープ、カンテレ、プサルタリー)、エーロ・パルヴィアイネン(テオルボ、ギター)、ミッラ・ヴィルヤマー(ハルモニウム)
 プロムスの室内楽公演・Proms Chamber Music(PCM)の3回目は、フィンランド。フィンランドの民謡と、バロック音楽をお届けします。フィンランド民謡は合唱曲でいくつか知っていますが、フィンランドのバロック音楽…あまり聴いたことがない。楽器も、フィンランドの民族楽器・カンテレの他に、木箱に24本のピアノ線を張ったプサルタリー、リュートの仲間のテオルボと知らない楽器も。どんな音がするんだろう?
 ソプラノのアヌ・コムシさんは、2015年のラハティ・シベリウス音楽祭で、セーゲルスタム指揮ヘルシンキ・フィルの「ルオンノタール」でソプラノソロを歌っていたのを覚えています。きれいな声でした。ハルモニウムのヴィルヤマーさんは、調べたところ、アニメ映画「劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス」のサントラ演奏にも参加されていました。興味深いプログラムです。

 以上、7月分でした。ここに書かなかった公演でも、きっと聴きます。書ききれない!プロムスは日本時間15日未明、開幕です!

こちらの記事も参考にどうぞ。
英国ニュースダイジェスト:プロムス2017 - ロンドンの音楽祭 - BBC Proms 2017
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# by halca-kaukana057 | 2017-07-14 23:08 | 音楽

青い海の宇宙港 春夏篇 秋冬篇

 久しぶりに川端裕人さんの作品を読みました。最新作でいいんだっけ?しかも、宇宙ものです。


青い海の宇宙港 春夏篇
川端裕人 / 早川書房 / 2016










青い海の宇宙港 秋冬篇
川端裕人 / 早川書房 / 2016










 時は2020年代。小学6年生の天羽駆(あもう・かける)は「宇宙遊学生」として、東京を離れ宇宙港のある多根島で1年間暮らすことになった。「宇宙遊学生」と言っても、駆はあまり宇宙には興味が無く、生き物が好きで、島の生き物に興味を持っていた。同じく「宇宙遊学生」の小学6年、北海道出身の本郷周太は宇宙が大好き。小学5年の「宇宙遊学生」橘ルノートル萌奈美は母親がフランス人、父が日本人で、フランスからやって来た。そして地元の小学6年大日向希実の4人で、「宇宙探検隊」を結成。ロケットの打ち上げを見たり、夏休みに小型のロケットを作って飛ばすロケット競技会に参加したり…。さらに、島の自然、島の大人たちに囲まれて、駆たちは成長してゆく…


 川端裕人さん知ったのは、小説「夏のロケット」。この本を読んだ時のワクワク、興奮を、今も覚えています。前代未聞のロケット作り、ロケット開発の光と影。ロケットについて、よりよく知った本でもありました。この「青い海の宇宙港」は、その「夏のロケット」の後の時代のお話。多根島は、名前の通り種子島をモデルとした想像上の島。現在は、種子島宇宙センターはJAXAの、国の施設ですが、この物語、2020年代では打ち上げ施設は民間宇宙港となり、民間のロケットもここから打ち上げられる。実在の民間の宇宙ベンチャー企業をモデルとした企業も登場します。実在する人工衛星・探査機をモデルにしたものも。私が気に入ったのは、宇宙マイクロ波背景放射探査機。実在する宇宙機では「WMAP」「プランク」を引き継いでいる。日本もそんな観測のできる探査機を上げている未来が来るといいなと思う。それだけじゃなくて、この作品に出てくる宇宙機がある、宇宙港がある、そんな未来にあと10年、20年後になっていればいいなと思った。

 駆、周太、希実、萌奈美の4人が、学校の授業・行事や、放課後や休みの活動で、宇宙、宇宙開発を学び、主体的に関わっていく。最初は宇宙はそれほど興味のなかった駆も、徐々に宇宙に興味を持っていく。周太は大の宇宙好き、とりわけ深宇宙が大好きというだけでなく、宇宙工学に詳しい父の影響で、父が開発したプログラムで軌道計算もこなしてしまうツワモノ。萌奈美が「宇宙遊学生」になって日本、多根島に来たのには、ある理由があった。地元民の希実は、これまで当たり前のように宇宙港がある島で宇宙に接し、暮らしてきたけれど、駆たちが来たことで、自分の将来に真剣に向き合い、やりたいことを形にしていく。
 1年の間に、かなしい出来事、辛い出来事もある。それでも、4人はロケットのように道を切り拓いてゆく。周太が言い出した「宇宙探検隊」は秋冬篇で、あるプロジェクトを立ち上げる。それぞれの願い、想いを胸に、島の人たちを巻き込んで、大プロジェクトはどうなるのか…読んでのお楽しみです。

 島の大人たちもいい。「宇宙遊学生」は島の家庭に預けられ、生活する。「里親さん」だが本当の家族同然だ。学校の先生、宇宙機関の職員・エンジニアたち。島に住み着いた外国人もいる。彼らがあたたかく、時には厳しく、変に子ども扱いしていないのがいい。守るべき時は守るけれども、子どもだからと見下さない。怒る時はちゃんと理由があるし、教え諭す時もある。大人が子どもたちに引っ張られることもある。川端裕人さんは学校と地域が連携して教育に携わることや、PTAについても以前から詳しく取材し、著書もあります。川端さんだからこそ、多根島の地域社会、コミュニティが活きている作品になっていると思う。

 島では、宇宙だけでなく、歴史や民俗・風習についても触れられます。駆は島の自然、生き物にも魅せられる。その代表が、「ガオウ」と呼ばれる神聖な場所。神様が降りてきた場所と言われているが、謎は多い。その謎も、徐々に明かされていくのが興味深い。

 私は、常々、宇宙がもっと身近になればいいと考えている。地上の延長線に宇宙があって、その延長線がどんどん短く、宇宙を身近に感じられるものになればいいと思っている。多根島は、宇宙港があるだけでなはく、様々な面で宇宙を身近に感じられる場所だ。地上と宇宙の延長線が短い。それに駆が気づくところがいい。学校の標語に、「ガッカチチウ(学校・家庭・地域・地球・宇宙の略)」と出てくるが、まさにすべてが宇宙と繋がっていると感じられる。多根島だからだろうか。多根島はより強く、より身近に感じられるだろうが、日本のどこでも、身近に感じられるようになればいいと思った。

 読んでいて、こんな未来が来ればいいのに。こんな未来を作ることができればいいのにと何度も思った。私も何か出来るだろうか。日本の宇宙開発の未来が明るいものであるように…。

 「夏のロケット」に影響を受けた、あさりよしとお先生の漫画「なつのロケット」も少し関連してきます。そのシーンを使うとは…卑怯です…!

 1年間を描いていますが、やはりロケットは夏のイメージがあります。夏の読書に是非どうぞ。

【過去関連記事】
夏のロケット(川端裕人)
なつのロケット(あさりよしとお)
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# by halca-kaukana057 | 2017-07-10 22:58 | 本・読書

夏のペンギン切手&特印

 久しぶりに特印です。
日本郵便:特殊切手「海のいきものシリーズ 第1集」の発行

 新しいシリーズです。海の生き物。大好きです。第1弾はペンギン。可愛い。そして、リンク先の画像を見るとわかるのですが、切手シートが1枚の絵・写真のようになっています。切手をはぐと、シートの絵が失われるような気がして、もったいなかったです。これはシートごと保存したくなる。
 気泡がホログラムになっていて、キラキラしています。きれいです。
 ちなみに、今回は82円のみです。ハガキ用の切手が62円になりましたが、62円切手はまだ買ってません。家には大量の52円切手が…あああ…。

 気を取り直して、特印。
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 特印も泳ぐペンギンです。可愛い。
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# by halca-kaukana057 | 2017-07-05 21:07 | 興味を持ったものいろいろ

四人の交差点

 前回もフィンランド発の本について書きましたが、今回もフィンランドでベストセラーになった小説の日本語版を。フィンランド文学が次々と日本語に翻訳され、日本に紹介され読めるようになるのは嬉しいです。


四人の交差点
トンミ・キンヌネン:著、古市真由美:訳 / 新潮社、新潮クレスト・ブックス / 2016

 フィンランドの北部のある村で、マリアは助産師をしていた。その娘のラハヤは写真技師。ラハヤの息子のヨハンネスの嫁のカーリナはその家に漂う重い空気を変えたかった。ラハヤの夫のオンニは大工で、家を建て大きくしていった。その家には100年の歴史と、暮らしと、重さと、秘密があった。


 この本のあらすじを書けと言われても、ちょっと難しいです。マリアは19世紀末からこの家に住み、助産師として働いていた。それから20世紀末までの、一家・一族、この家にまつわる物語が始まる。4人の視点で物語が語られる。それはどこにでもありそうな家族の姿でもあるし、この家にしかない秘密でもある。

 読んでいて、シベリウスの後期の交響曲(4番以降)を聴いているような気持ちになった。静かで、美しく儚くもあり、重く暗い。家族に何かが起こり、怒ったり怒鳴ったりもするが、その声もそこに残らず、すぐに消えてしまう。楽しいことがあっても、楽天的ではない。根底にあるのは静けさで、森のような、日照時間の短い冬の夜のような暗さである。

 そして、閉鎖的でもある。この家はどんどん建て増しをして大きくなるが、外に開かれていない。この家族だけで終わってしまう。孤独で、何かあっても助けも何もない。フィンランドというと福祉国家で、子育てや介護などが充実しているイメージがあるが、それは明るい部分、いい部分だけを見ていたのかもしれないと思ってしまう。ヘルシンキから遠く離れているのも鍵かもしれない。この作品で描かれる喜びも悲しみも、嘆きもこの家族だけで完結してしまう。奔放に見えるようなラハヤも、やはり閉鎖的な苦しみを抱いている。

 でも、描かれる日常は、どこにでもある日常だ。料理…パンケーキやスープ、サウナ、サマーハウスなど、フィンランドの日常にあるものが、リアリティをもって描かれている。詳しくて、その部分は鮮やかだ。鮮やかなのに、根底はモノクロの雰囲気。

 この家に嫁いできて、家の空気を何とか変えたいと思うヨハンネスの嫁のカーリナ。頑固な姑のラハヤに抵抗し、自分の思い描く"家"を作ろうするが…。カーリナとラハヤの関係に、胸が痛む。

 そして、カーリナの方が後の時代だが、最後にラハヤの夫オンニの物語を語るのは理由がある。フィンランド、北欧ならずっと進んでいそうなことだが、解説を読むとそうでもなかった。オンニが、現代に生まれていたら…と思う。オンニが教会の礼拝堂で祈るシーンは、心が痛む。

 物語では、第二次大戦中の継続戦争も鍵となります。フィンランドも第二次大戦の敗戦国。継続戦争中、一般市民はどうしていたのか、出兵した男たちはどうなったのか。これもフィンランドの歴史で現実。フィンランドも紆余曲折あった国なんだなと思う。

 前回の記事の「マッティは今日も憂鬱」では、面白おかしく、自虐ジョークも入れてのフィンランド人が描かれていたが、この「四つの交差点」はもっと生々しい部分でのフィンランドの人々と暮らしと歴史を描いている。フィンランドの静けさと深さと、強さを感じられる物語です。

・過去関連記事:マッティは今日も憂鬱
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# by halca-kaukana057 | 2017-07-01 22:43 | 本・読書

マッティは今日も憂鬱 フィンランド人の不思議

 夏至は21日でしたが、この週末は北欧では夏至祭。フィンランドもユハンヌス(Juhannus)です。いつもは夏至、夏至祭、白夜の季節に聴きたいフィンランド、北欧の音楽について書いてきましたが、今年は本を。


マッティは今日も憂鬱 フィンランド人の不思議
カロリーナ・コルホネン:著、柳澤はるか:訳 / 方丈社 / 2017

 フィンランドで大人気、ベストセラーのコミック「FINNISH NIGHTMARES」の日本語版です。これまで、何度も海外向けのフィンランドの情報ツイッターアカウントで紹介されていて、気になっていました。日本語訳出版が決まった時はとても嬉しかったです。これ絶対買う、と。

 この本の主人公、マッティは典型的なフィンランド人男性。そんなマッティが日々遭遇する「苦手なこと」「避けたいこと」「憂鬱なこと」「フィンランド人あるある」をコミカルに、時に自虐的ジョークを交えて書かれています。マッティが可愛いです。シンプルな、愛らしいキャラクターです。フィンランドのキャラクターはムーミンだけじゃない!?これからはマッティもよろしく!

 帯に、「なぜか日本人にそっくり!?」とあるのですが、読んでいると、「わかる」「あるある」「マッティ、君は私か」と思うところばかり。これまで、他の本やメディアでも、フィンランド人の性格・国民性と日本人のそれは似ていると言われてきました。この本は日本向けに書かれたものではありません。フィンランド人のコルホネンさんが、フィンランド人を紹介するために書きました。それが、日本でも、日本人に似ているんじゃないかと受け入れられている。それが不思議ですし、嬉しくもあります。

 平穏と静けさと個人的領域(パーソナルスペース、他者と自分との距離。フィンランド人は広め)を大事にしているマッティ。シャイで、照れ屋で、目立つのが苦手。自己主張するのも苦手。多くは書きません。是非ともこの本を手にとって、読んでください。「あるある」「わかる」の意味がわかると思います(多分)

 フィンランド本国で出版されている本も、本文は英語です。でも、サウナやクリスマスのミルク粥など、フィンランドの文化も出てきます。あと、フィンランドのバスの乗り方や、フィンランド人と信号、ハロウィンなど、フィンランドに旅行する際、住む際に注意したほうがいいことも書かれているので、フィンランドに行く予定がある方には是非オススメします。

 森と湖の民と呼ばれるスオミ(Suomi)の民。湖のほとりの森の中で暮らしている(都市で生活している人も休みになれば質素なサマーハウスで暮らす)人々の由縁がわかる気がします。ユハンヌスは、湖のほとりでかがり火を燃やし、なかなか暗くならない、すぐに明ける夜を謳歌します。短い夏を存分に楽しもうと。ユハンヌスのフィンランドの人たちには、この本にある「憂鬱なこと」が起きないで楽しく過ごせるよう、願うばかりです。

 フィンランド本国では第2弾も出版されたそうです。第2弾も日本語訳の出版、よろしくお願いします!
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# by halca-kaukana057 | 2017-06-23 22:49 | 本・読書

イリジウムフレアを見たくて

 現在、国際宇宙ステーション(ISS)可視パスはなし。でも、イリジウムフレアは毎日のようにあります。そういえば、イリジウムフレアはずっと見ていなかった。ご無沙汰です。

 先日から、イリジウムフレアを見よう、撮ろうと狙っていました。日によって明るさに差がある。これはとても明るい時のこと…
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 肉眼ではしっかり見たのですが、撮影は失敗…。シャッターを押す前に、慌てて、10秒間のタイマーを設定してしまった…。その10秒のうちにフレア、減光しているところを撮れました…。とても明るかったのに!しかも木星の近く、いいアングルだったのに!残念な失敗でした。

 それから、毎日のようにイリジウムフレアを見よう、撮ろうとするのですが、曇ってる、予報より暗くてうまく撮れなかった…そんな毎日が続きました。ようやく今日、一応の成功画像を撮ることができました。
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 フレアはあまり明るくありません。でも、ふっとイリジウム衛星の光の点が現れて、増光、すーっと消えていく数秒間は、何度見てもワクワクします。画像もそんなにインパクトはありませんが、イリジウムフレアの雰囲気は撮れたかな?
 明るい星は木星です。木星のそばの明るい星は、おとめ座γ星・ポリマ(Porrima)。イリジウムフレアの軌跡の斜め右上の明るめの星はしし座のデネボラ。
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# by halca-kaukana057 | 2017-06-20 22:21 | 宇宙・天文

6月はばらの季節

 南の方は梅雨入りで、アジサイの季節ですが、こちらは6月なのに寒い日が続くこともあります。アジサイはまだ。こちらはばらの季節です。

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 この日、朝寒かったので、朝露がついています。とてもきれいでした。まだこれから咲くバラもあって、まだまだ楽しめそうです。

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 こちらはバラの仲間のハマナス。ハマナスも今が季節です。
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# by halca-kaukana057 | 2017-06-12 22:49 | 日常/考えたこと


好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)

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