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行ってらっしゃい、「オシリス・レックス(OSIRIS-REx)」

 昨日書くつもりが書けなかった。NASAの初めての小惑星探査機「オシリス・レックス(OSIRIS-REx)」(英語読みだと、「オサイリス・レックス」「オサイレス・レックス」)が昨日日本時間午前8時5分に打ち上げられました。探査機は打ち上げ約1時間後、分離、予定の軌道に入りました。順調に飛行中です。おめでとうございます!

アストロアーツ:探査機「オシリス・レックス」打ち上げ、小惑星ベンヌからのサンプルリターン目指す
NHK:米初の小惑星探査機打ち上げ 生命の起源に迫れるか

 「オシリス・レックス」は、言わばアメリカ版「はやぶさ」「はやぶさ2」。現在飛行中の「はやぶさ2」の計画が本決定しなかった頃、NASAも小惑星サンプルリターン探査機の計画がある、それに対抗せねば…という話もありました。「はやぶさ2」のよきライバルです。

 「オシリス・レックス」が目指すのは、小惑星「ベンヌ(Bennu)」探査機の名前に合わせて、古代エジプト神話から取られています。ESAの「ロゼッタ/フィラエ」といい、古代エジプトから名前を取る探査機が多いですね。2018年にベンヌに到着、2年間ベンヌを観測し、2020年7月に地表にタッチダウンしてサンプルを採取します。サンプルが地球に届くのは2023年の予定です。

 「オシリス・レックス」の重量は打ち上げ時で2トン。「はやぶさ」「はやぶさ2」は500~600kg。随分と大きいです(日本の探査機が小型なだけ?)。サンプル採取は、アームを伸ばし、その先端についている装置を小惑星の表面に押し付け、窒素ガスで表面物質を吹き飛ばしてサンプルを採取する方式です。60g以上のサンプル採取を目指します。サンプルは、「はやぶさ2」と「オシリス・レックス」で提供し合うことが決まっています。よきライバルですが、パートナーでもあります。

sorae.jp:アメリカ版はやぶさ「オシリス・レックス」打ち上げ ~アメリカが描く「小惑星探査構想」第1弾の出発~
毎日新聞: オシリス・レックス打ち上げ「小惑星野郎」の交流進展と成果に期待−−津田雄一・はや2プロマネがエール
 運用チーム同士の意見交換、交流も深まっている模様。リュウグウとベンヌの比較も興味深いですし、タッチダウン、サンプル採取の方法が違うのも興味深い。「はやぶさ2」と「オシリス・レックス」、無事の航海とミッション完遂を祈ります。
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by halca-kaukana057 | 2016-09-10 23:39 | 宇宙・天文

地球経由で長い旅へ 「はやぶさ2」地球スイングバイ

 12月は宇宙関係の大きなイベントが固まってます。まず、今日は小惑星探査機「はやぶさ2」の地球スイングバイ。打ち上げからちょうど1年。初代「はやぶさ」と同じように、地球に一旦近づいて、その引力と地球が公転する力を受けて速度を上げ、軌道を変更。地球を離れ、目標の小惑星「Ryugu(リュウグウ)」の公転軌道に乗り、小惑星を目指します。

毎日新聞:なるほドリ・ワイド:はやぶさ2、なぜ地球に接近?=回答・永山悦子
 わかりやすい地球スイングバイの解説。イラストもかわいいです。
日経ビジネスONLINE:はやぶさ2の「地球スイングバイ」に血が騒ぐ その意味と、準備を進めてきたわくわく現場(1)
 山根一眞さんによるレポート。「はやぶさ2」プロジェクトチーム、津田雄一プロマネと矢野創先生にお話を聞きながら、地球スイングバイの現場を追います。

JAXA:はやぶさ2プロジェクト:「はやぶさ2」の地球スイングバイ軌道が確定しました

 「はやぶさ2」は今日のお昼頃、日本上空を通過。地球から14万km。地球に最接近したのは、19時8分ごろ。ハワイ諸島上空、約3090km。

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 今日はお昼になった途端風が強くなり、雨も降り始め、荒れたお天気に。雲で空は見えませんが、この空を「はやぶさ2」が飛んでいったのだろうと見送りました。

JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」の地球スイングバイ実施について
 JAXAからの速報です。スイングバイの際、「はやぶさ2」は地球の影の部分に入り、バッテリーでの運転に。アンテナも、NASAの深宇宙ネットワーク局(キャンベラ局)を使っての運用でした。「はやぶさ2」の状態は正常です!よかった。
 目標の軌道に入れたかどうかの確認には1週間かかるそうです。朗報を待ちましょう。

NHK:はやぶさ2の撮影 各地で成功
 「はやぶさ2」はとても暗く、大型の望遠鏡や高感度のカメラでないと撮影、観測できません。悪天候で苦戦した天文台もあるようですが、撮影できた!という画像がTwitterにどんどん流れてきていました。すごいなぁ、撮れるもんなんだなぁ。小さいけれども颯爽と飛んでゆく「はやぶさ2」。頼もしく見えます。

 小惑星「Ryugu」に到着するのは2018年。長い旅の始まりです。どうか、元気で、ご安全に!
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 万年筆ではなむけのメッセージを。行ってらっしゃい!!

 さて、次は7日、金星探査機「あかつき」の金星周回軌道投入再挑戦です。がんばれ「あかつき」!!
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by halca-kaukana057 | 2015-12-03 23:06 | 宇宙・天文

「はやぶさ2」は"竜宮"へ、カプセルは玉手箱

 小惑星探査機「はやぶさ2」の目的地である小惑星「1999 JU3」.これは仮符号で、JAXAは公募で名称案を募集していました。名称のルールが厳しく、既にある名前と重複しないように調べてから応募する必要もあり、いい名前が思い浮かばず、応募を諦めました…(募集していた7,8月、体調が悪くてそれどころじゃなかったのもある)。締め切り後、名称が決まるのは早くて11月ごろと聞いていたのですが、10月始めにもう決まっちゃいました!

JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」の目指す小惑星1999 JU3の名称決定について

「Ryugu」(りゅうぐう:竜宮)


 に決まりました。浦島太郎の昔話の竜宮城ですね。選考理由を見てみると、
 「浦島太郎」の物語で、浦島太郎が玉手箱を持ち帰るということが、「はやぶさ2」が小惑星のサンプルが入ったカプセルを持ち帰ることと重なること。
 小惑星1999 JU3は水を含む岩石があると期待されており、水を想起させる名称案であること

 初代「はやぶさ」の持ち帰ったカプセルを「玉手箱」と表現していたのを見た記憶があります(川口先生だったっけ?)。小惑星のサンプルの入った「玉手箱」。そして、水にちなんだ名前というのがとてもいいです。よく考えたなぁ。

sorae.jp:小惑星探査機「はやぶさ2」の目的地、名称は「Ryugu」に
 「Ryugu」での応募は30件。ですが、「Ryugujo」5件、「Ryuuguu」5件、「Ryuguu」1件、「Ryugujyo」1件、「Ryugujou」1件、「Ryugu-zyo」1件と似た名前も。月周回衛星「かぐや(SELENE)」の愛称募集の時も、「かぐやひめ」の案も結構あったというのを思い出しました。

 「Ryugu」から貰ってきた(…というよりもインパクタ撃ちこんで強引に取ってきた…?)玉手箱の中から、どんな発見があるか。楽しみです。まずは12月の地球スイングバイ、そして無事「Ryugu」に到着して観測を始められますように。

 ちなみに、表記はアルファベット表記だけなんでしょうか。「イトカワ」みたいにカタカナ表記はOKなのかな?
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by halca-kaukana057 | 2015-10-05 23:20 | 宇宙・天文

トミカで「はやぶさ2」

 人工衛星やロケット、宇宙機を精巧に再現したグッズが多く出るようになりました。食玩からガシャポン、プラモデル…。その中で、気になっていたのを入手しました。

タカラトミーモール:トミカプレミアム:はやぶさ2

 小惑星探査機「はやぶさ2」がトミカで登場です。トミカは、車や鉄道の"ミニカー"のイメージがありますが…宇宙機もついに仲間入りしたか。これは嬉しい。

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 箱。トミカを買ったのは生まれて初めてです。子どもの頃買ってもらったこともなかった。ちなみに、売り場には新幹線の「はやぶさ(E5)」もありました。一瞬、一緒に買おうかと思ってしまいましたw

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 「JAXA COSMODE」のロゴが入ってます。JAXAが宇宙の魅力を発信するために、企業とコラボした商品にこのロゴマークが付いています。「宇宙日本食」や、ISSで宇宙飛行士が快適に過ごせるように開発された下着など。
JAXA新事業促進部:宇宙ブランド JAXA COSMODE

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 中を開けると部品が。簡単に組み立てられそうです。

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 イオンエンジン!ミドルゲインアンテナは黄色い突起だけ。
 本体部分は結構ずっしりと、作りも頑丈な触感です。

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 ミネルバ2やインパクタは付いてませんでした…。ネジが…。
 サンプラーホーンは台座に固定する棒の上部になっていて、本体に取り付けるとサンプラーホーンになります。ちょっとわかりにくい。

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 組み立てた!
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 かっこいい!早速机の上に飾りました。

 トミカなら比較的入手しやすいのでいいですね。トミカさん、もっと宇宙機シリーズを出してもいいんですよ?大歓迎です。他にも、食玩で「はやぶさ2」や「はやぶさ」、「イプシロン」などが入ったのが出ているらしいのですが、見つけられていません。
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by halca-kaukana057 | 2015-04-06 20:58 | 宇宙・天文

「はやぶさ2」の地球スイングバイまでのイオンエンジン運転の謎

 順調に飛行中の小惑星探査機「はやぶさ2」から便りが届きました(正確にはJAXAから)。

JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」(Hayabusa2)小惑星1999 JU3に向けた航行段階(巡航フェーズ)へ移行
ファン!ファン!JAXA!:“L+90” 初期機能確認終了。小惑星に向けて、いざ巡航フェーズへ。

 昨年12月3日の打ち上げ後、イオンエンジンやリアクションホイール他姿勢制御系、様々な機器が正常に動くかどうかの確認(初期機能確認)を行っていた「はやぶさ2」。その確認が無事完了し、本格的に小惑星1999 JU3に向けた飛行(巡航フェーズ)が始まりました!おめでとうございます!!

 國中均プロマネからのメッセージが…
全ての関係者の皆さまに感謝申し上げるとともに、運用に携わるメンバー全員、改めて気を引き締めて臨んでまいります。その気持ちを次の言葉に込めたいと思います。
 『武運を信じ、いざ深宇宙動力航行に挑まん。両舷前進強速。進路、地球スイングバイ回廊。』

 プロジェクトマネージャーというより某宇宙戦艦(某でも何でもないw)の艦長じゃないですかw確かに初代「はやぶさ」では、イオンエンジンの運転時間が増えるごとにヤマトのシールを運用室の窓に貼っていたし…wこのコメントを読んで、「ヤマト2199」の挿入歌「銀河航路」を聴きたくなった、聴いた、気がついたら歌ってたのは言うまでもありませんw

 ここで、このプレスリリースに「あれ?」と思う箇所が。
地球スイングバイまでの間に、イオンエンジン2台による運転を期間中2回に分けて合計約600時間(約25日)行い、探査機航行速度の増速(60m/秒)を計画しています。その第1回目として、3月3日からイオンエンジンの連続運転時間を徐々に増やし、3月中に約400時間の運転を行います。なお、第2回目の連続運転は、6月上旬頃に予定しています。

 イオンエンジンは2台でいいんだ。でも、地球スイングバイまでに連続運転するのは合計600時間、約25日?それを2回に分けて。たった2回?それでいいの?あとは慣性航行ということか。ずっとイオンエンジンを運転してなくてもいいの?意外でした。その答えは、「ファン!ファン!JAXA」のほうに書いてありました。
「スイングバイまでの連続運転は2回でいいの?」と拍子抜けに感じるかもしれません。
JAXAの中でもそう思う人、多いです。
でも、いいんです。
H-IIAロケット26号機の打ち上げ・探査機分離がとても正確だったので、「はやぶさ2」にとっては負担の軽い運用計画が立てられています。

 JAXAの人でも疑問に思う人も多いのか。JAXAとは言え、部署や担当している宇宙機が違えば専門外、わからないことも多いだろう。

 H2Aの打ち上げでは、毎回予測値と実測値を発表しています。
 まずこちらが26号機の予測値。
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参考2 :H-ⅡAロケット26号機の打上げに係る飛行安全計画、地上安全計画の25号機との比較概要より※PDFです※

 実際に打ち上げての数値・実測値はこちら。打ち上げ後のプレスリリースです。
JAXA:H-IIAロケット26号機による小惑星探査機「はやぶさ2」(Hayabusa2)の打上げ結果について

 ほぼ同じです。26号機に限らず、その前もH2Aの打ち上げはとても安定しています。この安定した正確さが、「はやぶさ2」の順調な航行に活きている。ロケットは打ち上げて軌道に載せたら終わり、のように思ってきましたが、ロケットの打ち上げの正確さ、精巧さがその後の衛星・探査機の運用にも大きく関係してくるのだなと実感しました。
 特に、26号機は第2段ロケットを一旦エンジン停止して、ロケットと「はやぶさ2」を繋げたまま地球を慣性飛行で1周、その後再点火するという難しい打ち上げでした。これも、ロケットと分離した「はやぶさ2」がすぐに地上と交信できるようにする、「はやぶさ2」の安全のための配慮でした。また、小惑星1999 JU3への軌道の関係で、打ち上げウィンドウはその日たった1秒だけ。そんな難しい打ち上げも見事クリアし、「はやぶさ2」を宇宙に送り届けたH2A26号機にも、あらためて拍手を送りたいです。特に第2段ロケット、本当によくがんばりました!!

 これからの飛行も、順調でありますように。地球スイングバイは今年12月。そこで一旦地球に近づいたら、軌道を変え加速して小惑星1999 JU3に向かいます。12月は7日に金星探査機「あかつき」の金星周回軌道投入再挑戦もあります。どちらも応援しています!

 しかし、早く小惑星1999 JU3の愛称が決まらないものか…呼びにくくて仕方ない…。
 先日記事を書いた「「はやぶさ2」の大挑戦」(山根一眞:著)では、昭和初期に東京天文台(現在の国立天文台)で小惑星を研究していた平山清次(ひらやま・きよつぐ)氏から「キヨツグ」(「ヒラヤマ」は既にある)と命名してはどうだろうか、とある。いい案、いい名前だと思います。
・感想:小惑星探査機「はやぶさ2」の大挑戦
 ↑さらっと書いてしまいましたが、もっと中身のぎゅっと詰まった本です。再読して、ああここについても書けばよかったと思う箇所多数…。
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by halca-kaukana057 | 2015-03-03 22:19 | 宇宙・天文

小惑星探査機「はやぶさ2」の大挑戦

 小惑星探査機「はやぶさ2」は順調に飛行を続けています。その間に「はやぶさ2」本を読もう。


小惑星探査機「はやぶさ2」の大挑戦 太陽系と生命の起源を探る壮大なミッション
山根一眞/講談社・ブルーバックス/2014

 初代「はやぶさ」帰還後に出版された「小惑星探査機 はやぶさの大冒険」の続編でもある「はやぶさ2」本です。「はやぶさの大冒険」では書ききれなかったカプセルの回収、採取された微粒子の分析、それが小惑星「イトカワ」のものだと判明するまで、そして同時進行で進められていた「はやぶさ2」の開発について、プロジェクトチームや関係者にインタビュー取材し「はやぶさ2」の仕組みから研究者・技術者たちの想いにも触れます。
・前作:小惑星探査機 はやぶさの大冒険

 本の半分ぐらいが初代「はやぶさ」について書かれています。後継機の「はやぶさ2」に入る前に、初代のミッションをしっかり振り返っておこうという感じです。初代「はやぶさ」の帰還、大気圏再突入、カプセル回収は予想以上にスムーズに進みました。その裏には、カプセルチーム、軌道計算チームの奮闘がありました。カプセルの話は山田哲哉先生のお話をあちらこちらで読む機会があったのですが、軌道計算チームの話はあまり聞いたことがなかったのでとても興味深かった。「はやぶさ」に影響する様々な引力や力学のイラスト(46ページ)は初耳のものも多く、こんなに複雑だったのか!と驚きました。そういえば、確かに高校の地学でやった内容…地球は楕円で場所によって引力が違うとか、地球内部構造の影響で自転もきれいにまわってるわけではない、等…やりました。地学の基礎的なことが、「はやぶさ」の軌道力学に関係していたのかと気付かされました。何事も大元は基礎基本ですね。

 「はやぶさ2」打ち上げの際、第2段ロケットをつけたまま地球を1周、再点火して加速し「はやぶさ2」を分離する理由もこの本にも書いてありました。打ち上げ前に出版されたのだから、打ち上げ前に読んでおけばよかった。H2Aで打ち上げた「はやぶさ2」ですが、H2Aロケットなら大きいから余裕がある、と私も思っていました。しかし、H2Aは地球をまわる軌道上に載せる衛星を打ち上げるのに適したロケット。惑星間探査機を打ち上げるのにはどんどん加速させることの出来る3段以上の固体ロケット、初代「はやぶさ」を打ち上げたM-Vロケットの方が適していた。しかし、M-Vロケットは廃止。新しく開発したイプシロンロケットでは小さい。これから小惑星やさらにその向こうへ向かう探査機を打ち上げるのに、コスト面でも技術面でも適したロケットがない問題…これは深刻ではあります…。

 どの章でも、山根さんのわかりやすい例えや、聞き上手なインタビュー形式の記述で、プロジェクトチームや関係者の専門的な話もわかりやすく読めます。「はやぶさ2」入門にピッタリです。
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by halca-kaukana057 | 2015-02-26 23:25 | 本・読書

はやぶさ2の真実 どうなる日本の宇宙開発

 昨年12月に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」は順調に飛行を続けています。イオンエンジンも4基異常が無いことが確認されました。
 昨年11月12月あたりに怒涛の勢いで「はやぶさ2」関連本が次々と出版されました。ようやく読み始めています。まずはこの本から。「はやぶさ」「はやぶさ2」に人一倍強い思い入れを抱いて取材してきた松浦晋也さんの本。


はやぶさ2の真実 どうなる日本の宇宙探査
松浦晋也/講談社・講談社現代新書/2014

 「はやぶさ」と、「はやぶさ」「はやぶさ2」に繋がるこれまでの日本の宇宙科学衛星・宇宙機での探査を振り返りながら、「はやぶさ2」とはどんな探査機か、初代「はやぶさ」とどこが違うのか、どこが強化されたのか。小惑星「1999 JU3」でどんな機器を使って探査を行うのか。わかりやすく書いています。「はやぶさ2」は初代「はやぶさ」とどう違うの?そもそも初代「はやぶさ」ってどんな探査機だったっけ?という素朴な疑問にもわかりやすく応えてくれる本です。

 でも、この本のメインは、「はやぶさ2」がたどって来た紆余曲折、打ち上げまでの苦難の道のりのこと。「はやぶさ2」ほど、政治や予算、社会や世相に翻弄された宇宙機は無いと思います。予算が打ち切られそうになったこと。予算はついても全く足りないこと。打ち上げるロケットを海外で見つけて来いということも。「1999 JU3」に打ち上げるためのリミットが近づく。それまでに機体を完成させられるのか。読みながら、そう言えばそうだった…と思い出すことばかりでした。

 思えば、私も「はやぶさ2」の予算が打ち切られそうになった時に、文部科学省・宇宙開発委員会宛にメールを出しました。
「はやぶさ」&「はやぶさ2」を応援します![2007年11月8日]
 この時は、「はやぶさ」は帰還の道の途中。「はやぶさ」が切り拓いている小惑星探査をここで止めないように。次に続けて欲しい。そんな想いでメールを出しました。その後、予算は出たものの十分な予算ではなく…。宇宙開発は科学や工学の世界だけのものではない。政治にも経済にも、社会全体に関わってくると痛感しました。

 その後、「はやぶさ」の帰還フィーバーで、「はやぶさ2」に対する見方は随分と変わりました。「はやぶさ2」だけでなく、宇宙開発や宇宙科学、研究に対する見方も随分変わったと感じています。5年前、金星探査機「あかつき」が燃料バルブのトラブルで金星周回軌道投入に失敗した時も、「はやぶさ」のように諦めないでまた挑戦すればいい、という見方に、世の中変わったな…と感じました。「はやぶさ」の満身創痍の冒険と、最後まで諦めなかったプロジェクトチームの情熱と信念、「はやぶさ」本体は大気圏再突入でまばゆい光を放ちながら消えていった…。地球に無事帰還したカプセルには、見事小惑星「イトカワ」の微粒子が入っていた、ミッションを完遂できた、というドラマティックな展開が、人々を惹き付けた。それをJAXAも工夫して伝え、宇宙ファンたちも様々な方法を使って草の根で表現した。「はやぶさ」フィーバーが「はやぶさ2」への追い風になった。

 そして、2014年12月3日、「はやぶさ2」は、海外のロケットでは無く、H2Aロケットで種子島から打ち上げられた。打ち上げ前に機体公開された時、本当に「はやぶさ2」が実現するんだ…ととても感慨深かったのを思い出す。あんな茨の道を歩んできた「はやぶさ2」の機体が完成したことに。そして、天候不良による延期はあったものの、その日1秒しかない打ち上げウィンドウで、オンタイムで打ち上げられ、無事宇宙の旅へ船出した。今、「はやぶさ2」が何の異常も無く飛行していることに安心している。このまま、順調な飛行を続け、「1999 JU3」でもひとつひとつ探査をこなし、無事に2020年カプセルを地球に帰還させて欲しい。トラブルによるドラマティックな展開は初代「はやぶさ」、そして「はやぶさ2」の打ち上げまでの紆余曲折で十分だ。「1999 JU3」の観たことも無い画像や、タッチダウンにはドキドキしたい。興奮しながら見守りたい。

 「はやぶさ2」は順調な飛行を続けて欲しい。でも、忘れてはいけない。「はやぶさ2」が、政治や予算に翻弄され、実現できるかできないかの瀬戸際に何度も何度も立たされていたことを。もし中止になったら、初代「はやぶさ」や、それ以前の宇宙機による積み重ねが途絶えてしまう。今後、日本が小惑星探査、深宇宙探査をやることはなくなってしまうだろう。私たちの生活には何の関係の無いような遠い宇宙の小さな星を探査することが、生命や太陽系の起源を探ることになる。やっぱり関係が無いわけじゃない。そのための手段を、私たちは持っている。絶やさないために、「はやぶさ2」の二の舞を繰り返さないために、記憶に留めておくだけでなく、活かされる記憶として記録されなければならないと思う。この本は、その記録です。

 さて、まだまだある「はやぶさ2」関連本…読みます。
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by halca-kaukana057 | 2015-02-02 23:32 | 本・読書

ついにこの日が…「はやぶさ2」打ち上げ H2Aロケット26号機にも注目

 天候の条件がなかなか揃わず、延期が続いていた小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げ。ようやく種子島も打ち上げの条件を満たす、穏やかなお天気になりました。既に報じられている通り、打ち上げ成功しました!

JAXA:H-IIAロケット26号機による小惑星探査機「はやぶさ2」(Hayabusa2)の打上げ結果について

 以前も書きましたが、目標天体の小惑星「1999 JU3」に辿り着くために、「はやぶさ2」の打ち上げはその日1秒しかチャンスが無い。1秒でも遅れたら延期。これまで、H2A/H2Bロケットは予定していた時刻に予定通り打ち上げる「オンタイム打ち上げ」を連続で成功させてきました(天候による延期は除く)。今回は、「オンタイム打ち上げ」じゃないと打ち上げられない。しかも、打ち上げた後、普通は数十分程度で軌道に乗り、ロケットと切り離してしまうのですが、今回はロケットの第2段エンジンをつけたまま、エンジンは一度停止して地球を約1周。その後、エンジンに再点火、加速して、「はやぶさ2」を切り離す。切り離しまでに1時間47分もかかる、あまりない方法での打ち上げです。これまで、H2Aでは再点火は試験的にはやったことはあるのですが本番は勿論初めて。「はやぶさ2」も勿論ですが、H2Aロケットにとっても難易度の高い打ち上げです。

・以前の関連記事:「はやぶさ2」打ち上げのH2Aはいつもと違う

 JAXAでも解説しています。
ファン!ファン!JAXA:“いつもとは一味ちがう” H-IIAロケット26号機に反映された「基幹ロケット高度化技術」
 第2段ロケットが長時間の飛行に耐えられるように、2段目には工夫がしてあります。燃料である液体水素が太陽光で蒸発しないように、太陽光を反射しやすい白色に塗装。この塗装に断熱材が含まれています。普段は断熱材のオレンジ色のまま。

ファン!ファン!JAXA:「はやぶさ2」は、なぜ地球を約1周した後でロケットから分離されるんですか?
 以前の記事で疑問に思っていたこと。ロケットから分離した後、すぐに「はやぶさ2」と地上局が通信出来るように、というのが答えでした。一気に加速して、軌道に載せ、分離することも出来るが、地上局とすぐに通信できない。「はやぶさ2」は、打ち上げの時点から探査機の電源はオンになっています。ロケットから分離したらすぐ交信して、運用を始める。なるほど。そうだったのか!

 打ち上げを生中継で観ていたのですが、カウントダウンはあっという間でした。
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 フェアリングのすぐ下(ロゴマークのある黒い部分の上)が第2段ロケット。いつもはオレンジ色だけど、今回は白い。

 気がつけばもう10分前、5分前、3分前、1分前…!!そしてリフトオフ!飛んだ、「はやぶさ2」が本当に飛ぶんだ。ぐんぐん上昇するロケットを見て、うるっと来てしまいました。今回は、いつも以上にそれぞれの工程(シーケンス)にドキドキしていました。SRB-A分離、フェアリング分離、第1段燃焼停止(MECO)、第1段分離、そして第2段と一緒に地球1周…長いなぁ、大丈夫かな、と思っていました。この頃、JAXAの衛星・宇宙機アカウントが次々に「宇宙へようこそ!」とツイートしていたのですが、地球を1周する間、地球とこれから向かう遠い宇宙を見ているであろう「はやぶさ2」、再点火の時を待ち「はやぶさ2」を送り出す第2段ロケット、見守る地上局、そして歓迎する先輩人工衛星・探査機たち…そんなことを考えていたら、涙腺が…。

 そして、15時1分、第2段ロケット再点火成功!燃焼して、秒速11km以上、「第二宇宙速度」まで加速します。秒速8km「第一宇宙速度」は、地球を周回する軌道に載るための速度。「第二宇宙速度」は、地球の重力を振り切り、太陽系を公転する軌道に入るための速度です。そして、第2段エンジン停止。15時10分過ぎ、第2段ロケットを分離。「はやぶさ2」は、長い長い宇宙の航海に旅立ちました。おめでとう!!行ってらっしゃい、ご安全に!

 H2Aロケット26号機も、難易度の高い打ち上げでしたが、見事にクリアしました。おめでとうございます!第2段は本当よくがんばりました。お疲れ様!!H2Aもまた進歩しました。成功率も、オンタイム率も上がります。H2Aは商業打ち上げの受注もしています。今後、受注が増えるといいなぁ!

 「はやぶさ2」だけでなく、3機の相乗り小型探査機たちも無事分離。これまでは地球の周りを周る衛星でしたが、今度は太陽系を公転する。小さな小さな探査機たち。がんばってほしいです。

 
 現在、「はやぶさ2」は太陽電池パネルも開き、順調に飛行中とのこと。これから数日間、機体の状態をチェックしていきます。まだ油断はできません(いつだってできませんが)。
JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」(Hayabusa2)の探査機状態および軌道計算結果について

 これから「はやぶさ2」は、来年末に地球の引力を利用して軌道変更・加速を行う地球スイングバイをして、小惑星「1999 JU3」に向かう軌道に入ります。小惑星に到着するのは、4年後の2018年。長いですね。でも、応援し続けますよ!!
 思えば、計画中止になりかけたり、予算が打ち切られそうになったり…「はやぶさ2」の打ち上げまでの道程は、平坦なものではありませんでした。本当によく実現したなぁ。よかった、よかった。分離の時も、やっぱり涙腺緩んでました。

 打ち上げは、各社撮影がんばってます。
朝日新聞:小惑星探査機「はやぶさ2」、打ち上げ成功 正常に分離
 毎回恒例空撮の朝日。空撮も勿論きれいですが、アップでの迫力あるタワークリア、ロケットを見守り見送る人々の眼差し、表情、歓声…いいですね。いい動画です。
NHK:はやぶさ2 打ち上げ成功
 NHKも空撮しています!結構きれいです。これはもっと長い空撮動画を観たいです。是非とも公開してください!

 一方私は…
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 宇宙ファン有志がつくった「はやぶさ2大漁旗」で応援です。「はやぶさ」と言えばリポビタンD。シールにして、リポDに貼りました。打ち上げ後、このリポDではなく…カフェインゼロのリポビタンfeelを飲みました。午後にリポDは体質的に受け付けないので…。
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 コンビニで数日前に見つけた、種子島産安納芋プリン。打ち上げ後に食べようと思っていました。食べました。美味しかった!PCにも大漁旗シールを貼っています。

 大漁旗やそのほか「はやぶさ2」応援グッズはこちらのを使わせていただきました。

宇宙と原子力の科学技術ファンサイト Space&Nuclear:小惑星探査機「はやぶさ2」 応援!「はやぶさ2」

 何故大漁旗?サンプルを沢山、大漁できるように、との願いが込められているそうです。相模原でのパブリックビューイングでは小旗を配布して、皆で振って打ち上げを見守ったとのこと。ファンが草の根運動をし、後押しする「はやぶさ2」。私も大漁を願っています。
 無事の航海を。そして、6年後、サンプルがたっぷり入ったカプセルが帰還するのを待っています!
(「はやぶさ2」本体は宇宙空間を飛び続けます。「はやぶさ」も当初はその予定でしたが、燃料漏れなどのトラブルにより、カプセルを放出後、そのまま大気圏再突入することになってしまったのです)

 最後に。「はやぶさ2」が描けません。うまくデフォルメも出来ず、精巧に描くのも無理。頭を悩ませています…。
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by halca-kaukana057 | 2014-12-03 22:05 | 宇宙・天文

種子島のお天気よくなれ! 「はやぶさ2」打ち上げ再延期

 昨日「打倒氷結層!」と氷結を飲んで、明日の打ち上げ成功を願っていたのですが…。

JAXA:H-IIAロケット26号機による小惑星探査機「はやぶさ2」(Hayabusa2)の打上げ延期について
 再延期です。今後は強風。打ち上げ時刻に前線が打ち上げ地点に近づき、ロケット打ち上げのための制限風速を超える強風が予測されるため、ということです。強風…条件が揃わないなぁ…。
 今度の打ち上げ日時は、12月3日(水)13時22分04秒

sorae.jp:「はやぶさ2」打ち上げ再延期 12月3日13時22分04秒に
 今日もsorae.jpさんの記事が詳しいです。12月3日は、曇りだけれども雷や強風、大雨のおそれはない模様。昨日の記事で書いた通り、「はやぶさ2」の打ち上げは目標天体の小惑星「1999 JU3」の軌道の関係で、1秒でも遅れたら翌日以降に延期しないと軌道計算が合わなくなる。本当にシビアです。

 お天気、自然はどうしようもないけれど、願ってしまう。種子島のお天気、安定してください!
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by halca-kaukana057 | 2014-11-30 22:01 | 宇宙・天文

「はやぶさ2」打ち上げ日時再設定 打倒氷結層!

 何日かかかるかなと思ったら、あっさり決まって報せが。
JAXA:H-IIAロケット26号機による小惑星探査機「はやぶさ2」(Hayabusa2)の打上げ日について

 12月1日(月)13時22分43秒です。ただ、天候によっては再延期の可能性もあります。

 ちょっと詳しい話をしましょう。
sorae.jp:「はやぶさ2」、打ち上げ日時再設定 12月1日13時22分43秒に
 この記事が詳しいです。

 「はやぶさ2」が向かう小惑星「1999 JU3」(1999とJU3の間にスペースを入れるのが正確な表記)。打ち上げ日時は、この小惑星「1999 JU3」の軌道と、地球の軌道、「はやぶさ2」を打ち上げるH2Aロケットの推力、「はやぶさ2」に搭載されているイオンエンジンの能力などを合わせて計算されています(とても複雑な計算なんだろうなぁ…)。それらを計算して、出した打ち上げ可能期間のことを「ウィンドウ」と呼びます。「窓が開く」とも。「はやぶさ2」は、12月9日まで確保されています。ただ、何らかの理由で打ち上げ予定時刻から1秒でも遅れることになったら、打ち上げ延期。翌日以降に再設定し直します。というのも、「はやぶさ2」は打ち上げた後、まっすぐ小惑星「1999 JU3」に行けるわけではありません。まず、地球と一緒に1年公転して飛行。2015年末、地球スイングバイを行い、地球の引力を利用して、小惑星「1999 JU3」へ向かう軌道に乗り換えると同時に機体も加速。この地球スイングバイのタイミングと、スイングバイの際の軌道が大事。ずれると小惑星へ行けません。そのタイミングに合い、かつ、「はやぶさ2」のイオンエンジンや機体に負担がかかり過ぎないように、打ち上げ日時を設定しています。

 この12月を逃してしまうと、次のチャンスは半年後ですが、「はやぶさ2」のイオンエンジンを長時間稼動させないとならなくなる。機体にも負担がかかりますし、地上のプロジェクトチーム、特にイオンエンジン担当の先生や技術者たちに負担が。来年12月もチャンスがありますが、同じようにイオンエンジンの稼働時間は長くなる。今がちょうどいい「ウィンドウ」なんです。

 月よりも向こう、深宇宙へ向かうことがどんなに大変かあらためて感じます。でも、「はやぶさ」で挑戦したこと、「はやぶさ2」で新たに挑戦することで、また小惑星探査の新たな道が出来る。「はやぶさ2」の旅路の6年間が、どんな新たな道をつくるのか、楽しみです。

 というわけで、明後日12月1日、種子島が打ち上げ日和のいいお天気になること、「はやぶさ2」打ち上げ成功を願って!打倒、氷結層!!
f0079085_2212662.jpg

 何故氷結なのか。昨日の記事を参照ください。
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by halca-kaukana057 | 2014-11-29 22:03 | 宇宙・天文


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